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第一の警告、投稿頻度が遅い
第二の警告、悪人が味方サイド
第三の警告、いわゆるバトル物であり異世界無双物ではない
第四の警告、完全な勧善懲悪ではない
第五の警告、初投稿なので違和感あり
第六の警告、描写や解説が雑
スピミス皇国で長い観光を終えて3人は、今度はドイツに来ていた。
ドイツ ミュンヘン
ブゥウウウウウン…キキッー
「二人とも、今後の旅行の予定を言っとく」
デッドがミュンヘンのとある路傍に黒いジープを止めて、ワンダーと悟にそう話す。
「まずこのジープを使ってミュンヘンからベルリンに行き、そこの世界移動装置を使いラグナ王国へ移動、ラグナでの観光を終えたらまたベルリンに戻ってきて今度はデンマークに向かう、そしてそのままスウェーデンに入りストックホルムに到着、そして更に移動して最後はフィンランドのヘルシンキでゴールだ」
「つまりは、車観光って事か」
「そうだ、ワンダー、オーストリアやチェコなんかにもいきたがったが、悟はこういう走りながらの観光の方が好きだろ?」
「…まあ、うん」
「じゃあ、いくぜ!」
ブォオオオオン…
デッドはペダルを踏み、ジープは勢いよく走り出した…
ブォオオオオン…
ジープはどんどんと道路を突き進んでいく。
悟はすっかり外の景色の虜になっていた。
その時だった。
「……ん?」
悟が何かを見つけた。
「……!デッド、止めて」
「え?ど、どうした、悟?」
「なんかあったの?」
「あそこに倒れてる人、青桐組の組員かもしれないっ、早く止めてっ」
「ええっ!?」「なにっ!?」
ワンダーとデッドは同時に驚く。
キキイイイイイイ…
デッドは急いでブレーキをかけて、ジープから降りる。
ワンダーと悟もそれに続いた。
3人は急いで倒れている人間の元に駆け寄った。
デッドは、その人間の正体に気づいた。
「…黒服だ…」
その人間は、青桐組の制服とも言える黒服姿の男であった。
男は傷だらけだ。
「だ、大丈夫ですか?」
ワンダーが男に問いかける。
「デッド、一回ジープの中で休ませよう」
「ああ」
デッドはワンダーの提案を飲んで、男を運んで行った。
「………うぅーーん…」
しばらくして、男が目を覚ました。
「お、覚めたみたいだな」
「大丈夫?怪我はないですか?」
ワンダーは男の腕に包帯を巻いていた。
男の体の至る所に湿布や包帯がある。
「……あ、もしかしてあなた達は」
「あ、目、覚ました?」
その時、寝ていた悟が起きた。
「あ、坊ちゃん!!ようこそドイツへ!」
黒服が悟に気づいた。
「そ、それで、もしかしてあなた達はワンダーさんとデッドさんじゃ…」
「うん、そうだよ」
「ああ」
「おお!ボスのご友人が旅行で俺を助けてくれるとは!ありがとうございますッ!」
黒服は二人に頭を下げた。
「よしてよ、照れるなぁ〜」
ワンダーの頬が赤くなる。
「あっ、そ、そうだ、こんな事してる場合じゃないッ!…うっ!」
黒服の傷はまだ痛む様だ。
「なにがあったの」
悟が黒服に聞く。
「そ、それは…重大事なので言えませ」
「ボスの息子の頼みなんだけど」
「あ、はい…えー…実は…」
「「「ネオナチ軍団?」」」
「はい…」
黒服の口から飛び出した単語に、3人は首を傾げる。
「デッド、ネオナチってなんだっけ…」
「確か、ナチスやヒトラーを崇拝する様な奴らの事を言うんだが…、その軍団ってどういう事だ?」
「はい、俺ら青桐組ドイツ支部と敵対している組織の一つなんですが、その軍団に所属している科学者がある日突然『貴様らはこのドイツの地を穢す邪悪な悪魔達だ』なんて事が書かれた手紙を支部に送ってきて…」
「おいおい、そんな奴が現代にいるのかよ」
デッドがあからさまに呆れる。
「はい、弱者の寝言だって事で俺らは無視してたんですよ、しかしですね、今日…」
そこからその黒服の言った事はこうだ。
仕事で銃火器類諸々をミュンヘンに運んでいる途中、不審車両に出会った。その車は明らかに自分達の車をつけて来ていた。だから車を止めてどういうつもりなのか問いただしてやろうと思い、自分ともう一人の仲間の黒服が実際にそうしたらその不審車両の窓からいきなりシュールストレミングの様な物を投げられた。その物体の中から毒ガスらしき物がもわもわと出てきて、自分は咄嗟に息を止めたが、一緒に外に出た黒服はうっかりそれを吸って倒れた。そして不審車両からいかにも科学者の様な風貌の男が出てきてこう言った。
『じきに貴様らは、この毒ガスによって滅せられる』
自分は急いで倒れた黒服の脈を見た。
倒れた黒服は、死んでいた。
自分が叫び声を上げると、車の中に残っていた二人の黒服が出てきて、二人とも短機関銃でその科学者を撃った。
しかし、効果は無かった。何故ならその科学者は防弾チョッキを着ていた。
二人はそれに気づいたは気づいたが時既に遅し、二人とも不審車両から出てきた科学者の同伴者による毒ガススプレー攻撃を受けて倒れた。
自分は車に乗って逃げたが、不審車両は追いかけてきた。
やがてマシンガンで車のタイヤを破壊され、自分は科学者の同伴者に捕まった。
そして路上でリンチされ、ボロボロの姿になり、あと少しという所まで殺されかけた。
しかし、ポケットにしまっておいた目潰し閃光弾を爆発させ、九死に一生を得てその場から逃げ出せたが…
………結局、ボロボロの体でミュンヘンにいく事なんか出来ず、道端で倒れた所をワンダー達に助けてもらった…。
「………っていう事です」
「な、なにその科学者…頭どうなってんの?」
ワンダーはドン引きしていた。
「しっかし、そいつらは何が目的だったんだ?」
「奴らは終始カメラを向けていました、恐らく、毒ガスの効果と自分達の恐ろしさを支部に送りつけるつもりだったんでしょう」
「マジか…」
「…せない」
「え?悟、何か言ったか?」
「…許せない」
「「「!」」」
他の3人は驚いた。
「デッド、そのネオナチ軍団っていうのを潰しに行こうよ」
「え!?お、おい!ちょっと待てよ!?」
デッドは悟の提案に狼藉する。
「俺とワンダーは極力裏社会には関わらないし、そういうのは青桐組単体でやってくれ…」
「いいじゃん、せっかくドイツに来たんだし、ついでに潰そうよ」
「悟、あのな?」
デッドは悟を諭す。
「命とかを狙われない限り俺とワンダーは先に裏社会の人間に手を出す事はしないし、あくまで俺達がやるのは仲間や友達を守る事と救出、そして殺し屋からの自衛だ、もし俺とワンダーが青桐組と結託して敵対組織を潰したらそれは裏社会の人間達によって殺された人達への冒涜になっちまう、だから俺たちは極力先制攻撃をする事はしないんだ、英二とは友達だけどな」
「…」
悟は完全に言いくるめられた。
…結局、負傷した黒服はベルリンに着いたついでに支部に送り届けようという話になった。
ジープは着々とベルリンに近づいていった。
「デッドさん。ありがとうございます、こんな一人の組員の為に…」
「なあに、いいんだ」
その時だった。
ババババババッ!
