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第一の警告、投稿頻度が遅い
第二の警告、悪人が味方サイド
第三の警告、いわゆるバトル物であり異世界無双物ではない
第四の警告、完全な勧善懲悪ではない
第五の警告、初投稿なので違和感あり
第六の警告、描写や解説が雑
前回までのあらすじ
悟を福岡に送り届けたワンダーとデッドは家に帰った途端何者かに電撃を浴びせられ、ワンダーの方は気づいたら森の中にいた。森は今騎士団&魔物退治屋達VSメーラ一味の戦争状態になっており、デッドもそれに巻き込まれたのだ。ワンダーは偶然メーラの小屋を発見し、メーラを説得しようとするが…
メーラの小屋を破壊したのは一門の大砲だった。
「やはりここにいたなこの魔女!小屋の周りの自然の罠はもう毒ガスで対処した!観念しろ!」
「あ、危ないじゃないか!弾が当たったらどうするの!」
「ふん!この大森林を支配できる魔女が大砲で死ぬはずがなかろう!」
「本当に…毒ガスが…」
メーラの手が一層震える。
「メーラ…」
「ハッ!ワンダー!その女の味方か!洗脳が解けたからっていい気になりやがって!」
(洗脳…?もしかして!)
「…せ、洗脳魔法を悪用したのか!?」
「そうだ!洗脳魔法を使いこの国の魔物退治屋を集めて、メーラを倒す計画だったのだ!まぁ、最終的にはこの毒ガスが決着をつけたがな!」
「洗脳魔法の悪用は魔法律で禁じられているはずだぞ!」
「危険魔術の開発も同じ事言えるわ!さぁ、その女を庇うな!後で貴様の記憶を消去してやるわ!」
「クッ…」
ワンダーが騎士団の一人の人間とそう言い合っている内に、ワンダーの後ろに隠れていたメーラが突然声を張り上げた。
「土よ!自然の鎖で敵を封じよ!『ランド・プリズン(大地の牢獄)』!」
メーラがそう叫んだ瞬間、騎士団団員達の足に土が一瞬で纏わり付き、動きを封じた。
大砲も地面の中に埋もれていった。
「皆焦るな!地面も毒ガスの影響を受けているから頑張れば抜け出せるぞ!」
「ワンダー、今のうちに逃げて」
「え?」
メーラの言葉にワンダーは変な声を出した。
「私が騎士団を食い止めるから、あなたは大切な人を…」
メーラの目は、どこか悲しげだった。
「…わかった、メーラも無事でいてね」
「ええ…」
ワンダーは空を飛び、今度こそ大森林を抜け出す…
第二師団団長室
「ザリコス団長、部隊は途中、魔物共の強襲に遭いましたが何とか撃退した様です」
「ふふふふふふ…!もうすぐだな…!」
「毒ガスの効力は凄まじく、魔女陣営はここからの逆転は無理でしょうな」
「ふふふふふふ…はっはっはっ!笑いが止まらんわい、ついに第一師団の者共を見下させる日がきたのだなぁ!」
ザリコスが笑っていた時、団長室のドアが激しく叩かれた。
「団長!緊急事態です!」
「な、何だ!入れ!」
ガチャ
「魔物退治屋隊の内、一人の洗脳が切れた模様です!」
「な、なにぃ!?洗脳が切れたぁ!?ドーキンス!どういう事だ!」
「そ、そんな!私の洗脳魔法は私以外の人間による解除はできるはずが…!」
「ええい!洗脳を解いたその魔物退治屋の名前は!?」
「ワンダーという男です!相棒にデッド・バーソンがいます!」
「ワ、ワンダー!?まずいっ!あいつが目を覚ましたとなるとかなりまずい…あいつ一人でもの状況をひっくり返せる事もできかねん…!よし!至急第二師団全団員に命令を出す!ワンダーを止めろ!」
