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世界不思議(ワールドワンダー)

#45

第四十五話 愛ある女は己を隠す その3

ナーシラン王国 商都シールリラン フォーリュド家管轄下施設

デニギアの襲撃によって到着が遅れた二人の男とリングは、やっとこさ施設で待っていたエオンに出会えた。


施設内部
エオンは三人を施設内に入場させ、自身の部屋で計画を話した。
「まず地下にいってそこで管理されている魔物兵器達を事故に見せかけて解放し、全ての階層で暴れさせる、その混乱に乗じて、リング、君が僕の兄を消すんだ」



一方、ワンダーとデッドはシールリランでの情報収集により、ついに施設の場所を特定する事ができた。
「しかしワンダー、どうやってリングと接触する?」
「正面突破は無理だし、かといって他に入れそうな所は…」


計画を話されてからしばらく、リングは専用の部屋で待機していたが突如エオンに呼び出される。
「どうしたの?」
「大変な事になった、兄が外出した」
「え…」
「どうやらまた例の洞窟にいったらしい」
「例の洞窟…?」
「うん………ワイバーンが襲われなければ…………よし、リング、またあの僕の部下の二人と一緒に来てくれ、それと、数体魔物兵器を野外訓練と称して連れ出す」


ワンダーとデッドの二人も、エオンの兄が施設を出る光景を目撃していた。
「デッド、あの人って」
「ああ、エオンの兄さんだな」
「…デッド、僕があの人を追うから、デッドはこの後追ってくるはずのリング達が出てくるか見張ってて」
「OK」
ワンダーはデッドと別れ、エオンの兄を追って行った。

「待ってください!」
ワンダーはエオンの兄を呼び止めた。
「…君は?」
「カリュデウス王国から来た国際的魔物退治屋のワンダーです、あなたは確か、フォーリュド家のエオン様のお兄さんですよね?」
「ああ、そうだよ、僕はラルウ・デロ・フォーリュド、まさしくエオンの兄さ、所で何の用だい?」
「ラルウ様に伝えなければいけない事があるんです」
「そうなの?じゃあ、歩きながら話そうよ」


「…それで、僕にどうしてほしいの?」
「それは…ひとまず、誰かに相談するとか…」
ワンダーはラルウがエオンに命を狙われている旨を話したが、ラルウは冷静に返した。
「…たとえ逃げても、エオンは諦めないだろうし、家の事もあるし、じたばたしても意味がないと思うよ」
「そんな……」
「それに、僕はそうされてもある意味仕方のないような事をしたんだ」
「え?」
「…いや、洞窟に着いたら話す」



二人は郊外の洞窟にたどり着き、中へと進んでいく。
しばらく歩いていると、一匹の小さい魔犬がラルウに寄ってきた。
「この子は…」
「僕が初めてここにきた時、出会ったのさ、ずっとここで暮らしてる」
更に続けて何匹かの魔コウモリや一匹の小型サラマンダーもラルウに近づいてきた。
魔コウモリ達はラルウの頭にとまり、サラマンダーも火をまといながらラルウに頬にくっつく。
「あ、サラマンダーが…」
「熱くないし、ちょうどいいくらいだよ」
「…魔物達に良く懐かれるんですね」
「うん、正直家業よりもこっちでこうしてる方が好きなんだ」
家業。
その言葉にワンダーはなんとも言えない気持ちになった。
家業について切り出した方がいいか迷った。
でも、ここまできたなら言ってやろうと決心した。
「ラルウ様、フォーリュド家は魔物を兵器として外国に売っているというのは真実なのですか?」
ラルウが魔犬を触る手がピタリと止まった。
少しして、ラルウは喋り出した。
「…すごいな、そんな事まで」
「…とある知性がある魔物が、教えてくれたんですよ」
「そう…」
ラルウは立ち上がった。
「…そう、僕らフォーリュド家は魔物を兵器に改造、それを外国に売って利益を儲け、今や王家に一目置かれる程に成り上がった」
ついに、ラルウという家の者からその言葉が出た。
「家業とはそれさ…そんな家業よりも、魔物とこうしてる方が好きなんだ…でも、フォーリュド家に生まれた限り、その心を表に出してはいけないんだ」
ラルウは悲しげに魔物達を見る。
魔物達は二人が何を話してるかさっぱりな様だ。
その時だった。

ブー!ブー!