「「「「!?」」」」
突如、マシンガンの音が聞こえ、ジープが動かなくなった。
「タイヤをやりやがったッ!」
「あっ、あいつらだっ!あいつらが戻ってきた!」
黒服が思い出した様に叫ぶ。
「あいつらって、もしかしてあの科学者達の事なの!?」
「はいっ!」
「くそっ!」
デッドが外に出ようとする。
「気をつけてッ!毒ガスがッ!」
「くそっ!そうだったな!」
デッドは間一髪、ドアを開けようとする手を止める。
既にジープの周りを黄色い霧が覆っていた。
「こんなんじゃ、身動きが取れねえ…!」
「どうしよう…!」
流石のワンダーも焦っていた。
外には黒服が言ってた不審車両が見える。
そこから、例の科学者とその同伴者らしき男達3人が出てきた。
科学者の老人は、いかにもマッドサイエンティストの様な風貌をしている。
「やっぱりあいつだぁ…!」
黒服はその姿を見て更に怯えた。
突然、科学者の同伴者の一人が叫んだ。
「もうこれで身動きは取れまい!諦めて出てこいッ!」
もう一人の同伴者はなおも遠距離からジープに毒ガスを吹き付けており、もう一人はカメラを向けている。
「チッ、奴ら、本当にこの動画を送りつけるつもりだ…」
デッドが舌打ちをした。
「ど、どうしよう」
悟が不安げに喋る。
その時、毒ガスを吹き付けていた同伴者が言った。
「もう面倒だッ!車に穴を開けようッ!」
「!?マジかよぉ…ッ!また俺のジープが壊され…!」
「なにか、なにかいい手は…」
ワンダーは必死に考える。
そうこうしている内に、その同伴者は手榴弾を持ってきた。
「…」
ワンダーは思い出す。
同伴者は確かに毒ガスをこのジープに吹き付けていたが、吹き付ける向きはどうだったろうか。
どれだけジープの周りに霧を立てようが、下に霧が無かったらそこさえ通れれば希望はある。
「…あっ!ひらめいた!悟!ナイフを貸して!」
「えっ?いいけど」
ワンダーは悟から合金ナイフを借りて、ジープの底に穴を開けていく。
「ちょ、ワンダー!?」
デッドは驚くが、ワンダーの手は止まらない。
「…よしっ!ここに霧はないっ!」
穴が貫通して、ワンダーはそう言い切った。
ワンダーはその穴を通り抜け、ジープの下に隠れる形になる。
その中でワンダーはディスードを抜き、魔力を送ってサンダーディスードにする。
そして、同伴者がついに手榴弾を投げようとしたその時!
ズバッ!
ワンダーは息を止めながらジープの下から飛んできて、勢いよくその同伴者を斬った!
「ぐあっ!」
バタっ…
同伴者は気絶した。
「うわっ!なんだ!?」
ズバッ!
ジープにカメラを向けていた同伴者も、即座に斬られる。
ズバッ!
最後の一人も、斬られた。
「よし、後はあの科学者だけ…あれ?」
ワンダーは辺りを見回すが、科学者はいない。
「あれ?消えた?」
ワンダーは困惑してると、突如不審車両が動き出した!
ブウウウウウウウウウンッ!
不審車両はワンダーに突進してきた。
「うわっ!」
ワンダーは驚きながらも、華麗に避ける。
「よーし!」
ズバッ!
ワンダーはスラッシュを放ち、不審車両のタイヤを一輪づつ破壊していく。
四輪全てを破壊し終わり、不審車両は動かなくなった。
「この中に、あの科学者が…」
ドガァアアアアアアアアアアンッ!
直後、不審車両は爆発した…
ジープの周りの霧が晴れ、デッド達は車の外に出た。
そしてすぐさま、倒れているワンダーに駆け寄った。
「ワンダー、大丈夫か!?」
「う、うん…半妖精で良かったよ…」
どうやら難は逃れているらしい。
「まさか…あの科学者は、自爆したのか?」
黒服はそう呟く。
「そうらしいね…」
プシュウウウウウウウウ!
「「「!?」」」
その時、何かが吹かれる音がした。
ワンダー、デッド、黒服はすぐに音がした方向に振り返った。
そこには、息が絶え絶えになって膝をついている悟の姿があった。
「悟ッ!おいっ!おいッ!」
デッドが悟に近づき必死に呼びかける。
悟の近くには、頭部にスプレーの発射口の様な物がついているロボット犬がいた。
「このっ!」
ドガンッ!