「「はっ!」」
ドーキンスと一人の男は慌てて団長室を出ていった…
森の中でワンダーはデッドを探し回った。
しばらくして、強烈な異臭がしてきた。
ワンダーは異臭がしてきた方向にいくと、そこには大勢の魔物が倒れていた。
「まさか…」
「ワ、ワンダー…」
デニギアが草陰から姿を現したのはその時だった。
デニギアの体は血まみれになっていた。
「デニギア!大丈夫!?」
「あ、ああ…何とか…騎士団を倒せた…ぜ…」
息が絶え絶えだ。
「ほ、他の魔物達は?」
「みんなぁ…死にやがったよ…ほとんどがあの毒ガス吸ってなあ…それ以外は…団員達の剣と魔法の餌食さ…カハッ」
血を吐きながらデニギアは喋る。
「まあ…あいつらも…無差別に人間を殺してたような奴らだからなぁ…報い…だよなあ」
「デニギア…」
「…さっき、デッドを見つけたぜ」
「え!?」
「一人で…南の方角に進んでったぜ…その後を他の魔物退治屋達が追いかけて…いってた…」
「南だね!わかった!」
ワンダーはすぐさま南に飛んでいった。
「ワンダー……立派なやつだよ…」
デニギアは地面に倒れた…
第二師団団長室
「ザ…ザリコス団長、今度は魔物退治屋が一斉に南の方角に消えたようです…」
「な…なにぃ!?洗脳が解けたか!?」
「いえ、さっき森から帰ってきた時に全員に掛け直しましたからそんなはずは…南にいったのはその後です…」
「くそぉ…!わしもいくっ!カリュデウス騎士団第二師団、出動だぁ!」
ワンダーは飛んだ。
南へ、南へ、南へと。
飛び続けた。
そして、ついにデッドの姿を視界に入れる事ができた。
「デッド!デッド!デッド!」
ワンダーは夢中にデッドの名前を呼び続け、近づいていった。
「デッド!早く帰ろ…」
ドゴッ!
次の瞬間、デッドのパンチがワンダーのみぞおちに入った。
「カハッ…」
ワンダーは勢いよく飛ばされて、木に頭をぶつけた。
(いた……い…)
クラクラしながらも、剣を握りしめた。
「デッド…今、目を覚させて…」
デッドの目が赤くなっている。
だが、そんな目にも怯えず、ワンダーはディスードに電気を帯びさせサンダーディスードにした。
「…いくよ!」
ザンッ!
ワンダーはサンダースラッシュをデッドに放つ。
シュバッ!
デッドは避けて、レッダーをワンダーにお見舞いする。
バッ!
ドガアアアアアアアアアアアアアン!
ワンダーは空を飛んで避けて、衝撃波から逃れる。
(この勢いで!)
ワンダーは空を飛びながら一気に距離を詰め、デッドに接近する。
デッドは後ろにジャンプしながらレッダーを放ちまくる。
バッ!バッ!バッ!
ワンダーは全て避けて、勢いそのまま剣をデッドに振りかざし、気絶させた。
…という展開になれば良かったのだが。
ワンダーが剣を振り下ろす瞬間、ワンダーの体は衝撃波により横に吹っ飛ばされた。
またも木にぶつかり、頭が赤く染められていく。
次の瞬間、ワンダーは恐ろしい光景を目にした。
「…みんな!?」
ワンダーを吹き飛ばしたであろう男の後ろに、何十人もの魔物退治屋がいた。
全員、目が赤くなっている。
その目の中には、ワンダーの対しての殺意しか存在していなかった。
ヒュウッ!
先頭にいる男が風魔法の風圧攻撃で、またワンダーを吹き飛ばそうとした。
バッ!