ワンダーのスマホが鳴った。
「あ!」
ワンダーはスマホを取り出し、出た。
「デッド、出たんだね?」
「ああ、ついにな、リングもいる」
「…OK、準備しておくよ」
ワンダーは電話を切ると、ラルウにこう言った。

「エオン様一行が、あなたを殺そうとこの洞窟に向かっています、僕は一介の魔物退治屋ですが、少しの間護衛に転職する必要がある様です」



ワンダーとラルウが話している時、ついにエオン達は施設を出て、デッドもそれを目撃していた。
リングもその中にいる。
一つ気がかりなのは、エオンの部下らしき二人の男が凶暴そうな魔物を4体連れている所。
その魔物達もエオン達と一緒に馬車に乗っていたが…
「…ん?誰だ?」
デッドは施設から一人の男性が出てくるのを見た。
その男性はエオンに何やら話しかけた。
男達に止められないのを見る限り、エオンと何かしら関係があるのだろう。
しかしエオンは男性に何か少しだけ喋ると、そそくさと馬車を出発させた。

「すいません」
デッドは男性に話しかけた。
「俺、カリュデウス王国の国際的魔物退治屋のデッド・バーソンと言います、あの、あなたはあのエオン様のお知り合いですか?」
「いや、知り合いも何も…

私はあいつの父だ」
「え」
「私の名はバフク・デロ・フォーリュド、カリュデウス王国カルガ地方の貴族フォーリュド家の当主だ」

エオンの父バフクは、デッドから知り合いのリングという女がエオンにそそのかれ、エオンの兄の暗殺を代行しようとしているという旨を聞いた。
しかしバフクは、とある点に意味深な反応を示した。
「リング………サイク?」
「ご存じで?」
「…デッド・バーソンと言ったか、デッド、君に伝えなければいけない事実がある」



エオン一行は洞窟の近くで馬車を降り、奥へと進んでいった。
しかし、そこにはラルウの代わりにワンダーがいた。
「ワンダー…?」
リングはまさかワンダーがいるとは思わず目を疑った。
「エオン様、あなたの兄ラルウ様はここにはいません、お帰りください」
「…どうやら、邪魔が入った様だね」
エオンは部下の二人に目配せすると、二人は鞭を取り出したが…

「おっと、エオン様、その女を返してもらいましょうか」

そこに後を追ってきたデッドも参戦した。
「…あの世行き一名追加か…」
エオンは驚く事もなくそう呟き…
「やれ」
部下の二人にそう言うと、二人は鞭を振るった。


魔物兵器達は鞭の音を聞かされると、それぞれ宣戦布告の雄叫びを上げた。

「GAッ、GAGAAAッ!!GAGAAAッ!!!」
双頭にされた炎の鳥、改造フェニックス。

「TAッTUKETEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!」
充血した巨大な目玉を持つ、巨大な改造魔亀。

「GOOOORUZAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!!!」
みるみる体を巨大化させていき、体が吐き散れそうになっている改造魔狼。

「riririririririririririririririririririiiiiiiiii………」
鈴の様な鳴き声を出す、改造ミミック。


四体は二手に分かれてワンダーとデッドに襲いかかった。

ボワアアアアアッ!!
フェニックスは一方のクチバシから火炎放射をワンダーに仕掛ける。
ワンダーはそれをディスードで受け流し背中に羽を生やし、飛んでフェニックスに接近する。
しかしフェニックスはもう一方のクチバシからも火炎放射を仕掛ける。
ワンダーはそれも受け流すが、地上から魔亀が目玉から紫色の光線を放ってくる。
ワンダーは間一髪それも防ぎ、魔亀を叩き斬るために魔亀にスラッシュを放つ。

カキンッ!!!

しかし魔亀は瞬時に甲羅に籠り、スラッシュを防ぐ。
フェニックスはその隙を見てワンダーに襲いかかるが、ワンダーは振り向きざまに一閃入れる。

ザシュッ!
フェニックスは腹に一閃くらい、少し後退した。
ワンダーはその隙を見逃さず、スラッシュを三発放つ。
フェニックスは二発避けるが最後の一発をくらいまたもダメージを負った、が…


ボワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!