デッドはレッダーを飛ばし、ロボット犬を粉々にする。
「この不審車両が爆発した時に、どさくさに紛れて出てきたって事か…!」
デッドは悔しそうに呟く。
すると、ロボット犬の破片と一緒に散らばった小型の機械から謎の音声が聞こえた。
「その子供を救いたければ、ネオナチ軍団の本部に来い」
機械はその音声を出し終えると爆発し、粉々になった。
悟を抱えているデッドとワンダーは、黒服の案内でネオナチ軍団の本部玄関前にいた。
「ここが、ネオナチ軍団本部です」
「ここか…悟、大丈夫だよ」
「よし…入るぞ」
『待て』
玄関にあるスピーカーから、3人はそう言われた。
『まず、武器を捨てろ』
「「「!」」」
スピーカーの命令に3人は固まった。
ワンダーはディスードが無いとただ空を飛べる生命力が強いだけの人間に弱体化してしまう。
デッドもベレッタ92を持っているが、元々身体能力と腕力がエゲツナイため問題はない。
黒服はそもそも人間である。
しかし、この命令で3人は大幅に力を削がれてしまった。
悟を抱えたデッドと他2人は廊下のそこかしこにあるスピーカーの案内を受け、とある広い部屋に着いた。
そこは、2つの巨大ロケットが置かれていた。
しばたくして、壁に掛けられている巨大モニターにあの科学者が映った。
「ようこそ、私の究極完成品鑑賞室へ、私の名はヘフルス・リングルス」
「そんな…お、お前は、あの自爆した車の中にッ…」
ワンダーは狼藉する。
「あれは身代わりだ、中身は青年さ」
ヘフルスは驚きの事実を言い、話を続ける。
「始めに言っておこう、青桐組ドイツ支部とポーランド支部は壊滅する」
「は、はぁ!?なんでだよ!」
黒服が怒鳴る。
「この私の長年の研究の賜物、ネオV1とネオV2によってだ」
「V1とV2…?それって、ナチスのロケット兵器だよな…」
デッドがそう呟く。
「そうだ、そのロケットの後継者に毒ガスを積み、ドイツ支部とポーランド支部に直撃させる」
「う…そ…」
悟は呼吸を途切らせながらもそう絶望する。
「そ、そんな事したら大事になるぞ!」
ワンダーはそうヘフルスに叫ぶ。
「大丈夫だ、青桐組の建物にだけ当てる、それにポーランドはロシアのミサイルをまともに防げない程防空能力が低い」
「…待って、もしかして、悟の治療と引き換えに僕達にこの2つのロケットの発射スイッチを押せって言うんじゃないだろうね…」
ワンダーはヘフルスにそう指摘する。
「ご名答」
ヘフルスがそう答えると、床に穴が空きそこから一つのスイッチ台が現れた。
「そのスイッチを押してくれたら、その子供に解毒剤を飲ませよう、拒否するなら、君達はその子供を見殺しにする事になる」
「な、なんで俺たちにそんな事させるんだっ!」
黒服がそう怒鳴る。
「この部屋には隠しカメラがある、この様子を録画して青桐組に送りつけ、このネオナチ軍団の強大さをアピールする」
「…」
ワンダーは悩んだ。
発射スイッチを押した後ロケットを無力化できればいいのだが、ディスードがない。
空を飛べてもロケットの中身を取り出せなければ意味がない。
「…はっ!」
その時、デッドが何かをひらめいた。
「ワンダー、俺が押す」
「「!?」」
ワンダーと黒服は驚愕した。
「デ、デッドさん、なんで」
「いいから、俺が押す」
デッドは黒服にそう言うとズカズカと発射スイッチ台の前に来て…
ポチッ
押した。
次の瞬間!
バッ!
デッドはいつ取り出したのか、悟のナイフをワンダーに投げ渡した。
「ワンダーッ!それでロケットを無力化しろっ!!!!」
デッドはそう叫ぶと地面に悟を置き、大きくジャンプし、空中で巨大レッダーを作り、投げた。
ドガァアアアアアアアアアアアアアアンッ!
いつのまにか閉ざされていた部屋の出口が無理やり開けられた。
モニター内のヘフルスは口をあんぐり開けていた。
「まさかその子供も武器を持ってたとはッ、い、今に見てろ」
ヘフルスはそう言うとモニターの画面は真っ暗になった。
「おいッ、いくぞ」
「は、はいっ」
デッドは黒服を連れて部屋を出ていった。
「…デッド…ようし」
ワンダーはデッドに渡された悟の合金ナイフを、握りしめた。
「悟、大丈夫だよ、あと少し待っててね」
バッ!
ワンダーは地面に横たわっている悟にそう言うと、いつものごとく羽を生やして飛び、ロケットに近づこうとするが…
ビタッ!
「いてて…」
ロケットとワンダーに間に透明ガラスがあった。
ウイィィィィィィィン…
天井が真っ二つに分かれて空が見え、今まさに2つのロケットが発射されそうになっている。
「不味い…」
ワンダーは急いでナイフで透明ガラスに穴を開け、そこから侵入し、ようやくロケットに接触した。
しかしロケットの下はもう煙が満ち満ちており、もう時間がない。
「ええい!なんとかなれぇぇぇぇ!」
ワンダーはそう叫び、一つ目のロケットにナイフで穴を開けた。
すると、そこから黄色のガスが漏れ出してきた。
「ビンゴ!ちょうどここら辺だ!」
ワンダーは空中でガッツポーズをして、ガスが漏れ出た周辺に次々と穴を開けていく。
そして、一つ目のロケットからガスは出なくなった。
「あと残り一つッ…」
ワンダーは二つ目のロケットも始末しようと振り返るが、遅かった。
ワンダーが振り返った直後、ロケットがネオナチ軍団本部から発射された。
「間に合わないッ!」
ワンダーは数秒の間、考えた。
ワンダーの飛行速度ではロケットには追いつけない。
なら、どうすればいいか。
答えは、案外すぐ出た。
「…そうだっ!」
ワンダーは靴の紐を抜き取り、ナイフに結びつけた。
そして、勢いよくそれを振り回して…
ブォンッ!!!!!
砲丸投げの様に、投げた!
ナイフは一直線に飛んでゆき…
ズボッ!!!
ロケットを貫いた!
ワンダーは空中で落ちてきたナイフを受け取って…
ブォンッ!!!!!
また投げて、今度も貫いた!
結果として、二つ目のロケットには合計穴が4つ開いた。
幸い、二つ目はポーランド行きロケット。
後は、青桐組ポーランド支部に着弾するまでにガスが全部抜かれるかどうか祈るだけだ。
「ハァ…ハァ…これで、ひとまずやれる事はやった、後は…」
疲弊したワンダーは、空中でロケットを見送ると同時にネオナチ軍団本部の建物を見据えた。
ネオナチ軍団本部では、デッドが大暴れしていた。
デッドが軍団員の気を引きつけている間に、黒服が解毒剤を探している。
「どこだ、どこだ解毒剤は…」
黒服はデッドが気絶させた軍団員のマシンガンを拝借して行動している。
幸い、デッドの始末にほとんどの軍団員達が向かっているので黒服はスムーズに捜索ができた。
しかし、未だ解毒剤は見つけられてない。
「くそぉ…」
「ま、待てぇぇ!」
「待てと言われて待つやつがいるかぁ!」
ドガァアアアアアアアアアアアアアアンッ!
ガラガラッ!