ワンダーは二度は当たらない。華麗にそれを避け、サンダースラッシュで男を気絶させた。
しかし…後ろにはまだ何十人もの魔物退治屋が陳列していた。
「これ、全員倒さなきゃダメなの…」
ワンダーの体力は少しづつ限界に近づいていった…
森の中を、無数の馬が駆け巡る。
カリュデウス騎士団第二師団は南に一斉失踪した魔物退治屋達を追いかけていた。
先頭に団長ハーダー・ザリコスがいた。
その横を部下のドーキンスがついていく。
「団長ッ!後少しで着きますッ!団員達も全員揃っています!」
「ようしっ!いくぞ皆の者ッ!」
馬の嵐は一層スピードを増していった…
ワンダー対大勢の魔物退治屋の戦いは、激しさを増している。
ワンダーは火炎攻撃を避けたり、大男の斧の一撃を受け止めたりと必死だった。
どうにかこうにかして人数は大分減らせたものの、飛翔魔法を使ってくる人間もいるので始末が悪い。
またマズいことにデッドの攻撃ももちろん来るので、それの対処もしている。
ワンダーは次第に、何らかのゾーンに入っていった。
(全部が…遅く…見える…)
ゾーンに入ったワンダーは力を振り絞り、空中からのサンダーディスードの連続斬撃で一気に敵を倒していった。
残る魔物退治屋はデッド含めて後4人である。
一人は飛翔魔法を使いながらワンダーの攻撃を掻い潜ってきた細身の女。
一人はワンダーのスラッシュを防ぐ強度を持つバリアを張る水魔法使いの男。
一人は自身の体を獣人化してくる男。
そして最後の一人は…デッドだった。
通常のワンダーなら苦戦しても何とか勝利を収められるであろうが、今の疲弊しきっているワンダーには厳しかった。
ゾーンに入っていたワンダーはしばらく疲れと痛みを忘れていたが、あくまで忘れていただけ。
今それらが一気に戻ってきて、ワンダーはついに膝を地につけた。
「「「「…」」」」
4人がジリジリと近づいてきている。
その目には、今度こそ仕留めるといったメッセージが見て取れる。
「…くそつ!くそっ!」
ワンダーは自分に喝をいれながら体を動かそうとするが、体はワンダーの言う事を聞かない。
一時手を組んだデニギアは来ない。
青桐組の援軍もない。
デニギアの味方だった魔物達は狩り尽くされたのであろう。
ワンダーの敗北は目に見えていた。
「…でも…」
しかし、とワンダーは思った。
自己中で何かと気に食わない『あの女』はもしかしたら洗脳にかかってないのではないだろうか。
あいつだけは騎士団の魔の手から逃れているのではないだろうか。
そんな一抹の希望は、デッドの首締めによって徐々にかき消されていった。
「ウ…グ…」
デッドがワンダーの首を絞める。ありったけの力を込めて。
ワンダーの口や目から希望の水が流れ出す。
「カハァ…ア…ウア…」
ワンダーの意識はそこでブラックアウトした…
かに思えた。
ドゴォ!
鈍い音が鳴った瞬間、ワンダーは呼吸が許された。
「はあはあはあは…リング?」
ワンダーの目の前には斧で突いてデッドを吹き飛ばしたであろうリングがいた。
「リング…洗脳されてなかったの?」
「この3人を倒せばいいわけね」
バッ!
リングはワンダーの話を聞かず、いきなり細身の女に襲いかかる。
シュバッ!
女は飛翔魔法を使い逃げようとするが…
ザシュ!
ジャンプしたリングに足を斬られあえなく落下、気絶した。
ダッ!
今度は背後から獣人化した男が襲いかかるが…
ザシュ!
振り向きざまにリングが斧で斬り、あっけなく倒された。
そしてリングの目は最後の水魔法使いの男に向いた。
「!!!」
焦った男はバリアを張る。
ガンッ!
リングは斧を振るうがバリアは壊れない、が…
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンッ!
リングの斧は動きが止む事なく振られていき、バリアにヒビが入り…
パキンッ!
割れた。
ザシュ!
バリアが割れたと同時にリングは斧を振って、最後の魔物退治屋を倒した。
(リング、怖…でもいつのまにこんなに強く…)
「ワンダー、あんた今なんで私がこんなに強くなってんだと思ったでしょう」
「え、え」
「それは…」
「ワンダー!リング!見つけたぞ!」
二人は声がした方向を振り向くと、そこにはカリュデウス騎士団第二師団の団員達がずらりと並んでいた。
先頭には声の主であろうザリコスがいる。
「おのれい!ワシの昇進計画を邪魔しやがって!」
「魔物を惨殺した男なんかに昇進はもったいないわよ」
「ふ、ふん!魔物を退治してやったんだから感謝せい!…ええい!貴様ら魔物退治屋を洗脳して森を支配している魔女を倒し、その手柄をワシのものにするつもりだったのに!」
