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第一の警告、投稿頻度が遅い
第二の警告、悪人が味方サイド
第三の警告、いわゆるバトル物であり異世界無双物ではない
第四の警告、完全な勧善懲悪ではない
第五の警告、初投稿なので違和感あり
第六の警告、描写や解説が雑
ワンダー、デッド、悟、そして3人の獣人の子供達はイタリアのローマに来ていた。
イタリア ローマ
「じゃ、まずは青桐組イタリア支部にこの子達を預けにいこうぜ、悟、案内してくれないか?」
「もちろんだよ、デッド」
6人が支部に向けて歩いている最中、ワンダー達は獣人の子供達から奴隷生活について色々聞いていた。
「そんなにつらかったんだ…」
「その商人の部下は酷えな、日常的にお前達に罵声と暴力を浴びせていたのか?」
「うん、でも、いつも兄者が俺達を庇ってくれたんだ」
「よ、よせよ」
「そうなんだ…偉いね、君はきっと大成するよ」
ワンダーはそう言って最年長の猫耳の少年の頭を撫でる。
青桐組 イタリア支部 玄関前
ピンポーン
「はい、誰ですk…わお!悟坊ちゃん!ボスのイタリア旅行に付き合ってるのですか!?」
出てきたイタリア人の黒服は、ボスの息子が直々にこの支部を訪ねてきた事に驚愕している。
「ううん、違うの、実は…」
悟はその黒服に事情を話し終えた。
「…っていう事なんだ」
「マンマ・ミーア!そいつは大変だ!いいでしょう坊ちゃん!その獣人の子供達は我々が生活を保証しましょう!」
黒服はそう言うと、いきなり3人の子供達を抱えて支部の中に戻っていった。
「す、すごい陽気だったね…イタリア人ってああいうもんなの?」
「それ以上はやめとけ???」
デッドはワンダーをそう諭した。
バンッ!
「ぐわぁ!」
次の瞬間、すごい勢いでドアが開かれさっきの黒服が倒れてきた。
「え!?なに!?」
ワンダーが驚いてると、今度は別の黒服が出てきた。
「この馬鹿!ただでさえ忙しい時期なのに、なんで見ず知らずのガキどもの世話しなきゃいけねんだっ!」
新しい黒服はそう叫んだ。
どうやらさっき獣人の子供達を抱えて戻ってった黒服の上司であり、部下であるその黒服を突き飛ばしたらしい。
「で、でも、あの子達は可哀想な」
「知らねえよそんなのっ!今はあのマフィアどもの殲滅が先だろうがっ!」
「え〜…」
部下黒服は不服そうだった。
その時、悟が上司黒服に話しかける。
「ねえ」
「ああ?今度は誰だ……え?坊ちゃん?いつからそこに?」
悟は上司黒服に事情を話した。
「そ、そういう事情でしたか、しかし、いくら坊ちゃんの頼みでも、今はちょっと…」
「なんでなの」
「え、えっと、その…シチリアからこのイタリア本土に引っ越してきやがったマフィアがいましてね…」
「マフィア?」
「はい、ホモッサという奴らでしてね、本土に引っ越してきて、俺ら青桐組イタリア支部が仕切っている薬物取引所を明け渡せと言ってきてですね…」
「そうなんだ」
悟の表情が険しくなった、仮にも自分みたいな子供も裏社会の人間であるというプライドからか。
「当然俺らは拒否したんですが、その日から様々な妨害や工作とかされてきましてね、いつカチコミに来られてもおかしくないんですよ」
「いや、こっちから先に殲滅しようよ」
悟の口調が少し厳しくなった。
「そ、それができたら苦労はしないんですよ、でも、奴らはあまりにも影響力がありすぎる、下手に潰したら他の裏社会の組織を刺激しちまうかもしれないんですよ、そうなったらいくらこの青桐組といえどもその他の組織からの攻撃でこの支部が壊滅してイタリアでの影響力を失い、下手したら西ヨーロッパにある他の支部も危険に晒されます……ま、という訳で、今奴隷のガキ達の世話をする暇はないって事です、だから坊ちゃん、ご容赦ください…」
ローマのとあるホテル
デッドは困り果てていた。
自分の深夜テンションで奴隷を3人も連れてきて、挙げ句の果てに保護を拒否された。
デッドは布団の中にうずくまっていた。
「デ、デッド、僕達は大丈夫だから…」
ワンダーが慰めるが、状況は変わらない。
「はぁ…俺がもっと考えてれば…」
デッドの思考はネガティブな方向へいく。
「ま、まあまあ、あんまそう言う事言っちゃうとこの子達が…」
ワンダーは3人の獣人の子供達の方を見た。
子供達は3人とも複雑な表情をしてる。
「デッドの兄貴、すまねえ、俺が無理に頼んだから…」
猫耳の少年がそう自責する。
「大丈夫、誰も悪くないよ」
ワンダーがそう言うが、空気はどんよりしたままだ。
「みんな、もう寝よ」
悟のその一声で今日の旅はもう終わりになった。
いつしか6人が寝静まり、静寂な夜が訪れた。
「………う、ん…?」
目が覚めたワンダーが最初に見た光景は、見覚えのない全面コンクリートの部屋だった。
ワンダー自身は椅子に縛り付けられている。
キイィィィィ…
「目覚めたか、ワンダー君」
たった一つの金属製の扉から、一人の男が入ってきた。
「自己紹介をしよう、俺は南西ヨーロッパの裏社会の有数のマフィアであるホモッサのトップ、ドン・ゲイロンだ」
「ホモッサ…?」
「知ってるのか、俺の組織を、嬉しいな、これは改造のやる気が出てきたよ」
「え、改造…?」
「そう、君を俺らの仲間にするのさ」
その頃、ホテルのワンダー覗く5人が泊まってる部屋はうるさくなっていた。
「くそっ!またワンダーが攫われちまったッ!」
「僕、イタリア支部に捜索を届けた方がいいかな」
悟がそう提案を出す。
「いや、俺らは旅行で勝手にこのイタリアに来たのにわざわざ青桐組の仕事増やすつもりはないからしなくていいぜ、悟、しかしまいったな、SOS信号が来ない…」
その時だった。
バババババババババババババッ!
