閲覧前に必ずご確認ください

第一の警告、投稿頻度が遅い
第二の警告、悪人が味方サイド
第三の警告、いわゆるバトル物であり異世界無双物ではない
第四の警告、完全な勧善懲悪ではない
第五の警告、初投稿なので違和感あり
第六の警告、描写や解説が雑

文字サイズ変更

世界不思議(ワールドワンダー)

#36

第三十六話 決戦 前編

これまでのあらすじ
イウセ王国での襲撃を始め、数々の親帝派組織の攻撃を掻い潜ってきたワンダー達。
しかしワンダーとデッドはバルト海でモーターボートを沈められ、悟は数人の黒服と共に青桐組ロシア支部に避難しなければならない程追い詰められた。
しかし組織は容赦なく悟を追い詰めにロシアへ向かう。
そして、ワンダーとデッドはバルト海のとある島でとある物を見つける…

ワンダーとデッドは命からがらバルト海の無人島に漂着する事ができていた。
しかしその頃にはもう二人はボロボロであった。
ワンダーは空を飛んでいたのでまだしも、デッドは悲惨である。
「ぜぇ…はあ…ぜえー…は、早く休もうぜ…」
「そ、そうだね…」



森の中、一休みした二人は無人島を突き進んでいく。
「…なんとかして、この島から青桐組ロシア支部にいけるかな…」
「無理だろ…建物はおろか人すら見かけないぞ」
二人がそう話していると、ワンダーが木の下にとある機械を見つけた。
「…ん?デッド、あれなんだろう?」
「本当だ、なにかあるな」
二人はその機械に近づいた。
外見は一見普通のパソコンだが、そのパソコンの土台となっている下の機械はさながら小さくなったスーパーコンピューターの様な形をしていた。
恐らく、リンクしているのだろう。
試しにワンダーはパソコンの電源を入れた、すると…
「「…」」
二人は冷や汗を流した。

ズズズ…
近くの地面の土が盛り上がり、崩れて中から巨大なミサイル発射台が現れたのだ。

電源が入れられたパソコンの画面には、エストニアの首都タリン郊外の地点にマークが入っている画像が映っていた。

二人は驚きながらも状況を分析した。
「…まさか、この画面はミサイルの着弾地点?」
「…だろうな…待てよ、ワンダー、こいつを利用すれば…」
デッドはワンダーに何か耳打ちをする。
「…デッド、本気でやるの?」
「でも島から脱出し、なおかつ一刻も早く悟と再開するならこの方がいいだろ?」
「…わかった、やってみよう」
ワンダーとデッドは、ある作戦に出る。

ワンダーがパソコンを操作し、ミサイルの着弾地点をフィンランド海のロシア沿岸部に設定する。
するとミサイル発射台が動き、発射台の方角が変わった。
ワンダーとデッドは急いでミサイルの上に乗り、落ちない様に姿勢を低くする。
そして、パソコンの画面に映っている残り発射時間が0になった。








数分後
バシャアアアアアアン…
二人をロシアの地に送り届けたミサイルが海に盛大に落ちた。
ワンダーはミサイルが海に落ちそうになる前に空を飛び、デッドは自慢のジャンプ力でミサイルから飛んだ。
こうして、二人は無事にロシアに着く事が出来た。
「…よし、悟が心配だ、ワンダー、いくぞ」
「うん」

一方、悟と三人の黒服はロシアに入り、モスクワ郊外を目指していた。
ブゥウウウウウウウン…
レンタカーが唸りを上げる。
「坊ちゃん、今度こそ体勢を立て直せますよ」
「そうだね」

そして、そんな悟達を追う車の群れがいた。
そう、アスラ親帝派組織の集団だった。
「よぉ〜しよし、確実に追い込んでいるなぁ」
「長、もう勝ったも同然ですよ」
「はは、よ〜しゃラストスパートだな」
真ん中を走っている車の中では、組織のトップとアジア人の男がそんな会話をしていた。








サンクトペテルブルク郊外のとある建物
『………ミスターミロロフ、タリン着弾予定のミサイルがフィンランド海に発射され落下、恐らく何者かによる操作を受けました』
「…何?」
ミスターミロロフと呼ばれたその老人は、天井のスピーカーから発せられたAIの声に反応した。
「AI、どういう事だ」
『無人島に設置したミサイル発射台が方角を変えフィンランド海にミサイルを発射したのです』
「誰かが無人島に入りそのミサイル発射台を動かしたのか」
『調べます……………調査完了、サイバー攻撃を受けた痕跡はありません』
「人力だと…?不味いな、一発目はちゃんと青桐組フィンランド支部に着弾したのに、三発目のリトアニア行きのミサイルは?」
『………それはまだ操作を受けてません』
「むう…妙だな…何故エストニア行きだけが?」

