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第一の警告、投稿頻度が遅い
第二の警告、悪人が味方サイド
第三の警告、いわゆるバトル物であり異世界無双物ではない
第四の警告、完全な勧善懲悪ではない
第五の警告、初投稿なので違和感あり
第六の警告、描写や解説が雑

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世界不思議(ワールドワンダー)

#33

第三十三話 傭兵よ永遠に

ドイツでヘフルスの陰謀を打ち砕いたワンダー達は、ベルリンの世界移動装置を使いラグナ王国に来ていた。

ラグナ王国 首都ゲデリオ
「まずは宿を確保しないと、ワンダー、悟、いくぞ」
「「は〜い」」



その頃、ある組織の本部でこんな会話がなされていた。
「ま〜だ、そのアジア人の子供は殺せないのか?」
「も、申し訳ありません、奴隷市場や暗殺者などと連携していたんですが…」
「ええい、もう我慢できねえの、じゃ、あのロゴスっちゅー傭兵使え、ほんで、そいつをそのアジア人と護衛二人がいる国に送り込め」
バァンッ!
組織のトップと部下と思われる二人が話していると、突然部屋のドアが開けられた。
「長!あの3人の居場所を特定しました!」
「おお〜そうか、今度はどこだ?」
「ラグナ王国のゲデリオです!」
「むむ、ラグナか、よ〜しそこでそのアジア人を殺せ、できなかったら最終手段に出るぞ」
「は、はい!」
「いいか、こうしてる間にもいつそのアジア人によって帝国が滅亡するかわからんからな」
今までワンダー達に魔の手を向けてきたノイバ親帝派組織が、ついに本格的に動き出す…



ゲデリオ ガデン闘技場
3人はガデン公爵領のガデン闘技場という場所に来ていた。
外観は東京ドームが刺々しくなった様な建物である。
「ね、ね、早くいこ」
悟がデッドを急かす。
「まあまあ、焦るな、まずは受付だ」
「悟は戦いを見るのも好きなんだね、英二譲りかな?」
ワンダーがそうこぼす。
「「え?」」
デッドと悟がそう返す。
「あ、いや、なんでもない…」
ワンダーは今のは少しデリケートな言葉選びだったと理解した。

3人は観客席につき、試合開始を待った。
「このガデン闘技場についての説明は、えーと、なになに、『世界各国から集った戦士達がトーナメント形式でバトルをし、最終的に優勝したら名誉ラグナ人の称号と賞金を貰える』…との事らしい」
デッドがそうパンフレットを読む。
「名誉ラグナ人?なにそれ」
悟は聞きなれない単語に反応した。
「えーと、このパンフレット曰く名誉ラグナ人になると外国人のラグナ王国への永住権獲得とラグナ王国軍基地への出入り、そしてラグナ王家との交流などが可能になるらしい…まあ、つまりラグナ王国での活動の幅がめっちゃ広がるって事だ」
「え、めっちゃすごそうな称号じゃん…これじゃ、そうとうな数の戦士達が来るでしょ…」
ワンダーが称号の内容に驚く。
「ああ、だからこんなに人が来ているんだろうな」
会場内はおびただしい数の観客が埋め尽くしている。

やがて、フィールドの中央に司会の男性が出てきて、拡声魔法での試合開始を宣言した。
「今ここにッ!世界最強のッ!戦士を決める戦い開始をッ!宣言しますッ!」

「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!」」」」」」

観客席から一斉に鬨の声が上がる。
「今回も世界中からの強者が勢揃いッ!瞬きをする事は許されませんッ!なんたって今回はッ、世界各地の闘技場を震え上がらせたッ!あの二人が来ていますッ!」
「え?あの二人?」
「一体誰なんだ」
「楽しみだな」
観客席から様々な声が上がる。
「それではッ、あらかじめご紹介しておきましょうっ!一人目の目玉はッ!戦う相手を必ず地獄の業火に陥れてしまうッ!イウセ王国から来ましたッ、炎のマキュラスッ!!!!」
司会がそう叫ぶと、フィールドの入り口から赤い水着、そして赤黒い斑点がついたマントを着たロングヘアーの女性が現れた!