軽機関銃の弾がデッド達が泊まってる部屋のドアを蜂の巣にしていく。
「隠れろっ!」
デッドのその掛け声で悟と獣人の子供達はソファの裏に、デッドは扉の横に隠れた。
やがて、軽機関銃を持った男が部屋の中に入ってきた。
ボコッ!
デッドは腹パンでその男を気絶させる。
バババババババババババババッ!
しかし次の瞬間また別の男の軽機関銃がデッドを襲う。
バッ!
デッドは素早く男との距離を開け、小さいレッダーを放つ。
ダァンッ!
レッダーが当たった軽機関銃が衝撃で床に飛ばされた。
カチャ
そしてデッドが軽機関銃を落とした男にベレッタ92の銃口を向ける。
「うっ…」
観念した男は手を挙げて降参した。
「お前ら、何もんだ?」
「組織を裏切る事はできねえよッ!」
バッ!
しかし男は次の瞬間また軽機関銃を手に取ろうとする。
「そうかよッ!」
すかさずデッドが男に飛び掛かり、床で男を押し倒し、男の首を片手で締めていく。
「ぐあっ…」
「言え、どこのもんだ?言わねえなら次は両手だ…」
「ぐ……ホ…ホモッサ…」
「なんだと?」
「ホモッサ…だ…俺らのドン・ゲイロンが…ワンダーと言う…男を…連れてこいと……昨夜…ワンダーだけを連れてアジトに帰ったが……ぐぅぅ…ドンに…ついでに一緒にいた奴らを始末してこいと…」
「くそっ…なんて事だ、おい、アジトはどこだ?」
「うっ……ナ、ナポリだ…カハっ……」
「ナポリのどこだ」
「ぜ、全部、言うッ…」
男から詳細な位置を教えてもらったデッドは、デコピンで男を気絶させた後、悟達にこう言った。
「これから俺はナポリに行ってワンダーを助けてくる、悟とローマ、ナポリ、シチリアはここで待っててくれ」
「「「「ん?」」」」
4人の子供達は一斉に首を傾げた。
「ねえデッド、ローマ、ナポリ、シチリアってもしかしてこの子達の事言ってる?」
「あ、まあ、今思いついたんだ、名前ないと不便だからさ、最年長で猫耳のお前がローマ、その次に歳が小さいお前がナポリ、最年少のお前がシチリアだ」
「俺の名前、シチリア?なんかかっこいい!」
「兄者、俺らいい名前貰ったな!」
「う、まあな、デッドの兄貴、ありがとう」
「気に入ってくれて嬉しいぜ、じゃ、行ってくるぜ」
その頃、ホモッサのアジトでは…
「…驚いたな、もう10本目だぞ」
「くっ…うッ…こんなの、効かないよッ…」
ワンダーは椅子に拘束されたまま、ゲイロンに謎の注射器を打たれていた。
しかし効果はあまり出てないらしい。
「おい、これ本当に惚れ薬なんだよな?」
ゲイロンは注射器を持ってきたホモッサの構成員に聞く。
「はい、一本だけでもかなりの効果を発揮するはずですが…」
「なるほど、ファンタジアの人間だからか…これはますます改造しがいが出てきた」
ブゥウウウウウンッ!
黒いジープを走らせながら、デッドはナポリに向かっていた。
(ワンダー、無事でいろよ…!)
「う、うう…」
「15本目だが…もう観念したらどうだ?本能に逆らわなくていいんだぞ」
ゲイロンはワンダーにそう促す。
「やッ、やだね」
ガチャ
「ドン、緊急事態です」
一人の構成員がコンクリート部屋に入ってきた。
「なんだ、どうした」
「そのオレンジ髪の男の仲間を始末しにいった構成員からの連絡がありません」
「なに?」
「それに、このナポリに向かって爆走してくる車が一台、巡回中の準構成員が見つけたと」
「え?なんだそのどうでもいい報告は」
「実は、その車に乗っている男の特徴が、昨夜そのオレンジ髪の男と一緒に部屋に泊まっていた男にそっくりなんです」
「なんだと…?」
「ドンも聞いていたでしょ、そのオレンジ髪の男を拉致してきた構成員が、一緒に寝ていた人間達がどういうもんだったか言ってた事、その内の一人の男に瓜二つなんです」
「確かに俺はそいつにどんな同伴者だったか聞いてたな、サングラスで金髪、顔は強面だが整っていたと聞いたが…その特徴と同じなのか?」
「はい」
「不味いな、二人も構成員がやられたとなれば、どちらかから情報を抜き出しているかもしれん、その車を見つけ、尾行しろ、そしてその男から車から降りて隙を見せたら、始末しろ、ホモッサの情報網を目に物見せてやれ」
デッドのジープは既にナポリ市内に入り、どこか止めれる所を探していた。
「スマホだとここがホモッサのアジトらしいな…よし、なるべくこの近くに止めるとするか」
デッドはジープを道路の隅に留めて、ついに車内から出た。
「ここみたいに留めてる車がたくさんあれば例えワンダーを助けて追っ手が来たとしても銃撃は出来ないだろ…」
「おい、あいつだ」
「よし、しっかり狙え」
デッドが車から降りている時、二人の男がサイレンサー銃の標準を合わせていた。
「いくぞ、3、2、1…」
片方の男がデッドに向けてサイレンサー銃の火を吹こうとしたその時!
