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第一の警告、投稿頻度が遅い
第二の警告、悪人が味方サイド
第三の警告、いわゆるバトル物であり異世界無双物ではない
第四の警告、完全な勧善懲悪ではない
第五の警告、初投稿なので違和感あり
第六の警告、描写や解説が雑
「…あのさ」
号外を見ていたワンダーとデッドに、悟が話しかける。
「なんだ?悟」
「前さ、一回でも僕の命が狙われたら僕は帰るって話になったよね」
「「あ」」
二人は、すっかりそれを忘れていた。
「…どうする?悟は帰りたい?」
「うん、もう命狙われるの嫌」
ワンダーの問いに悟は即答した。
「じゃ、じゃあせめて北欧だけでも見て帰ろうぜ」
「それはそうだね、わかった」
デッドの提案にも即答した。
結局、悟はデンマーク、スウェーデン、フィンランドにはいき、ファンタジアには移動しない事になった。
悟の代わりにワンダーとデッドがスマホ越しにファンタジアの国の名所名物を撮影して悟に中継する事になった。
長い時間をかけて、三人はついにデンマークを経由してスウェーデンのストックホルムに着いた。
その頃、一人の少女があるビルの一部屋で男と話していた。
「奴はもうストックホルムに着いただろう、君の目だけが頼りだ」
「…うん、任せて」
どうやら男は依頼人で、少女は殺し屋の様だ。
「いくら銃弾を見切れるとは言え遠距離からの狙撃には打つ手なしだとは思うが…」
「任せて、やるわ」
少女はそう言い、部屋を出ていった。
ストックホルムのホテルについた三人は、どこにいきたいか議論を始めた。
その途中、悟がこう言った。
「僕、ガムラスタンってとこに行きたい」
「ガムラスタン?ちょっと待ってろ、えーとガムラスタンガムラスタン…」
デッドがスマホで検索する。
「…なるほど、そこは17、18世紀ぐらいの世界の雰囲気が楽しめる所だな」
「いいね、僕もいきたくなってきた」
ワンダーもそう言ってきた。
「よし、じゃあまずはガムラスタンを散策しよう」
ガムラスタン
三人はガムラスタンに着き、さっそくぶらぶら歩き始めた。
「やっぱりこういう古い雰囲気もいいな」
「そうだね、ずっと歩いてられる」
ワンダーとデッドがそんな話をしてる時、前方から少女がやってきた。
あの殺し屋の少女だ。
長いバッグの中には狙撃銃一式が入っている。
やがてワンダー達と少女はすれ違った。
その時、少女は驚き振り返った。
(今の人が…ターゲット)
「でな、ワンダー、この近くにとある宮殿があるんだけど…」
少女はデッドのその言葉もしっかり耳に入れた。
(ワンダー、それがあの人の名前…)
少女はスマホを取り出し、何者かに電話をかけた。
「ごめん、予定変更、ターゲットと今すれ違った、ガムラスタンよ、尾行するから車をお願い、場所は…」
ワンダーに、危機が迫ってくる。
ストックホルム宮殿を見終わった三人は、一旦ジープに乗ってガムラスタンを出て行きストックホルム市内のレストランに向かった。
「デッド、どこのレストランにいくの?さっきからレストランらしき建物が見つからないけど」
ワンダーは辺りを見渡している。
「ふふふ、この近くにはな、山の中にポツンと立っているレストランがあるんだ、俺たちはそこにいく」
デッドの運転するジープはやがて山道に入っていった。
そのジープを、少女を乗せた車が遠方から追跡する。
「今、右カーブしてるわ」
少女は運転手にジープの状況を的確に伝える。
「いやあ、カロラの目のお陰でバレずに尾行できるよ、でだ、たぶん、奴らはこの先にあるエンコートってレストランにいくんだろう」
車を運転する中年の男がそう言う。
「そうね、出てきた所を…」
「カロラが殺るわけだな」
カロラと呼ばれている少女の目は、青く、吸い込まれそうな迫力があった。
三人はエンコートという山の中にある小さなスウェーデン料理屋についた。
小さな駐車場にジープを止め、店の中に入る。
カランカラン…
「いらっしゃいませ、旅行ですか?」
一人のおばあさんが出迎えてくれた。
