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第一の警告、投稿頻度が遅い
第二の警告、悪人が味方サイド
第三の警告、いわゆるバトル物であり異世界無双物ではない
第四の警告、完全な勧善懲悪ではない
第五の警告、初投稿なので違和感あり
第六の警告、描写や解説が雑

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世界不思議(ワールドワンダー)

#43

第四十三話 愛ある女は己を隠す その1

カリュデウス王国 ヒサメフ
ワンダーとデッドの家に一人の客人が来た。
コンコン
「は〜い…あれ、リング?」
その名をリング・サイクと言う。

「どうしたリング、改まって」
「…」
デッドとリングはテーブルに向かい合って座っている。
なおワンダーはリングから一旦出ていってと言われて別の部屋追い出された。
「どーせ僕は除け者だよ…」
ワンダーはそう小声で愚痴りながらドアの前で聞き耳を立てていた。
「…デッド、はっきり言うわ」
「おう、なんだ?」
「…お願い、あなた達の仲間に入れて」
「「…」」
唐突なリングのお願いにワンダーとデッドは黙り込んだ。
「…実は…」
リングは事情を話し始めた。

「どうやって私が今まで食ってきたと思う?」
「いや…普通にお前は魔物退治屋じゃないのか?」
「私は魔物が好きなのよ?」
「ああ、そうだったな…」
「だから私は魔物退治屋と偽って依頼を受けて、魔物を保護したり安全な所へ逃してたの、でも…」
「何かあったのか?」
「…ええ、先日、まあ…」
「…ははあ、バレたんだな」
「…ええ」
リングはどこか力無く頷いた。
「うーん…裁判沙汰にはなったのか?」
「…」
「…なったとは行かなくても、なりそうのか」
「…ええ」
デッドの目にはリングが非常に弱々しく見えた。
「……魔物を退治します詐欺を繰り返してきて、それで食い繋いでいた所をバレて……リング、これは普通にムショ行きもありえるぞ」
「…でも」
「でもじゃない、詳しい事はわからないがそれに関してはお前の自業自得だろ?少なくともトリオにはできない」
「………」
リングは絶望と不満が入り混じった様な顔をしている。
それでも人相はいつもとあまり変わりはしないのだが。
「………はあ…」
デッドが呆れたようにため息を吐く。
「…あのなリング、過去の事引きずってちゃ先に進めないってのはこの世の摂理なんだ、厳しいこと言うがそれは変えられない、にも関わらずお前は過去を引きずる事を選んだ、そして罪を犯した、罪を犯したら償う、当たり前の事だろ」
「…」
「………人を騙しておいてそれがバレたら反省もできないなんてのは論外だ、今回の件については諦めろ、で、やり直したらいいじゃねえか」
「………」
「…厳しいこと言う様だが、お前のためだ」
「………わかったわよ、わかったわ」
リングはそう言うと席を立ち、玄関を開けて出ていった。
「………ワンダー、終わったぞ」
「……すごい内容だったね」
「なんだ、聞いてたのか、まあ、あいつの事だからいつかはやらかすんじゃないかとは思っていたんだがな…」



一週間後
コンコン
「は〜い…え?」
ワンダーはノックされた玄関を開けた。
そこにはまたリングがいた。

「リ、リング……どうしたんだ?」
「デッド、実はね」
リングはデッドに話をし始めた。
ワンダーはまた除け者だ。



先日 カリュデウス王国地方裁判所 ヒサメフ支部
リングが裁判所に入ろうと階段を上がっていると、とある青年に呼び止められた。
「すまない、君、リング・サイクという魔物退治屋かい?」
「…私?そうだけど…」
「ああ、君か、連続的詐欺で訴えられたんだよね?」
「…何か用なの」
「喜んでくれ、それについてはなんとかなりそうだ」
「…え?」