ブゥウウウウウン…
「!!」
「くそっ!」
デッドの真横を一台の黒いセダンが通り、サイレンサー銃の狙いを狂わした。
セダンが何処かへ行った時、デッドの姿はもう無かった。
「追うぞ!」
「ああ!」
その頃、ホテルでは…
「「「「…」」」」
悟、ナポリ、ローマ、シチリアがただただ二人の帰りを待っていた。
ワンダー救出に向かうデッドに何かしてあげたかったが、ああ言われた以上待つしかない。
それに下手に自分達の様な子供が動けば、事態は悪化してしまうかもしれない。
「…」
内心悟ははがゆい思いをしていたが、しょうがないと割り切った。
「不味いぞ、あいつ、俺らのアジトに向かう気だ」
「くそっ、よし、銃を貸してくれ」
男はデッドを撃とうとした男から銃を借り、デッドに一気に近づいた。
そして、デッドの背中に周りから見えない様に深くその銃を当てた。
「動くな」
二人の男はデッドの前後に立ち、デッドの行進を阻止した。
「お前、ワンダーという男の同伴者だな?」
「…あ?なんの事だ?」
「その口の聞き方、俺らが何もんか知らねえ様だな」
「ぜひ、教えてくれよ、あの軽機関銃男の様にッ!」
ドガッ!
ドガッ!
デッドはそう言った瞬間に体の軸を一回転させ、右手で前方の男を、左足で後方の男をどついて吹っ飛ばした。
「ぐぉっ!」
「ぐぇっ」
二人の男が別々の方向に吹っ飛ばされたのを見て、デッドは自慢の身体能力で速やかにそこを離れた。
「な、なんだ、今の、攻撃速度は…あのまま野放しにしておくと、アジトがまずい…」
デッドの前方にいた男が震える手でスマホを取り出した。
ピピピピ…
「ドン!ドン!大変です!ワンダーの同伴者が今そっちに向かっています!」
「なに!何故始末しなかった!」
「あと一歩まで追い詰めたんですが、奴は普通の人間じゃないです!」
「どういう事だ…」
「体の動きが洒落になんない!狙いを定めないと近づかれて終わります!」
「くそっ」
ゲイロンは苛立たしげにスマホの通話を切ると、近くの構成員に命令を出した。
「全構成員に、ワンダーの同伴者の始末に当たれと命令しろ、最低でも軽機関銃は装備させておけ」
「はいっ」
ガチャ
「ワンダー、君は良い相棒を持っている様だな、しかし、その命は奪わせて貰う」
「どっ……うか…な…………」
流石のワンダーと言えども数十本も惚れ薬を注射させられたらまともな感覚は持てない。
「うっ…………あ…」
「もう少しだ…もう少しで…改造が終わる」
ゲイロンのワンダーに対する眼差しに含まれていたのは戦力としての期待だけではなかった。
「そして、君は俺の…いわゆる、男色要員…となるな」
他に含まれていたのは、歪な愛情であった。
その頃、ホモッサアジトの入り口ではものすごい数の構成員が警備に当たっていた。
しかし…
バリンッ!
デッドは入り口とは真反対の方向にある窓から侵入した。
ダッダッダッ
(GPSやSOS信号が来ない…ここでは相当な身体検査がワンダーに対して行われたのか…?)
デッドがそう思ってると、いきなり角から二人の構成員が来たが…
ドガァンッ!
レッダーを放って二人とも気絶させた。
「やっ、やべえ」
実はこの時、その光景を見ていた一人の構成員は逃げ出した。
「しらみつぶしに探していくしかないか…」
デッドのワンダーが閉じ込められている部屋探しはまだ始まったばかりだ。
「おい!1階の奥に侵入者だ!」
入り口の警備をしていた構成員達は、デッドの戦闘を見て逃げてきた構成員のその一言で、一斉にデッドがいる方向に走っていった。
そして…警備が数人になった入り口に一人の男がやってきた。
「……ん?誰だお前は?」
警備の一人が謎の男にそう問う。
次の瞬間!
ボワァッ!
入り口の辺り一面を白い煙が包んだ!
「ゴホッ!ゴホッ!ガス弾か!?おい、新しい侵入者だ!」
「み、見えねえよ!」
警備の構成員達が右往左往している間に、謎の男はアジトの建物に入っていった。
一方…
「こりゃやべえ…」
デッドは廊下の角に隠れていた。
廊下の奥には、おびただしい数の構成員が集まってきている。
「いくら俺でもあの人数は…」
デッドがそう思おうが、構成員達は廊下を歩いてきている。
「不味いな、このままじゃ…」
万事休すかと思われたその時!
「大変だぁ!ワンダーが連れ去られたぁ!」
突如、その様な声がこだました。
「え…?」
デッドは構成員達と共に混乱している。
しばらくして、ある男がやってきた。
「…ゲイロン?」
なんと、その男はドン・ゲイロン本人だった。
「どういう事だ…?」
「お前ら!早くワンダーを連れ戻してこい!」
ゲイロンは構成員達にそう命令すると、構成員達は全員その場を後にした。
「…おい」
デッドは震えながら角から身を出し、ゲイロンに問う。
「ゲイロン、これはどういう事だ?やけでも起こしたくなったのか?」
デッドがそう問うと…
「…ふん!」
ビリビリッ!