「はい、俺たち三人です」
「では、こちらへ…」
おばあさんはデッド達を屋上の野外食卓に案内した。
「メニューはこちらです、では、ごゆっくり」
おばあさんは3枚のメニューをテーブルに置くと、屋上から出ていった。
「優しそうなおばあさんだったね〜」
「だな、でだ、このレストランは大きさは小さいがメニューはそうじゃない、二人とも開いてみろ」
ワンダーと悟はメニューを開く。
「「おお…」」
そこには、IKEA内のレストランに勝るとも劣らない程の膨大な選択肢が網羅されてあった。
三人は長い思考時間に入った。
「…屋上で食べるのね」
一方、カロラはエンコートから1キロ離れた所でワンダー達の状況をこれまた的確に把握していた。
これもカロラの視力のお陰である。
「…作戦変更」
カロラはそう呟くと狙撃銃一式が入ったバッグを持ち、とある所へいった。
カロラはとある森の中で狙撃銃を組み立てている。
そこからはエンコートの屋上全域が射程範囲内だ。
しかしそこからエンコートまではおよそ2キロもある。
しかしそこからの狙撃もカロラの視力を持ってすると可能なのである。
そうこうしているうちにカロラは一つの狙撃銃を組み立てた。
レミントンM700である。
普通狙撃銃は一度分解して組み立てると微妙にズレが起こる。
しかしカロラの視力の前にはそんなのは起こり得なかった。
カロラはレミントンM700を地面に置き、自身もうつ伏せになりワンダーを探す。
弾丸は旧ソ連製の物であり、2000メートルくらいでも対象を撃ち抜ける。
やがて、カロラはワンダーに照準を合わせた。
一方、ワンダーは注文したスウェーデン料理を堪能していた。
「おいしぃ〜!ほっぺがとろけるよー!」
「おいおい、ワンダーペロリと食べるじゃねえか」
「この店すごいよ、こんな山の中にポツンなんてもったいない!」
(…じゃあね)
カロラの青いその目は、ワンダーの頭部をしっかり捉えていた。
そして、引き金を引いた。
次の瞬間、弾丸は2キロを突っ走りワンダーの頭部にゴールインした。
エンコートの屋上に、薔薇が咲いた。
「っ、あああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」
デッドが叫び、倒れたワンダーの体を駆け寄ろうとするが…
「うっ、さっ、さとるをっ」
ワンダーが発したその言葉に、デッドは我に帰る。
「悟っ!」
デッドは悟に覆い被る。
「どうかしましたっ」
おばあさんがデッドの叫び声を聞きつけ、屋上に来た。
「はっ…」
おばあさんは目の前の光景を見て唖然とする。
頭から血を流すワンダー、悟を守るデッド。
おばあさんは瞬時にスマホを取り出して、救急に連絡を取る。
しかし…
バンッ!
また、ワンダーの頭に薔薇が咲いた。
「あああああああッ!!!!」
デッドは発狂しながらワンダーと悟を連れて、屋上を出ていった。
「皆さんっ」
おばあさんもその後を追った。
「…うん?」
ワンダーは病院のベッドで目を覚ました。
横の椅子にはデッドが座っている。
「た、確か僕…」
「…そうだ、狙撃だ」
「やっぱり…」
「…これを見てくれ」
デッドはスマホでワンダーにあるサイトを見せた。
「これは…?」
「非合法サイト、『ユーロ・アジア』だ、このサイトでは麻薬取引や殺人依頼などを取り扱ってるんだが…この少女を見てくれ」
デッドは一枚の少女の写真を見せた。
「この子は…?」
「この子はカロラ、子供の殺し屋だ」
「え…子供…?」
「ああ、スウェーデンでは移民による犯罪が問題になってるんだが、おそらくこの子はそれに巻き込まれて殺し屋になった、で、このサイトで依頼を募る様になった」
「僕を狙うのは…」
「恐らく、青桐組の仲間だと見られてるんだろうな、でだ、問題はこの子の視力だ」
カロラを紹介しているページの説明文には、こう書かれている。
『異常に視力が発達しており、キロ以上の物も見分けれる』
「…キロ以上…」
「嘘見たいだろ?キロだぜ?キロ、その視力で狙撃をしているらしい」
「そんな…ハッ!」
バッ!