「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!」」」」」」

次の瞬間、観客席からまたも鬨の声が上がった!
「マキュラス様かよ!すげえな!」
「マキュラス様あああ!」
「頑張ってくれーッ!」
そして、マキュラスを持ち上げる声も次々と出てきた。
「さて、二人目の目玉を紹介しましょうッ!炎のマキュラスとは対照的にッ、冬の化身とも言うべき程のッ、氷魔法の使い手であるッ、このラグナ王国出身ッ、吹雪のザディッ!!!!」
そして今度は、反対側の入り口からマキュラスとは違う水色のマントを着た小さい水色髪の男の子が入ってきた!

「「「「「「わああああああああああああああッ!!!!」」」」」」

またまた、観客席から鬨の声が上がる!
「ザディちゃーん!頑張ってー!」
「ザディちゃん好きーッ!」
女性の観客達から、そんな声が次々と上がり始める。
「あ、あんな小さい子供が!?」
ワンダーが驚愕した。
「きっと、相当な戦闘力を持ってるんだろうな」
デッドもそう分析する。
「ん〜…」
悟はザディの可愛さに嫉妬している事に、誰も気づかなかった。

やがて、試合は一回戦が始まった。
試合の内容は禁じ手無しの全力勝負、参加者の戦士達には復活の腕輪という魔道具が着用されており、これで死んでも戦士休憩室の魔法陣から復活できる仕様になっている。
最初の試合は、炎のマキュラスと巨大棍棒を持ったオークの試合だった。
結果は、一瞬でマキュラスの圧勝。
オークが距離を詰める隙も与えず、マキュラス自身の前方を覆い尽くす程の炎でオークを焼き切った。
そしてそれからも様々な試合が続いた。
純粋な近接戦の試合もあれば、魔獣を召喚しての試合もあった。
そして一回戦の最後の試合、吹雪のザディとごく普通の人間の女性が出場した。
「さあーいよいよ一回戦も大詰めッ!それではッ!試合ッー!開始ッ!」
ガァンッ!
一回戦最後の試合開始のゴングが鳴った。
「…お姉さんさぁ、普通の人間じゃん、どうやって僕に抗うつもり?」
ザディは対戦相手の女性をそう挑発する。
「ふふふ、ザディちゃん、これはね、私の本当の姿ではないのよ」
女性はそう言うと、女性の下半身がみるみる巨大な蛇の下半身に変わっていく。
「さあ、この太ーい尻尾の中で、窒息死させてあ・げ・る♡」
「あっそ」
ザディはそう受け流し、地面に勢いよく右手を突いて氷の壁を自分の周りに作り出す。
「あらあら、そこに閉じこもってても意味ないわよ、今、出してあげる♡」
女性はそう言うと、今度は両手を蛇の頭に変え、その口の中からレーザーの様な物を出した。
ビビイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!
二つのレーザーは氷の壁をみるみる溶かしてゆき、やがてフィールドからその存在を消した。
しかし、その中にはザディの姿はなかった。
「う、嘘!?」
女性は慌てふためき、辺りを見渡す。
その時だった。
ビョオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!
突然、氷の壁が覆っていた地点から女性に向かって猛吹雪が吹き始め、一瞬で女性が氷の中に閉ざされた。
そして、吹雪が吹いていた地点から、ザディが上半身から徐々に姿を現していった。
「きゃあーッ!ザディちゃん、氷による光の屈折を利用して透明になってたのねー!」
ワンダー達の後ろにいる眼鏡をかけた女性が説明口調でそう叫ぶ。
あちこちで歓声が上がっているのを気にせず、ザディは氷の槍を空中に作り…
ブォンッ!
それで女性の氷を貫いた!
ガシャンッ!
女性は、氷諸共粉々になり消滅した。
「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」」」」」」
ザディの勝利に観客席から歓喜の声が上がった。
「す、すごい魔法だ…」
流石のワンダーもザディの力にはただただ感服する事しかできなかった。
「ん〜〜…」
悟はまたザディに嫉妬していた。