ゲイロン………のマスクを被っていた男は勢いよくそれを破り、口から変声機を出した。
「…え?」
男の正体は、昨日青桐組イタリア支部の玄関でワンダー達を迎えてくれたあの陽気な黒服だった。
「ははは!デッドさん!驚いたでしょう!この変装マスクと変声器はオリビア様がこの国に来た時俺たちイタリア支部の面々にくれたんですよ!イタリアには敵対勢力がいっぱいいるからって!あ、後デッドさんがサイレンサー銃に狙いをつけられてた時は焦りましたよ、さっきはもうすごいスピードでセダンを走らせて何とか狙いを狂わせましたもん!!!」
相変わらずの陽気さに、デッドは呆気に取られた。
「さあ、ワンダーさんを助けに行きましょう!」
バァンッ!!!
デッドと黒服は、ついにワンダーが閉じ込められている部屋を見つけ、ドアを開けた。
しかしそこには…
「………くそ」
ゲイロンがワンダーの後ろに立っていた。
「…これは予想外だったな、ワンダー、まさか君の同伴者がこんなになるまで我々を追い詰めるとは……お陰で俺は完全に部下をコントロールする力を失い、このアジトはもぬけのからだ」
「ゲイロン、お前、俺がお前に変装し構成員達を煽動したって情報を既にキャッチしてたのか?」
黒服がそうゲイロンに言う。
「ふん、監視カメラで偶然な…」
ゲイロンは銃を取り出して、拘束されているワンダーの頭に突きつけた。
「だが…俺は一度狙った獲物は手放さない主義だ、ワンダーを殺して俺も死に、あの世で可愛がってやる」
「なっ…デッドさん!どうしたら…」
「やべえ…」
「じゃあな」
完全に狂乱しているゲイロンは、トリガーに手を掛けた。
その時だった。
ドゴォッ!
「ぐほぉっ!?」
ワンダーが頭を下げて銃の照準から外れたと思ったら、突然ゲイロンの腹に思いっきり肘打ちをした!
カランッ
ゲイロンはその衝撃で銃を落とした。
「ワ、ワンダー!?」
「デッド!今だよ!」
「え?あ!お、おう!」
ドガァンッ!
デッドは小さいレッダーを放ち、ゲイロンに当てて気絶させた。
「ふう、危なかったね…」
「ワンダー、お前いつ椅子の縄を解いたんだ?」
「ふっふっふっ…ホモッサの奴らは完全に僕の身体中にある小道具を取り除いたと思ってた様だけど、たった一つだけ見つけられなかったものがあった」
「なんだって?」
「それはね…」
ワンダーはデッドと黒服に自信の右手の人差し指の爪を見せた。
「この爪に偽装した仕込み刃だよ、まあでも、爪に似せる様に短くしてたから縄を切るのに時間かかりまくったけどね…」
「ワ、ワンダーさん、すごいんですね…」
黒服は完全に呆気に取られていた。
無事ホモッサの魔の手から逃れたワンダー達は、ホテルの部屋に帰り着いた。
「デッドの兄貴!ワンダーの兄貴!無事だったのか!」
ローマが一目散に二人を出迎えた。
残りの悟、ナポリ、シチリアも出迎えてきてくれた。
「心配かけてすまなかったな、みんな」
「僕がイタリア支部に電話してなかったら、危なかったね」
「え?悟、どう言う事?」
「僕、あまりにデッドとワンダーが心配だったからイタリア支部に自分のスマホで電話で救援要請したの、そしたらあの陽気な黒服が出てきてくれて、あっさりOKしてくれたんだ」
「そうか…だからあいつが来てくれたんだな」
デッドはしみじみ陽気黒服について感謝の気持ちを噛み締めていた。
その頃、イタリア支部では…
「俺に黙って単独行動とは何事だあコラアッ!」
「す、すいませんッ!」
スタコラサッサ
「あっこらおい待て逃げるなッ!おい!」
「ひええええっ!」
陽気黒服は、上司黒服に絞められていた…
ゲストキャラ解説
ドン・ゲイロン
イタリア有数のマフィア、ホモッサのドン。同性愛者であり、ワンダーに歪んだ愛情を持っていた。追い詰められると銃でワンダーごと自殺しようとするなど、倫理観は欠陥品である。
イタリア ローマ
「じゃ、まずは青桐組イタリア支部にこの子達を預けにいこうぜ、悟、案内してくれないか?」
「もちろんだよ、デッド」
6人が支部に向けて歩いている最中、ワンダー達は獣人の子供達から奴隷生活について色々聞いていた。
「そんなにつらかったんだ…」
「その商人の部下は酷えな、日常的にお前達に罵声と暴力を浴びせていたのか?」
「うん、でも、いつも兄者が俺達を庇ってくれたんだ」
「よ、よせよ」
「そうなんだ…偉いね、君はきっと大成するよ」
ワンダーはそう言って最年長の猫耳の少年の頭を撫でる。
青桐組 イタリア支部 玄関前
ピンポーン
「はい、誰ですk…わお!悟坊ちゃん!ボスのイタリア旅行に付き合ってるのですか!?」
出てきたイタリア人の黒服は、ボスの息子が直々にこの支部を訪ねてきた事に驚愕している。
「ううん、違うの、実は…」
悟はその黒服に事情を話し終えた。
「…っていう事なんだ」
「マンマ・ミーア!そいつは大変だ!いいでしょう坊ちゃん!その獣人の子供達は我々が生活を保証しましょう!」
黒服はそう言うと、いきなり3人の子供達を抱えて支部の中に戻っていった。
「す、すごい陽気だったね…イタリア人ってああいうもんなの?」
「それ以上はやめとけ???」
デッドはワンダーをそう諭した。
バンッ!