ワンダーはデッドからスマホを奪い、サイト内で何かを検索する。
「お、おい」
「…」
ポトッ
しばらくして、ワンダーはスマホを布団の上に落とした。
「な、何を見たんだ」
デッドはスマホの画面を見る。
そのページには、恐らく裏社会の何者かが監視カメラで撮ったワンダーの写真が貼られていた。
裏社会の重要人物として。
説明文には主にこう書かれている。
『未だ名称不明』
『殺し屋ノースを撃退した男』
『日本の青桐組の仲間』
「………」
デッドは絶句した。
自分の相棒がこんな形で裏社会に広まっている。
その事実は到底受け入れ難い物だった。
「…どうしよう」
ワンダーはそう呟いた。
酷く気落ちしている様だった。
デッドは、一つ声を掛けた。
「…とにかく、今は寝ろ、大丈夫、何とかなる」
そしてデッドは、部屋を出ていった。
「…あ、おばあさん」
「…ああ、お客様、お詫びを言いに来ました、この度は本当に…」
デッドはエンコートのおばあさんと廊下で鉢合わせした。
「いえ、いいんです、逆にすいません、俺たちのせいで店を…」
「話したい事があるんです」
おばあさんは、そう言った。
「…え?」
デッドは病院のベンチで、おばあさんの話を聞く。
「…あなたのお連れ様を狙ったのは、私の子供です」
「…!?」
デッドは驚愕した。
「…え?子供?」
「はい、カロラと言う名前です、あの弾丸を見てわかりました、あの子はソ連の弾丸を使います…」
おばあさんは話を続けた。
「前の都市でのレストランの経営が上手くいかず、時々あの子に助けてもらってました、でもそれが負担になったんでしょう、あの子は段々笑わなくなっていきました、私がもっと早く気づいてあげてれば………ある日、私は旦那交通事故で失い、カロラは完全に狂いました、ある日の深夜、私に何も言わず、突然家を飛び出しました、その日から行方不明になりましたが…」
「…それで?」
「…ある日、私が山の中にレストランを移し、段々事業が安定してきた頃…見たんです、森の中であの子がソ連製の大きい弾丸と狙撃銃を黒人の男から貰っていたのを、私はその時店の飾り付けの為小枝を集めていたんですが、そんなの全部忘れてしまって、カロラに駆け寄りました、でも男に止められ、こう言われました
『このガキは俺が拾ったんだ』
…それを聞いて、この子は移民の餌食になったんだなと、その日から、カロラの事は忘れる様にしました、でも今でも夢に、あのソ連の弾丸と狙撃銃が夢に…」
おばあさんは涙を流し始めた。
「落ち着いてください、俺がなんとかします」
「え?」
「あ!」
同情していたデッドは口を滑らせた。
(やっちまったあ…)
「…いえ、私がやります」
「え???」
すると、おばあさんが意外な事を言った。
「お客様を怪我させてタダで済むはずがありません、あの子は私が取り戻します」
「ま、待ってください」
デッドが興奮するおばあさんを制止する。
「わかりました、ワンダーの怪我が治ったら俺たちでカロラを取り戻します、どうか安心して」
「あ、ありがとうございます…!」
もうここまで来たらデッドに後悔はなかった。
(なんとかなる、ワンダーと一緒ならな)
デッドは、ワンダーを信じ切る事にした。
翌日、脅威の自然回復でワンダーは完全に復活し、退院した。
そして、デッドからカロラ救出の依頼をされ…
「…わかった、おばあさんの為にも、あの子を救おう!」
快諾した。
「昨日のユーロ・アジアの件はショックだったけど、もう気にしないよ、今まで何度も命を狙われ続けてきたけど、なんとかなってきたんだ!大丈夫だよ!エンコートのおばあさんを救ってあげよう!」
「ワンダー…!やっぱりお前は最高だぜ!」
デッドもそう言い、さっそく二人は悟に会いにいった。
二人は青桐組スウェーデン支部で保護されている悟に顔を合わせにいき、今日は当分旅行はお預けだと伝えた。
それを伝えた二人は早速カロラ救出作戦の実行に移った。
まずワンダーはスマホでユーロ・アジアに入り、カロラを紹介しているページのコメント欄で偽の情報を流す。
『この殺し屋ノースを撃退したオレンジ髪の男、このカロラに狙撃されたらしいけどもう回復したらしいぞ』
続けてデッドがその情報に対してこう返信する。
『そいつ、青桐組スウェーデン支部の周辺を彷徨いてたぞ』
デッドはその返信をして、青桐組スウェーデン支部を歩き回っているワンダーを撮り、それをわざと載せた。
とあるビル
数時間後、ユーロ・アジアで自分のページを開いたカロラはこのワンダーとデッドの自作自演にハマった。
(嘘…生きていたの?)