「全部喋ってるね…」
「シンプルに頭悪いからかしらね」
「…」
リングは魔物を殺されまくって相当怒っているようだ。
「ワシの悪事を知られたからには無事には帰さんぞ!総員!とつげ…」
「やめよ!ザリコス!」
「ブ、ブロート…!」
ワンダー達が声がした方を向くと、そこにはザリコスと同じ鎧を着た男と、その後ろに第二師団と同じような集団がいた。
「あ、あの人はブロート第一師団団長!?」
「私がザリコスの悪事を告げたのよ」
「え?どういう事?」
「私があんたとデッドの家の前を通ってる時、偶然ザリコスがあんた達がいないと不安だーみたいな事を言ってたから、怪しく思ってそのまま盗み聞きしてたらなんか『これでメンバーにする予定の魔物退治屋どもは全員洗脳できるな!』って言ってたから私も狙われるかもって思って、自宅には帰らないで森にいたのよ、そしたら案の定魔物退治屋達がきて…そして私は確信して騎士団にこの事を通報したのよ」
「は、はあ…」
リングがワンダーにそんな説明をしている最中、ブロートとザリコスは言い争っていた。
「ザリコス!なぜこんな事をした!」
「じ、次期昇進候補のお前への嫉妬だあ!嫉妬で何が悪い!」
「開き直ったな!お前の悪事はもう直々に王にも伝えにいっている!裁きが来るであろう!」
「な、なんだと〜!」
「もう諦めな」
突如倒れていたデッドが立ち上がってザリコスに言い放った。
「デッド!無事だったんだね!」
ワンダーは走り出し、デッドと抱き合った。
「ああ、途中でお前の心配を無意識にしてたら洗脳が解けて他の魔物退治屋に追いかけられてたが、ここでまた洗脳の効果がぶり返してきちゃったんだよ、でも俺もお前が無事で良かったぜ、リングの突きで目が覚めたんだ」
「そうか、そういえば今さら僕も洗脳されてた時もデッドの事心配してた記憶をうっすらと思い出してきたな、たぶんそれがトリガーだったんだね
「もう、心配したんだからね、デッド…」
「あれ?リングなんか口調優しくなってない?やっぱりデッドの事が…」
「う・る・さ・い」
「アッハイ」
後日
ハーダー・ザリコスの悪事と部下ドーキンスの洗脳魔法の悪用が明らかになり、カリュデウス騎士団第二師団は一時解体され、計画に加担していた第二師団の人間達は皆捕まった。
森を支配していた魔女メーラ・アビサも第一師団に捕まり、取り調べで『大切な人を失ってから幸せな人間がたくさんいる世間を憎むようになり、森を支配して八つ当たりをしようとしてしまった。』と述べた。
洗脳されていた魔物退治屋の人達は皆カリュデウス騎士団の手当てを受けている。
そして第二師団の悪事を突き止めた第一師団のパール・ブロート団長は昇進をした。
「…以上が新聞に記載されてたぜ」
デッドは机に腰掛けながらワンダーにそう言った。
「メーラ、何があったんだろうね…」
「大切な人を失ったって言ってるんだから、相当辛かったんだろうなあ」
「…」
「ワンダー、どうした?」
「あ、いや、なんでもない…」
「そうかぁ…なぁ、気晴らしに旅行しないか?」
「…え?どこに?」
「ふふん…驚くなよ…
ヨーロッパ&ノイバ大陸旅行だ…!」
ワンダーとデッドの冒険は、新たなステージに入った…
ゲストキャラ解説(多め)
メーラ・アビサ
世間への八つ当たりのためカリュデウス大森林を支配した魔女。魔物や自然の改造、魔術の開発など10割危険人物。騎士団へ脅迫状をだすなど行動力100点。
ハーダー・ザリコス
カリュデウス騎士団第二師団団長。自身の昇進のため魔物退治屋達を部下のドーキンスの洗脳魔法を使い洗脳、拉致してメーラとの戦いにけしかける。
ドーキンス
洗脳魔法の使い手でザリコスの部下。
パール・ブロート
カリュデウス騎士団第一師団団長。正義感強めの人格者。
悟を福岡に送り届けたワンダーとデッドは家に帰った途端何者かに電撃を浴びせられ、ワンダーの方は気づいたら森の中にいた。森は今騎士団&魔物退治屋達VSメーラ一味の戦争状態になっており、デッドもそれに巻き込まれたのだ。ワンダーは偶然メーラの小屋を発見し、メーラを説得しようとするが…
メーラの小屋を破壊したのは一門の大砲だった。
「やはりここにいたなこの魔女!小屋の周りの自然の罠はもう毒ガスで対処した!観念しろ!」
「あ、危ないじゃないか!弾が当たったらどうするの!」
「ふん!この大森林を支配できる魔女が大砲で死ぬはずがなかろう!」
「本当に…毒ガスが…」
メーラの手が一層震える。
「メーラ…」
「ハッ!ワンダー!その女の味方か!洗脳が解けたからっていい気になりやがって!」
(洗脳…?もしかして!)