「…ワンダー、悟とは青桐組ロシア支部で落ち合う事になった」
悟との通話を終えたデッドはワンダーにそう言う。
「オッケー」
この時、二人は思っていなかった。

この直後、大幅に予定が狂うとは。



悟は逃げていた。
アスラ親帝派組織から。
それも、車を自分で運転しながら。
彼は今、青桐組ロシア支部とは全然違う方向にいっている。

話は少し前に遡る。
悟達が順調にロシア支部を目指していると、後ろから車の大群が現れた。
親帝派だ。
運転していた黒服はそのままレンタカーのスピードを上げていたが、その時不思議な事が起こった。

突如後方から機関銃が放たれてきたのである。
そして、レンタカーが使い物にならなくなった。

その時悟と数人の黒服は、驚いた。
ファンタジアの組織が、地球の武器を使うのかと。
しかし、その謎は次の瞬間に解かれた。

車の大群から、アジア人の男達が降りてきたのだ。

ファンタジアの組織に、地球人が所属している。
ならば、地球の武器や道具を持っていても不思議ではないはずだ。

レンタカーを破壊され、人数差は圧倒的。
万事休すかと思われたその時!

また別の方向から車の大群が来た。
悟達が事前に世話になると連絡を入れた、ロシア支部からの援軍が来たのだ。

援軍として投入されてきた青桐組のロシア人組員達は車から降りると、早速親帝派組織の構成員達に短機関銃と手榴弾の雨を浴びせた。
中にはバットで突撃していく組員もいた。
周囲に轟音が巻き起こった。
安全のため一旦悟と数人の黒服はレンタカーから出た。
しかし親帝派の中にはそんな攻撃を不死身の如く耐えきり組員達に襲い掛かる者もいた。
飛竜族は槍で突撃し、人間の構成員は弓矢で攻撃してきた。
アジア人の男達は機関銃で攻撃してきた。
そしてなんとロシア支部の援軍を取り囲むようにまた別の方向から親帝派の構成員達が来た。
その構成員達も銃弾の雨などを耐えて攻撃を仕掛けてきた。
最早一種の化け物集団である。
そんな集団が相手であるから青桐組サイドは熾烈な戦いを強いられていた。
そして段々と追い詰められてゆく。
そんな大規模戦闘が行われていたその時!

悟がアジア人の男達の中の数人が乗っていた車に乗り込み、その場から逃走した!

その場にいた全員が驚愕した。
もちろん親帝派組織のトップは多数の構成員とアジア人を連れて追いかけて行った。
しかし残りの構成員達は青桐組の攻撃に足を取られ、悟を追跡できなかった。
しかし悟は、大多数の敵相手に過酷なカーチェイスを繰り広げる羽目になったのである。

そして、今に至る。
(…なんとか撒かないと…)
悟は一層車のスピードを出している。
しかし親帝派組織も負けていない。
そうこうしているうちに街が見えてきた。
車の大群はそこに突っ込んだ。
街のあちらこちらから悲鳴が聞こえる。
そんなのお構いなしに車の大群は街を疾走していく。
悟はカーブなどを利用して撒こうとする。
やがて、ロシア警察のパトカーがやってきた。
その混乱に乗じて悟は割と距離を稼ぐ事ができ、また遠くへと逃亡していった。



悟はサンクトペテルブルク郊外にいた。
そして、一つの巨大な建物が目に入った。
これ以上はカーチェイスは厳しい。
そう判断した悟は車を乗り捨て、走ってその建物に向かった。
合金ナイフで壁に穴を開け、内部に侵入していった。
やがて廊下にでて、慎重に行動する。
そして、調理室に辿り着いた。
悟はそこで物陰に隠れ、デッドに電話をした。

「…と、言う事だから会いにきてほしいな」
「そうか、わかった」
悟と通話を終えたデッドはワンダーに全てを話した。
「そんな…親帝派がまさか逆に攻勢に出てくるなんて、すぐ会いに行こうよ」
「ああ、そうだな」
二人は悟が隠れている建物目指して急いで行った。