デッドは廊下でレッダーを放ち、軍団員が瓦礫で来れない様にしながら逃げる。
「よしよし、なんとか引きつけれてるぞ…」
デッドは瓦礫で自分の後ろの通路が塞がれるのを見届けて、前に振り返った。
そこには、2メートルはあろう特殊機動隊の様な装備をしている大男がいた。
「お、お前は」
「ヘフルスさんの命令で、お前を殺す」
バババババババババッ!!!
男はそう言い放ち、プライマリーウェポンをデッドに向かって乱射する。
ダッ!
廊下という狭いフィールドの中で、デッドはそれを急いで避け、壁ジャンプをしてレッダーを放つ。
ドガァアアンッ!
レッダーが男に直撃するが、吹っ飛ばされただけでまだ撃ってくる。
「なんていう耐久力だよ…」
デッドはなおもスレスレで弾を避け続け、次のレッダーを放とうとするが…
「チクショウ!魔力切れかッ!」
軍団員達を撹乱する為のレッダーの撃ちすぎで、デッドの魔力は底を尽きていた。
「やべッ…」
次の瞬間、プライマリーウェポンの弾がデッドを無慈悲に撃ち…
ズバッ!
…抜く事はできなかった。
男が電気を帯びながら倒れて、後ろには遠目にワンダーの姿が見えた。
「…ワンダー!」
「デッド、お待たせ、これ、玄関に捨ててたままだった!」
ワンダーは手にサンダーディスードを持っている。
どうやら、サンダースラッシュを使った様だ。
「ディスードが戻ってきたからにはもう大丈夫!」
ワンダーがそう言った瞬間、男はまたプライマリーウェポンを撃ってきた。
「嘘ッ、斬られたのにッ!?」
ワンダーは驚きながら弾を弾いていき、今度は低空飛行しながらプライマリーウェポンごと男を斬る。
ズバッ!
プライマリーウェポンは地面に落ち、男はまた倒れたが…
「…ぐああああああああああッ!」
すぐに男はまた立ち上がり、グロック19を持ってワンダーに襲いかかってきた!
バンッ!
バンッ!
バンッ!
至近距離で撃たれながらもワンダーは弾を弾いていくが…
バッ!
直後、男はグロックを捨ててナイフで飛びかかってきた!
そして、ワンダーもサンダーディスードを横に構えながら、男に飛びかかる!
ズバッ!
…ドサッ
斬られたのは、男の方だった。
「…怖かったぁ〜」
流石のワンダーも2メートルの巨人に対して何も思わないはずがなかった。
「すまないな、ウチのデーゲルが乱暴しちまって」
ネオナチ軍団のトップがワンダーとデッドの前に姿を現したのは、その時だった。
ネオナチ軍団トップはワンダーとデッド、そして解毒剤を探していた黒服を客室に招き、次の様な話をした。
今回の件については完全にマッドサイエンティストのヘフルスが引き起こした騒動である。
ネオナチ軍団全体としては青桐組に攻撃を仕掛ける様なつもりはなかったし、ロケットや毒ガスの開発も知らなかった。
それに元々ここは、ネオナチ系の組織ではなかった。
普通の裏社会の組織だった。
しかしヘフルスがこの組織に入ってきてから、ネオナチ軍団という名称になった。
そこから、ヘフルスが組織内で強大な権力を持つ様になり、トップの自分もあまり行動ができなかった。
ヘフルス・リングルスの暴走によりいつかこの組織が壊れる事は危惧していたが、今日がその日になるのかもしれなかった。
ヘフルスの老害を止めてくれたあんた達に感謝する。
ヘフルスはこっちで処罰するから、建物の損害などは有耶無耶にする。
…という内容だった。
「…本当にすまない、迷惑かけちまって」
「いや、大丈夫だ」
トップの謝罪にデッドはそう答える。
「そうだ、あんた達が連れていた子供には、もう解毒剤を飲ませてある」
「ほ、ほんとか!」
黒服が即反応する。
「ああ、命に別状はなかったぜ」
「「「良かったぁ〜!!!」」」
3人は歓声が、ネオナチ軍団本部にこだました…
数時間後 ベルリン
ベルリンのホテルに泊まっていた3人は、テレビでこんなニュースを見ていた。
「今日の午後5時すぎ、出自不明の2発のロケットがベルリンとワルシャワの二つの建物に落下しました、損害を受けた建物はどちらも青桐組という日本の組織であり、死傷者はいない模様です」
「…良かったぁ〜………」
死傷者はいないという旨を聞いて、ワンダーは安堵しベッドに寝転がった。
「お前のガス抜きが功を奏したな」
「本当だよ、少しでも手が震えてたらミスってたよ…」
「え?そんな難しかったのか?」
「ま、まあ、うん…」
あんなダイナミックな動きをしてたなんて、ワンダーは口が裂けても言えなかった…
ゲストキャラ解説
ヘフルス・リングルス
ネオナチ軍団の老人科学者。即効性の高い毒ガスとロケット2発を開発できる程の実力の持ち主。ドイツの裏社会の組織を事実上乗っ取ってしまうなど高いカリスマも持っているが、倫理観が終わっている。
デーゲル
ネオナチ軍団の戦闘員。身長2メートルもある大男。特殊機動隊員がつけている様な装備(防弾装備やプライマリーウェポン等、あとナイフ)をしていて、戦闘力はバッチリ。デッドのレッダーとワンダーの2度の電撃攻撃を耐える耐久お化け。
ネオナチ軍団トップ
ちゃんと良識がある裏社会の人間。
ドイツ ミュンヘン
ブゥウウウウウン…キキッー
「二人とも、今後の旅行の予定を言っとく」
デッドがミュンヘンのとある路傍に黒いジープを止めて、ワンダーと悟にそう話す。
「まずこのジープを使ってミュンヘンからベルリンに行き、そこの世界移動装置を使いラグナ王国へ移動、ラグナでの観光を終えたらまたベルリンに戻ってきて今度はデンマークに向かう、そしてそのままスウェーデンに入りストックホルムに到着、そして更に移動して最後はフィンランドのヘルシンキでゴールだ」
「つまりは、車観光って事か」
「そうだ、ワンダー、オーストリアやチェコなんかにもいきたがったが、悟はこういう走りながらの観光の方が好きだろ?」
「…まあ、うん」
「じゃあ、いくぜ!」