「…せ、洗脳魔法を悪用したのか!?」
「そうだ!洗脳魔法を使いこの国の魔物退治屋を集めて、メーラを倒す計画だったのだ!まぁ、最終的にはこの毒ガスが決着をつけたがな!」
「洗脳魔法の悪用は魔法律で禁じられているはずだぞ!」
「危険魔術の開発も同じ事言えるわ!さぁ、その女を庇うな!後で貴様の記憶を消去してやるわ!」
「クッ…」
ワンダーが騎士団の一人の人間とそう言い合っている内に、ワンダーの後ろに隠れていたメーラが突然声を張り上げた。
「土よ!自然の鎖で敵を封じよ!『ランド・プリズン(大地の牢獄)』!」
メーラがそう叫んだ瞬間、騎士団団員達の足に土が一瞬で纏わり付き、動きを封じた。
大砲も地面の中に埋もれていった。
「皆焦るな!地面も毒ガスの影響を受けているから頑張れば抜け出せるぞ!」
「ワンダー、今のうちに逃げて」
「え?」
メーラの言葉にワンダーは変な声を出した。
「私が騎士団を食い止めるから、あなたは大切な人を…」
メーラの目は、どこか悲しげだった。
「…わかった、メーラも無事でいてね」
「ええ…」
ワンダーは空を飛び、今度こそ大森林を抜け出す…
第二師団団長室
「ザリコス団長、部隊は途中、魔物共の強襲に遭いましたが何とか撃退した様です」
「ふふふふふふ…!もうすぐだな…!」
「毒ガスの効力は凄まじく、魔女陣営はここからの逆転は無理でしょうな」
「ふふふふふふ…はっはっはっ!笑いが止まらんわい、ついに第一師団の者共を見下させる日がきたのだなぁ!」
ザリコスが笑っていた時、団長室のドアが激しく叩かれた。
「団長!緊急事態です!」
「な、何だ!入れ!」
ガチャ
「魔物退治屋隊の内、一人の洗脳が切れた模様です!」
「な、なにぃ!?洗脳が切れたぁ!?ドーキンス!どういう事だ!」
「そ、そんな!私の洗脳魔法は私以外の人間による解除はできるはずが…!」
「ええい!洗脳を解いたその魔物退治屋の名前は!?」
「ワンダーという男です!相棒にデッド・バーソンがいます!」
「ワ、ワンダー!?まずいっ!あいつが目を覚ましたとなるとかなりまずい…あいつ一人でもの状況をひっくり返せる事もできかねん…!よし!至急第二師団全団員に命令を出す!ワンダーを止めろ!」
「「はっ!」」
ドーキンスと一人の男は慌てて団長室を出ていった…
森の中でワンダーはデッドを探し回った。
しばらくして、強烈な異臭がしてきた。
ワンダーは異臭がしてきた方向にいくと、そこには大勢の魔物が倒れていた。
「まさか…」
「ワ、ワンダー…」
デニギアが草陰から姿を現したのはその時だった。
デニギアの体は血まみれになっていた。
「デニギア!大丈夫!?」
「あ、ああ…何とか…騎士団を倒せた…ぜ…」
息が絶え絶えだ。
「ほ、他の魔物達は?」
「みんなぁ…死にやがったよ…ほとんどがあの毒ガス吸ってなあ…それ以外は…団員達の剣と魔法の餌食さ…カハッ」
血を吐きながらデニギアは喋る。
「まあ…あいつらも…無差別に人間を殺してたような奴らだからなぁ…報い…だよなあ」
「デニギア…」
「…さっき、デッドを見つけたぜ」
「え!?」
「一人で…南の方角に進んでったぜ…その後を他の魔物退治屋達が追いかけて…いってた…」
「南だね!わかった!」
ワンダーはすぐさま南に飛んでいった。
「ワンダー……立派なやつだよ…」
デニギアは地面に倒れた…
第二師団団長室
「ザ…ザリコス団長、今度は魔物退治屋が一斉に南の方角に消えたようです…」
「な…なにぃ!?洗脳が解けたか!?」
「いえ、さっき森から帰ってきた時に全員に掛け直しましたからそんなはずは…南にいったのはその後です…」
「くそぉ…!わしもいくっ!カリュデウス騎士団第二師団、出動だぁ!」
ワンダーは飛んだ。
南へ、南へ、南へと。
飛び続けた。
そして、ついにデッドの姿を視界に入れる事ができた。
「デッド!デッド!デッド!」
ワンダーは夢中にデッドの名前を呼び続け、近づいていった。
「デッド!早く帰ろ…」
ドゴッ!
