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全然警告じゃないんだけどさ、ほら?私可愛い子には辛い目にあって欲しくなっちゃうからさ?今の段階じゃグロテスクにはならないけど?なっちゃう可能性も無きにしもあらず?なーんで!グロかったら教えてください
「⋯⋯そうですか。」
女性が、私の目の前で静かに寝ている。自らなのか、他人の陰謀なのかはわからない。窓の外では宝石のように光を発している星と月が女性の顔を照らす。廊下から漏れてくる義母たちの楽しそうな笑い声とは逆に私達のいる部屋はとても暗い。月が雲に隠れ、部屋がより一層暗くなる。
私はその女性を見下ろして微笑んだ。
ただただ、美しいと、私は思った。
そして私は、冷たくなった彼女に向かってそっと胸の前で手を合わせた。
——母上、さようなら。
母、リシェル・グランディーニは、聡明でお優しい方だった。
言葉は少なく、微笑みは儚く、 けれどその沈黙の奥には、誰よりも深い知恵と誇りがあった。 華やかさを好まず、争いを避け、 ただ静かに、花のように王宮の片隅に咲いていた。
母は、帝国の小貴族の娘だった。 高い家格を持つわけでもなく、派手な装いを好むわけでもない。 けれど、王は彼女を見初めた。 それは、舞踏会の夜。 誰よりも静かに、誰よりも美しく、 月明かりの下で一人佇むその姿に、王は——
父は目を奪われたという。
だが、王宮は夢を許さぬ場所だった。 母は最下位の側妃として迎えられ、 誰からも軽んじられ、名を呼ばれることすら稀だった。 私もまた、正妃の子より早く生まれながら、[漢字] “最も遠い王位”[/漢字][ふりがな]月下美人[/ふりがな]として扱われた。
王宮では、私の名は囁かれることすらなかった。 けれど、城の外では違った。 民の間では、私の言葉に耳を傾ける者がいた。 市場で交わした一言、祭礼での所作、 そのすべてが、彼らの心に届いていた。
「あの方こそ、次代の王妃にふさわしい」 そう語る声は、静かに、しかし確かに広がっていた。
それでも、王宮は私を見ようとしなかった。 母と私が持つものは、彼らにとって“脅威”だったのだ。
それでも、母は私に教えてくれた。 言葉ではなく、背中で。 沈黙の中にある誇りと、 咲く時を選ぶ花の強さを。
私は母の最後の場所を後にして、廊下を歩いていた。
——そのとき、背後から足音がした。
ゆっくりと振り返る。
そこには義母、正妃が立っていた。
絹の衣を豪華に揺らしながら近づいてくる。
「……哀れな方ね。けれど、仕方のないことですわ」
彼女は母の亡骸の部屋を一瞥し、ため息をついた。
「セレナ、貴女の母は、アルミレドの者と通じていたのよ。……陰謀に巻き込まれたのか、それとも自ら手を貸したのかは、わかりませんけれど」
そうか、アルミレドか。最近、仲に亀裂が入っていたもの。
「貴方は賢いのですから、見てきてはどうですか?アルミレドへ。真実が眠っているかもしれませんわよ?」
豪華な扇子で口元を隠し、思わず鼻を覆いたくなるような口の匂いがする義母のことが、私は苦手だ。それでも、貴重な助言をしてくださった義母には感謝して微笑む。
「そうですね。ですが私は——」
「そうよね、そうよね、敵討ちをしなければねぇ?安心しなさい。[漢字]私[/漢字][ふりがな]わたくし[/ふりがな]が手配して差し上げますよ。可愛い可愛い我が子のためですもの。」
「…お心遣い感謝いたします。」
その言葉が、私の口から自然にこぼれたことに、少し驚いた。 義母の言葉は、あまりにも滑らかで、あまりにも都合が良すぎる。 けれど、今の私には、信じる理由も、疑う余裕もなかった。
「アルミレドには丁度良く王直属の執事の招集がかかっているのですよ。しかも、身分関係なく!貴方、執事になりなさいな。そのほうが情報収集も楽でしょう?そうね、明日にでも出かけられるように準備なさい。まぁ、まとめる荷物などろくに無いでしょうけど。」