リングは青年に連れられ、裁判所の受付の席で話を聞くことになった。
「君は本当に運がいいよ、僕が金を出さなきゃそのまま訴訟は取り下げされなかったんだから」
「………え?え?」
リングは軽く混乱する。
「僕が被害者の方達にわざわざそれぞれが騙し取られた金額を一から二倍にして返したんだから」
「…は?」
「まあ、つまり、僕は君の恩人ってわけ」
「………あなた、何者?」
「………僕はこういう者さ」
青年はとある紙を出してリングに渡した。
「………は?」
リングはその紙に書かれている内容を見て絶句した。

端的に言うとその紙は身分証明書で、青年は貴族だった。
「これで僕がただ物ではないって事、わかった?」
「…何が、言いたいの」
「…ふふ」
その青年、エオン・デロ・フォーリュドはリングに対してこの様な要求を突きつけた。

「……罪を消してもらった恩返しとして、僕の兄を消せ」



「なるほど、そのエオン様ってのはお前の罪を消す代わりにお前を即席の暗殺者に仕立て上げったって訳か」
「…まあ、そう言うことになるわ」
「……なあ、断れないのか?」
「…それについてなんだけど、実は…」

「……私、暗殺者なんかじゃないし…」
「断るの?まだまだ君に騙された被害者の人達はいるんだけどなあ、もちろんその人達はまだ訴訟を起こしてないし、中には結構力を持った人もいるんだよ、僕と同じ様に、は言い過ぎかもだけど」

「…って言われて」
「…そうか、一度取り下げた訴訟は使えないが、まだ訴訟すらしてない人は大勢いるってなると話は変わるな、で、その中に大物も潜んでると…」
「…そうなの」
「つまり既にお前を訴訟して、そのエオン様に金を貰って取り下げた人はその中の極一部か……こりゃ、騎士団がお前の悪事をエオン様に掴まれるより先に全て洗え出せなかったのが痛かったな」
「…そもそも私、フォーリュド家なんて貴族は聞いたことないわ」
「………いや、確か…」
「デッド、知ってるの?」
「…そうだ、思い出した、フォーリュド家と言えば、最近ナーシラン王国の名門貴族達との貿易で成り上がってきた新興貴族だ」
「貿易?新興?」
「ああ、なんつーかあまりにもその貿易による利益が大きいから王家も過度な交流と密貿易及び王家非公認の対外活動の禁止、それと貿易収入の4割を王家に捧げるっていう条件付きで見逃してるらしいぞ、その結果力をつけてきたらしい」
「……治めている領地はどこら辺なの?」
「確か、カルガ地方だった」
「カルガ…ナーシランに近いわね」
「…で、そんな大物貴族から暗殺を命じられたと」
「どうしましょう」
「…リング、腹を括って断れ、殺人の方が詐欺よりも罪が重い、仮に言う通りにしたらそれこそ後戻りができないぞ」
「…わかったわ」
リングはそう答え、出ていった。
「…なんか、素直だったね」
代わりにワンダーが部屋に入ってきた。
「…ああ、ちゃんとこれ以上人の道を外れないでくれるといいんだが…」



後日
ワンダーとデッドはカリュデウス王国とナーシラン王国の国境沿いの街に来ていた。
「ここかな?依頼人の家っていうのは」
「…だな、ここで合ってる」
デッドは紙に書いてある住所を見てそう言う。
二人は街一番の大きさを誇る屋敷の前にいた。

応接室に通された二人は、二人に依頼をした屋敷の主である初老の男性から今回の依頼についての説明を受けていた。
「今まで私はこの地方で魔物退治屋を営んでいる人達に依頼をしていたのですが、誰も奴を倒せないのです…」
「奴って、何ですか?」
デッドがそう質問する。
「………グリフォンです」
「グリフォン…?」
「グリフォンって、確か色んな動物の部位が集合したあのキメラ的魔物ですよね?」
「はい、あまりの凶暴さ強靭さ俊敏さにこの街はおろか他の街や村の騎士団や魔物退治屋も歯が立たないのです…」
男性はほとほと困り果てている顔をした。
「なるほど…ワンダー、こりゃ、大仕事だ」
「だね、そう言えば、グリフォンはどれくらいの頻度で出るんですか?」
「数が月に1、2回くらいの頻度で、それを元に前の出現から計算して恐らくもう時期出るだろうと私どもは見立を立てたのです、ですのであなた方には格別のもてなしをいたします、ですのでどうか、数日間この街で…」
「「もちろんです」」