次の瞬間、デッドのパンチがワンダーのみぞおちに入った。
「カハッ…」
ワンダーは勢いよく飛ばされて、木に頭をぶつけた。
(いた……い…)
クラクラしながらも、剣を握りしめた。
「デッド…今、目を覚させて…」
デッドの目が赤くなっている。
だが、そんな目にも怯えず、ワンダーはディスードに電気を帯びさせサンダーディスードにした。
「…いくよ!」
ザンッ!
ワンダーはサンダースラッシュをデッドに放つ。
シュバッ!
デッドは避けて、レッダーをワンダーにお見舞いする。
バッ!
ドガアアアアアアアアアアアアアン!
ワンダーは空を飛んで避けて、衝撃波から逃れる。
(この勢いで!)
ワンダーは空を飛びながら一気に距離を詰め、デッドに接近する。
デッドは後ろにジャンプしながらレッダーを放ちまくる。
バッ!バッ!バッ!
ワンダーは全て避けて、勢いそのまま剣をデッドに振りかざし、気絶させた。
…という展開になれば良かったのだが。
ワンダーが剣を振り下ろす瞬間、ワンダーの体は衝撃波により横に吹っ飛ばされた。
またも木にぶつかり、頭が赤く染められていく。
次の瞬間、ワンダーは恐ろしい光景を目にした。
「…みんな!?」
ワンダーを吹き飛ばしたであろう男の後ろに、何十人もの魔物退治屋がいた。
全員、目が赤くなっている。
その目の中には、ワンダーの対しての殺意しか存在していなかった。
ヒュウッ!
先頭にいる男が風魔法の風圧攻撃で、またワンダーを吹き飛ばそうとした。
バッ!
ワンダーは二度は当たらない。華麗にそれを避け、サンダースラッシュで男を気絶させた。
しかし…後ろにはまだ何十人もの魔物退治屋が陳列していた。
「これ、全員倒さなきゃダメなの…」
ワンダーの体力は少しづつ限界に近づいていった…
森の中を、無数の馬が駆け巡る。
カリュデウス騎士団第二師団は南に一斉失踪した魔物退治屋達を追いかけていた。
先頭に団長ハーダー・ザリコスがいた。
その横を部下のドーキンスがついていく。
「団長ッ!後少しで着きますッ!団員達も全員揃っています!」
「ようしっ!いくぞ皆の者ッ!」
馬の嵐は一層スピードを増していった…
ワンダー対大勢の魔物退治屋の戦いは、激しさを増している。
ワンダーは火炎攻撃を避けたり、大男の斧の一撃を受け止めたりと必死だった。
どうにかこうにかして人数は大分減らせたものの、飛翔魔法を使ってくる人間もいるので始末が悪い。
またマズいことにデッドの攻撃ももちろん来るので、それの対処もしている。
ワンダーは次第に、何らかのゾーンに入っていった。
(全部が…遅く…見える…)
ゾーンに入ったワンダーは力を振り絞り、空中からのサンダーディスードの連続斬撃で一気に敵を倒していった。
残る魔物退治屋はデッド含めて後4人である。
一人は飛翔魔法を使いながらワンダーの攻撃を掻い潜ってきた細身の女。
一人はワンダーのスラッシュを防ぐ強度を持つバリアを張る水魔法使いの男。
一人は自身の体を獣人化してくる男。
そして最後の一人は…デッドだった。
通常のワンダーなら苦戦しても何とか勝利を収められるであろうが、今の疲弊しきっているワンダーには厳しかった。
ゾーンに入っていたワンダーはしばらく疲れと痛みを忘れていたが、あくまで忘れていただけ。
今それらが一気に戻ってきて、ワンダーはついに膝を地につけた。
「「「「…」」」」
4人がジリジリと近づいてきている。
その目には、今度こそ仕留めるといったメッセージが見て取れる。
「…くそつ!くそっ!」
ワンダーは自分に喝をいれながら体を動かそうとするが、体はワンダーの言う事を聞かない。
一時手を組んだデニギアは来ない。
青桐組の援軍もない。
デニギアの味方だった魔物達は狩り尽くされたのであろう。
ワンダーの敗北は目に見えていた。
「…でも…」
しかし、とワンダーは思った。
自己中で何かと気に食わない『あの女』はもしかしたら洗脳にかかってないのではないだろうか。
あいつだけは騎士団の魔の手から逃れているのではないだろうか。
そんな一抹の希望は、デッドの首締めによって徐々にかき消されていった。
「ウ…グ…」
デッドがワンダーの首を絞める。ありったけの力を込めて。
ワンダーの口や目から希望の水が流れ出す。
「カハァ…ア…ウア…」
ワンダーの意識はそこでブラックアウトした…
かに思えた。
ドゴォ!