一方、青桐組と親帝派の残党達が戦っていた場所では…
バコッ!
黒服の一人が構成員の一人を殴り飛ばし、馬乗りになった。
周りは大勢の黒服と構成員が倒れている。
いくら青桐組と言えど、化け物じみた肉体を持つ集団を相手取るのは厳しかったようだ。
「テメェらは一体なんなんだ!?」
その黒服は構成員の襟首を掴む。
「う…知っての通り、あのガキを殺すんだよッ」
「坊ちゃんのことだな、だが、なんでテメェらは銃弾を何発も受けても生きているんだ?」
「…魔術だよ」
「なに?」
「…不死身の魔術さ、が、少し不良品だったらしい、一度死ぬ様な攻撃を受けても否が応でも生きてしまう、かといって苦痛が完全に無くなるわけじゃないし自然回復するわけでもない、限界が来るまで痛みが続く最悪の出来損ない魔術だよ」
「なんだよ、それ…」
「…この地球のアジアっていう地方から来た人達が研究してくれたんだ、でも、所詮は地球人が作った似非魔術、結果が俺らの様なゾンビ戦闘員さ」
「…そのアジア人の野郎どもの名は?」
「…中国のホアンさんだ、後ベトナムやフィリピンの人とかもいたなぁ…」
「…お前、結構ペラペラ喋るな…」
「は…はは…ラグナでとある傭兵を差し向けたらそいつが捕まって、そこからボロが出始めたのさ…も、もう後には戻れねぇ、帝国にある本部はもう騎士団によって捜査されてるだろうし、だから俺達はガキ殺すために地球に来たのさ…」
「かなり重い刑罰になるぞ」
「そ、そう、さ……あはは……助けてくれぇッ!!」
その構成員は突然黒服に泣きついた。
「かっ、金がねえから組織に入ったんだ!捕まりたくねえッ!!全部長のせいだッ!あいつがこんな組織作らなけりゃッ!!俺らみんなこの国の司法のお世話だッ!はははッ!あはははははッ!ははは…」
構成員の嘆きが、辺りにこだました…。



ワンダーとデッドは悟が隠れている建物に向かった。
「この建物から信号が発信されてる、いくぞ」
「うん」

ピンポーン
ガチャ
中から使用人と見られる女性が出てきた。
「…はい、どちら様でしょうか」
「突然申し訳ありません、あの、俺らファンタジアで魔物退治屋をやっている者なんですが…日本人の子供が一人、この家に入ってしまっていると思うんですが…」
「…えーと、今この家の主に聞いてきます」
女性は中に入っていった。
「…全力で謝ろうぜ」
「うん」
二人は覚悟を決めた。

しばらくして、建物の主と見られる老人が出てきた。
「どうぞ、中へ」

二人は応接室へ案内された。
「本当に申し訳ありません、俺達が預かっている子が…」
「すみません」
デッドに続きワンダーも頭を下げた。
「いやあ、あの子はあなた達の連れでしたか、では…」
老人は椅子の腕置きにあるボタンを押した。

次の瞬間、ワンダーとデッドが座っていた椅子が電流まみれになり、二人を活動不能にした。







「…うん?」
ワンダーは目を覚ますと、辺り一面アスファルトの部屋で椅子に拘束されていた。
両隣りには自分と同じ様に拘束されているデッドと悟がいた。
その他には、天井のスピーカーと扉以外何もない。
「…うーん…なんだ?」
「う…」
デッドと悟も目を覚ました。
『お三方、突然こんな事をして悪いね』
突如スピーカーから聞こえてきた声の主は、あの老人だった。
「あ、あんたは…」
『まず、なんでこんな事をしたのか説明しなければならない』
デッドの言葉を老人が遮る。
『私の名はミロロフ、科学者崩れの老人だ、率直に言おう、その日本人の子供は見てはいけないものを見た』
「さ、悟が?」
ワンダーが困惑する。
「僕、調理室に隠れてたんだけど、その中で二人の男の人が入ってきてスマホをいじってた、そしたら台所が動いてその中から隠し階段が出てきたんだ」
『そう、その子はその中に入っていった』
悟の説明をミロロフが拾う。
「悟、その中で何を見たんだ…?」
「………ミサイル」
「「え?」」
悟の言葉に二人がポカンとする。
「…ミサイルを見たんだ、隠し階段を出した男の人達が手入れしてた」
『そう…その秘密を知られれた以上返すわけにはいかない』
「ちょ、ちょっと待て、なんであんたはミサイルなんか」
デッドが至極真っ当な疑問をミロロフに投げつける。
『お三方は、独ソ戦を知っているか?』
「「「独ソ戦?」」」
独ソ戦とは、第二次大戦中にナチス・ドイツ側の勢力とソ連側勢力との間で行われた戦争を指す。
そんな歴史の一キーワードを、ミロロフは口にした。
『私の父は赤軍の科学者だった、主にミサイルなどの研究や開発をしていたのだ、そして間も無くドイツ軍が南ロシアに進撃してきた、多くの兵士がドイツ軍に立ち向かったが、その頃父は父の事を逆恨みする同僚の陰謀でありもしないミスや罪状を大量にでっちあげられ、科学者の地位を追われて一兵士に成り下がっていた』
「つまり、あんたの父親は独ソ戦に直接…」
『そうだ、父が赴いたのはあのスターリングラードの攻防戦だった、そこで一人のドイツ人兵士と出会った』