「ぐわぁ!」
次の瞬間、すごい勢いでドアが開かれさっきの黒服が倒れてきた。
「え!?なに!?」
ワンダーが驚いてると、今度は別の黒服が出てきた。
「この馬鹿!ただでさえ忙しい時期なのに、なんで見ず知らずのガキどもの世話しなきゃいけねんだっ!」
新しい黒服はそう叫んだ。
どうやらさっき獣人の子供達を抱えて戻ってった黒服の上司であり、部下であるその黒服を突き飛ばしたらしい。
「で、でも、あの子達は可哀想な」
「知らねえよそんなのっ!今はあのマフィアどもの殲滅が先だろうがっ!」
「え〜…」
部下黒服は不服そうだった。
その時、悟が上司黒服に話しかける。
「ねえ」
「ああ?今度は誰だ……え?坊ちゃん?いつからそこに?」
悟は上司黒服に事情を話した。
「そ、そういう事情でしたか、しかし、いくら坊ちゃんの頼みでも、今はちょっと…」
「なんでなの」
「え、えっと、その…シチリアからこのイタリア本土に引っ越してきやがったマフィアがいましてね…」
「マフィア?」
「はい、ホモッサという奴らでしてね、本土に引っ越してきて、俺ら青桐組イタリア支部が仕切っている薬物取引所を明け渡せと言ってきてですね…」
「そうなんだ」
悟の表情が険しくなった、仮にも自分みたいな子供も裏社会の人間であるというプライドからか。
「当然俺らは拒否したんですが、その日から様々な妨害や工作とかされてきましてね、いつカチコミに来られてもおかしくないんですよ」
「いや、こっちから先に殲滅しようよ」
悟の口調が少し厳しくなった。
「そ、それができたら苦労はしないんですよ、でも、奴らはあまりにも影響力がありすぎる、下手に潰したら他の裏社会の組織を刺激しちまうかもしれないんですよ、そうなったらいくらこの青桐組といえどもその他の組織からの攻撃でこの支部が壊滅してイタリアでの影響力を失い、下手したら西ヨーロッパにある他の支部も危険に晒されます……ま、という訳で、今奴隷のガキ達の世話をする暇はないって事です、だから坊ちゃん、ご容赦ください…」
ローマのとあるホテル
デッドは困り果てていた。
自分の深夜テンションで奴隷を3人も連れてきて、挙げ句の果てに保護を拒否された。
デッドは布団の中にうずくまっていた。
「デ、デッド、僕達は大丈夫だから…」
ワンダーが慰めるが、状況は変わらない。
「はぁ…俺がもっと考えてれば…」
デッドの思考はネガティブな方向へいく。
「ま、まあまあ、あんまそう言う事言っちゃうとこの子達が…」
ワンダーは3人の獣人の子供達の方を見た。
子供達は3人とも複雑な表情をしてる。
「デッドの兄貴、すまねえ、俺が無理に頼んだから…」
猫耳の少年がそう自責する。
「大丈夫、誰も悪くないよ」
ワンダーがそう言うが、空気はどんよりしたままだ。
「みんな、もう寝よ」
悟のその一声で今日の旅はもう終わりになった。
いつしか6人が寝静まり、静寂な夜が訪れた。
「………う、ん…?」
目が覚めたワンダーが最初に見た光景は、見覚えのない全面コンクリートの部屋だった。
ワンダー自身は椅子に縛り付けられている。
キイィィィィ…
「目覚めたか、ワンダー君」
たった一つの金属製の扉から、一人の男が入ってきた。
「自己紹介をしよう、俺は南西ヨーロッパの裏社会の有数のマフィアであるホモッサのトップ、ドン・ゲイロンだ」
「ホモッサ…?」
「知ってるのか、俺の組織を、嬉しいな、これは改造のやる気が出てきたよ」
「え、改造…?」
「そう、君を俺らの仲間にするのさ」
その頃、ホテルのワンダー覗く5人が泊まってる部屋はうるさくなっていた。
「くそっ!またワンダーが攫われちまったッ!」
「僕、イタリア支部に捜索を届けた方がいいかな」
悟がそう提案を出す。
「いや、俺らは旅行で勝手にこのイタリアに来たのにわざわざ青桐組の仕事増やすつもりはないからしなくていいぜ、悟、しかしまいったな、SOS信号が来ない…」
その時だった。
バババババババババババババッ!
軽機関銃の弾がデッド達が泊まってる部屋のドアを蜂の巣にしていく。
「隠れろっ!」
デッドのその掛け声で悟と獣人の子供達はソファの裏に、デッドは扉の横に隠れた。
やがて、軽機関銃を持った男が部屋の中に入ってきた。
ボコッ!
デッドは腹パンでその男を気絶させる。
バババババババババババババッ!
しかし次の瞬間また別の男の軽機関銃がデッドを襲う。
バッ!
デッドは素早く男との距離を開け、小さいレッダーを放つ。
ダァンッ!
