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破茶滅茶学園部ッ!

#4

口移しという名の拷問

「……はぁ、はぁ、……死ぬ。マジで、干からびる……」
 六限目の世界史。窓から差し込む西日が、容赦なく教室の温度を奪っていく。
 この学園の校則第四〇六条は、授業中の水分補給を「精神の弛緩」として厳禁している。たとえ熱中症の危険があっても、教壇に立つ教師の許可なく水の一滴すら口にすることは許されない。

 私の喉は、さっきの「くしゃみテロ」での全力逃走も相まって、砂漠のようにカラカラだった。
 その上、今日は2年生と同じ教室での授業なので、人口密度がヤバイ。
 そんな時、前の席に座る和島結衣香が、音もなく椅子を下げて私に近づいた。

「山崎さん。あなたの体内の水分含有率は現在五八%。危険水域です。……私の、飲みますか?」

 彼女が机の下で差し出したのは、校則指定の地味な水筒……ではない。透明な液体が満たされた、謎の試験管だった。

「これ、特製の電解質飲料です。……ただし、口移しでないと、教師に見つかるリスクが八七%上昇します」
「な、……!? 和島さん、何言っ……んんっ!?」

 反論する間もなかった。結衣香が不意に振り返り、私の後頭部を冷たい指先で固定した。
 眼鏡の奥の鋭い瞳が至近距離で私を射抜く。彼女は試験管の液体を自分の口に含むと、そのまま私の唇を塞いだ。
 冷たくて、ほんのりグレープフルーツの香りがする液体が、私の渇いた喉に流れ込んでくる。それは背徳感という名のスパイスが効いた、この世で一番甘い水だった。

「……計算通り。これで五分は持ちますね」

 結衣香は平然と前を向き、ノートに数式を書き込み始めた。私の心臓は、水を得た魚どころか、爆発寸前の火山のように跳ねているというのに。

「ちょっと! 結衣香さんだけ抜け駆けはズルいわ!」

 突然、教室のドアが勢いよく開いた。現れたのは、これまた「校則違反」の塊のような姿をした高田みおだった。
 彼女はなぜか、巨大な放水ホースを肩に担いでいる。

「皆さん! 真の風紀とは、健やかな肉体に宿るもの! この『聖絶女子学園』に、恵みの雨を降らせに来ました!」

 「高田! 何をしている、授業中だぞ!」
 教壇の教師が立ち上がるが、みおの勢いは止まらない。彼女は「風紀委員長代行(自称)」の腕章を翻し、ホースのコックを全開にした。

「全生徒に告ぐ! 今この瞬間より、校則第四〇六条を破棄する! 飲みなさい! 浴びなさい! これが『裏学園部』の、愛のシャワーよ!!」

 ――ズドドドドッ!!
 猛烈な勢いで放たれた水が、教室の窓ガラスを震わせ、教師を押し流し、乾燥しきった生徒たちの頭上に降り注いだ。
 「きゃああっ!」「冷たいっ! でも……美味しい!」
 阿鼻叫喚と歓喜の声が混ざり合う中、教室は一瞬にしてウォーターパークと化した。

「あはは! みお、やるじゃん! 派手すぎてウケるんだけど!」

 廊下から、ずぶ濡れになりながらも爆笑する小川凛(別名:ちいかわ)が姿を見せた。
 結衣香は、濡れて透けた私の制服をじっと見つめ、耳元で静かに囁いた。

「山崎さん。次の授業は……二人で、着替えに行きませんか? 誰も来ない、資料室の奥へ」

 水浸しの教室で、私の手は、結衣香の冷たい手と、みおの熱い手に同時に握られていた。
 ブラック学園のルールは、また一つ、濁流の中に消えていった。

作者メッセージ

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2026/02/26 20:47

♗◈夢見鳥◈♗
ID:≫ 65guhuu.CMb9.
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