そして、マキュラスとザディが無双していった事を除けば息をつかせない試合が続いた。
しかし、異変は準決勝が始まる直前に起こった。

ワンダー達3人が外の出店で休憩していた、その時だった。
「あのさ、戦士休憩室見に行かない?」
突然、悟がそう提案した。
もちろん、デッドは止めた。
「それは戦士の人達の迷惑になるだろ?やめとこうな」
そう悟を諭したが、上手くはいかなかった。
ワンダーとデッドが魔コウモリの串刺しを食べていた時、あまりの美味しさに二人とも悟の逃亡を許してしまった…
前にもこんな事があったなぁ…

ワンダーとデッドが悟を見つけた時、悟はもう戦士休憩室のドアの横にいた。
「悟、本当に迷惑になっちゃうから帰ろ?」
「待って、なんか聞こえる」
「「え?」」
悟がそう言ったため、二人は少し驚いた。
「二人も聞いてみよ」
「い、いや、でも…デッド、早く帰らないと…」
「そ、そうだよな…」
しかし、悟は熱心に部屋の中から聞こえる声を聞いている。
雰囲気もただならぬものだった。
「ちくしょおッ…!」
バンッ!
そして突然、部屋の中から誰かがそう言い放ち机を叩く音が聞こえた。
それらも気になり、結局ワンダーとデッドも耳を澄まして聞いてみる事にした。
((プライベートな事だったら悟を連れて帰ろう))
二人ともそう思っていたが…
部屋の中からは、意外な会話が聞こえた。
「くそっ、まさか準決勝直前で帰還命令なんて…」
「俺もだよ、本当に悔しい…」
そして司会の男性の声も聞こえた。
「どうしましょうかねえ…観客の人の中から戦える人を連れてくるのは…」
「そんな都合のいい人いるか…?」
「くそっ…炎のマキュラスと戦ってみたかったのに…」
「うーん…このままだとトーナメントとして成り立たなくなりますよ…前倒しで決勝なんて…」
バタンッ!
その瞬間、悟が勢いよくドアを開いた。
((……しまったああああああああああああ!!!))
ワンダーとデッドは、またしても悟を止めれなかった。

中で話していたのは、マキュラスとザディ以外に準決勝に進出してた二人の傭兵と司会だった。
傭兵の二人はそれぞれマキュラス、ザディと戦う予定だったが、二人を雇っているある国の軍がミスードウ大陸のとある小国の内戦に介入するため、突如二人に帰還命令を出してきたのだ。
この帰還命令を反故にすると契約違反として裁判にかけられてしまう。
なので絶対に二人は軍に帰らなければいけないのだが、そうしてしまうと準決勝を行うのは不可能になる。
前倒しをしてマキュラスとザディの決勝を行うという手もあるようには見えるが、実はそれも不可能なのである。
これにはいろいろあるが、マキュラスとザディ本人達のスタンスにも理由がある。

「…直前での帰還命令だから業務上急な前倒しは難しくて、仮に前倒しができたとしてもマキュラスさんとザディさんは不戦勝は受け入れないというスタンスを取っていて、そこが彼らの人気の一つでもあるんですよ、その二人の意思を軽く扱えば、今後二度とこのガデン闘技場に出てもらえないかもしれないんです、ですから代わりが二人いれば、準決勝を行う事はできてその心配もなくなるんですが…」
「僕、やる」
悟が司会の言葉に即座にそう答えた。
「「ちょ!?」」
ワンダーとデッドは狼藉した。
司会も少し驚いた。
「し、しかしあのお二人は超人的な戦闘力を持っていますし、仮に勝っても熱狂的なファン達の恨みを買うかもしれませんよ?」
「いや、やる、ザディと戦う」
司会のそんな忠告にも悟には意味がなかった。
「さ、悟!ダメだよ!危険すぎるよ!?」
「そうだ、ワンダーの言う通り、復活する際は一回死ぬんだぜ?悟には早すぎる」
「デッドもこう言ってる事だし…そ、そうだ、僕達二人が出るよ!」
「え?ワンダー?本気か?」
デッドはワンダーの言葉にまた驚く。
「うん、僕達は今まで何度も僕達の命を狙ってくるやつを撃退してきたし、僕とデッドが出場するのも悟は見たいでしょ?」
「それは、まあ…」
「僕達の役目は悟を守る事だし、悟にはこの旅行を楽しんでもらいたいな」
「…わかった」
ついに悟は折れた。
かくして、軍に帰還する事になった二人の傭兵の代わりに、ワンダーとデッドがマキュラスとザディに挑む事になった…