レッダーが当たった軽機関銃が衝撃で床に飛ばされた。
カチャ
そしてデッドが軽機関銃を落とした男にベレッタ92の銃口を向ける。
「うっ…」
観念した男は手を挙げて降参した。
「お前ら、何もんだ?」
「組織を裏切る事はできねえよッ!」
バッ!
しかし男は次の瞬間また軽機関銃を手に取ろうとする。
「そうかよッ!」
すかさずデッドが男に飛び掛かり、床で男を押し倒し、男の首を片手で締めていく。
「ぐあっ…」
「言え、どこのもんだ?言わねえなら次は両手だ…」
「ぐ……ホ…ホモッサ…」
「なんだと?」
「ホモッサ…だ…俺らのドン・ゲイロンが…ワンダーと言う…男を…連れてこいと……昨夜…ワンダーだけを連れてアジトに帰ったが……ぐぅぅ…ドンに…ついでに一緒にいた奴らを始末してこいと…」
「くそっ…なんて事だ、おい、アジトはどこだ?」
「うっ……ナ、ナポリだ…カハっ……」
「ナポリのどこだ」
「ぜ、全部、言うッ…」
男から詳細な位置を教えてもらったデッドは、デコピンで男を気絶させた後、悟達にこう言った。
「これから俺はナポリに行ってワンダーを助けてくる、悟とローマ、ナポリ、シチリアはここで待っててくれ」
「「「「ん?」」」」
4人の子供達は一斉に首を傾げた。
「ねえデッド、ローマ、ナポリ、シチリアってもしかしてこの子達の事言ってる?」
「あ、まあ、今思いついたんだ、名前ないと不便だからさ、最年長で猫耳のお前がローマ、その次に歳が小さいお前がナポリ、最年少のお前がシチリアだ」
「俺の名前、シチリア?なんかかっこいい!」
「兄者、俺らいい名前貰ったな!」
「う、まあな、デッドの兄貴、ありがとう」
「気に入ってくれて嬉しいぜ、じゃ、行ってくるぜ」
その頃、ホモッサのアジトでは…
「…驚いたな、もう10本目だぞ」
「くっ…うッ…こんなの、効かないよッ…」
ワンダーは椅子に拘束されたまま、ゲイロンに謎の注射器を打たれていた。
しかし効果はあまり出てないらしい。
「おい、これ本当に惚れ薬なんだよな?」
ゲイロンは注射器を持ってきたホモッサの構成員に聞く。
「はい、一本だけでもかなりの効果を発揮するはずですが…」
「なるほど、ファンタジアの人間だからか…これはますます改造しがいが出てきた」
ブゥウウウウウンッ!
黒いジープを走らせながら、デッドはナポリに向かっていた。
(ワンダー、無事でいろよ…!)
「う、うう…」
「15本目だが…もう観念したらどうだ?本能に逆らわなくていいんだぞ」
ゲイロンはワンダーにそう促す。
「やッ、やだね」
ガチャ
「ドン、緊急事態です」
一人の構成員がコンクリート部屋に入ってきた。
「なんだ、どうした」
「そのオレンジ髪の男の仲間を始末しにいった構成員からの連絡がありません」
「なに?」
「それに、このナポリに向かって爆走してくる車が一台、巡回中の準構成員が見つけたと」
「え?なんだそのどうでもいい報告は」
「実は、その車に乗っている男の特徴が、昨夜そのオレンジ髪の男と一緒に部屋に泊まっていた男にそっくりなんです」
「なんだと…?」
「ドンも聞いていたでしょ、そのオレンジ髪の男を拉致してきた構成員が、一緒に寝ていた人間達がどういうもんだったか言ってた事、その内の一人の男に瓜二つなんです」
「確かに俺はそいつにどんな同伴者だったか聞いてたな、サングラスで金髪、顔は強面だが整っていたと聞いたが…その特徴と同じなのか?」
「はい」
「不味いな、二人も構成員がやられたとなれば、どちらかから情報を抜き出しているかもしれん、その車を見つけ、尾行しろ、そしてその男から車から降りて隙を見せたら、始末しろ、ホモッサの情報網を目に物見せてやれ」
デッドのジープは既にナポリ市内に入り、どこか止めれる所を探していた。
「スマホだとここがホモッサのアジトらしいな…よし、なるべくこの近くに止めるとするか」
デッドはジープを道路の隅に留めて、ついに車内から出た。
「ここみたいに留めてる車がたくさんあれば例えワンダーを助けて追っ手が来たとしても銃撃は出来ないだろ…」
「おい、あいつだ」
「よし、しっかり狙え」
デッドが車から降りている時、二人の男がサイレンサー銃の標準を合わせていた。
「いくぞ、3、2、1…」
片方の男がデッドに向けてサイレンサー銃の火を吹こうとしたその時!
ブゥウウウウウン…
「!!」
「くそっ!」
デッドの真横を一台の黒いセダンが通り、サイレンサー銃の狙いを狂わした。
セダンが何処かへ行った時、デッドの姿はもう無かった。
「追うぞ!」
「ああ!」
その頃、ホテルでは…
「「「「…」」」」
悟、ナポリ、ローマ、シチリアがただただ二人の帰りを待っていた。
ワンダー救出に向かうデッドに何かしてあげたかったが、ああ言われた以上待つしかない。
それに下手に自分達の様な子供が動けば、事態は悪化してしまうかもしれない。
「…」
内心悟ははがゆい思いをしていたが、しょうがないと割り切った。
「不味いぞ、あいつ、俺らのアジトに向かう気だ」
「くそっ、よし、銃を貸してくれ」
男はデッドを撃とうとした男から銃を借り、デッドに一気に近づいた。
そして、デッドの背中に周りから見えない様に深くその銃を当てた。
「動くな」
二人の男はデッドの前後に立ち、デッドの行進を阻止した。
「お前、ワンダーという男の同伴者だな?」
「…あ?なんの事だ?」
「その口の聞き方、俺らが何もんか知らねえ様だな」
「ぜひ、教えてくれよ、あの軽機関銃男の様にッ!」
ドガッ!