フェニックスは伝説の火炎鳥、全身に豪炎を纏うことなど容易かった。
二発も攻撃を受けて本気になったフェニックスは、全身から炎を放出し辺り一面を焦がす。
しかし、それこそがワンダーの狙いだった。
ワンダーはその炎を避け、すれ違いざまにディスードをフェニックスが纏っている豪炎に触れさせる。
そうする事でディスードに炎を纏わせる。
そしてディスードにありったけの魔力を握っている手を通じて送り、炎と電気を同時に帯びらせる。
ワンダーが何やら怪しげな事をやっておると感知したフェニックスはまたも体全体から炎を放出する。
ワンダーはそれを避けるが、炎は地上の魔亀に直撃した。
しかし魔亀の周りの地面が焦げただけで甲羅に籠っていた魔亀は無傷だった。
しかし、仲間と言えど火炎鳥の豪炎をまともに受けたせいでわずかに甲羅にダメージを負っている。

ワンダーは、それを見逃さなかった。


ザシュッザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュ!


ワンダーはサンダースラッシュならぬファイアーサンダースラッシュを魔亀の甲羅に連発する。
途中フェニックスが体当たりをしてきたが何とか避ける。
通常のサンダースラッシュに豪炎が上乗せされているため威力は大幅に上がっており、フェニックスの豪炎を受けた直後の甲羅に段々とヒビが入ってくる。
この猛攻に流石の魔亀も異常を感じ、防戦一方を避けるためついに顔を出し光線を放とうとする。
しかし、それこそもワンダーの狙いであった。


ズバッ!!!


ワンダーは魔亀の顔出しを見逃さず、すかさず急接近して魔亀の首にディスードを押し当てる。
ディスードが触れている魔亀の首には炎と電気が同時に襲いかかり、それがいつしか全身に回っていく。
あまりの猛攻に魔亀は甲羅に籠ろうとできない。
その間にワンダーはついに魔亀の首を一閃した。

ズバッ!!!!!!
魔亀は首を失っただけでなく、首と胴体が火だるまになった(少しの電気を添えて)。

魔亀の敗北を受けてフェニックスは上空高く舞い上がり、とうとう全ての余力を振り絞った豪炎放射を繰り出した。


バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!


…フェニックスの最後の猛攻により当たり一面は焦土となった。
しかし、我らがワンダーは少しだけ火傷と火の粉をもらいながらも見事にそれを掻い潜っていた。
「やった…」
ワンダーは思わず呟いた。
そして、最早余力が残っていないフェニックスはワンダーが手を下すまでもなく力尽きた。
…パタッ
フェニックスは地面に墜落し、目の輝きを失った。



ワンダーが戦っていた一方で、デッドも激しい戦闘を繰り広げていた。
デッドの方は魔狼とミミックが相手であった。
魔狼の身長はゆうに5メートルはあり、しかも二足歩行なのだから狼と言うより獣人である。
一方のミミックは外見が金一色の宝箱である。

ドゴッ!ゴガッ!
デッドは高く跳躍して魔狼のみぞおちに飛び蹴りをかまし、続けて空中パンチをお見舞いする。
「GARUッ!!」
魔狼は怯むがすぐにするどい鍵爪で反撃する。
しかしデッドはローリングで避け、魔狼の股を潜る。
魔狼が振り返ると、デッドは待ってましたとばかりに巨大なレッダーを撃ち込んだ!

バアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!!!

全力で溜めれば一軒家を木っ端微塵に粉砕する威力を持つレッダー、今のはそれ程ではないがそれを撃つための時間稼ぎにはちょうど良かった。

「GARURU………」
魔狼は低く唸りながら少し怯む。
その隙にデッドは全力のレッダーを撃つために手に出現させたレッダーをみるみる大きくさせる。
「GORUZAAAA!!!」
魔狼が怒りの咆哮を上げると同時に、デッドはついに威力最大の巨大レッダーを撃ち込んだ!



しかし、それが魔狼に当たる事はなかった。
「あ?」
デッドは思わず困惑する。
レッダーが当たる直前に魔狼は消えた。
いや、消えたのではない、体を小さくしていた。
ほんの一秒前まで5メートルはあった魔狼は、今は通常サイズの魔狼に小さくなっていたのだ!

