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君の好きは、どの好き?

#25

25

「お待たせ、律!」
終業式を終えた翌日の土曜日。
駅前のショッピングモールの広場で、律は壁に寄りかかりながら腕時計に目を落とした。約束の時間の5分前。しかし、人混みをかき分けて走ってきた遥の姿を見た瞬間、律は思わず呼吸を忘れた。
いつも結んでいる長い髪を下ろし、白いノースリーブのワンピースに麦わら帽子。
いじめの影をすっかり払拭した遥の笑顔は、夏の太陽よりも眩しかった。
「……遅ぇよバカ。熱中症になるだろ」
「えへへ、ごめんね! お母さんとどっちの帽子がいいか相談してたら長くなっちゃって。ねえ、律、今日の私、どうかな?」
遥はワンピースの裾を少し持ち上げ、律の前でクルリと一回転してみせた。
すれ違う見ず知らずの男たちが、遥の姿に思わず目を奪われている。律はカッと顔が熱くなるのを隠すように、乱豪に帽子を深く被り直した。
「……普通。それより、さっさと行くぞ」
「あ、待ってよ〜!」
ふたりがやってきたのは、水着専門店のコーナーだった。
来週、クラスのいつものメンバーで海に行く計画が立っており、遥は結衣たちに水浸しにされた古い水着を処分し、新しいものを買いに来たのだ。
「ねえ、律! これなんてどうかな? 律のサッカー部のユニフォームとお揃いの青色だよ!」
遥が満面の笑みで体に当てて見せてきたのは、胸元が大胆にカッティングされ、背中が大きく開いた、かなり大人っぽいデザインのビキニだった。
「っ、っだ、だめだ!!! 却下!!!」
律は飛び退くようにして叫んだ。顔はトマトのように真っ赤だ。
「ええ〜? ダメ? 綺麗なのに」
「ダメに決まってんだろ! お前、自分が発育いいって自覚ねぇのか!? そんな布面積が少ないやつ、他の男がいる海に着ていけるわけねぇだろ!」
「え? 布面積……? あ、そっか、これじゃ日焼けしちゃうもんね! 律、お肌のことまで考えてくれて優しいね!」
「(……ちげーよバカ!!!)」
一人で勝手に限界を迎えている律の葛藤など、超天然な遥は1ミリも気づかない。
結局、律が必死に選んだ「露出が一番少なくて、フリルがたくさんついた可愛いタンキニ」を買うことで落ち着いたが、律はすでに、来週の海で遥が他の男子の目に晒されることに、強い危機感を抱き始めていた。

作者メッセージ

はるかちゃん....なんて天然なんだ

2026/05/31 18:30

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