そう高笑いしながら去っていった。事実は事実、母は死んだ。私は、敵を打つまでだ。
女性が、私の目の前で静かに寝ている。自らなのか、他人の陰謀なのかはわからない。窓の外では宝石のように光を発している星と月が女性の顔を照らす。廊下から漏れてくる義母たちの楽しそうな笑い声とは逆に私達のいる部屋はとても暗い。月が雲に隠れ、部屋がより一層暗くなる。
私はその女性を見下ろして微笑んだ。
ただただ、美しいと、私は思った。
そして私は、冷たくなった彼女に向かってそっと胸の前で手を合わせた。
——母上、さようなら。
母、リシェル・グランディーニは、聡明でお優しい方だった。
言葉は少なく、微笑みは儚く、 けれどその沈黙の奥には、誰よりも深い知恵と誇りがあった。 華やかさを好まず、争いを避け、 ただ静かに、花のように王宮の片隅に咲いていた。
母は、帝国の小貴族の娘だった。 高い家格を持つわけでもなく、派手な装いを好むわけでもない。 けれど、王は彼女を見初めた。 それは、舞踏会の夜。 誰よりも静かに、誰よりも美しく、 月明かりの下で一人佇むその姿に、王は——
父は目を奪われたという。
だが、王宮は夢を許さぬ場所だった。 母は最下位の側妃として迎えられ、 誰からも軽んじられ、名を呼ばれることすら稀だった。 私もまた、正妃の子より早く生まれながら、[漢字] “最も遠い王位”[/漢字][ふりがな]月下美人[/ふりがな]として扱われた。
王宮では、私の名は囁かれることすらなかった。 けれど、城の外では違った。 民の間では、私の言葉に耳を傾ける者がいた。 市場で交わした一言、祭礼での所作、 そのすべてが、彼らの心に届いていた。
「あの方こそ、次代の王妃にふさわしい」 そう語る声は、静かに、しかし確かに広がっていた。
それでも、王宮は私を見ようとしなかった。 母と私が持つものは、彼らにとって“脅威”だったのだ。
それでも、母は私に教えてくれた。 言葉ではなく、背中で。 沈黙の中にある誇りと、 咲く時を選ぶ花の強さを。
私は母の最後の場所を後にして、廊下を歩いていた。
——そのとき、背後から足音がした。
ゆっくりと振り返る。
そこには義母、正妃が立っていた。
絹の衣を豪華に揺らしながら近づいてくる。
「……哀れな方ね。けれど、仕方のないことですわ」
彼女は母の亡骸の部屋を一瞥し、ため息をついた。
「セレナ、貴女の母は、アルミレドの者と通じていたのよ。……陰謀に巻き込まれたのか、それとも自ら手を貸したのかは、わかりませんけれど」
そうか、アルミレドか。最近、仲に亀裂が入っていたもの。
「貴方は賢いのですから、見てきてはどうですか?アルミレドへ。真実が眠っているかもしれませんわよ?」
豪華な扇子で口元を隠し、思わず鼻を覆いたくなるような口の匂いがする義母のことが、私は苦手だ。それでも、貴重な助言をしてくださった義母には感謝して微笑む。
「そうですね。ですが私は——」
「そうよね、そうよね、敵討ちをしなければねぇ?安心しなさい。[漢字]私[/漢字][ふりがな]わたくし[/ふりがな]が手配して差し上げますよ。可愛い可愛い我が子のためですもの。」
「…お心遣い感謝いたします。」
その言葉が、私の口から自然にこぼれたことに、少し驚いた。 義母の言葉は、あまりにも滑らかで、あまりにも都合が良すぎる。 けれど、今の私には、信じる理由も、疑う余裕もなかった。
「アルミレドには丁度良く王直属の執事の招集がかかっているのですよ。しかも、身分関係なく!貴方、執事になりなさいな。そのほうが情報収集も楽でしょう?そうね、明日にでも出かけられるように準備なさい。まぁ、まとめる荷物などろくに無いでしょうけど。」
そう高笑いしながら去っていった。事実は事実、母は死んだ。私は、敵を打つまでだ。