ブォオオオオン…
デッドはペダルを踏み、ジープは勢いよく走り出した…
ブォオオオオン…
ジープはどんどんと道路を突き進んでいく。
悟はすっかり外の景色の虜になっていた。
その時だった。
「……ん?」
悟が何かを見つけた。
「……!デッド、止めて」
「え?ど、どうした、悟?」
「なんかあったの?」
「あそこに倒れてる人、青桐組の組員かもしれないっ、早く止めてっ」
「ええっ!?」「なにっ!?」
ワンダーとデッドは同時に驚く。
キキイイイイイイ…
デッドは急いでブレーキをかけて、ジープから降りる。
ワンダーと悟もそれに続いた。
3人は急いで倒れている人間の元に駆け寄った。
デッドは、その人間の正体に気づいた。
「…黒服だ…」
その人間は、青桐組の制服とも言える黒服姿の男であった。
男は傷だらけだ。
「だ、大丈夫ですか?」
ワンダーが男に問いかける。
「デッド、一回ジープの中で休ませよう」
「ああ」
デッドはワンダーの提案を飲んで、男を運んで行った。
「………うぅーーん…」
しばらくして、男が目を覚ました。
「お、覚めたみたいだな」
「大丈夫?怪我はないですか?」
ワンダーは男の腕に包帯を巻いていた。
男の体の至る所に湿布や包帯がある。
「……あ、もしかしてあなた達は」
「あ、目、覚ました?」
その時、寝ていた悟が起きた。
「あ、坊ちゃん!!ようこそドイツへ!」
黒服が悟に気づいた。
「そ、それで、もしかしてあなた達はワンダーさんとデッドさんじゃ…」
「うん、そうだよ」
「ああ」
「おお!ボスのご友人が旅行で俺を助けてくれるとは!ありがとうございますッ!」
黒服は二人に頭を下げた。
「よしてよ、照れるなぁ〜」
ワンダーの頬が赤くなる。
「あっ、そ、そうだ、こんな事してる場合じゃないッ!…うっ!」
黒服の傷はまだ痛む様だ。
「なにがあったの」
悟が黒服に聞く。
「そ、それは…重大事なので言えませ」
「ボスの息子の頼みなんだけど」
「あ、はい…えー…実は…」
「「「ネオナチ軍団?」」」
「はい…」
黒服の口から飛び出した単語に、3人は首を傾げる。
「デッド、ネオナチってなんだっけ…」
「確か、ナチスやヒトラーを崇拝する様な奴らの事を言うんだが…、その軍団ってどういう事だ?」
「はい、俺ら青桐組ドイツ支部と敵対している組織の一つなんですが、その軍団に所属している科学者がある日突然『貴様らはこのドイツの地を穢す邪悪な悪魔達だ』なんて事が書かれた手紙を支部に送ってきて…」
「おいおい、そんな奴が現代にいるのかよ」
デッドがあからさまに呆れる。
「はい、弱者の寝言だって事で俺らは無視してたんですよ、しかしですね、今日…」
そこからその黒服の言った事はこうだ。
仕事で銃火器類諸々をミュンヘンに運んでいる途中、不審車両に出会った。その車は明らかに自分達の車をつけて来ていた。だから車を止めてどういうつもりなのか問いただしてやろうと思い、自分ともう一人の仲間の黒服が実際にそうしたらその不審車両の窓からいきなりシュールストレミングの様な物を投げられた。その物体の中から毒ガスらしき物がもわもわと出てきて、自分は咄嗟に息を止めたが、一緒に外に出た黒服はうっかりそれを吸って倒れた。そして不審車両からいかにも科学者の様な風貌の男が出てきてこう言った。
『じきに貴様らは、この毒ガスによって滅せられる』
自分は急いで倒れた黒服の脈を見た。
倒れた黒服は、死んでいた。
自分が叫び声を上げると、車の中に残っていた二人の黒服が出てきて、二人とも短機関銃でその科学者を撃った。
しかし、効果は無かった。何故ならその科学者は防弾チョッキを着ていた。
二人はそれに気づいたは気づいたが時既に遅し、二人とも不審車両から出てきた科学者の同伴者による毒ガススプレー攻撃を受けて倒れた。
自分は車に乗って逃げたが、不審車両は追いかけてきた。
やがてマシンガンで車のタイヤを破壊され、自分は科学者の同伴者に捕まった。
そして路上でリンチされ、ボロボロの姿になり、あと少しという所まで殺されかけた。
しかし、ポケットにしまっておいた目潰し閃光弾を爆発させ、九死に一生を得てその場から逃げ出せたが…
………結局、ボロボロの体でミュンヘンにいく事なんか出来ず、道端で倒れた所をワンダー達に助けてもらった…。
「………っていう事です」
「な、なにその科学者…頭どうなってんの?」
ワンダーはドン引きしていた。
「しっかし、そいつらは何が目的だったんだ?」
「奴らは終始カメラを向けていました、恐らく、毒ガスの効果と自分達の恐ろしさを支部に送りつけるつもりだったんでしょう」
「マジか…」
「…せない」
「え?悟、何か言ったか?」
「…許せない」
「「「!」」」
他の3人は驚いた。
「デッド、そのネオナチ軍団っていうのを潰しに行こうよ」
「え!?お、おい!ちょっと待てよ!?」
デッドは悟の提案に狼藉する。
「俺とワンダーは極力裏社会には関わらないし、そういうのは青桐組単体でやってくれ…」
「いいじゃん、せっかくドイツに来たんだし、ついでに潰そうよ」
「悟、あのな?」
デッドは悟を諭す。
「命とかを狙われない限り俺とワンダーは先に裏社会の人間に手を出す事はしないし、あくまで俺達がやるのは仲間や友達を守る事と救出、そして殺し屋からの自衛だ、もし俺とワンダーが青桐組と結託して敵対組織を潰したらそれは裏社会の人間達によって殺された人達への冒涜になっちまう、だから俺たちは極力先制攻撃をする事はしないんだ、英二とは友達だけどな」
「…」
悟は完全に言いくるめられた。
…結局、負傷した黒服はベルリンに着いたついでに支部に送り届けようという話になった。
ジープは着々とベルリンに近づいていった。
「デッドさん。ありがとうございます、こんな一人の組員の為に…」
「なあに、いいんだ」
その時だった。
ババババババッ!