カロラは焦って狙撃銃一式をバッグに詰めて、ビルを出た。
そして青桐組スウェーデン支部に直行した。
青桐組スウェーデン支部に着いたカロラは、ワンダーが支部の中で窓を開けてベッドで寝ているのを発見した。
カロラは一旦支部を離れ、とある建物の屋上でレミントンM700を設置し、そこからワンダーを狙う。
やがて狙いをつけたカロラは、引き金を引いた。
寝ていたワンダーの頭に穴が空いたが…
なんと、そこには血が出なかった。
「え…?」
流石にカロラもこれは予想外だった。
その時だった。
彼女のレミントンのスコープに本物のワンダーが映ったのは。
ワンダーは上着を着ていない。
そう、寝ていたワンダーは人形だった。
穴が空いた方向からカロラの居場所を察知したワンダーは飛んで猛スピードでカロラに一直線に迫る。
カロラはもう一度引き金を引くが、ワンダーは弾く。
そして、ワンダーはサンダーディスードでカロラを斬った。
…バタッ
カロラは、気絶した。
「…うん?」
カロラは、とある建物の一室のベッドで目を覚ました。
カチャ
部屋に、誰かが入ってきた。
エンコートのおばあさんだ。
「…お母さん…?」
「カロラ…」
母と娘は、対面した。
「…ごめんなさい」
「え?」
おばあさんはすぐさま謝った。
「あなたを苦しませた事、それに気づけなかった事、まず、謝るわ、でも…」
おばあさんは続ける。
「…やっぱり、あなたはいい子なのよ」
「…」
カロラは言葉が出ない。
「どれだけ人の道を外そうが…やっぱりあなたは私の娘、それは変えられないわ」
「あ…」
「…あなたが狙撃したお客様は無事よ、何より、あなたとまた会えて嬉しい、どれだけ長い時間苦しんでも…やっぱり、あなたは私の娘よ」
「お母さん…」
カロラはおばあさんに抱きついた。
「…ごめん、お母さん、心配させた」
「いいのよ、やっぱりあなたは自慢の娘だわ」
おばあさんとカロラは長い時間抱き合っていた。
「…終わったな」
「うん」
それをドア越しで聞いていたワンダーとデッドは、エンコートを後にした。
「…ワンダー、『ユーロ・アジア』でお前が晒されてた件についてだが…」
「大丈夫だよ」
「…え?」
「あんなサイトで晒されても、なんとかなるよ!殺し屋達、かかってこいってもんだよ!」
「ワンダー…」
「デッドと一緒なら、これまでも何とかなったから、これからも何とかなるよ!もうあんなので落ち込むのはやめるよ!さあ、悟を迎えにいこう!」
ワンダーはそう言い切った。
「…ワンダー」
「ん、なあに?デッド」
「…お前も、俺の自慢だぜ!」
「…ふふっ!」
ゲストキャラ解説
カロラ
移民の犯罪に巻き込まれ殺し屋になったスウェーデン少女。異常に高い視力を持っており、ワンダーの頭に二回命中させている。レミントンM700が武器。
おばあさん
レストラン「エンコート」の店長。カロラの母親である。
号外を見ていたワンダーとデッドに、悟が話しかける。
「なんだ?悟」
「前さ、一回でも僕の命が狙われたら僕は帰るって話になったよね」
「「あ」」
二人は、すっかりそれを忘れていた。
「…どうする?悟は帰りたい?」
「うん、もう命狙われるの嫌」
ワンダーの問いに悟は即答した。
「じゃ、じゃあせめて北欧だけでも見て帰ろうぜ」
「それはそうだね、わかった」
デッドの提案にも即答した。
結局、悟はデンマーク、スウェーデン、フィンランドにはいき、ファンタジアには移動しない事になった。
悟の代わりにワンダーとデッドがスマホ越しにファンタジアの国の名所名物を撮影して悟に中継する事になった。
長い時間をかけて、三人はついにデンマークを経由してスウェーデンのストックホルムに着いた。
その頃、一人の少女があるビルの一部屋で男と話していた。
「奴はもうストックホルムに着いただろう、君の目だけが頼りだ」
