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君の好きは、どの好き?

#35

35

朝の光が差し込む教室は、まだ少し静かだった。
遥は胸の前で、小さな紙袋をそっと握りしめる。
中には、律とおそろいにしたくて選んだシャーペンが入っている。

「今日こそ……渡す」

小さく息を吸って、律の席のほうへ目を向けた。

ちょうどそのとき、律が教室に入ってきた。
けれど──

遥と目が合った瞬間、律はふっと視線をそらし、
そのまま何事もなかったように自分の席へ向かっていく。

「……あれ?」

声をかけようと立ち上がりかけた遥の前を、
律はまるで“避けるように”通り過ぎた。

昨日まで普通に話していたのに。
理由なんて思い当たらない。

胸の奥がきゅっと痛む。

「律……?」

呼んでも、律は振り返らない。
席に座ると、教科書を開いて、
遥のほうを一度も見ようとしなかった。

遥はそっと席に戻り、
紙袋を膝の上に置いたまま、
ただ律の背中を見つめるしかなかった。

──どうして避けるの?

その答えは、まだ遥にはわからない。

2026/06/17 15:31

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