「「「「!?」」」」
突如、マシンガンの音が聞こえ、ジープが動かなくなった。
「タイヤをやりやがったッ!」
「あっ、あいつらだっ!あいつらが戻ってきた!」
黒服が思い出した様に叫ぶ。
「あいつらって、もしかしてあの科学者達の事なの!?」
「はいっ!」
「くそっ!」
デッドが外に出ようとする。
「気をつけてッ!毒ガスがッ!」
「くそっ!そうだったな!」
デッドは間一髪、ドアを開けようとする手を止める。
既にジープの周りを黄色い霧が覆っていた。
「こんなんじゃ、身動きが取れねえ…!」
「どうしよう…!」
流石のワンダーも焦っていた。
外には黒服が言ってた不審車両が見える。
そこから、例の科学者とその同伴者らしき男達3人が出てきた。
科学者の老人は、いかにもマッドサイエンティストの様な風貌をしている。
「やっぱりあいつだぁ…!」
黒服はその姿を見て更に怯えた。
突然、科学者の同伴者の一人が叫んだ。
「もうこれで身動きは取れまい!諦めて出てこいッ!」
もう一人の同伴者はなおも遠距離からジープに毒ガスを吹き付けており、もう一人はカメラを向けている。
「チッ、奴ら、本当にこの動画を送りつけるつもりだ…」
デッドが舌打ちをした。
「ど、どうしよう」
悟が不安げに喋る。
その時、毒ガスを吹き付けていた同伴者が言った。
「もう面倒だッ!車に穴を開けようッ!」
「!?マジかよぉ…ッ!また俺のジープが壊され…!」
「なにか、なにかいい手は…」
ワンダーは必死に考える。
そうこうしている内に、その同伴者は手榴弾を持ってきた。
「…」
ワンダーは思い出す。
同伴者は確かに毒ガスをこのジープに吹き付けていたが、吹き付ける向きはどうだったろうか。
どれだけジープの周りに霧を立てようが、下に霧が無かったらそこさえ通れれば希望はある。
「…あっ!ひらめいた!悟!ナイフを貸して!」
「えっ?いいけど」
ワンダーは悟から合金ナイフを借りて、ジープの底に穴を開けていく。
「ちょ、ワンダー!?」
デッドは驚くが、ワンダーの手は止まらない。
「…よしっ!ここに霧はないっ!」
穴が貫通して、ワンダーはそう言い切った。
ワンダーはその穴を通り抜け、ジープの下に隠れる形になる。
その中でワンダーはディスードを抜き、魔力を送ってサンダーディスードにする。
そして、同伴者がついに手榴弾を投げようとしたその時!
ズバッ!
ワンダーは息を止めながらジープの下から飛んできて、勢いよくその同伴者を斬った!
「ぐあっ!」
バタっ…
同伴者は気絶した。
「うわっ!なんだ!?」
ズバッ!
ジープにカメラを向けていた同伴者も、即座に斬られる。
ズバッ!
最後の一人も、斬られた。
「よし、後はあの科学者だけ…あれ?」
ワンダーは辺りを見回すが、科学者はいない。
「あれ?消えた?」
ワンダーは困惑してると、突如不審車両が動き出した!
ブウウウウウウウウウンッ!
不審車両はワンダーに突進してきた。
「うわっ!」
ワンダーは驚きながらも、華麗に避ける。
「よーし!」
ズバッ!
ワンダーはスラッシュを放ち、不審車両のタイヤを一輪づつ破壊していく。
四輪全てを破壊し終わり、不審車両は動かなくなった。
「この中に、あの科学者が…」
ドガァアアアアアアアアアアンッ!
直後、不審車両は爆発した…
ジープの周りの霧が晴れ、デッド達は車の外に出た。
そしてすぐさま、倒れているワンダーに駆け寄った。
「ワンダー、大丈夫か!?」
「う、うん…半妖精で良かったよ…」
どうやら難は逃れているらしい。
「まさか…あの科学者は、自爆したのか?」
黒服はそう呟く。
「そうらしいね…」
プシュウウウウウウウウ!
「「「!?」」」
その時、何かが吹かれる音がした。
ワンダー、デッド、黒服はすぐに音がした方向に振り返った。
そこには、息が絶え絶えになって膝をついている悟の姿があった。
「悟ッ!おいっ!おいッ!」
デッドが悟に近づき必死に呼びかける。
悟の近くには、頭部にスプレーの発射口の様な物がついているロボット犬がいた。
「このっ!」
ドガンッ!
デッドはレッダーを飛ばし、ロボット犬を粉々にする。
「この不審車両が爆発した時に、どさくさに紛れて出てきたって事か…!」
デッドは悔しそうに呟く。
すると、ロボット犬の破片と一緒に散らばった小型の機械から謎の音声が聞こえた。
「その子供を救いたければ、ネオナチ軍団の本部に来い」
機械はその音声を出し終えると爆発し、粉々になった。
悟を抱えているデッドとワンダーは、黒服の案内でネオナチ軍団の本部玄関前にいた。
「ここが、ネオナチ軍団本部です」
「ここか…悟、大丈夫だよ」
「よし…入るぞ」
『待て』
玄関にあるスピーカーから、3人はそう言われた。
『まず、武器を捨てろ』
「「「!」」」
スピーカーの命令に3人は固まった。
ワンダーはディスードが無いとただ空を飛べる生命力が強いだけの人間に弱体化してしまう。
デッドもベレッタ92を持っているが、元々身体能力と腕力がエゲツナイため問題はない。
黒服はそもそも人間である。
しかし、この命令で3人は大幅に力を削がれてしまった。
悟を抱えたデッドと他2人は廊下のそこかしこにあるスピーカーの案内を受け、とある広い部屋に着いた。
そこは、2つの巨大ロケットが置かれていた。
しばたくして、壁に掛けられている巨大モニターにあの科学者が映った。
「ようこそ、私の究極完成品鑑賞室へ、私の名はヘフルス・リングルス」
「そんな…お、お前は、あの自爆した車の中にッ…」
ワンダーは狼藉する。
「あれは身代わりだ、中身は青年さ」
ヘフルスは驚きの事実を言い、話を続ける。
「始めに言っておこう、青桐組ドイツ支部とポーランド支部は壊滅する」
「は、はぁ!?なんでだよ!」
黒服が怒鳴る。
「この私の長年の研究の賜物、ネオV1とネオV2によってだ」
「V1とV2…?それって、ナチスのロケット兵器だよな…」
デッドがそう呟く。
「そうだ、そのロケットの後継者に毒ガスを積み、ドイツ支部とポーランド支部に直撃させる」
「う…そ…」
悟は呼吸を途切らせながらもそう絶望する。
「そ、そんな事したら大事になるぞ!」
ワンダーはそうヘフルスに叫ぶ。
「大丈夫だ、青桐組の建物にだけ当てる、それにポーランドはロシアのミサイルをまともに防げない程防空能力が低い」
「…待って、もしかして、悟の治療と引き換えに僕達にこの2つのロケットの発射スイッチを押せって言うんじゃないだろうね…」
ワンダーはヘフルスにそう指摘する。
「ご名答」
ヘフルスがそう答えると、床に穴が空きそこから一つのスイッチ台が現れた。
「そのスイッチを押してくれたら、その子供に解毒剤を飲ませよう、拒否するなら、君達はその子供を見殺しにする事になる」
「な、なんで俺たちにそんな事させるんだっ!」
黒服がそう怒鳴る。
「この部屋には隠しカメラがある、この様子を録画して青桐組に送りつけ、このネオナチ軍団の強大さをアピールする」
「…」
ワンダーは悩んだ。
発射スイッチを押した後ロケットを無力化できればいいのだが、ディスードがない。
空を飛べてもロケットの中身を取り出せなければ意味がない。
「…はっ!」
その時、デッドが何かをひらめいた。
「ワンダー、俺が押す」
「「!?」」
ワンダーと黒服は驚愕した。
「デ、デッドさん、なんで」
「いいから、俺が押す」
デッドは黒服にそう言うとズカズカと発射スイッチ台の前に来て…
ポチッ
押した。
次の瞬間!