「…うん、任せて」
どうやら男は依頼人で、少女は殺し屋の様だ。
「いくら銃弾を見切れるとは言え遠距離からの狙撃には打つ手なしだとは思うが…」
「任せて、やるわ」
少女はそう言い、部屋を出ていった。
ストックホルムのホテルについた三人は、どこにいきたいか議論を始めた。
その途中、悟がこう言った。
「僕、ガムラスタンってとこに行きたい」
「ガムラスタン?ちょっと待ってろ、えーとガムラスタンガムラスタン…」
デッドがスマホで検索する。
「…なるほど、そこは17、18世紀ぐらいの世界の雰囲気が楽しめる所だな」
「いいね、僕もいきたくなってきた」
ワンダーもそう言ってきた。
「よし、じゃあまずはガムラスタンを散策しよう」
ガムラスタン
三人はガムラスタンに着き、さっそくぶらぶら歩き始めた。
「やっぱりこういう古い雰囲気もいいな」
「そうだね、ずっと歩いてられる」
ワンダーとデッドがそんな話をしてる時、前方から少女がやってきた。
あの殺し屋の少女だ。
長いバッグの中には狙撃銃一式が入っている。
やがてワンダー達と少女はすれ違った。
その時、少女は驚き振り返った。
(今の人が…ターゲット)
「でな、ワンダー、この近くにとある宮殿があるんだけど…」
少女はデッドのその言葉もしっかり耳に入れた。
(ワンダー、それがあの人の名前…)
少女はスマホを取り出し、何者かに電話をかけた。
「ごめん、予定変更、ターゲットと今すれ違った、ガムラスタンよ、尾行するから車をお願い、場所は…」
ワンダーに、危機が迫ってくる。
ストックホルム宮殿を見終わった三人は、一旦ジープに乗ってガムラスタンを出て行きストックホルム市内のレストランに向かった。
「デッド、どこのレストランにいくの?さっきからレストランらしき建物が見つからないけど」
ワンダーは辺りを見渡している。
「ふふふ、この近くにはな、山の中にポツンと立っているレストランがあるんだ、俺たちはそこにいく」
デッドの運転するジープはやがて山道に入っていった。
そのジープを、少女を乗せた車が遠方から追跡する。
「今、右カーブしてるわ」
少女は運転手にジープの状況を的確に伝える。
「いやあ、カロラの目のお陰でバレずに尾行できるよ、でだ、たぶん、奴らはこの先にあるエンコートってレストランにいくんだろう」
車を運転する中年の男がそう言う。
「そうね、出てきた所を…」
「カロラが殺るわけだな」
カロラと呼ばれている少女の目は、青く、吸い込まれそうな迫力があった。
三人はエンコートという山の中にある小さなスウェーデン料理屋についた。
小さな駐車場にジープを止め、店の中に入る。
カランカラン…
「いらっしゃいませ、旅行ですか?」
一人のおばあさんが出迎えてくれた。
「はい、俺たち三人です」
「では、こちらへ…」
おばあさんはデッド達を屋上の野外食卓に案内した。
「メニューはこちらです、では、ごゆっくり」
おばあさんは3枚のメニューをテーブルに置くと、屋上から出ていった。
「優しそうなおばあさんだったね〜」
「だな、でだ、このレストランは大きさは小さいがメニューはそうじゃない、二人とも開いてみろ」
ワンダーと悟はメニューを開く。
「「おお…」」
そこには、IKEA内のレストランに勝るとも劣らない程の膨大な選択肢が網羅されてあった。
三人は長い思考時間に入った。
「…屋上で食べるのね」
一方、カロラはエンコートから1キロ離れた所でワンダー達の状況をこれまた的確に把握していた。
これもカロラの視力のお陰である。
「…作戦変更」
カロラはそう呟くと狙撃銃一式が入ったバッグを持ち、とある所へいった。
カロラはとある森の中で狙撃銃を組み立てている。
そこからはエンコートの屋上全域が射程範囲内だ。