翌日、二人が専用の部屋で朝を迎えた時だった。
ドンドンドンッ!!!
「は〜い」
ワンダーが寝ぼけたままノックされた扉を開ける。
「何ですかあ…?」
「出ましたッ!二人とも出ましたッ!グリフォンですッ!」



知らせを受けた二人はすぐに現場に急行した。
そこには既に民家を半壊させているグリフォンがいた。
「住人はもう逃げた様だな…」
「待って!まだ誰かいるよ!」
ワンダーが瓦礫に指を指す。
そこには瓦礫に足を埋められている女の子がいた。
「マズい、ワンダー、お前はグリフォンの相手をしてくれ、その間に俺はあの子をッ…」
デッドはその言葉を中断した。
何故ならその瓦礫の所で凄まじい事が起きたからだ。

グリフォンが動けない女の子の頭上に前足を置き、その鋭利な爪で首元を撫でていた。

「…なんだ、あの仕草は…まるで人質を取っているような…」
「知能があるタイプの魔物…?」
「…そもそもあいつ、俺らを見るなり敵として認識した上で…」
事実、二人とグリフォンの間にはまだまだ距離がある。
その上で二人を視認し敵と認識したのなら、このグリフォンは魔物にしてはずば抜けた視力、知性があると言えよう。
「フウウウゥ………」
グリフォンは唸りながら女の子を埋めている瓦礫を後ろ足で除けて、女の子の服の襟を口で掴み持ち上げた。
「何をする気だ…」
このグリフォンの行動に痺れを切らしたデッドはいよいよ距離を詰めていく。
ワンダーもそれに倣って羽を展開し。空中から距離を詰めていく。

「…フゥウッ!」
グリフォンが突如駆け出したのはその時だった。
しかしワンダーは空を飛び、デッドは超人的な身体能力でそれを追いかける。
バッ!
そしてすぐにデッドがグリフォンに飛び乗り、馬乗りになる。
ワンダーはその斜め後ろ(つまり空中)でデッドとグリフォンの後をついていく。
ドゴオッ!
デッドはグリフォンの脳天にパンチをお見舞いする。
「ガアアッ!!」
グリフォンはそれに耐えられず、女の子を地面に投げ捨てた。
デッドはグリフォンの背中から飛び降り、地面に落ちた女の子の元に降り立った。
ブォンッ!
そして次に空中からワンダーがグリフォンに向けてスラッシュを放つ。
ズバッ!
スラッシュはグリフォンの頭とそれ以外を綺麗に分けた。
ドタァ……
グリフォンの遺体は地面に打ち付けられた。
「大丈夫か?」
デッドは女の子を抱き抱える。
「なんか、呆気なかったね」
「ああ、こいつはこの子を人質に取りながら俺らから逃走しようとしたんだろう」
「…」
デッドの腕の中で女の子は怯えている。
「っと、いけねえ、ワンダー、帰るぞ」
「うん」



依頼を果たした二人は報酬を受け取り、帰路についていた。
二人は馬車に揺られている。
しばらくすると馬車は停車し、外で足音が聞こえる。
(誰か乗ってくるな)
デッドがそう思ってると、そこには驚くべき人物達が乗ってきた。
((…え?))
二人は固まった。

リング・サイクが一人の青年と一緒に乗ってきたからだ。

「!」
リングも二人の事を見てハッとした。
しかし、すぐに被っているフードを深く直した。
(隣の青年は…)
ワンダーとデッドは青年の顔を見て、思い出した。
今朝、依頼人の屋敷で二人が見たこの地域の新聞にはこの青年らしき人物絵が載っていた。
その記事には、エオン・デロ・フォーリュドの名が書かれていた。
つまり、こも青年はエオン・デロ・フォーリュドその人という事になる。
「…あの!」
ワンダーは意を決して青年に話しかけた。
「ん?」
「もしかしてエオン・デロ・フォーリュド様ですか?」
「ああ、そうだよ、君は?」
「ワンダーと言います、魔物退治の依頼でここに来たのですが、まさかあのフォーリュド家の跡取りにお会いできるとは…」
「跡取り…」
その単語にエオンは顔をしかめた。
「…いや、何でもないよ、でも、おかしいよね、貴族とあろうものが、護衛も付けずに外出なんて」
「いや…」

