フルートを壊されたあの日から、遥は吹奏楽部を休むようになった。
放課後の居場所を失い、ただでさえボロボロだった遥を待っていたのは、教室での徹底的な「シカト(無視)」だった。
「ねえ、知ってる? 水瀬さんって、自分で勝手に楽器を壊して部活サボってるんだって。最悪だよね」
結衣が教室の中心で、わざと大きな声で噂を流す。
結衣のグループが周囲を威圧しているため、他のクラスメイトたちも巻き込まれるのを恐れ、遥と目を合わせようともしなくなった。
お昼休み。遥が一人でぽつんと席に座っていると、結衣が数人の女子を連れて遥の机を取り囲んだ。
「ねえ、遥ちゃん。部活も行かないで、毎日何しに学校来てんのぉ? 誰もあんたのことなんて必要としてないのに、よく平気な顔して座ってられるよね。ゆいだったら恥ずかしくて学校来れないな」
クスクスと周囲から冷笑が漏れる。
遥は机の下で、スカートの生地が破れそうなくらい強く拳を握りしめていた。
(大丈夫……。私がドジだから、みんな怒ってるだけ。私が悪いんだから……)
心の中で何度も言い聞かせるが、喉の奥がカチカチに凍りついたように息が苦しい。
「……おい、そこどけよ」
背後から、低く冷徹な声が響いた。律だった。
部活のミーティングを終えて教室に戻ってきた律は、結衣たちの前に立ちはだかり、鋭い眼光で結衣を睨みつけた。
「あ、律くん!あのね、ゆいたちは遥ちゃんを励ましてあげてたんだぉ?」
結衣は一瞬でいつものぶりっ子笑顔を作り、律の腕に触れようとする。
「触るな。耳障りなんだよ、お前の声」
律は冷たくその手を振り払うと、遥の腕を掴んで強引に立ち上がらせた。
「行くぞ、遥」
教室中の視線が集まる中、律は遥を連れて静かに教室を後にした。
背後で結衣が「なんなのよアイツ……!」と怒りに顔を歪めているのを、律は確かに視界の隅で捉えていた。
放課後の居場所を失い、ただでさえボロボロだった遥を待っていたのは、教室での徹底的な「シカト(無視)」だった。
「ねえ、知ってる? 水瀬さんって、自分で勝手に楽器を壊して部活サボってるんだって。最悪だよね」
結衣が教室の中心で、わざと大きな声で噂を流す。
結衣のグループが周囲を威圧しているため、他のクラスメイトたちも巻き込まれるのを恐れ、遥と目を合わせようともしなくなった。
お昼休み。遥が一人でぽつんと席に座っていると、結衣が数人の女子を連れて遥の机を取り囲んだ。
「ねえ、遥ちゃん。部活も行かないで、毎日何しに学校来てんのぉ? 誰もあんたのことなんて必要としてないのに、よく平気な顔して座ってられるよね。ゆいだったら恥ずかしくて学校来れないな」
クスクスと周囲から冷笑が漏れる。
遥は机の下で、スカートの生地が破れそうなくらい強く拳を握りしめていた。
(大丈夫……。私がドジだから、みんな怒ってるだけ。私が悪いんだから……)
心の中で何度も言い聞かせるが、喉の奥がカチカチに凍りついたように息が苦しい。
「……おい、そこどけよ」
背後から、低く冷徹な声が響いた。律だった。
部活のミーティングを終えて教室に戻ってきた律は、結衣たちの前に立ちはだかり、鋭い眼光で結衣を睨みつけた。
「あ、律くん!あのね、ゆいたちは遥ちゃんを励ましてあげてたんだぉ?」
結衣は一瞬でいつものぶりっ子笑顔を作り、律の腕に触れようとする。
「触るな。耳障りなんだよ、お前の声」
律は冷たくその手を振り払うと、遥の腕を掴んで強引に立ち上がらせた。
「行くぞ、遥」
教室中の視線が集まる中、律は遥を連れて静かに教室を後にした。
背後で結衣が「なんなのよアイツ……!」と怒りに顔を歪めているのを、律は確かに視界の隅で捉えていた。