カチャ
戦士休憩室で待機しているワンダーとデッドに、司会がやってきた。
「ワンダーさん、デッドさん、上にはもう話をつけました、これで準決勝を取り行えます、本当にありがとうございます」
司会は深々とお辞儀する。
「いえいえ、これであの子も喜ぶでしょう」
デッドもそう返した。
「そうだ、一つ気になってたんだけど、マキュラスとザディの姿が見当たらないな…」
ワンダーはそうこぼす。
「ああ、あの二人は人気がありすぎて、ファンなどの押しかけを防ぐために別の戦士休憩室にいます」
「そんな大物なんだ…緊張してきたな…」
「ワンダー、大丈夫だって、なんとかなるぜ」

そして、ついに準決勝が始まった。
準決勝の一試合目は、デッドとマキュラスの戦いだ。
「…というわけでっ!今回この緊急事態を救ってくれた一般のゲスト戦士の一人目を紹介しましょうッ!一人目はッ!元地球人のカリュデウスの魔物退治屋ッ!デッードッ!バーソンッ!」
司会がそう叫び終えると、デッドがフィールドの入り口から入ってきた。
ザワザワ…
観客席からは動揺の声が見て取れる。
「悟、見ててくれよ…」
デッドがそう呟いてると、ついに反対側の入り口からマキュラスが出てきた。
その瞬間、観客席は突然全員が息を飲んだかのような雰囲気に包まれた。
「おいおい、あの人死んだぜ…」
あちらこちらからその様な声が出てくるが…
「…」
3人の中で唯一観客席にいる悟はそんな事気にしなかった。
彼にとっては、次の試合でワンダーがザディをボコボコにしてくれればそれで良かったからだ。
「さあーッそれではっ!決勝に進出するのは誰なのかッ!準決勝第一試合ッ!試合ッー!開始ッー!」

ガァンッ!

ボワッ!
ゴングが鳴ったと同時に、マキュラスが右手から火炎放射を繰り出してきた。
バッ!
デッドはそれを素早く避け、レッダーを3連射するが…
「フンッ!」
ボワッ!ボワッ!ボワッ!
マキュラスは炎の壁を作り出しそれを防いだ。
「マジかッ!」
マキュラスは両手を炎に包み、火球を乱射していく。
デッドはそれを避けていく。
「ちょっと痛い目見るぜッ!」
デッドはいつもより大きめなレッダーを作り出し、それを自分の後ろの地面に当てた。
その衝撃で自分を吹き飛ばし、一気にマキュラスとの距離を詰めていく!
「なにっ!?」
マキュラスは驚き、炎の壁を作ろうとするが遅く、モロにデッドの蹴りを腹に喰らった。
「ぐあっ!」
マキュラスは吹っ飛ばされるが、なんとか着地して態勢を立て直すが、勢いづいたデッドのパンチが迫ってくる。
「クソッ!」
マキュラスは左手を炎に包み、それを受け止めた!
「ぐああぁっ!」
デッドは右手に火傷を負い、そのまま地面を転がっていき勢いがなくなってしまった。
「ハアッ!」
スキル、肉体強化を使っているマキュラスはそのまま倒れているデッドに空中から殴りかかる。
ガァンッ!
すんでのところで転がって避けたが、衝撃がくる。
その衝撃でデッドは吹き飛ばされ、更にそこに追い討ちがくる。
マキュラスが左手で火炎放射をしてきたのだ。
ボワアアアアッッ!!
「うあああああっ!!!」
デッドはなんとか立ち上がるもそれをモロに喰らい、左手と左足をやられた。