バッ!
デッドはいつ取り出したのか、悟のナイフをワンダーに投げ渡した。
「ワンダーッ!それでロケットを無力化しろっ!!!!」
デッドはそう叫ぶと地面に悟を置き、大きくジャンプし、空中で巨大レッダーを作り、投げた。
ドガァアアアアアアアアアアアアアアンッ!
いつのまにか閉ざされていた部屋の出口が無理やり開けられた。
モニター内のヘフルスは口をあんぐり開けていた。
「まさかその子供も武器を持ってたとはッ、い、今に見てろ」
ヘフルスはそう言うとモニターの画面は真っ暗になった。
「おいッ、いくぞ」
「は、はいっ」
デッドは黒服を連れて部屋を出ていった。
「…デッド…ようし」
ワンダーはデッドに渡された悟の合金ナイフを、握りしめた。
「悟、大丈夫だよ、あと少し待っててね」
バッ!
ワンダーは地面に横たわっている悟にそう言うと、いつものごとく羽を生やして飛び、ロケットに近づこうとするが…
ビタッ!
「いてて…」
ロケットとワンダーに間に透明ガラスがあった。
ウイィィィィィィィン…
天井が真っ二つに分かれて空が見え、今まさに2つのロケットが発射されそうになっている。
「不味い…」
ワンダーは急いでナイフで透明ガラスに穴を開け、そこから侵入し、ようやくロケットに接触した。
しかしロケットの下はもう煙が満ち満ちており、もう時間がない。
「ええい!なんとかなれぇぇぇぇ!」
ワンダーはそう叫び、一つ目のロケットにナイフで穴を開けた。
すると、そこから黄色のガスが漏れ出してきた。
「ビンゴ!ちょうどここら辺だ!」
ワンダーは空中でガッツポーズをして、ガスが漏れ出た周辺に次々と穴を開けていく。
そして、一つ目のロケットからガスは出なくなった。
「あと残り一つッ…」
ワンダーは二つ目のロケットも始末しようと振り返るが、遅かった。
ワンダーが振り返った直後、ロケットがネオナチ軍団本部から発射された。
「間に合わないッ!」
ワンダーは数秒の間、考えた。
ワンダーの飛行速度ではロケットには追いつけない。
なら、どうすればいいか。
答えは、案外すぐ出た。
「…そうだっ!」
ワンダーは靴の紐を抜き取り、ナイフに結びつけた。
そして、勢いよくそれを振り回して…
ブォンッ!!!!!
砲丸投げの様に、投げた!
ナイフは一直線に飛んでゆき…
ズボッ!!!
ロケットを貫いた!
ワンダーは空中で落ちてきたナイフを受け取って…
ブォンッ!!!!!
また投げて、今度も貫いた!
結果として、二つ目のロケットには合計穴が4つ開いた。
幸い、二つ目はポーランド行きロケット。
後は、青桐組ポーランド支部に着弾するまでにガスが全部抜かれるかどうか祈るだけだ。
「ハァ…ハァ…これで、ひとまずやれる事はやった、後は…」
疲弊したワンダーは、空中でロケットを見送ると同時にネオナチ軍団本部の建物を見据えた。
ネオナチ軍団本部では、デッドが大暴れしていた。
デッドが軍団員の気を引きつけている間に、黒服が解毒剤を探している。
「どこだ、どこだ解毒剤は…」
黒服はデッドが気絶させた軍団員のマシンガンを拝借して行動している。
幸い、デッドの始末にほとんどの軍団員達が向かっているので黒服はスムーズに捜索ができた。
しかし、未だ解毒剤は見つけられてない。
「くそぉ…」
「ま、待てぇぇ!」
「待てと言われて待つやつがいるかぁ!」
ドガァアアアアアアアアアアアアアアンッ!
ガラガラッ!
デッドは廊下でレッダーを放ち、軍団員が瓦礫で来れない様にしながら逃げる。
「よしよし、なんとか引きつけれてるぞ…」
デッドは瓦礫で自分の後ろの通路が塞がれるのを見届けて、前に振り返った。
そこには、2メートルはあろう特殊機動隊の様な装備をしている大男がいた。
「お、お前は」
「ヘフルスさんの命令で、お前を殺す」
バババババババババッ!!!
男はそう言い放ち、プライマリーウェポンをデッドに向かって乱射する。
ダッ!
廊下という狭いフィールドの中で、デッドはそれを急いで避け、壁ジャンプをしてレッダーを放つ。
ドガァアアンッ!
レッダーが男に直撃するが、吹っ飛ばされただけでまだ撃ってくる。
「なんていう耐久力だよ…」
デッドはなおもスレスレで弾を避け続け、次のレッダーを放とうとするが…
「チクショウ!魔力切れかッ!」
軍団員達を撹乱する為のレッダーの撃ちすぎで、デッドの魔力は底を尽きていた。
「やべッ…」
次の瞬間、プライマリーウェポンの弾がデッドを無慈悲に撃ち…
ズバッ!