そこからのミロロフの話はこうだ。
ミロロフの父はドイツ軍と戦っている最中、一人のドイツ人兵士と出会った。
ミロロフ父は殺そうとしたがその兵士は武器を持っていなかった。
不思議に思ったミロロフ父は兵士に話を聞いた。
すると、その兵士はミロロフ父と同じ様な元ミサイル方面の科学者だった。
彼もまた彼の事を逆恨みする上司によって科学者の地位を追われ、末端の兵士に落ちぶれた。
その上司の陰謀は凄まじく、軍隊内でも酷い扱いを受けていた。
なのでこのスターリングラードに赴いたら、何の抵抗もせずに赤軍兵士に殺されようと思っていた。
そう涙ながらに話す彼を気の毒に思ったミロロフ父は、その兵士にある提案をした。

二人で逃げ出さないか?

兵士は驚愕した。
しかしミロロフ父は兵士を説得し、結局戦場を脱走、二人であてのない旅を続けた。
そんな訳だから独赤両軍は二人を死んだものだと思い込んだ。
二人は行き倒れてる事だろうと思われてた。

しかし、そうは問屋が下さなかった。

1950年代、冷戦真っ只中の時、二人は突如表舞台に姿を表した。
二人は韓国を拠点にし、突如東側に対して脅迫を行った。
そう、二人は西側に亡命してその類まれなる頭脳でミサイル開発をしていたのである。
脅迫の内容は、東側が西側に対して融和的な外交をしなければ突発的ミサイル攻撃を主に東ドイツとソ連に仕掛けるというもの。

これは二人の自分たちが理不尽に転落するのを止めなかった祖国とその祖国に服従する様な諸国、そしてそんな国達を正義と信じる東側各国国民達に対しての復讐だった。

もちろん東側がそんな事を見過ごすはずはなく、二人の元に殺し屋を送り続けた。
しかし二人はその殺し屋達を逆に撃退していった。
何故そんな事ができたかというと、二人は当時の韓国政府に取り込んで保護と生活を約束させてもらっていたからだ。
だから二人は政府の援助を与えられながら東側への脅迫を続けた。

そしてついに、二人は東側に対してミサイル攻撃を仕掛けた。
合計14発のミサイルが東側諸国をターゲットにし、空に飛び上がった。
その内8発がソ連と東ドイツに発射されたものでそれぞれ半々だった。
流石に個人が作ったミサイルというのもあって6発は撃墜されたが、8発は各国に着弾し、死者も出た。
東側はこの事実を必死に隠蔽した。
もし個人のミサイルで国を攻撃されたという事実が露呈したら東側の威厳に関わる。
なので東側諸国は自国もしくはソ連のミサイル実験の失敗という事で自国民を騙し、韓国政府に圧力をかけた。
これ以上は不味いと思ったのか韓国政府は二人を送還しようとした。
しかし既に、二人は極秘にヨーロッパに渡っていた。
ヨーロッパに渡った二人はそれぞれ妻を作り、しばしミサイル開発から離れた。

しかし、人生はそう上手くいくものではなかった。

ただの民間人と化した二人は東側の追手に追われていた。
その事を悟っていた二人はそれぞれ妻と子を残し、どこかに去った。
その二人の子供達の一人がミロロフ、もう一人の名は…

『…へフルスと言った』
「「「!」」」
三人はその名を聞き、まさかと思った。
「へフルスだと…!?」
『なに?あなたはへフルスを知っているのか?』
「知ってるも何も、俺たちはそいつと戦ったんだ」
『何だと…?』
ミロロフは驚いている。
「へフルスはミサイルを作ってたんだ」
ワンダーがそう言う。
『…そうか、やはりか』
「え?やはり?」
ミロロフの言葉にワンダーが首を傾げる。

ミロロフとへフルスは自分達の父と離れてから、自分達の母達と同居する様になった。
父同士が友人であったためお互いの家の関係も緊密だった。
ミロロフとへフルスは良く遊び合い、二人の母達も女手二つで頑張っていた。
しかし、ある日。
へフルスは天井裏で紙を見つけた。