「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」」」」」」

観客席が一斉に湧き上がる。
「私を苦戦させた相手は久しぶりだッ、だが、終わりだッ!」
マキュラスは両手をパーにして前方に突き出し、一回戦第一試合でオークを焼き尽くしたあの炎を繰り出そうとする!
「「「「「「いけええええええええええええええええッ!」」」」」」
観客席からはそう大歓声が出された!



そして次の瞬間、勝負は決した。












「…バカ…なッ…」
ドタッ…
…炎のマキュラスは、突然倒れ、消滅した。
…ベレッタ92を数発発砲したデッドの前で。
「「「「「「…ええええーーーーーーーーーーーーーッ!?」」」」」」
観客席から驚きと不満が混じった声が聞こえた。
悟も驚いていた。
「そうか…デッドって銃持ってたんだ…」

そこから後は散々だった。
司会がデッドがすかさず銃で勝負を逆転させたのを声高らかに解説すると、観客席からブーイングと不満の声が溢れ出した。
地球の武器を使うなんて、ズルい、こんなの勝負じゃない、そんな声が上がりまくった。
中にはただただマキュラス様と大声で叫びまくる狂人もいた。
(厄介ファンって、やば)
悟は心の中でそう悟った。

そして、準決勝第二試合が始まった。
ワンダーと吹雪のザディの戦いである。

ガァンッ!

試合開始のゴングが鳴った。
両者相手の出方を伺っている。
先に動き出したのは、ワンダーだった。
空を飛びザディに急接近する。
ザディは一回戦最終試合の時と同じく、氷の壁を作りそれを回避する。
(勝った…)
ワンダーはそう確信した。
このまま氷を溶かせば、どうせザディは透明になっている。
存在が消えたわけじゃないから、そこでサンダーディスードの切れ味を味合わせてしまえばいい。
ワンダーはそう思いながら、氷の壁をディスードで斬っていく。
やがてヒビが入り、そこを一刀両断してついに穴を開けた。
しかし次の瞬間、ワンダーの目に驚くべき光景が写った。

透明なザディがいるはずの氷の壁の中に、一人の男がザディを拘束している光景があった。

ワンダーはその光景を穴越しに見た。
「え?」
ワンダーは素っ頓狂な声を出したが、直後に男がこう言う。
「騒ぐな、俺の話を聞け、さもなくばこの子供が死ぬ事になる」
「い、いつの間にかこの男が僕の後ろにいて…」
男はザディの首元に剣を当てている。
そして、ザディは復活の腕輪を外されている。
ワンダーは固まることしかできない。
ザワザワ…
観客席から困惑の声が上がり始める。
「ワンダー、お前が護衛しているアジア人の子供はどこだ、教えなければこのザディの命はない」
男はそう言ってきた。
「…まさか、転移魔法を使って!」
「無駄口を叩くな、子供はどこだ」
「う………」
ワンダーは迷った、悟の居場所を教えれば悟が殺される。しかし黙っていたらザディが死ぬ。
悟かザディか、ワンダーは迷った。
「…おじさんは洗脳されてる…」
当然、拘束されてるザディがそう言った。
「なに?」
「僕、おじさんの事知ってる、ロゴスでしょ、ロゴスおじさんを雇った軍は負ける可能性は0%になるってね、すごい有名だよ」
「ロゴス…?」
少なくともワンダーは聞いた事がない、ノイバでは名が知られているのだろうか。
「おじさんは僕やマキュラスとは比べ物にならない戦闘力を持ってる…このままいけばノイバ有数の傭兵になって成功する…だけど、そんなおじさんの人生を邪魔する奴らがいる」
「貴様…何が言いたい」
ロゴスは段々と怒りを露わにしてくる。
「おじさんにこんな事させるの、どうせアスラ親帝派系組織の奴らでしょ?僕もスカウトされた事があるけど断った、あんな奴らの言うこと少しでも聞いたらもう普通の生活には戻ってこれない…あんなのは一種の宗教組織だよ」
「宗教…」
ワンダーは宗教という言葉を聞いて、ある事を思い浮かべた。
地球にはIS◯S、アル◯イダ、ハ◯スなど、宗教絡みの危険組織がたくさんある。
自分の故郷であるファンタジアにも、それらに負けないぐらいの組織は存在するはずだ。
そう意識したら、自分達は一体どんな敵と戦っていたのだろうと、不安にも襲われた。
もしかしたらこのロゴスも、知らず知らずのうちにその親帝派の餌食になっていたのだろう。
「お、俺は…ただ、雇われてるだけだ!」
ロゴスはそう叫ぶ。
「本当にそう?心の中では違うんじゃないの?」
「な、なにを」
「ロゴスおじさん、このままだと二度と戻ってこれない、今こそ目を覚さないと…」
「覚さないとなんだよ…」
ロゴスの怒りは爆発寸前だ。
「おじさんは、帝国の闇に飲み込まれた弱者っていう事実がつくよ」
「!!!!!」
弱者、ロゴスはその言葉に反応した。
「貴様ぁ!!!」
ロゴスは剣でザディの喉を掻っ切ろうとするが…
「な、なに!?」
いつのまにか、ロゴスの剣は氷で包まれていた。
「形成逆転だねっ!」
パチンッ!

