文字サイズ変更

君の好きは、どの好き?

#33

33

ショッピングモールでの楽しい時間も終わり、夕日が街を赤黒く染める時間帯。
瀬尾は「こっちの方が駅への近道だから」と、遥を大通りから一本外れた静かな裏道へと誘導した。
古い住宅のコンクリート壁に挟まれた、人通りのない狭い路地。
遥はモールで買った小さな紙袋を大事そうに抱えながら、のんきに歩いていた。
「瀬尾くん、今日は付き合ってくれて本当にありがとう! 的確なアドバイスをもらえて、すっごく助かっちゃった!」
「ううん、俺も水瀬さんと2人きりで過ごせて楽しかったよ。……でもさ」
瀬尾は歩調を緩め、ふと立ち止まった。
「……瀬尾くん?」
遥が不思議そうに振り返った瞬間、瀬尾が音もなく距離を詰めてきた。
その圧倒的な体格差に気圧され、遥が思わず後退りした瞬間、背中が冷たいコンクリートの壁にピタリと当たる。
ドンッ!!!
鈍い音が路地に響いた。
瀬尾の長い左腕が、遥の顔のすぐ横の壁に、強い力で叩きつけられていた。
逃げ道を完全に塞がれた、完璧な「壁ドン」の体勢。
「え……っ?」
遥は思わず息を呑んだ。
至近距離で見下ろしてくる瀬尾の瞳には、いつもの気さくな優しさはなく、一人の男としての強い肉食的な熱が宿っていた。
「水瀬さん。さっきカフェで、椎名くんのことを『家族』って言ってたよね。……じゃあ、俺がこうやって君を追い詰めても、まだ椎名くんの顔が浮かぶ?」
瀬尾の声が、低く耳元で鼓動のように響く。
超天然な遥も、今度ばかりは冗談ではないことを肌で察し、体がカチリと硬直した。

作者メッセージ

ためがきらくちん

2026/05/31 18:42

コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はおひめ〈StellaArkの参加よろしく!〉さんに帰属します

TOP