教室のざわめきが少しずつ大きくなる中、
遥は何度も律のほうを見た。
けれど律は、まるでそこに“透明な壁”でもあるみたいに、
遥の視線を避け続けていた。
休み時間になっても同じだった。
「律、あの──」
声をかけようと近づいた瞬間、
律は椅子を引いて立ち上がり、
教科書を抱えたまま教室を出ていった。
まるで逃げるみたいに。
「……なんで」
遥の手の中には、小さな紙袋。
指先が震える。
昨日、瀬尾と買い物に行ったときのことなんて、
律が知っているはずがないと思っていた。
でも──
律の態度は、明らかに“何かを見た”人のそれだった。
昼休み。
律は友達と話しているふりをしながら、
遥のほうを一度も見なかった。
遥は机に突っ伏しそうになる胸の痛みをこらえながら、
小さな袋をそっと抱き寄せた。
「渡したいだけなのに……」
放課後。
律が帰ろうとした瞬間、
遥は勇気を振り絞って立ち上がった。
「律!」
呼んだ声は震えていた。
でも律は、振り返らなかった。
その背中が、遥の心に深い影を落とした。
遥は何度も律のほうを見た。
けれど律は、まるでそこに“透明な壁”でもあるみたいに、
遥の視線を避け続けていた。
休み時間になっても同じだった。
「律、あの──」
声をかけようと近づいた瞬間、
律は椅子を引いて立ち上がり、
教科書を抱えたまま教室を出ていった。
まるで逃げるみたいに。
「……なんで」
遥の手の中には、小さな紙袋。
指先が震える。
昨日、瀬尾と買い物に行ったときのことなんて、
律が知っているはずがないと思っていた。
でも──
律の態度は、明らかに“何かを見た”人のそれだった。
昼休み。
律は友達と話しているふりをしながら、
遥のほうを一度も見なかった。
遥は机に突っ伏しそうになる胸の痛みをこらえながら、
小さな袋をそっと抱き寄せた。
「渡したいだけなのに……」
放課後。
律が帰ろうとした瞬間、
遥は勇気を振り絞って立ち上がった。
「律!」
呼んだ声は震えていた。
でも律は、振り返らなかった。
その背中が、遥の心に深い影を落とした。