鈍い音が鳴った瞬間、ワンダーは呼吸が許された。
「はあはあはあは…リング?」
ワンダーの目の前には斧で突いてデッドを吹き飛ばしたであろうリングがいた。
「リング…洗脳されてなかったの?」
「この3人を倒せばいいわけね」
バッ!
リングはワンダーの話を聞かず、いきなり細身の女に襲いかかる。
シュバッ!
女は飛翔魔法を使い逃げようとするが…
ザシュ!
ジャンプしたリングに足を斬られあえなく落下、気絶した。
ダッ!
今度は背後から獣人化した男が襲いかかるが…
ザシュ!
振り向きざまにリングが斧で斬り、あっけなく倒された。
そしてリングの目は最後の水魔法使いの男に向いた。
「!!!」
焦った男はバリアを張る。
ガンッ!
リングは斧を振るうがバリアは壊れない、が…
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンッ!
リングの斧は動きが止む事なく振られていき、バリアにヒビが入り…
パキンッ!
割れた。
ザシュ!
バリアが割れたと同時にリングは斧を振って、最後の魔物退治屋を倒した。
(リング、怖…でもいつのまにこんなに強く…)
「ワンダー、あんた今なんで私がこんなに強くなってんだと思ったでしょう」
「え、え」
「それは…」
「ワンダー!リング!見つけたぞ!」
二人は声がした方向を振り向くと、そこにはカリュデウス騎士団第二師団の団員達がずらりと並んでいた。
先頭には声の主であろうザリコスがいる。
「おのれい!ワシの昇進計画を邪魔しやがって!」
「魔物を惨殺した男なんかに昇進はもったいないわよ」
「ふ、ふん!魔物を退治してやったんだから感謝せい!…ええい!貴様ら魔物退治屋を洗脳して森を支配している魔女を倒し、その手柄をワシのものにするつもりだったのに!」
「全部喋ってるね…」
「シンプルに頭悪いからかしらね」
「…」
リングは魔物を殺されまくって相当怒っているようだ。
「ワシの悪事を知られたからには無事には帰さんぞ!総員!とつげ…」
「やめよ!ザリコス!」
「ブ、ブロート…!」
ワンダー達が声がした方を向くと、そこにはザリコスと同じ鎧を着た男と、その後ろに第二師団と同じような集団がいた。
「あ、あの人はブロート第一師団団長!?」
「私がザリコスの悪事を告げたのよ」
「え?どういう事?」
「私があんたとデッドの家の前を通ってる時、偶然ザリコスがあんた達がいないと不安だーみたいな事を言ってたから、怪しく思ってそのまま盗み聞きしてたらなんか『これでメンバーにする予定の魔物退治屋どもは全員洗脳できるな!』って言ってたから私も狙われるかもって思って、自宅には帰らないで森にいたのよ、そしたら案の定魔物退治屋達がきて…そして私は確信して騎士団にこの事を通報したのよ」
「は、はあ…」
リングがワンダーにそんな説明をしている最中、ブロートとザリコスは言い争っていた。
「ザリコス!なぜこんな事をした!」
「じ、次期昇進候補のお前への嫉妬だあ!嫉妬で何が悪い!」
「開き直ったな!お前の悪事はもう直々に王にも伝えにいっている!裁きが来るであろう!」
「な、なんだと〜!」
「もう諦めな」
突如倒れていたデッドが立ち上がってザリコスに言い放った。
「デッド!無事だったんだね!」
ワンダーは走り出し、デッドと抱き合った。
「ああ、途中でお前の心配を無意識にしてたら洗脳が解けて他の魔物退治屋に追いかけられてたが、ここでまた洗脳の効果がぶり返してきちゃったんだよ、でも俺もお前が無事で良かったぜ、リングの突きで目が覚めたんだ」
「そうか、そういえば今さら僕も洗脳されてた時もデッドの事心配してた記憶をうっすらと思い出してきたな、たぶんそれがトリガーだったんだね
「もう、心配したんだからね、デッド…」
「あれ?リングなんか口調優しくなってない?やっぱりデッドの事が…」