それは、へフルスの父が忘れて残していったミサイルの設計図であった。

その日からへフルスはよくおもちゃのミサイルを作ろうとしていった。
へフルスはミロロフにも一緒にミサイルを作らないかと言ってきた。
当初ミロロフは乗り気ではなかったが、段々とミサイルの魅力に惹かれていった。
趣味はいつしかそのレベルを超え、二人は大学を卒業すると科学者になり、様々な種類のミサイルの研究を続けた。
二人は政府にその腕を買われ、国お抱えの科学者にならないかと提案を受けた。
二人はその提案を受け、社会的地位を飛躍的に高めた。
しかし、へフルスは段々と威力過剰なミサイルを研究する様になっていき、周りと対立もした。
そしてついには、ミサイルに生物兵器を搭載しようとまでしたのである。
国はへフルスを危険と判断し科学の世界から追放した。
そしてへフルスは、もう二度と表舞台には姿を現さなかった。

『…その成れの果てが、あなた達と戦ったへフルスというわけなのか…』
「まさか、へフルスが元は国お抱えの科学者だったなんて…」
ワンダーは複雑な心境になった。
「…でもなんであんたはあんたでこんな事を?」
デッドがミロロフにそう問う。
「…私も、ある時科学者を辞めたのだ」

ミロロフは友人であるへフルスが追放されてからしばらくして、自身も科学者を辞めた。
そして故郷のソ連に戻り、ひっそりと生活を送っていた。
しかしソ連、そしてロシアという存在はミロロフを精神的に参らせた。

アフガニスタン侵攻。
経済を全く蔑ろにした上での崩壊直後の困窮。
ソ連崩壊を軟着陸させたゴルバチョフへのロシアの人々が送る筋違いな恨み。
クリミア併合。
G8からの脱退。
そして、ウクライナ侵攻。

これらの出来事の連続は、ミロロフを狂わせていった。
父を奪った祖国が、世界中から平和を奪っていく。
その事実がミロロフを痛めつけていた。
そしてある日、ミロロフは夢を見た。
辺りは真っ白だ。
しかし目の前には、もう会う事がないはずの自身の父がいた。
夢の中でミロロフ父は言った。

「悪魔を滅ぼせ」

次の日、最早失うものがないミロロフは起きてすぐ決心した。

この腐った国を壊す。

そう決めた時から、ミロロフは密かにミサイル開発を進めていた。
平気で裏社会にも足を伸ばし、立派なテロリストへの階段を登っていった。
目的遂行の為どんな悪事にも手を染めていった。
その結果、やがて莫大な費用と人手と機材を手に入れて、持ち前の頭脳で計画を進めていった。
そして現在、ミロロフは自身が開発したミサイルをフィンランドの青桐組支部に打ち込んでロシアに濡れ衣を着せた。

『…三発目はリトアニアのマフィアのアジトに既に発射した』
「…あんたはロシアの周辺諸国にミサイルを撃ち込みまくり、ロシアの国際的地位を落とさせるつもりだな」
『その通り、民間人を犠牲にするのは気が引けるがな、まあ、後は…

モスクワにミサイルテロを仕掛けるだけだ』

「テ、テロ!?」
ワンダーがそう叫ぶ。
『そうだ、最早二件のミサイル着弾事件はロシアがやったものだと世界中に思われている、後はロシアに直接攻撃を仕掛ければ国としてガタガタになる、恐らく数万人のロシア人が死ぬだろう…』
「や、やめろ!そんな事をしたら、大勢の人間が!!」
ワンダーが必死に叫ぶ。
『人間?侵略戦争を支持し、未だ祖国は大国だと思い込んでいる愚かな連中が?』
しかし、ミロロフには届かない。
『…もう私には何もない、父も、友人も、心も……だから………

モスクワを赤で埋め尽くす』



その時、まだミロロフは気づいていなかった。
「…長、どうやらやっぱりあの建物にいるらしいです、今聞いてきた所アジア人の少年がいると、出てきた使用人らしい人間が言ってました」
「よぉ〜し、最早ここで逃したら死んでも死にきれん、全員出撃だッ!今こそッ!あのアジア人を殺すッ!」

自身のアジトこそが赤で埋め尽くされる事を。

次回、ヨーロッパ&ノイバ大陸旅行編、完結。
ページ選択

2025/05/20 23:32

イチロク
ID:≫ 14ODATaJ5tCFM
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はイチロクさんに帰属します

TOP