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生物人間バトルロイヤル

#10

第九話α・正義の雀蜂

タッタッタッ

非戦闘区域内に、靴が地面と接触する音が響く。

小刻みに、早い間隔で。

「ふぅ…。」

ここまで来れば大丈夫だろうと思ったところで俺は、一息つく。

追手は迫っていなかった。

「あ、あの……。」

「?」

俺が肩を貸していた少女が、話しかけてくる。

「た、助けてくれて……、その…ありがとう…。」

「別に感謝されるほどのことでもない。」

「あの様子じゃ、お前はあの部隊が何なのか分かってなさそうだったからな。」

?「…。」

(それに、あんなところで死なれたら……、)

そんな事を考えたりしていると、自分の家に着いた。

俺は少女を家に入れ、リビングだった部屋に布団を敷き、そっと、その上に座らせる。

そして俺は、一度押し入れがある部屋に向かう。

そして、常備してあった医療キットを持って、戻ってくる。

「…お前、名前は?」

俺は彼女に包帯を巻きながら、そう問う。

「……[漢字]小澤[/漢字][ふりがな]おざわ[/ふりがな]……[漢字]黄蜂[/漢字][ふりがな]きほ[/ふりがな]。」

彼女は痛みに顔を歪めながらも、名前を俺に教えた。

少しだけ我慢しろ、と言いながら、俺は応急処置を続けた。

ギュッ

「……よし、これである程度は大丈夫だろう。」

「ありがとう…。」

「……で、私も名乗ったんだから、あんたも名乗りなさいよ。」

「…橋本直。」

「直……ね。」

「で、あの武装集団はなんなの?」

「いきなり私たちに襲いかかってきたけど……。」

「……あいつらは生物人間根絶部隊。」

「全員が通常人間で構成されてる。」

「奴らは俺たちのような生物人間を、見境なく、そして正確な連携と強力な武装で蹂躪する。」

「……。」

黄蜂は、俺の説明を黙って聞いていた。

「奴らが俺らを襲う理由は単純だ。」

「俺ら生物人間が憎い、それだけだ。」

「…!!」

「俺みたいに、家族とかそういう類いを殺されたんだろう…。」

「そんなの……私だって同じだよ…!!」

「こんな世界になったせいで、私の家族とか、友達とかは、みんなで傷つけあったんだよ!!」

彼女は震える声で、そう叫ぶ。

「生物人間だから殺すなんて……、」

「間違ってるよ…!」

「……それもそうかもな…。」

「お前の言っている事も、あながち間違っちゃいない。」

「だったら…!」

「だがなぁ……、」

「こんな理不尽な世界じゃ、能力ある奴に、能力ない奴が責任を押し付けようとするのも、また間違ってはいない。」

「…。」

「もう、こんな世界じゃ正義とか悪なんてものは麻痺している。」

「奴らや、お前が言っているような事も、所詮は正義という名のエゴだ。」

「…ッ!」

「戦争も同じだ。」

「エゴとエゴ押し付けあって、勝った方のエゴが、正義として世の中にまかり通る。」

「負けた方のエゴは、悪として揉み消される。」

「お前のそのエゴも、部隊や玉雲みたいな奴に負ければ、揉み消されて終わりだ。」

「……。」

「その上で何が重要で、何が重要じゃないか考えろよ。」

「…とりあえず、今日はここで休んで、明日になったら病院に行くなり、出ていくなりすればいい。」

「俺はもう寝る。」

「……うん。」

俺はその返事を待たずして、自室へと戻った。

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2025/12/19 19:48

ログチカ
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