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君の好きは、どの好き?

#36

36

教室のざわめきが少しずつ大きくなる中、
遥は何度も律のほうを見た。

けれど律は、まるでそこに“透明な壁”でもあるみたいに、
遥の視線を避け続けていた。

休み時間になっても同じだった。

「律、あの──」

声をかけようと近づいた瞬間、
律は椅子を引いて立ち上がり、
教科書を抱えたまま教室を出ていった。

まるで逃げるみたいに。

「……なんで」

遥の手の中には、小さな紙袋。
指先が震える。

昨日、瀬尾と買い物に行ったときのことなんて、
律が知っているはずがないと思っていた。

でも──
律の態度は、明らかに“何かを見た”人のそれだった。

昼休み。
律は友達と話しているふりをしながら、
遥のほうを一度も見なかった。

遥は机に突っ伏しそうになる胸の痛みをこらえながら、
小さな袋をそっと抱き寄せた。

「渡したいだけなのに……」

放課後。
律が帰ろうとした瞬間、
遥は勇気を振り絞って立ち上がった。

「律!」

呼んだ声は震えていた。
でも律は、振り返らなかった。

その背中が、遥の心に深い影を落とした。

2026/06/18 18:26

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