[太字][明朝体]レン・フライク[/明朝体][/太字]
天使のような見た目をしながら、騎士団長の息子という、なんとも罪な男だ。
で?
なんでそんなレン様が私の隣で泣いているんだい?
気まずいの極みだ。
たまたま通りかかった所で泣いているレン様と目があってしまった。
スルーするわけにもいかず、声をかけるのも気まずく、私はそれを眺めるという大変不躾な真似をしている。
「───えーと、レン様、大丈夫ですか?」
ついに負けてそう声をかけてしまった。
レン様はのんびりと顔をあげ、私の顔をまじまじと見てから天使の笑顔を浮かべた。
「大丈夫───だと思う─」
あ、絶対大丈夫じゃないやつ。
「何があったんですか?」
あぁ聞いてしまった。
関わりたくないのになぁ───
レン様はのんびりと口を開いて喋り出す。
「来週さ、春の闘技大会があるでしょう?僕はまぁ、勿論男だから出ないといけないんだけど、中々練習相手に勝てなくて…」
[太字]闘技大会[/太字]
それは毎年4回行われる学園での大会だ。男子生徒が全員出場し、剣で戦い勝敗を決める。
もちろん怪我しないように勝敗は胸元の薔薇を粉々にした方が勝ちという独特なルールだ。
「父上が騎士団長なのもあって、余計プレッシャーが大きいんだ。負けたら父上の名前にも傷がつく。そんなこと、絶対させられない」
まっすぐな瞳だ。
あ、れ───?
そういえばゲームでは、春の闘技大会で、確かレンは負けてたはず。
その負けて傷心中のレン様と[漢字]ヒロイン[/漢字][ふりがな]私[/ふりがな]がであい、慰めてもらった時にレン様は私のことを好きになるのだ。
そこから私を守りたいという欲求が出てきて一気に強くなり、レンルートに行った場合、色々と成長したレンと幸せに生きるのだ。
いや、待て。
私は攻略なんてしたくない。
つまり、レン様が勝てばいいのだ。
「レン様は少し力が入りすぎているんですよ。もっとリラックスして相手を見れば、絶対に勝てるはずです‼︎」
私はにっこり笑顔でそう言った。
これは完全なるゲーム知識だが、レン様は緊張で力みすぎているのだ。
「力の、入りすぎ───?いや、でも父上はいつも力を入れろって…」
「それはそうかもしれませんが、限度がありますよ。レン様はもっと落ち着いていて良いんです。絶対勝てます。私が保証します」
「君が保証って───ハハハッ‼︎ユアーラって面白いね」
なんて無邪気に笑うんだ。可愛…じゃなくて、名前知られて…
まぁそりゃあそっか。義兄様の友達だもんね。
「ありがとねユアーラ。なんか少し元気だたかも。僕のことはこれから気軽にレンって呼んでいいよ〜」
レン様は満面の天使の笑みでそう言って去って行く。
あぁ、やばい。まじもんの天使…