駅へと続く、松林に囲まれた一本道。
遥は瀬尾と並んで楽しそうに歩いていた。
「水瀬さんって、椎名くんと本当に仲が良いんだね。いつも一緒にいるイメージがあるよ」
「うん! 律とは保育園からずっと一緒だから、空気みたいなものかなぁ?」
「そっか。……じゃあ、俺がその空気に入り込んでも、いいのかな?」
瀬尾は足を止め、遥の前に回り込んでその顔をじっと覗き込んだ。少し真剣な、男の目。
「え……? 空気の中? 瀬尾くん、窒息しちゃうよ?」
「あはは、そういう意味じゃなくてさ――」
瀬尾が遥の肩に手を伸ばそうとした、その瞬間だった。
「――おい!!!! そこ離れろっ!!!!」
松林の向こうから、息を激しく切らした律が、鬼のような形相で飛び出してきた。
全身汗だくで、いつも崩さないクールなヘアスタイルはボサボサ。完全に「ツン」の余裕など忘れた、必死すぎる姿だった。
「り、律!? どうしたの、そんなにハァハァ言って……!」
遥が驚いて目を丸くする。
律はふたりの間に強引に割り込むと、瀬尾の手を激しく叩き落とし、遥の手首をガシッと力強く掴んだ。
「ハァ、ハァ……っ、買い出しなんか、もういい……! 戻るぞ!」
「ええ? でもみんなのジュースが――」
「俺が後で、お前らの10倍買ってきてやるから黙ってついて来い!!」
律は赤くなった顔を隠すこともせず、遥の手を引いて歩き出そうとする。瀬尾はそんな律の必死な姿を見て、クスクスと意地の悪い笑みを浮かべた。
「椎名くん、ずいぶん余裕がないね。ただの幼馴染なのに、ちょっと過保護すぎない?」
瀬尾の挑発的な言葉に、律は足を止め、振り返った。
その瞳には、瀬尾を射殺さんばかりの激しい独占欲が渦巻いていた。
「……幼馴染だからだよ。こいつの隣は、昔から俺の指定席なんだよ。誰にも譲る気はねぇから、二度と手を出すな」
そう吐き捨てると、律は遥の手を引いて、強い足取りでビーチへと歩き出した。
「わ、律、痛いよぉ、歩くの早い……っ!」
不満を漏らす遥だったが、握られた律の手が、今までで一番熱く、そして小さく震えていることに気づき、不思議そうにその横顔を見つめていた。
(律、どうしちゃったんだろう……? 家族なのに、なんでこんなに胸がドキドキするの……?)
遥の超天然な心にも、初めて「異性としての律」の影が、小さく芽生え始めていた。
遥は瀬尾と並んで楽しそうに歩いていた。
「水瀬さんって、椎名くんと本当に仲が良いんだね。いつも一緒にいるイメージがあるよ」
「うん! 律とは保育園からずっと一緒だから、空気みたいなものかなぁ?」
「そっか。……じゃあ、俺がその空気に入り込んでも、いいのかな?」
瀬尾は足を止め、遥の前に回り込んでその顔をじっと覗き込んだ。少し真剣な、男の目。
「え……? 空気の中? 瀬尾くん、窒息しちゃうよ?」
「あはは、そういう意味じゃなくてさ――」
瀬尾が遥の肩に手を伸ばそうとした、その瞬間だった。
「――おい!!!! そこ離れろっ!!!!」
松林の向こうから、息を激しく切らした律が、鬼のような形相で飛び出してきた。
全身汗だくで、いつも崩さないクールなヘアスタイルはボサボサ。完全に「ツン」の余裕など忘れた、必死すぎる姿だった。
「り、律!? どうしたの、そんなにハァハァ言って……!」
遥が驚いて目を丸くする。
律はふたりの間に強引に割り込むと、瀬尾の手を激しく叩き落とし、遥の手首をガシッと力強く掴んだ。
「ハァ、ハァ……っ、買い出しなんか、もういい……! 戻るぞ!」
「ええ? でもみんなのジュースが――」
「俺が後で、お前らの10倍買ってきてやるから黙ってついて来い!!」
律は赤くなった顔を隠すこともせず、遥の手を引いて歩き出そうとする。瀬尾はそんな律の必死な姿を見て、クスクスと意地の悪い笑みを浮かべた。
「椎名くん、ずいぶん余裕がないね。ただの幼馴染なのに、ちょっと過保護すぎない?」
瀬尾の挑発的な言葉に、律は足を止め、振り返った。
その瞳には、瀬尾を射殺さんばかりの激しい独占欲が渦巻いていた。
「……幼馴染だからだよ。こいつの隣は、昔から俺の指定席なんだよ。誰にも譲る気はねぇから、二度と手を出すな」
そう吐き捨てると、律は遥の手を引いて、強い足取りでビーチへと歩き出した。
「わ、律、痛いよぉ、歩くの早い……っ!」
不満を漏らす遥だったが、握られた律の手が、今までで一番熱く、そして小さく震えていることに気づき、不思議そうにその横顔を見つめていた。
(律、どうしちゃったんだろう……? 家族なのに、なんでこんなに胸がドキドキするの……?)
遥の超天然な心にも、初めて「異性としての律」の影が、小さく芽生え始めていた。