ズズズズズズッ!!!!!

ザディはそう言い指パッチンをすると、氷の壁が崩れていき、地面から水色の光沢を持つゴーレムが突如現れ、その衝撃でロゴスは吹っ飛ばされた!
「「「「「「わあああああああああああああああああッ!!!!!」」」」」」
瞬間、困惑に包まれていた観客席から歓声が上がりまくった。
「ザ、ザディちゃん!!なんかすごいのに乗ってるわー!」
「あのおっさんは誰だ!?」
「こりゃどう言うことだ!」
様々な声が観客席から上がる。
「このアイスゴーレムはワンダーが穴を開けてきたら使おうと思ってたけど…ロゴスおじさんを今ここで、力づくで目覚めさせるッ!」
復活の腕輪をはめ直したザディはゴーレムの上に乗りながらそう言い放ち、直後ゴーレムが目から冷凍レーザーをロゴスに放つ!
ビイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!
レーザーはロゴスに直撃したが…
「舐めるなぁッ!」
ドガアアアアンッ!!!
なんとロゴスはレーザーを受けながら地面をパンチし、衝撃波でゴーレムごとザディを吹っ飛ばす!
「うわあッ!!!」
ゴーレムと仲良く空中で吹っ飛ばされたザディは…
ビリビリビリビリッ!
続くロゴスの右手からの電撃放射で黒焦げになり、消滅した。

「「「「「「うわああああああああああああああああああッ!!!!!」」」」」」

次の瞬間、観客席から悲鳴が上がった。
一刻も早くこの場から逃げ出そうとする者、そのまま居座る物、ザディに消滅に騒ぐ女性ファン達などで最早会場は地獄絵図になっていた。
「は、早く早く!警備兵はあの男を止めろ!」
司会がそう叫んでいると、両方の入り口から警備兵が続々と入ってきたが…
「フンッ!」
ロゴスは自身の真下の地面に転移魔法陣を敷き、またどこかへと転移していった。
「…まさか!」
ロゴスの強さに呆然としてたワンダーは、悟の方へと振り向くが、悟の近くにロゴスはいなかった。
「あれ、あいつの目的は悟を殺すはずなのに…」
「ワンダーさん!危険ですので避難してください!」
ワンダーは司会にそう言われ、速やかにフィールドから退避していった。