…抜く事はできなかった。
男が電気を帯びながら倒れて、後ろには遠目にワンダーの姿が見えた。
「…ワンダー!」
「デッド、お待たせ、これ、玄関に捨ててたままだった!」
ワンダーは手にサンダーディスードを持っている。
どうやら、サンダースラッシュを使った様だ。
「ディスードが戻ってきたからにはもう大丈夫!」
ワンダーがそう言った瞬間、男はまたプライマリーウェポンを撃ってきた。
「嘘ッ、斬られたのにッ!?」
ワンダーは驚きながら弾を弾いていき、今度は低空飛行しながらプライマリーウェポンごと男を斬る。
ズバッ!
プライマリーウェポンは地面に落ち、男はまた倒れたが…
「…ぐああああああああああッ!」
すぐに男はまた立ち上がり、グロック19を持ってワンダーに襲いかかってきた!
バンッ!
バンッ!
バンッ!
至近距離で撃たれながらもワンダーは弾を弾いていくが…
バッ!
直後、男はグロックを捨ててナイフで飛びかかってきた!
そして、ワンダーもサンダーディスードを横に構えながら、男に飛びかかる!
ズバッ!
…ドサッ
斬られたのは、男の方だった。
「…怖かったぁ〜」
流石のワンダーも2メートルの巨人に対して何も思わないはずがなかった。
「すまないな、ウチのデーゲルが乱暴しちまって」
ネオナチ軍団のトップがワンダーとデッドの前に姿を現したのは、その時だった。
ネオナチ軍団トップはワンダーとデッド、そして解毒剤を探していた黒服を客室に招き、次の様な話をした。
今回の件については完全にマッドサイエンティストのヘフルスが引き起こした騒動である。
ネオナチ軍団全体としては青桐組に攻撃を仕掛ける様なつもりはなかったし、ロケットや毒ガスの開発も知らなかった。
それに元々ここは、ネオナチ系の組織ではなかった。
普通の裏社会の組織だった。
しかしヘフルスがこの組織に入ってきてから、ネオナチ軍団という名称になった。
そこから、ヘフルスが組織内で強大な権力を持つ様になり、トップの自分もあまり行動ができなかった。
ヘフルス・リングルスの暴走によりいつかこの組織が壊れる事は危惧していたが、今日がその日になるのかもしれなかった。
ヘフルスの老害を止めてくれたあんた達に感謝する。
ヘフルスはこっちで処罰するから、建物の損害などは有耶無耶にする。
…という内容だった。
「…本当にすまない、迷惑かけちまって」
「いや、大丈夫だ」
トップの謝罪にデッドはそう答える。
「そうだ、あんた達が連れていた子供には、もう解毒剤を飲ませてある」
「ほ、ほんとか!」
黒服が即反応する。
「ああ、命に別状はなかったぜ」
「「「良かったぁ〜!!!」」」
3人は歓声が、ネオナチ軍団本部にこだました…
数時間後 ベルリン
ベルリンのホテルに泊まっていた3人は、テレビでこんなニュースを見ていた。
「今日の午後5時すぎ、出自不明の2発のロケットがベルリンとワルシャワの二つの建物に落下しました、損害を受けた建物はどちらも青桐組という日本の組織であり、死傷者はいない模様です」
「…良かったぁ〜………」
死傷者はいないという旨を聞いて、ワンダーは安堵しベッドに寝転がった。
「お前のガス抜きが功を奏したな」
「本当だよ、少しでも手が震えてたらミスってたよ…」
「え?そんな難しかったのか?」
「ま、まあ、うん…」
あんなダイナミックな動きをしてたなんて、ワンダーは口が裂けても言えなかった…
ゲストキャラ解説
ヘフルス・リングルス
ネオナチ軍団の老人科学者。即効性の高い毒ガスとロケット2発を開発できる程の実力の持ち主。ドイツの裏社会の組織を事実上乗っ取ってしまうなど高いカリスマも持っているが、倫理観が終わっている。
デーゲル
ネオナチ軍団の戦闘員。身長2メートルもある大男。特殊機動隊員がつけている様な装備(防弾装備やプライマリーウェポン等、あとナイフ)をしていて、戦闘力はバッチリ。デッドのレッダーとワンダーの2度の電撃攻撃を耐える耐久お化け。
ネオナチ軍団トップ
ちゃんと良識がある裏社会の人間。
- 1.第一話 異世界への召喚
- 2.第二話 説得作戦
- 3.第三話 畏怖を乗せた流れ星
- 4.第四話 対決美人剣士
- 5.第五話 対面超少年
- 6.第六話 剣集めはつらいよ
- 7.第七話 剣と光弾とナイフと 前編
- 8.第八話 剣と光弾とナイフと 後編
- 9.第九話 爆弾が怒る時
- 10.第十話 黒い追跡
- 11.第十一話 迷宮攻略はワンダーにお任せ
- 12.第十二話 殺人神と呼ばれた男 前編
- 13.第十三話 殺人神と呼ばれた男 後編
- 14.第十四話 睡眠ガスに気をつけろ!
- 15.第十五話 ミラー・ワンダー
- 16.第十六話 炎斧
- 17.第十七話 私が愛したあの子
- 18.第十八話 燃えよS&W M500
- 19.第十九話 この一発で福岡に帰ろう
- 20.第二十話 斬ってよかった
- 21.第二十一話 ロシアから殺意をこめて
- 22.第二十二話 大森林危機一髪!前編
- 23.第二十三話 大森林危機一髪!後編
- 24.第二十四話 世界不思議に関する2600文字
- 25.第二十五話 ファースト・バトルオブヨーロッパ
- 26.第二十六話 乗っ取りは逆襲の音
- 27.第二十七話 我ら、ノイバ親帝派!
- 28.第二十八話 スペインに殺しの花が咲く
- 29.第二十九話 ワンダーVS奴隷軍団
- 30.第三十話 マフィアン・LOVE
- 31.第三十一話 朝シン
- 32.第三十二話 ネオ・第三帝国
- 33.第三十三話 傭兵よ永遠に
- 34.第三十四話 縁戻し
- 35.第三十五話 奴らが来た!!!
- 36.第三十六話 決戦 前編
- 37.第三十七話 決戦 後編
- 38.第三十八話 シン・青桐組とシン・ワンデドコンビ
- 39.第三十九話 香港は燃えるか…?
- 40.第四十話 魔力・キラー
- 41.第四十一話 ボム・フロム・ザ・スカイ
- 42.第四十二話 青桐一家勢揃い
- 43.第四十三話 愛ある女は己を隠す その1
- 44.第四十四話 愛ある女は己を隠す その2