ドガッ!
デッドはそう言った瞬間に体の軸を一回転させ、右手で前方の男を、左足で後方の男をどついて吹っ飛ばした。
「ぐぉっ!」
「ぐぇっ」
二人の男が別々の方向に吹っ飛ばされたのを見て、デッドは自慢の身体能力で速やかにそこを離れた。
「な、なんだ、今の、攻撃速度は…あのまま野放しにしておくと、アジトがまずい…」
デッドの前方にいた男が震える手でスマホを取り出した。
ピピピピ…
「ドン!ドン!大変です!ワンダーの同伴者が今そっちに向かっています!」
「なに!何故始末しなかった!」
「あと一歩まで追い詰めたんですが、奴は普通の人間じゃないです!」
「どういう事だ…」
「体の動きが洒落になんない!狙いを定めないと近づかれて終わります!」
「くそっ」
ゲイロンは苛立たしげにスマホの通話を切ると、近くの構成員に命令を出した。
「全構成員に、ワンダーの同伴者の始末に当たれと命令しろ、最低でも軽機関銃は装備させておけ」
「はいっ」
ガチャ
「ワンダー、君は良い相棒を持っている様だな、しかし、その命は奪わせて貰う」
「どっ……うか…な…………」
流石のワンダーと言えども数十本も惚れ薬を注射させられたらまともな感覚は持てない。
「うっ…………あ…」
「もう少しだ…もう少しで…改造が終わる」
ゲイロンのワンダーに対する眼差しに含まれていたのは戦力としての期待だけではなかった。
「そして、君は俺の…いわゆる、男色要員…となるな」
他に含まれていたのは、歪な愛情であった。
その頃、ホモッサアジトの入り口ではものすごい数の構成員が警備に当たっていた。
しかし…
バリンッ!
デッドは入り口とは真反対の方向にある窓から侵入した。
ダッダッダッ
(GPSやSOS信号が来ない…ここでは相当な身体検査がワンダーに対して行われたのか…?)
デッドがそう思ってると、いきなり角から二人の構成員が来たが…
ドガァンッ!
レッダーを放って二人とも気絶させた。
「やっ、やべえ」
実はこの時、その光景を見ていた一人の構成員は逃げ出した。
「しらみつぶしに探していくしかないか…」
デッドのワンダーが閉じ込められている部屋探しはまだ始まったばかりだ。
「おい!1階の奥に侵入者だ!」
入り口の警備をしていた構成員達は、デッドの戦闘を見て逃げてきた構成員のその一言で、一斉にデッドがいる方向に走っていった。
そして…警備が数人になった入り口に一人の男がやってきた。
「……ん?誰だお前は?」
警備の一人が謎の男にそう問う。
次の瞬間!
ボワァッ!
入り口の辺り一面を白い煙が包んだ!
「ゴホッ!ゴホッ!ガス弾か!?おい、新しい侵入者だ!」
「み、見えねえよ!」
警備の構成員達が右往左往している間に、謎の男はアジトの建物に入っていった。
一方…
「こりゃやべえ…」
デッドは廊下の角に隠れていた。
廊下の奥には、おびただしい数の構成員が集まってきている。
「いくら俺でもあの人数は…」
デッドがそう思おうが、構成員達は廊下を歩いてきている。
「不味いな、このままじゃ…」
万事休すかと思われたその時!
「大変だぁ!ワンダーが連れ去られたぁ!」
突如、その様な声がこだました。
「え…?」
デッドは構成員達と共に混乱している。
しばらくして、ある男がやってきた。
「…ゲイロン?」
なんと、その男はドン・ゲイロン本人だった。
「どういう事だ…?」
「お前ら!早くワンダーを連れ戻してこい!」
ゲイロンは構成員達にそう命令すると、構成員達は全員その場を後にした。
「…おい」
デッドは震えながら角から身を出し、ゲイロンに問う。
「ゲイロン、これはどういう事だ?やけでも起こしたくなったのか?」
デッドがそう問うと…
「…ふん!」
ビリビリッ!
ゲイロン………のマスクを被っていた男は勢いよくそれを破り、口から変声機を出した。
「…え?」
男の正体は、昨日青桐組イタリア支部の玄関でワンダー達を迎えてくれたあの陽気な黒服だった。
「ははは!デッドさん!驚いたでしょう!この変装マスクと変声器はオリビア様がこの国に来た時俺たちイタリア支部の面々にくれたんですよ!イタリアには敵対勢力がいっぱいいるからって!あ、後デッドさんがサイレンサー銃に狙いをつけられてた時は焦りましたよ、さっきはもうすごいスピードでセダンを走らせて何とか狙いを狂わせましたもん!!!」
相変わらずの陽気さに、デッドは呆気に取られた。
「さあ、ワンダーさんを助けに行きましょう!」
バァンッ!!!
