───視線が痛い。
春の闘技大会で、レン様があんな事を言ったせいですっかり注目されてしまった。
とんでもない誤算だった。
折角レン様のフラグをへし折ろうとしていたのにまさか逆効果になるとは…
「ユアーラ!!」
そのとき、私の名前を呼ぶきれいな声が後ろから響いた。
後ろを振り向くと、そこにはレン様が立っている。
「ユアーラ、僕の試合、どうだった?」
興味津々に私にそう聞いてくる。
きまずい──
「もちろん、かっこよっかったですわ」
私がそう答えると、笑顔をパぁっと深めて嬉しそうにほほ笑んだ。
「よかった───。ユアーラのために頑張ったんだから」
レン様のその言葉に、また周りがざわつきだす。
あぁ───やめてくれ
これ以上面倒なことにはなりたくない
「ユアーラ・マークル嬢、私、レン・フライクは、あなたに婚約を申し込みます」
レン様はそう言うと、私の前で膝をつき、私の手を取ってそこに軽く口付けをした。
あ、あぁ、顔が、顔がいい!!!!!
けどそんなこと言っている場合じゃない
周りの視線もどんどん集まってきた。
「れ、レン様、とりあえず、このお話は一度家に持ち帰らせていただきますね」
その場しのぎにしかならないが、私はそう言った。
「わかった。いい返事を期待してるね」
爽やかにそう言って去っていくレン様を見つめながら、私は混乱している頭を整理した。
「いつの間にそんな仲になりましたの?」
呆れたようなミーシャンの声が聞こえた。
「ミーシャぁぁぁン」
「だらしない声を出さないの!!」
ミーシャンはそう言いながらも私のことをよしよししてくれた。
推しが尊い
「ユアーラ様、あの婚約の件どうするんですか!?」
ミーシャンの後にやってきたクライスも、とても気になるようで私につめよってきた。
どうするもなにも───私はレン様に対して推し以上の感情を持っていない。
ましてや私の最推しはミーシャンだ。
もうどうすればいいのだか──
そんなことを呑気に考えていた私は、そのとき誰よりも冴えた瞳で私を見つめていた人物に気づけていなかった。
[水平線]
「遅かったね」
帰り、マークル家の馬車に乗ると、すでに義兄様は座っており、ふんわりと優しそうな笑顔を浮かべてくれた。
「ごめんなさいまし義兄様。お友達との会話を楽しんでいましたの」
私がそう言うと、どこか不気味な瞳で私を見つめてから「そっか」と短く答えて馬車を走らせる。
「君はどうしたいんだい?ユアーラ」
突然そう聞かれた私はボケっと義兄様を見つめる。
「どうしたいとは──?」
「レンとの婚約の話。きっと今日中にフライク家から正式な令状がくるね」
き、聞かれていましたわ
よりにもよって[漢字]義兄様[/漢字][ふりがな]ヤンデレ[/ふりがな]に
「義兄様には関係ない話ですわ」
義兄様のことだ。
あまり話すと面倒なことになる気がする。
パパっと婚約をお断りして何もなかったことにしないと
「ユアーラは、俺とレンどっちの方が好き?」
「もちろん義兄様ですわ」
そりゃあ勿論兄妹のほうが大切に決まってるし大好きだ。
家について、部屋に戻ってから、私はのんびりとのびをしてベッドに横たわった。
疲れた一日だった
とりあえず少し寝ようと思って、そのまま目を閉じるのだった。
[水平線]
[中央寄せ][太字]ミハイルの部屋[/太字][/中央寄せ]
ミハイルは自分の部屋で父の手伝いとして任せてもらっている書類を触りながら、今日の出来事を思い出す。
あのとき、目の前で[漢字]誰よりも大切な人[/漢字][ふりがな]ユアーラ[/ふりがな]の手に口づけをした男のことを。
「ハァ───死ねよアイツ」
ミハイルはそう言ってため息をついてから、死んだような濁った瞳でブツブツと呟く。
[小文字]「そうだよな。やっぱりまだユアーラは俺のことを好きでいてくれてる。けどもし心変わりしたら?俺に嘘ついているだけだったら?だってさっきだって俺には関係ないって───。駄目だ。そんなの許されない。君はずっと俺だけを見ているべきなんだ。俺だけを見て、俺だけを頼って、俺だけを好きになって、俺以外なんてみんないなくなってもいいんだ。君と俺の大切な世界を壊す奴は全員────」[/小文字]
そこでミハイルは楽しそうに微笑んだ。
「せっかく、入学式の前日に薬盛って休ませて、学校の中で孤立させて、俺だけを頼ってもらおうとしたのに」
ユアーラはそんなミハイルのことを知らずに、友達を作っていた。
「やっぱ誰かの目に触れるとダメだな。あの魅力は抑えきれない」
歪んだ愛は、どこまでも恐ろしい
「ちょっと閉じ込めちゃおうかな」
春の闘技大会で、レン様があんな事を言ったせいですっかり注目されてしまった。
とんでもない誤算だった。
折角レン様のフラグをへし折ろうとしていたのにまさか逆効果になるとは…
「ユアーラ!!」
そのとき、私の名前を呼ぶきれいな声が後ろから響いた。
後ろを振り向くと、そこにはレン様が立っている。
「ユアーラ、僕の試合、どうだった?」
興味津々に私にそう聞いてくる。
きまずい──
「もちろん、かっこよっかったですわ」
私がそう答えると、笑顔をパぁっと深めて嬉しそうにほほ笑んだ。
「よかった───。ユアーラのために頑張ったんだから」
レン様のその言葉に、また周りがざわつきだす。
あぁ───やめてくれ
これ以上面倒なことにはなりたくない
「ユアーラ・マークル嬢、私、レン・フライクは、あなたに婚約を申し込みます」
レン様はそう言うと、私の前で膝をつき、私の手を取ってそこに軽く口付けをした。
あ、あぁ、顔が、顔がいい!!!!!