「う・る・さ・い」
「アッハイ」
後日
ハーダー・ザリコスの悪事と部下ドーキンスの洗脳魔法の悪用が明らかになり、カリュデウス騎士団第二師団は一時解体され、計画に加担していた第二師団の人間達は皆捕まった。
森を支配していた魔女メーラ・アビサも第一師団に捕まり、取り調べで『大切な人を失ってから幸せな人間がたくさんいる世間を憎むようになり、森を支配して八つ当たりをしようとしてしまった。』と述べた。
洗脳されていた魔物退治屋の人達は皆カリュデウス騎士団の手当てを受けている。
そして第二師団の悪事を突き止めた第一師団のパール・ブロート団長は昇進をした。
「…以上が新聞に記載されてたぜ」
デッドは机に腰掛けながらワンダーにそう言った。
「メーラ、何があったんだろうね…」
「大切な人を失ったって言ってるんだから、相当辛かったんだろうなあ」
「…」
「ワンダー、どうした?」
「あ、いや、なんでもない…」
「そうかぁ…なぁ、気晴らしに旅行しないか?」
「…え?どこに?」
「ふふん…驚くなよ…
ヨーロッパ&ノイバ大陸旅行だ…!」
ワンダーとデッドの冒険は、新たなステージに入った…
ゲストキャラ解説(多め)
メーラ・アビサ
世間への八つ当たりのためカリュデウス大森林を支配した魔女。魔物や自然の改造、魔術の開発など10割危険人物。騎士団へ脅迫状をだすなど行動力100点。
ハーダー・ザリコス
カリュデウス騎士団第二師団団長。自身の昇進のため魔物退治屋達を部下のドーキンスの洗脳魔法を使い洗脳、拉致してメーラとの戦いにけしかける。
ドーキンス
洗脳魔法の使い手でザリコスの部下。
パール・ブロート
カリュデウス騎士団第一師団団長。正義感強めの人格者。
- 1.第一話 異世界への召喚
- 2.第二話 説得作戦
- 3.第三話 畏怖を乗せた流れ星
- 4.第四話 対決美人剣士
- 5.第五話 対面超少年
- 6.第六話 剣集めはつらいよ
- 7.第七話 剣と光弾とナイフと 前編
- 8.第八話 剣と光弾とナイフと 後編
- 9.第九話 爆弾が怒る時
- 10.第十話 黒い追跡
- 11.第十一話 迷宮攻略はワンダーにお任せ
- 12.第十二話 殺人神と呼ばれた男 前編
- 13.第十三話 殺人神と呼ばれた男 後編
- 14.第十四話 睡眠ガスに気をつけろ!
- 15.第十五話 ミラー・ワンダー
- 16.第十六話 炎斧
- 17.第十七話 私が愛したあの子
- 18.第十八話 燃えよS&W M500
- 19.第十九話 この一発で福岡に帰ろう
- 20.第二十話 斬ってよかった
- 21.第二十一話 ロシアから殺意をこめて
- 22.第二十二話 大森林危機一髪!前編
- 23.第二十三話 大森林危機一髪!後編
- 24.第二十四話 世界不思議に関する2600文字
- 25.第二十五話 ファースト・バトルオブヨーロッパ
- 26.第二十六話 乗っ取りは逆襲の音
- 27.第二十七話 我ら、ノイバ親帝派!
- 28.第二十八話 スペインに殺しの花が咲く
- 29.第二十九話 ワンダーVS奴隷軍団
- 30.第三十話 マフィアン・LOVE
- 31.第三十一話 朝シン
- 32.第三十二話 ネオ・第三帝国
- 33.第三十三話 傭兵よ永遠に
- 34.第三十四話 縁戻し
- 35.第三十五話 奴らが来た!!!
- 36.第三十六話 決戦 前編
- 37.第三十七話 決戦 後編
- 38.第三十八話 シン・青桐組とシン・ワンデドコンビ
- 39.第三十九話 香港は燃えるか…?
- 40.第四十話 魔力・キラー
- 41.第四十一話 ボム・フロム・ザ・スカイ
- 42.第四十二話 青桐一家勢揃い
- 43.第四十三話 愛ある女は己を隠す その1
- 44.第四十四話 愛ある女は己を隠す その2