デッドと黒服は、ついにワンダーが閉じ込められている部屋を見つけ、ドアを開けた。
しかしそこには…
「………くそ」
ゲイロンがワンダーの後ろに立っていた。
「…これは予想外だったな、ワンダー、まさか君の同伴者がこんなになるまで我々を追い詰めるとは……お陰で俺は完全に部下をコントロールする力を失い、このアジトはもぬけのからだ」
「ゲイロン、お前、俺がお前に変装し構成員達を煽動したって情報を既にキャッチしてたのか?」
黒服がそうゲイロンに言う。
「ふん、監視カメラで偶然な…」
ゲイロンは銃を取り出して、拘束されているワンダーの頭に突きつけた。
「だが…俺は一度狙った獲物は手放さない主義だ、ワンダーを殺して俺も死に、あの世で可愛がってやる」
「なっ…デッドさん!どうしたら…」
「やべえ…」
「じゃあな」
完全に狂乱しているゲイロンは、トリガーに手を掛けた。
その時だった。
ドゴォッ!
「ぐほぉっ!?」
ワンダーが頭を下げて銃の照準から外れたと思ったら、突然ゲイロンの腹に思いっきり肘打ちをした!
カランッ
ゲイロンはその衝撃で銃を落とした。
「ワ、ワンダー!?」
「デッド!今だよ!」
「え?あ!お、おう!」
ドガァンッ!
デッドは小さいレッダーを放ち、ゲイロンに当てて気絶させた。
「ふう、危なかったね…」
「ワンダー、お前いつ椅子の縄を解いたんだ?」
「ふっふっふっ…ホモッサの奴らは完全に僕の身体中にある小道具を取り除いたと思ってた様だけど、たった一つだけ見つけられなかったものがあった」
「なんだって?」
「それはね…」
ワンダーはデッドと黒服に自信の右手の人差し指の爪を見せた。
「この爪に偽装した仕込み刃だよ、まあでも、爪に似せる様に短くしてたから縄を切るのに時間かかりまくったけどね…」
「ワ、ワンダーさん、すごいんですね…」
黒服は完全に呆気に取られていた。
無事ホモッサの魔の手から逃れたワンダー達は、ホテルの部屋に帰り着いた。
「デッドの兄貴!ワンダーの兄貴!無事だったのか!」
ローマが一目散に二人を出迎えた。
残りの悟、ナポリ、シチリアも出迎えてきてくれた。
「心配かけてすまなかったな、みんな」
「僕がイタリア支部に電話してなかったら、危なかったね」
「え?悟、どう言う事?」
「僕、あまりにデッドとワンダーが心配だったからイタリア支部に自分のスマホで電話で救援要請したの、そしたらあの陽気な黒服が出てきてくれて、あっさりOKしてくれたんだ」
「そうか…だからあいつが来てくれたんだな」
デッドはしみじみ陽気黒服について感謝の気持ちを噛み締めていた。
その頃、イタリア支部では…
「俺に黙って単独行動とは何事だあコラアッ!」
「す、すいませんッ!」
スタコラサッサ
「あっこらおい待て逃げるなッ!おい!」
「ひええええっ!」
陽気黒服は、上司黒服に絞められていた…
ゲストキャラ解説
ドン・ゲイロン
イタリア有数のマフィア、ホモッサのドン。同性愛者であり、ワンダーに歪んだ愛情を持っていた。追い詰められると銃でワンダーごと自殺しようとするなど、倫理観は欠陥品である。
- 1.第一話 異世界への召喚
- 2.第二話 説得作戦
- 3.第三話 畏怖を乗せた流れ星
- 4.第四話 対決美人剣士
- 5.第五話 対面超少年
- 6.第六話 剣集めはつらいよ
- 7.第七話 剣と光弾とナイフと 前編
- 8.第八話 剣と光弾とナイフと 後編
- 9.第九話 爆弾が怒る時
- 10.第十話 黒い追跡
- 11.第十一話 迷宮攻略はワンダーにお任せ
- 12.第十二話 殺人神と呼ばれた男 前編
- 13.第十三話 殺人神と呼ばれた男 後編
- 14.第十四話 睡眠ガスに気をつけろ!
- 15.第十五話 ミラー・ワンダー
- 16.第十六話 炎斧
- 17.第十七話 私が愛したあの子
- 18.第十八話 燃えよS&W M500
- 19.第十九話 この一発で福岡に帰ろう
- 20.第二十話 斬ってよかった
- 21.第二十一話 ロシアから殺意をこめて
- 22.第二十二話 大森林危機一髪!前編
- 23.第二十三話 大森林危機一髪!後編
- 24.第二十四話 世界不思議に関する2600文字
- 25.第二十五話 ファースト・バトルオブヨーロッパ
- 26.第二十六話 乗っ取りは逆襲の音
- 27.第二十七話 我ら、ノイバ親帝派!
- 28.第二十八話 スペインに殺しの花が咲く
- 29.第二十九話 ワンダーVS奴隷軍団
- 30.第三十話 マフィアン・LOVE
- 31.第三十一話 朝シン
- 32.第三十二話 ネオ・第三帝国
- 33.第三十三話 傭兵よ永遠に
- 34.第三十四話 縁戻し
- 35.第三十五話 奴らが来た!!!
- 36.第三十六話 決戦 前編
- 37.第三十七話 決戦 後編
- 38.第三十八話 シン・青桐組とシン・ワンデドコンビ
- 39.第三十九話 香港は燃えるか…?
- 40.第四十話 魔力・キラー
- 41.第四十一話 ボム・フロム・ザ・スカイ
- 42.第四十二話 青桐一家勢揃い
- 43.第四十三話 愛ある女は己を隠す その1
- 44.第四十四話 愛ある女は己を隠す その2