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あと履歴も。
学園の夜は早い。午後九時には完全消灯となり、廊下には赤外線センサーと、監視員による容赦ない巡回が始まる。そんな監獄のような寄宿舎で、私の部屋のドアが音もなく開いたのは、深夜一時を回った頃だった。
「……蒼ちゃん、起きてるー?」
闇の中から現れたのは、シルクの際どいネグリジェを纏った小川凜先輩だった。校則では「綿一〇〇%の白パジャマ」以外禁止されているはずなのに、彼女の周囲だけは甘い薔薇の香りが漂っている。
「凛、先輩……!? 監視に見つかったら大変なことに……っ」
「しー。大丈夫、結衣香がセンサーのログを書き換えてるから。それより、明日の『仕込み』、手伝ってよ」
凛先輩は私のベッドに滑り込んできた。狭いシングルベッドの上で、先輩のしなやかな肢体と私の体が、いや応なしに密着する。太ももに触れる滑らかな生地の感触に、心臓がうるさいほど跳ねた。
「ほら、これ。特製のコショウパウダー」
彼女が差し出したのは、銀色の小瓶。その中身を、明日の朝礼で使う「芳香剤」に混ぜるのが私の役目らしい。しかし、私の手は震えて、うまく瓶が開けられない。
「あら、蒼さん。手が震えていますね。恐怖ですか? それとも……私たちがこうして密着しているせいですか?」
いつの間にか足元に座っていたのは、和島結衣香だった。彼女は冷ややかな指先で私の足首を掴み、じっと観察するように見上げてくる。
「結衣香、あんまり蒼ちゃんをいじめないであげて。彼女、純粋なんだから」
そう言って笑うのは、部屋の隅で「聖絶女子学園・校則全集」を破り捨てて、紙吹雪を作っている高田みお先輩だ。
「さあ、始めましょう。明日の朝、全校生徒の鼻を蹂躙し、沈黙という名の檻をぶっ壊す、最高に不道徳な儀式を!」
三人の先輩に囲まれ、私はされるがままに「仕込み」を手伝わされた。至近距離で見つめ合う瞳、重なる吐息。
この学園で禁じられているのは、咳やくしゃみだけじゃない。誰かを熱く想うこと、誰かと肌を触れ合わせること――そのすべてが、この「裏学園部」の部室代わりのベッドの上で、音を立てて崩れていく。
「蒼ちゃん。明日の朝礼、アタシがあのクソ教師の前で『ちいかわ』って名乗ったら、それが合図だよ」
凛先輩が私の耳たぶを甘噛みするように囁いた。
「そしたらあんたは、一番綺麗な顔で――思いっきり『くしゃみ』して。それが、私たちの愛の証なんだから」
翌朝、午前八時。
体育館には、千人を超える生徒たちが石像のように整列していた。壇上では、生活指導の蛇崩(じゃくずれ)先生が、生徒たちのソックスの乱れを鷹のように監視している。
(……やるんだ。本当に、やっちゃうんだ)
私のポケットには、結衣香から渡された「遠隔散布スイッチ」がある。
静寂が最高潮に達したその時、列の先頭にいた凛先輩が、気だるげに一歩前に出た。
「……先生。質問いいっすか?」
全校生徒の視線が、一人の反逆者に集まる。蛇崩先生の眉間が、怒りでピクリと跳ねた。
「小川! 発言の許可は出していない! 貴様、何様のつもりだ!」
「あー、それ。ウチラの名前っすよね? それー、読み方間違ってんすよ~?」
「なっ何?!そんな馬鹿な……」
「アタシの名前~、小川って書いて、『ちいかわ』って読むんですよ~?先生ってば、ホント時代遅れ~」
体育館の空気が、凍りついた。
次の瞬間、私は震える指でスイッチを押した。
「……蒼ちゃん、起きてるー?」
闇の中から現れたのは、シルクの際どいネグリジェを纏った小川凜先輩だった。校則では「綿一〇〇%の白パジャマ」以外禁止されているはずなのに、彼女の周囲だけは甘い薔薇の香りが漂っている。
「凛、先輩……!? 監視に見つかったら大変なことに……っ」
「しー。大丈夫、結衣香がセンサーのログを書き換えてるから。それより、明日の『仕込み』、手伝ってよ」
凛先輩は私のベッドに滑り込んできた。狭いシングルベッドの上で、先輩のしなやかな肢体と私の体が、いや応なしに密着する。太ももに触れる滑らかな生地の感触に、心臓がうるさいほど跳ねた。
「ほら、これ。特製のコショウパウダー」
彼女が差し出したのは、銀色の小瓶。その中身を、明日の朝礼で使う「芳香剤」に混ぜるのが私の役目らしい。しかし、私の手は震えて、うまく瓶が開けられない。
「あら、蒼さん。手が震えていますね。恐怖ですか? それとも……私たちがこうして密着しているせいですか?」
いつの間にか足元に座っていたのは、和島結衣香だった。彼女は冷ややかな指先で私の足首を掴み、じっと観察するように見上げてくる。
「結衣香、あんまり蒼ちゃんをいじめないであげて。彼女、純粋なんだから」
そう言って笑うのは、部屋の隅で「聖絶女子学園・校則全集」を破り捨てて、紙吹雪を作っている高田みお先輩だ。
「さあ、始めましょう。明日の朝、全校生徒の鼻を蹂躙し、沈黙という名の檻をぶっ壊す、最高に不道徳な儀式を!」
三人の先輩に囲まれ、私はされるがままに「仕込み」を手伝わされた。至近距離で見つめ合う瞳、重なる吐息。
この学園で禁じられているのは、咳やくしゃみだけじゃない。誰かを熱く想うこと、誰かと肌を触れ合わせること――そのすべてが、この「裏学園部」の部室代わりのベッドの上で、音を立てて崩れていく。
「蒼ちゃん。明日の朝礼、アタシがあのクソ教師の前で『ちいかわ』って名乗ったら、それが合図だよ」
凛先輩が私の耳たぶを甘噛みするように囁いた。
「そしたらあんたは、一番綺麗な顔で――思いっきり『くしゃみ』して。それが、私たちの愛の証なんだから」
翌朝、午前八時。
体育館には、千人を超える生徒たちが石像のように整列していた。壇上では、生活指導の蛇崩(じゃくずれ)先生が、生徒たちのソックスの乱れを鷹のように監視している。
(……やるんだ。本当に、やっちゃうんだ)
私のポケットには、結衣香から渡された「遠隔散布スイッチ」がある。
静寂が最高潮に達したその時、列の先頭にいた凛先輩が、気だるげに一歩前に出た。
「……先生。質問いいっすか?」
全校生徒の視線が、一人の反逆者に集まる。蛇崩先生の眉間が、怒りでピクリと跳ねた。
「小川! 発言の許可は出していない! 貴様、何様のつもりだ!」
「あー、それ。ウチラの名前っすよね? それー、読み方間違ってんすよ~?」
「なっ何?!そんな馬鹿な……」
「アタシの名前~、小川って書いて、『ちいかわ』って読むんですよ~?先生ってば、ホント時代遅れ~」
体育館の空気が、凍りついた。
次の瞬間、私は震える指でスイッチを押した。