保健室のベッドの上。カーテンの隙間から、夕方の白い光が差し込んでいた。
点滴を受け、ようやく唇に赤みが戻った遥がゆっくりと目を覚ますと、パイプ椅子に座って自分の手をぎゅっと握り締めている律の姿があった。
「……りつ?」
「っ、遥! 気づいたか……!」
律は弾かれたように顔を上げた。その目は少し充血しており、いつも崩さないクールな表情はどこにもなかった。
「よかった……。お前、体、氷みたいに冷たくなってて……」
「あはは、ごめんね。私、更衣室でちょっとサウナの逆の実験をしてたんだよ。ほら、冷え冷え人間コンテスト!」
遥は無理に口角を上げ、いつものようにふざけてみせた。
しかし、律はその手を離さず、さらに強い力で握り締めた。その手は、かすかに震えている。
「ふざけんな。更衣室の鍵が外からかかってたって、先生が言ってたぞ。誰にやられた」
「誰もやってないよ! 鍵がね、きっと寂しくて、勝手に閉まっちゃったんだよ」
「遥!!」
律の怒声が保健室に響く。
「いい加減にしろ! なんでそうやって全部笑って誤魔化すんだよ! 腕のあざも、水浸しの制服も、全部お前がドジだからで済むわけねぇだろ!」
律の真っ直ぐな瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちそうだった。
それを見た遥は、胸がズキリと痛む。
(やっぱり、律を悲しませてる。私がちゃんとしなきゃ。律はサッカーで大事な時期なんだから、私のことで邪魔しちゃダメなのに……)
「本当に、大丈夫だよ」
遥は優しく微笑み、律の涙を拭うように、自由な方の手で彼の頬に触れた。
「私は律の幼馴染だよ? これくらい、なんともないもん」
その「幼馴染」という言葉の裏にある、遥の決死の壁を感じ取り、律はそれ以上言葉を続けることができなかった。
点滴を受け、ようやく唇に赤みが戻った遥がゆっくりと目を覚ますと、パイプ椅子に座って自分の手をぎゅっと握り締めている律の姿があった。
「……りつ?」
「っ、遥! 気づいたか……!」
律は弾かれたように顔を上げた。その目は少し充血しており、いつも崩さないクールな表情はどこにもなかった。
「よかった……。お前、体、氷みたいに冷たくなってて……」
「あはは、ごめんね。私、更衣室でちょっとサウナの逆の実験をしてたんだよ。ほら、冷え冷え人間コンテスト!」
遥は無理に口角を上げ、いつものようにふざけてみせた。
しかし、律はその手を離さず、さらに強い力で握り締めた。その手は、かすかに震えている。
「ふざけんな。更衣室の鍵が外からかかってたって、先生が言ってたぞ。誰にやられた」
「誰もやってないよ! 鍵がね、きっと寂しくて、勝手に閉まっちゃったんだよ」
「遥!!」
律の怒声が保健室に響く。
「いい加減にしろ! なんでそうやって全部笑って誤魔化すんだよ! 腕のあざも、水浸しの制服も、全部お前がドジだからで済むわけねぇだろ!」
律の真っ直ぐな瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちそうだった。
それを見た遥は、胸がズキリと痛む。
(やっぱり、律を悲しませてる。私がちゃんとしなきゃ。律はサッカーで大事な時期なんだから、私のことで邪魔しちゃダメなのに……)
「本当に、大丈夫だよ」
遥は優しく微笑み、律の涙を拭うように、自由な方の手で彼の頬に触れた。
「私は律の幼馴染だよ? これくらい、なんともないもん」
その「幼馴染」という言葉の裏にある、遥の決死の壁を感じ取り、律はそれ以上言葉を続けることができなかった。