けどそんなこと言っている場合じゃない
周りの視線もどんどん集まってきた。
「れ、レン様、とりあえず、このお話は一度家に持ち帰らせていただきますね」
その場しのぎにしかならないが、私はそう言った。
「わかった。いい返事を期待してるね」
爽やかにそう言って去っていくレン様を見つめながら、私は混乱している頭を整理した。
「いつの間にそんな仲になりましたの?」
呆れたようなミーシャンの声が聞こえた。
「ミーシャぁぁぁン」
「だらしない声を出さないの!!」
ミーシャンはそう言いながらも私のことをよしよししてくれた。
推しが尊い
「ユアーラ様、あの婚約の件どうするんですか!?」
ミーシャンの後にやってきたクライスも、とても気になるようで私につめよってきた。
どうするもなにも───私はレン様に対して推し以上の感情を持っていない。
ましてや私の最推しはミーシャンだ。
もうどうすればいいのだか──
そんなことを呑気に考えていた私は、そのとき誰よりも冴えた瞳で私を見つめていた人物に気づけていなかった。
[水平線]
「遅かったね」
帰り、マークル家の馬車に乗ると、すでに義兄様は座っており、ふんわりと優しそうな笑顔を浮かべてくれた。
「ごめんなさいまし義兄様。お友達との会話を楽しんでいましたの」
私がそう言うと、どこか不気味な瞳で私を見つめてから「そっか」と短く答えて馬車を走らせる。
「君はどうしたいんだい?ユアーラ」
突然そう聞かれた私はボケっと義兄様を見つめる。
「どうしたいとは──?」
「レンとの婚約の話。きっと今日中にフライク家から正式な令状がくるね」
き、聞かれていましたわ
よりにもよって[漢字]義兄様[/漢字][ふりがな]ヤンデレ[/ふりがな]に
「義兄様には関係ない話ですわ」
義兄様のことだ。
あまり話すと面倒なことになる気がする。
パパっと婚約をお断りして何もなかったことにしないと
「ユアーラは、俺とレンどっちの方が好き?」
「もちろん義兄様ですわ」
そりゃあ勿論兄妹のほうが大切に決まってるし大好きだ。
家について、部屋に戻ってから、私はのんびりとのびをしてベッドに横たわった。
疲れた一日だった
とりあえず少し寝ようと思って、そのまま目を閉じるのだった。
[水平線]
[中央寄せ][太字]ミハイルの部屋[/太字][/中央寄せ]
ミハイルは自分の部屋で父の手伝いとして任せてもらっている書類を触りながら、今日の出来事を思い出す。
あのとき、目の前で[漢字]誰よりも大切な人[/漢字][ふりがな]ユアーラ[/ふりがな]の手に口づけをした男のことを。
「ハァ───死ねよアイツ」
ミハイルはそう言ってため息をついてから、死んだような濁った瞳でブツブツと呟く。
[小文字]「そうだよな。やっぱりまだユアーラは俺のことを好きでいてくれてる。けどもし心変わりしたら?俺に嘘ついているだけだったら?だってさっきだって俺には関係ないって───。駄目だ。そんなの許されない。君はずっと俺だけを見ているべきなんだ。俺だけを見て、俺だけを頼って、俺だけを好きになって、俺以外なんてみんないなくなってもいいんだ。君と俺の大切な世界を壊す奴は全員────」[/小文字]
そこでミハイルは楽しそうに微笑んだ。
「せっかく、入学式の前日に薬盛って休ませて、学校の中で孤立させて、俺だけを頼ってもらおうとしたのに」
ユアーラはそんなミハイルのことを知らずに、友達を作っていた。
「やっぱ誰かの目に触れるとダメだな。あの魅力は抑えきれない」
歪んだ愛は、どこまでも恐ろしい
「ちょっと閉じ込めちゃおうかな」