結局、ガデン闘技場内は立ち入り禁止になり、中にいる闘技場職員が不審者はいないか動いている。
魔法の使用が不可能になる結界も闘技場を覆うように張られ、トーナメントは中止になった。
「転移魔法は余程の鍛錬をしない限りかなり遠くへの移動は無理です、騎士団と連携して既にこのゲデリオ全域に非常警戒態勢を敷いています」
「そうか」
職員が司会にそう伝えていると、また別の職員が来た。
「大変です!あのザディさんを消滅させた男の正体がわかりました!ロゴスです!」
「何!?ロゴス!?」
司会は驚愕した。
「ロゴスと言えば、どの国の軍隊もこぞって雇おうとするあの傭兵ロゴスか!?」
「はい!ザディさんと観客の証言から間違い無いです!」
「馬鹿な…そんな凄腕傭兵がどうしてあんな事…」

夜、ワンダー達は宿に泊まっていた。
「…それにしても災難だったな、まさか傭兵がトーナメントをぶち壊しにくるなんて…」
「本当だよ、ザディを一瞬で倒したんだ…」
「冷凍レーザーが効いてなかったよね」
悟がザディの攻撃がロゴスには全く効いてなかったのを思い出す。
「そうだね、悟、アイスゴーレムの攻撃を受け付けないなんて…」
「…もしかして、耐性があるのかもな」
「「え?」」
デッドの言葉に二人が反応する。
「だってほら、魔法耐性があれば軍に雇われやすくなるかもしれないだろ?」

「その通りだ」

「「「!?」」」
三人は声がした方向を振り向く。

いつの間にか、ワンダー達の部屋にロゴスがいた。
「ロ、ロゴス…!」
「ワンダー、昼間はしくじったが今度はそうはいかん、三人ともここで殺してやるッ!」
ロゴスはそう言い放ち、剣を上に掲げそこに電気を溜めていく。
剣は次第に神々しくなっていく。
「や、やべえ!おいワンダー!同時攻撃だっ!」
「う、うんッ!」
ワンダーとデッドはサンダースラッシュとレッダーで攻撃するが、全然効かない。
「やっぱり魔法耐性がッ!不味いッ!」
デッドはそう判断してワンダーと悟を両脇に抱えて、窓を割って外に飛び出した。
そして今度は、ロゴスが電気を溜めまくった剣を盾に振り下ろす。

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!

次の瞬間、剣から黄色の電撃レーザーが飛び出し、窓を貫いた。
シュタッ!
なんとかそれを避けたデッドはワンダーを地面に下ろし、悟を抱っこする。
「騎士団に通報するぞッ!ロゴスが見つかったってな!」
「わかった!」
悟を抱えたデッドとワンダーは、夜の街を突き進んでいった…

しかし、ロゴスは諦めていなかった。
ボワアアアアッ!
またも転移魔法で三人との距離を縮めたロゴスは、今度は左手からの火炎放射で三人を仕留めようとする。
バッ!
バッ!
デッドとワンダーはそれを避け、ワンダーは羽を生やして空を飛ぶ。
「デッド!先に騎士団に通報しといてッ!僕は囮になるッ!」
「わかった!」
デッドはワンダーの提案を聞き入れ、やがてその超人的な身体能力で暗闇に消えようとするが…
「逃すかぁッ!」
ロゴスは右手からの電撃と左手からの火炎放射を一斉に放った!

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!

次の瞬間、ロゴスの前方には黒焦げになって倒れているデッドの姿があった。
「終わりだぁッ!」
ロゴスは剣を抜いてデッドに接近していくが…
カキンッ!
ワンダーが空中からそれを阻止した。
「お前の相手は僕だッ!」
「邪魔をするなぁ!」

「デッドッ」
一方、黒焦げになる直前に放り投げられた悟はデッドを起き上がらせようとするが…
「…!走れッ!悟ッ!」
「…!」
「お前が…ッ!騎士団にッ…!」
「…わかった」
悟はそう答え、デッドの代わりに暗闇の中に消えていった。