しかしそこからエンコートまではおよそ2キロもある。
しかしそこからの狙撃もカロラの視力を持ってすると可能なのである。
そうこうしているうちにカロラは一つの狙撃銃を組み立てた。
レミントンM700である。
普通狙撃銃は一度分解して組み立てると微妙にズレが起こる。
しかしカロラの視力の前にはそんなのは起こり得なかった。
カロラはレミントンM700を地面に置き、自身もうつ伏せになりワンダーを探す。
弾丸は旧ソ連製の物であり、2000メートルくらいでも対象を撃ち抜ける。
やがて、カロラはワンダーに照準を合わせた。
一方、ワンダーは注文したスウェーデン料理を堪能していた。
「おいしぃ〜!ほっぺがとろけるよー!」
「おいおい、ワンダーペロリと食べるじゃねえか」
「この店すごいよ、こんな山の中にポツンなんてもったいない!」
(…じゃあね)
カロラの青いその目は、ワンダーの頭部をしっかり捉えていた。
そして、引き金を引いた。
次の瞬間、弾丸は2キロを突っ走りワンダーの頭部にゴールインした。
エンコートの屋上に、薔薇が咲いた。
「っ、あああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」
デッドが叫び、倒れたワンダーの体を駆け寄ろうとするが…
「うっ、さっ、さとるをっ」
ワンダーが発したその言葉に、デッドは我に帰る。
「悟っ!」
デッドは悟に覆い被る。
「どうかしましたっ」
おばあさんがデッドの叫び声を聞きつけ、屋上に来た。
「はっ…」
おばあさんは目の前の光景を見て唖然とする。
頭から血を流すワンダー、悟を守るデッド。
おばあさんは瞬時にスマホを取り出して、救急に連絡を取る。
しかし…
バンッ!
また、ワンダーの頭に薔薇が咲いた。
「あああああああッ!!!!」
デッドは発狂しながらワンダーと悟を連れて、屋上を出ていった。
「皆さんっ」
おばあさんもその後を追った。
「…うん?」
ワンダーは病院のベッドで目を覚ました。
横の椅子にはデッドが座っている。
「た、確か僕…」
「…そうだ、狙撃だ」
「やっぱり…」
「…これを見てくれ」
デッドはスマホでワンダーにあるサイトを見せた。
「これは…?」
「非合法サイト、『ユーロ・アジア』だ、このサイトでは麻薬取引や殺人依頼などを取り扱ってるんだが…この少女を見てくれ」
デッドは一枚の少女の写真を見せた。
「この子は…?」
「この子はカロラ、子供の殺し屋だ」
「え…子供…?」
「ああ、スウェーデンでは移民による犯罪が問題になってるんだが、おそらくこの子はそれに巻き込まれて殺し屋になった、で、このサイトで依頼を募る様になった」
「僕を狙うのは…」
「恐らく、青桐組の仲間だと見られてるんだろうな、でだ、問題はこの子の視力だ」
カロラを紹介しているページの説明文には、こう書かれている。
『異常に視力が発達しており、キロ以上の物も見分けれる』
「…キロ以上…」
「嘘見たいだろ?キロだぜ?キロ、その視力で狙撃をしているらしい」
「そんな…ハッ!」
バッ!
ワンダーはデッドからスマホを奪い、サイト内で何かを検索する。
「お、おい」
「…」
ポトッ
しばらくして、ワンダーはスマホを布団の上に落とした。
「な、何を見たんだ」
デッドはスマホの画面を見る。
そのページには、恐らく裏社会の何者かが監視カメラで撮ったワンダーの写真が貼られていた。
裏社会の重要人物として。
説明文には主にこう書かれている。
『未だ名称不明』
『殺し屋ノースを撃退した男』
『日本の青桐組の仲間』
「………」
デッドは絶句した。
自分の相棒がこんな形で裏社会に広まっている。
その事実は到底受け入れ難い物だった。
「…どうしよう」
ワンダーはそう呟いた。
酷く気落ちしている様だった。
デッドは、一つ声を掛けた。