ワンダーはエオンと幾らか言葉を交わした後、デッドに目配せした。
最早二人とも、リングがエオンの暗殺依頼を受け入れたとしか思えなかったのだ。

しばらくして…
「リング、降りるよ」
エオンはリングを連れて馬車を降りていった。
「おい、ワンダー」
「うん」
二人も遅れて降りた。

二人はリングとエオンの後をついて行く。
「リングの奴、まさかマジで暗殺を…」
「止めないとだね…」

二人はリングとエオンを尾行していると、とある森についた。
「リング、あの人だよ」
「…」
エオンは遠くで木の上で寝ている青年を指差す。
リングは鎌を構える。
「…殺ったら、本当に私の罪をチャラにしてくれるのね?」
「もちろんだよ」
その会話をワンダーとデッドは木の裏で聞く。
「ワンダー、これは不味い、やってくれ」
「うん」
バッ!
ワンダーは木の裏から飛び出し…
ズバッ!
サンダースラッシュを放ち、エオンを気絶させた。
「えっ」
リングが驚いている隙に、デッドがリングの真ん前に向かってジャンプし、降り立った。
そしてリングの額をデコピンし、気絶させた。
「いくぞ」
デッドはリングをおんぶし、ワンダーと共にその場を後にした。



「リング」
デッドは圧を乗せてその言葉を放った。
デッドとリングとワンダーは今、馬車の中にいる。
「…ごめんなさい」
「謝ってほしいわけじゃないんだ、俺たちが偶然鉢合わせしなければ、お前は後戻りできなくなっていたんだ」
デッドは真面目にそう言い放つ。
「…」
リングは何も言えない。
「…リング、自分がした事を受け入れろ、そしてそれをバネにしろ、その方が逃げるよりも何倍も前進的だ」
「…」



翌日
「…デッド、やっぱりどこにもないよ」
「そうか…」
ワンダーとデッドは自宅で魔物専門の図鑑を読み漁っていた。
昨日の異常に高知能なグリフォンについて調べていたのだ。
しかし、グリフォンには実は馬鹿でかい脳みそがありますなんて文言はどこにも載っていなかった。
「…何者かが手を加えたとか、かな?」
「よせよ、不吉だ…」

場所変わって、リングの家
「…」
リングは自分の鎌を磨きながら、デッドの言葉を頭の中で回転させる。
「…」
鎌の持つ手が震えていた。
リングははっきりいって、自分は何て救いようのない女なのだろうと自覚してはいたのだ。
しかし、未だ自分が犯した罪に直視できなかった。
「…」
いつの間にか、鎌を磨く手が止まっていた。
コンコン
そんな時、ノックが響いた。
リングは玄関の扉を開ける。

そこに居たのは…

一方、デッドは国立魔物研究所を訪れていた。
そこで例のグルフォンについて、魔物退治屋を営む上で縁ができた研究者と話をしていた。
「うーん……知性がある魔物の出没は時々確認されていますが、グリフォンがそんな高度な知識を持っていると思わざるを得ない様な行動を…」
「…やはり、人為的に手を加えられた、とか?」
「………そこまで来るとそれは私達の専門外ですが、だとすれば、その人は魔物に対して相当知見を持っていると言えますね、まあ一回、そのグリフォンが現れた一帯を洗ったら良いかと」
「……よし、決めた、俺、昨日の依頼人に手紙を送ります」

こうしてこの後デッドはグリフォン退治を依頼した男性宛に手紙を書き、それを送った。



後日
ワンダーは市場で買い物をしていた。
その時…
「…あれ?リング?」
遠目にリングを目撃した。
しかし、リングはすぐに人混みに紛れた。
ワンダーはその後を追う。

続く
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2025/09/30 22:57

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