結衣たちが学校から姿を消して、数日が経った。
まだ少し心の傷が癒えない遥を、律は放課後、誰もいない音楽室へと連れ出した。
「律……? 吹奏楽部、私もう部員じゃないよ……?」
気まずそうに俯く遥の前で、律はドサッと、大きな長方形のケースを机の上に置いた。
見覚えのある、でも、前よりもずっと新しくて綺麗な、銀色のラインが入ったフルートのケースだった。
「……これ、開けてみろ」
「え……?」
遥が震える手でケースの留め金を外すと、そこには夕日を浴びて、眩いほどにきらきらと輝く新品のフルートが収められていた。
「律……これ……!」
「お前が前に使ってたやつの、ワンランク上のモデルだ。結衣の親から毟り取った弁償金と、俺の貯金を足して買ってきた。……お前には、やっぱりそれが一番似合う」
律はふいっと顔を背けながら、不器用そうに頭を掻いた。耳が真っ赤になっている。
遥は、新しく届いた相棒をそっと両手で持ち上げた。
指先に伝わる、ひんやりとした、でも確かな金属の重み。これまでの苦しかった数ヶ月が頭をよぎり、また涙が溢れてくる。でも、今回の涙は、あの暗闇の物置部屋で流した冷たい涙とは違っていた。
「……ありがとう、律。本当に、ありがとう……!」
遥はフルートを胸に抱きしめ、ひまわりが咲いたような、いつもの最高の笑顔で律を見つめた。
「律、大好き!! 世界で一番大好き!!」
涙を流しながら、心の底から叫ぶ遥。
「っ、だから! お前はそういう『大好き』を簡単に言うなっ……!」
律は顔を真っ赤にして叫び返したが、今回は遥の腕を振り払わなかった。それどころか、泣きじゃくる遥の頭を、今度は優しく、愛おしそうに片手で引き寄せた。
「……これからは、何があっても俺に言え。幼馴染だろ」
「うん……っ!」
窓の外には、梅雨明けを告げるような、どこまでも澄み切った青空が広がっていた。
二人の距離は、この大きな試練を乗り越えたことで、これまで以上に強く、深く結ばれようとしていた。
まだ少し心の傷が癒えない遥を、律は放課後、誰もいない音楽室へと連れ出した。
「律……? 吹奏楽部、私もう部員じゃないよ……?」
気まずそうに俯く遥の前で、律はドサッと、大きな長方形のケースを机の上に置いた。
見覚えのある、でも、前よりもずっと新しくて綺麗な、銀色のラインが入ったフルートのケースだった。
「……これ、開けてみろ」
「え……?」
遥が震える手でケースの留め金を外すと、そこには夕日を浴びて、眩いほどにきらきらと輝く新品のフルートが収められていた。
「律……これ……!」
「お前が前に使ってたやつの、ワンランク上のモデルだ。結衣の親から毟り取った弁償金と、俺の貯金を足して買ってきた。……お前には、やっぱりそれが一番似合う」
律はふいっと顔を背けながら、不器用そうに頭を掻いた。耳が真っ赤になっている。
遥は、新しく届いた相棒をそっと両手で持ち上げた。
指先に伝わる、ひんやりとした、でも確かな金属の重み。これまでの苦しかった数ヶ月が頭をよぎり、また涙が溢れてくる。でも、今回の涙は、あの暗闇の物置部屋で流した冷たい涙とは違っていた。
「……ありがとう、律。本当に、ありがとう……!」
遥はフルートを胸に抱きしめ、ひまわりが咲いたような、いつもの最高の笑顔で律を見つめた。
「律、大好き!! 世界で一番大好き!!」
涙を流しながら、心の底から叫ぶ遥。
「っ、だから! お前はそういう『大好き』を簡単に言うなっ……!」
律は顔を真っ赤にして叫び返したが、今回は遥の腕を振り払わなかった。それどころか、泣きじゃくる遥の頭を、今度は優しく、愛おしそうに片手で引き寄せた。
「……これからは、何があっても俺に言え。幼馴染だろ」
「うん……っ!」
窓の外には、梅雨明けを告げるような、どこまでも澄み切った青空が広がっていた。
二人の距離は、この大きな試練を乗り越えたことで、これまで以上に強く、深く結ばれようとしていた。