「…とにかく、今は寝ろ、大丈夫、何とかなる」
そしてデッドは、部屋を出ていった。
「…あ、おばあさん」
「…ああ、お客様、お詫びを言いに来ました、この度は本当に…」
デッドはエンコートのおばあさんと廊下で鉢合わせした。
「いえ、いいんです、逆にすいません、俺たちのせいで店を…」
「話したい事があるんです」
おばあさんは、そう言った。
「…え?」
デッドは病院のベンチで、おばあさんの話を聞く。
「…あなたのお連れ様を狙ったのは、私の子供です」
「…!?」
デッドは驚愕した。
「…え?子供?」
「はい、カロラと言う名前です、あの弾丸を見てわかりました、あの子はソ連の弾丸を使います…」
おばあさんは話を続けた。
「前の都市でのレストランの経営が上手くいかず、時々あの子に助けてもらってました、でもそれが負担になったんでしょう、あの子は段々笑わなくなっていきました、私がもっと早く気づいてあげてれば………ある日、私は旦那交通事故で失い、カロラは完全に狂いました、ある日の深夜、私に何も言わず、突然家を飛び出しました、その日から行方不明になりましたが…」
「…それで?」
「…ある日、私が山の中にレストランを移し、段々事業が安定してきた頃…見たんです、森の中であの子がソ連製の大きい弾丸と狙撃銃を黒人の男から貰っていたのを、私はその時店の飾り付けの為小枝を集めていたんですが、そんなの全部忘れてしまって、カロラに駆け寄りました、でも男に止められ、こう言われました
『このガキは俺が拾ったんだ』
…それを聞いて、この子は移民の餌食になったんだなと、その日から、カロラの事は忘れる様にしました、でも今でも夢に、あのソ連の弾丸と狙撃銃が夢に…」
おばあさんは涙を流し始めた。
「落ち着いてください、俺がなんとかします」
「え?」
「あ!」
同情していたデッドは口を滑らせた。
(やっちまったあ…)
「…いえ、私がやります」
「え???」
すると、おばあさんが意外な事を言った。
「お客様を怪我させてタダで済むはずがありません、あの子は私が取り戻します」
「ま、待ってください」
デッドが興奮するおばあさんを制止する。
「わかりました、ワンダーの怪我が治ったら俺たちでカロラを取り戻します、どうか安心して」
「あ、ありがとうございます…!」
もうここまで来たらデッドに後悔はなかった。
(なんとかなる、ワンダーと一緒ならな)
デッドは、ワンダーを信じ切る事にした。
翌日、脅威の自然回復でワンダーは完全に復活し、退院した。
そして、デッドからカロラ救出の依頼をされ…
「…わかった、おばあさんの為にも、あの子を救おう!」
快諾した。
「昨日のユーロ・アジアの件はショックだったけど、もう気にしないよ、今まで何度も命を狙われ続けてきたけど、なんとかなってきたんだ!大丈夫だよ!エンコートのおばあさんを救ってあげよう!」
「ワンダー…!やっぱりお前は最高だぜ!」
デッドもそう言い、さっそく二人は悟に会いにいった。
二人は青桐組スウェーデン支部で保護されている悟に顔を合わせにいき、今日は当分旅行はお預けだと伝えた。
それを伝えた二人は早速カロラ救出作戦の実行に移った。
まずワンダーはスマホでユーロ・アジアに入り、カロラを紹介しているページのコメント欄で偽の情報を流す。
『この殺し屋ノースを撃退したオレンジ髪の男、このカロラに狙撃されたらしいけどもう回復したらしいぞ』
続けてデッドがその情報に対してこう返信する。
『そいつ、青桐組スウェーデン支部の周辺を彷徨いてたぞ』
デッドはその返信をして、青桐組スウェーデン支部を歩き回っているワンダーを撮り、それをわざと載せた。
とあるビル
数時間後、ユーロ・アジアで自分のページを開いたカロラはこのワンダーとデッドの自作自演にハマった。
(嘘…生きていたの?)