カキンッ!
カキンッ!
ワンダーはロゴスと激しい斬り合いを演じていた。
空中から攻撃できるというアドバンテージはあるものの、ロゴスも凄腕の傭兵、戦いは膠着している。
確かにワンダーは銃弾や光弾を弾いてはきたが、剣VS銃と剣同士の戦いは全く別物であった。
「フンッ!」
ロゴスはまたも右手から電撃を放つが、ワンダーは避ける。
「ロゴスッ!!目を覚ましてッ!」
ワンダーはそう呼びかけるが…
「黙れぇッ!」
ロゴスは受け付けない。
「ここまで邪魔をされてッ!貴様の言葉に貸す耳はないッ!」
「ロゴスッ!思い出してッ!君はッ!こんな事はしたくないはずだッ!」
「うッ…!」
「君は!今まで傭兵として頑張ってきた!鍛錬をしてきたッ!でもそれはッ!君だけが扱えるッ!権利なんだッ!!!」
「…ッ!」
「君のその力をッ!他の誰かがッ!悪用していいはずがないッ!!」
「うッ…!俺はッ!」
「ロゴスッ!僕は君の事を!よく知らないけどッ!こんな事でッ!傭兵として終わっていいの!?」
「だ、黙れ黙れ黙れぇッ!」

ガキンッ!

ついにロゴスは怒りの勢いでワンダーのディスードを吹き飛ばした。
ザクッ
遠い地面にディスードが突き刺さる。
「灰にしてやらああッ!!!!」
「不味いッ…!」
右手と左手を前方に構えたロゴスの電撃と火炎放射が、ワンダーに放たれた!
ワンダーはもちろんそれを避けようと動く!
次の瞬間、勝ったのは………!!!

























「…」
ドタッ
ロゴスは、突然倒れた。
…黒焦げになりながらも、ベレッタ92を撃ったデッドによって。
「…デッド?」
右肩に火傷を負ったワンダーは、そう相棒の名前を呟いた。
「…この体で、銃撃つのはキツかったぜ…」
デッドそう言い、ベレッタを落として倒れた。
勝負は、あっけなく終わった。

後日
ワンダー達はゲデリオ市内で号外を受け取った。
その号外には、一面にデカデカとこう書かれてあった。
『あの凄腕傭兵ロゴス、まさかの親帝派組織に雇われてたか?』
内容は、ロゴスは騎士団の取り調べで自分は親アスラ帝国派系組織に雇われ、前日の騒動を起こした。
しかし、いつの間にか絶対的に組織は正しいと思い込む様になったと供述した。
…という内容だった。
「…やっぱり、親帝派か…」
「そうだねえ…」
「しかし、このロゴスってのも心が弱いな、洗脳魔法がかけられてる様でもなかったし…ま、それ使えば重罪になるが」
「デッド、でも僕、実はロゴスは止めて欲しかったんじゃないかって思ってるんだ」
ワンダーはそう吐露する。
「本気で僕達を殺すのなら、もっと深夜にでも襲いに来れたし、あの時わざわざ剣に電気を溜めなくてももっと早く攻撃できる方法があった…でもあえてそれをしなかった…」
「そうか…ロゴスも迷ってたんだな、確かに、傭兵っていう仕事はキツイからな、心のどきかに隙間が出来ちまって、そこをつけ込まれたのかもしれねえ…」
「…魔物退治屋なんて、甘い職業なのかもしれないよねぇ…この世には、もっと心が荒むような仕事があるのかも…」
ワンダーは、空を見上げてそう言った。

ゲストキャラ解説
炎のマキュラス
高度な炎魔法と肉体強化スキルを使うセクシーな姿をしている戦士。戦闘力が高くデッドを追い詰めた。
吹雪のザディ
高度な氷魔法とアイスゴーレムを駆使して戦う子供戦士。大会ではロゴスに瞬殺された。
ロゴス
どんな魔法攻撃も通用しない凄腕の傭兵。それに加えて右手からの電撃、左手からの火炎放射、剣から放つ電撃レーザー、そしてワンダーのディスードを吹っ飛ばす程の剣技など、攻守に隙がない。
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2025/04/05 21:23

イチロク
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