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アオハルゴコロ!

#4

第一章 別れと出会い/第四話 秘密の三人組

4

「それにしても、三人でやることってあるのかしら?」
人気のない教室の中、[漢字]佐奈[/漢字][ふりがな]さな[/ふりがな]がふとそう声に出す。
「確かに……」
三人しかいない教室の中の一人、私もそう同意する。
「とりあえずトランプとか?三人だと丁度いいだろ」
教室にいる最後の一人、[漢字]練[/漢字][ふりがな]れん[/ふりがな]疑問形になりながらそう返す。
「練くん、それいいね。よーし、やろ!」
私の賛同の言葉に、佐那も大きく頷く。
「そうね。練にしてはいい考えよ!さて、早速やるわよ」
そう言って佐奈が先生の机の横の引き出しを開ける。
すると、そこからカードゲームが三つほど出てきた。
全クラスに備わっているもので、自由に使ってよい。
「さーて、何やろうかしら?」
「ババ抜きがいいー!」
「俺もー。それ以外なんてあるの?」
「あるわよ。馬鹿ね」
「馬鹿というより、箱入り感があるなぁ……」
「今時カードゲームなんてほぼやらないだろ」
自然な会話を交えながら佐那がカードを一枚ずつ配ってくれる。
私の時は毎回手渡しで微笑みながら渡してくれるが、調子に乗る練には投げるように乱暴に渡している。
その様子を見て、思わず笑みが溢れた。

「はー、また勝っちゃったわ!」
「佐那、強すぎる……」
「何かズルでもしてるんじゃないのかよー」
「はっ、ズルなんてしてる訳ないでしょう?きっと練は馬鹿だから負け続けるのね。[漢字]凛音[/漢字][ふりがな]りんね[/ふりがな]は私とかなりいい勝負だったわ」
「ほんと?やったー!」
「はぁ?俺だって今年は風邪ひいたし!だから馬鹿じゃねーし!」
佐那が得意げに、集めたカードをシャッフルする。
「『今年は』でしょう?去年とか、一昨年とかはずっとひいてなかったわよね」
「そうなの!?体質的な問題じゃなくて?」
「馬鹿は風邪をひかないって言うだろー?体質的な問題だとしたら俺の体質は「馬鹿」だな」
「きっとそうだわ。そういうことだったのね!」
「な、なるほど……」
「おいおい、誰か否定しろよー」
練が思い切りぐっと伸びをする。
「もう一回戦する?まだ時間はあるわ」
「えーっと、みんなが来るのが八時半だから……」
「あと十五分はあるな。よし、今度こそ勝ってやる!」
「いいわ、二人ともかかってきなさい。存分に叩きのめしてやるわ!」
「望むところ!頑張るぞー!」
「おー」

「やっと勝った……疲れた……」
十分後、三人のトランプ勝負は幕を閉じた。
勝者は私。
長い激闘の末、何とか強敵の佐奈に勝ったのだ。
「凛音……立派になったわね……」
対する佐奈も、くたくたになって机に突っ伏している。
「おいお前ら、わかってると思うけど俺がビリだからな?すこしは俺の心配しろよ?」
一番に疲れているようにも見える、結局は一度も勝てなかった雑魚の練がそううめく。
「あら、敗者が何を言っているのかしら。この弱肉強食の世界では、商社が第一なのよ。雑魚の練にはなにもないわ」
「佐那、トランプってそんなハードな世界だったの……!?」
「佐那は俺に冷たいだけだぞ」
「無様ね。勝つためには醜く足掻き続けることが重要なのよ!」
「おお、佐那には強い精神と覚悟が学べそう!頑張れ、練くん!」
「まずは凛音に勝つことを目標にするか……」
練がうめくのをやめて顔を上げる。
すると、遠くから数人の足音が聞こえた。
そろそろクラスメイトが来たようだ。
それに気付いたらしい佐那が声を上げる。
「あら、誰か来たのかしら」
「そうっぽいね。トランプはもう片付ける?」
「そうだな。結局、一回も勝てなかった……」
佐那が席から立ち上がってトランプを引き出しに戻す。
すると、クラスメイトの[漢字]道枝結菜[/漢字][ふりがな]みちえだゆいな[/ふりがな]と[漢字]野里理沙[/漢字][ふりがな]のざとりさ[/ふりがな]が扉を開けて教室に入ってきた。
「あ、凛音ちゃん。おはよう」
「おはよー!早いね」
「おはよ!来る時間、間違えちゃってさ」
「あはは、なるほど」
「わかりにくかったし、しょうがないよ」
二人は口々にそう言うと、各々の席に向かっていった。
「はぁ。トランプ終わったはいいけど、まだまだ時間はかかりそうだな」
「そうだねぇ。何しよっか?」
「あ、係の仕事あるんだった。忘れてたー、やって来る」
「そっか。頑張って!」
練が席を外したのと同時ぐらいに佐那が近づいてくる。
「凛音、どう?何か進展はあった?」
「ぅえっ!?……う、うーん。どうだろ?」
「今日で最後なんだから、満足するまで仲良くしておきなさいよ。心残りの内容にね。告白するのもいいかもしれないわよ」
「こっ、告っ!?……まあ、考えとこっかな」
ほんの少しだけ頬が熱くなった。
「まあ、引っ越しても連絡して遊べばいいだけだもの。県内なんでしょ?」
「うん。そうだよね、何回でも遊びに来るから!週一ぐらいで!」
「あはは、そんな頻度できたらお母さんが大変じゃない。でも、時々でも顔は出しなさいよ」
「うん。ぜひそうさせてもらうねー!」
佐那も、本当はお互いすごく悲しいのかもしれない。
だけどそれを隠して、できるだけいいお別れをしようと努力してくれている。
だから私も、それに応えなきゃ。
「あら、ところであいつは?」
「練くんは係の仕事やりに行ったよー」
「あ、私も係の仕事やらなきゃいけないんだったわ!やって来るわね」
「うん、いってらっしゃい!」
……今日はみんなとお別れするまで、ずっと笑顔でいよう。
周りに誰もいなくなった私は、静かにそう決意した。

作者メッセージ

お昼ご飯を食べたばかりの眠眠状態で書いたのでぐっちゃになってるかも。
書き終わったので寝てきます。
それではおやすみなさい。
最期までお読み頂きありがとうございました。

2024/02/04 17:55

ずんだ餅
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