カロラは焦って狙撃銃一式をバッグに詰めて、ビルを出た。
そして青桐組スウェーデン支部に直行した。
青桐組スウェーデン支部に着いたカロラは、ワンダーが支部の中で窓を開けてベッドで寝ているのを発見した。
カロラは一旦支部を離れ、とある建物の屋上でレミントンM700を設置し、そこからワンダーを狙う。
やがて狙いをつけたカロラは、引き金を引いた。
寝ていたワンダーの頭に穴が空いたが…
なんと、そこには血が出なかった。
「え…?」
流石にカロラもこれは予想外だった。
その時だった。
彼女のレミントンのスコープに本物のワンダーが映ったのは。
ワンダーは上着を着ていない。
そう、寝ていたワンダーは人形だった。
穴が空いた方向からカロラの居場所を察知したワンダーは飛んで猛スピードでカロラに一直線に迫る。
カロラはもう一度引き金を引くが、ワンダーは弾く。
そして、ワンダーはサンダーディスードでカロラを斬った。
…バタッ
カロラは、気絶した。
「…うん?」
カロラは、とある建物の一室のベッドで目を覚ました。
カチャ
部屋に、誰かが入ってきた。
エンコートのおばあさんだ。
「…お母さん…?」
「カロラ…」
母と娘は、対面した。
「…ごめんなさい」
「え?」
おばあさんはすぐさま謝った。
「あなたを苦しませた事、それに気づけなかった事、まず、謝るわ、でも…」
おばあさんは続ける。
「…やっぱり、あなたはいい子なのよ」
「…」
カロラは言葉が出ない。
「どれだけ人の道を外そうが…やっぱりあなたは私の娘、それは変えられないわ」
「あ…」
「…あなたが狙撃したお客様は無事よ、何より、あなたとまた会えて嬉しい、どれだけ長い時間苦しんでも…やっぱり、あなたは私の娘よ」
「お母さん…」
カロラはおばあさんに抱きついた。
「…ごめん、お母さん、心配させた」
「いいのよ、やっぱりあなたは自慢の娘だわ」
おばあさんとカロラは長い時間抱き合っていた。
「…終わったな」
「うん」
それをドア越しで聞いていたワンダーとデッドは、エンコートを後にした。
「…ワンダー、『ユーロ・アジア』でお前が晒されてた件についてだが…」
「大丈夫だよ」
「…え?」
「あんなサイトで晒されても、なんとかなるよ!殺し屋達、かかってこいってもんだよ!」
「ワンダー…」
「デッドと一緒なら、これまでも何とかなったから、これからも何とかなるよ!もうあんなので落ち込むのはやめるよ!さあ、悟を迎えにいこう!」
ワンダーはそう言い切った。
「…ワンダー」
「ん、なあに?デッド」
「…お前も、俺の自慢だぜ!」
「…ふふっ!」
ゲストキャラ解説
カロラ
移民の犯罪に巻き込まれ殺し屋になったスウェーデン少女。異常に高い視力を持っており、ワンダーの頭に二回命中させている。レミントンM700が武器。
おばあさん
レストラン「エンコート」の店長。カロラの母親である。
- 1.第一話 異世界への召喚
- 2.第二話 説得作戦
- 3.第三話 畏怖を乗せた流れ星
- 4.第四話 対決美人剣士
- 5.第五話 対面超少年
- 6.第六話 剣集めはつらいよ
- 7.第七話 剣と光弾とナイフと 前編
- 8.第八話 剣と光弾とナイフと 後編
- 9.第九話 爆弾が怒る時
- 10.第十話 黒い追跡
- 11.第十一話 迷宮攻略はワンダーにお任せ
- 12.第十二話 殺人神と呼ばれた男 前編
- 13.第十三話 殺人神と呼ばれた男 後編
- 14.第十四話 睡眠ガスに気をつけろ!
- 15.第十五話 ミラー・ワンダー
- 16.第十六話 炎斧
- 17.第十七話 私が愛したあの子
- 18.第十八話 燃えよS&W M500
- 19.第十九話 この一発で福岡に帰ろう
- 20.第二十話 斬ってよかった
- 21.第二十一話 ロシアから殺意をこめて
- 22.第二十二話 大森林危機一髪!前編
- 23.第二十三話 大森林危機一髪!後編
- 24.第二十四話 世界不思議に関する2600文字
- 25.第二十五話 ファースト・バトルオブヨーロッパ
- 26.第二十六話 乗っ取りは逆襲の音
- 27.第二十七話 我ら、ノイバ親帝派!
- 28.第二十八話 スペインに殺しの花が咲く
- 29.第二十九話 ワンダーVS奴隷軍団
- 30.第三十話 マフィアン・LOVE
- 31.第三十一話 朝シン
- 32.第三十二話 ネオ・第三帝国
- 33.第三十三話 傭兵よ永遠に
- 34.第三十四話 縁戻し
- 35.第三十五話 奴らが来た!!!
- 36.第三十六話 決戦 前編
- 37.第三十七話 決戦 後編
- 38.第三十八話 シン・青桐組とシン・ワンデドコンビ
- 39.第三十九話 香港は燃えるか…?
- 40.第四十話 魔力・キラー
- 41.第四十一話 ボム・フロム・ザ・スカイ
- 42.第四十二話 青桐一家勢揃い
- 43.第四十三話 愛ある女は己を隠す その1
- 44.第四十四話 愛ある女は己を隠す その2