「GORURURUZAAAAAAAAッ!!!!!」
通常サイズに戻った魔狼はそのままデッドに飛び掛かる。
「ぐっ!」
しかしデッドは魔狼に押し倒されると同時に魔狼を後ろへと投げ飛ばした。
デッドは体勢を立て直すが…

「ririririririririririiiiiiii………」
背後にいたミミックが、突然鈴の様な鳴き声を出す。
「ぐわあああああああッ!!」
それを聞いたデッドは頭がトンカチで殴られる様な不快感を覚え、耳を塞ぐ。
「ちきしょお!」
デッドはジャンプで移動してすぐさまミミックから離れるが、そこに魔狼が襲ってくる。
デッドと魔狼は一瞬くんずほぐれつになるが、またもデッドは魔狼を投げ飛ばす。
しかし、どうやってトドメを刺すかに欠けている状態には変わりない。
「何か良い手は…」
デッドは悩んだが、ミミックはそんなのお構いなしだ。
「ririririririririririiiiiiii………」
再びミミックは不快な鳴き声を出し、デッドを悶絶させる。
「あああ!!!!ううう………!!!」
デッドは体中に痛みが走る様な感覚に陥り、無意識に体中を触る。
その手が腰回りに触れた、その時だった。
「……あ?」
どうやら、デッドは自身がアメリカ人だと言うことを忘れていた。

デッドには、銃があった。

しかし、取り出すより前にまたも魔狼が襲ってくる。
デッドは今度も投げ飛ばそうとしたが、ミミックの鳴き声で上手くいかない。
「ふううう!ああああ…!」
魔狼は苦しむデッドの猛攻を掛け、殴りや引っ掻きをやってくる。
「だああああああッ!!!」
しかしデッドは力を振り絞り、魔狼の前足を掴んで地面に数回叩きつけて投げ飛ばす。
そして急いでミミックから距離を取り、ベレッタ92を携える。
何回も地面も地面に叩きつけられた魔狼は今度こそ仕留めんと、デッドに急接近する。
しかしデッドはあえて動かず、魔狼に押し倒される。
しかし、それこそがデッドの狙いだった。
ガシッ!
デッドは魔狼の胸を鷲掴みにすると…

バンッ!バンッ!バンッ!

デッドはベレッタ92を魔狼に三発撃ち、一発目が口、二発目が顎、三発目は目に命中した。
顔にダメージを負い片目を潰された魔狼は体勢を崩し、デッドに隙を与える。
その隙にデッドは小型レッダーを繰り出し、魔狼を少し吹き飛ばす。
「GORURUAAAAAA!!!!!」
ついに魔狼は激怒してみるみる体を巨大化させていく。

「喰らえええッ!!!」

バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!!!!

しかし、デッドの巨大レッダーが直撃、魔狼はついに体を破裂させた。


魔狼は粉々になり、残るはミミックだけ。
デッドは間髪入れずにレッダーを召喚し、ミミックに放つ。

バンッ!!
しかし、ミミックの黄金ボディはレッダーを容易く防いだ。
デッドは近づいて接近戦に挑もうとするが、不快な鳴き声がすかさず襲いかかってくる。
「くそお…」
デッドが苦戦していると、自身の方の戦闘を終えたワンダーが寄ってきた。
「残るはあいつだね」
「あぁ、だが、あのボディはレッダーもお断りときた」
「………よし、デッド」
「ん?」
「僕があいつに近づく、僕は半妖精だから多少攻撃を受けても大丈夫さ、それに、あいつはミミックだから僕が近づいたら口を開けるに違いない、そこを狙って」
「よし、頼んだぞ」
ワンダーは低空飛行でミミックに近づく。
「ririririririririririiiiiiii………」
例に漏れずミミックは例の鳴き声をお見舞いする。
「うううう…!!!うう!!ああ!!」
ワンダーも効いているが、隙を作るため必死に接近する。
「ririririririririririiiiiiii……」
「ぐうッ……!!!」
ワンダーの飛行速度が徐々に遅くなっていく。
「ririririririririririiiiiiiiiiiiii…………」
「うう…あ…」
バタッ
ワンダーは何とかしてミミックの眼前に接近するが、ついに落ちた。
地面に伏してピクピクするワンダーを、ミミックは予想通り口を開けて、その無数の牙を見せつけながら食そうとした。

「させるかよ!」
すかさずデッドはレッダーを放ち、ミミックの口内に直撃させる。
「iiiiiiiiiiii…!!!」
ミミックは小さな悲鳴を上げて、口を開けながら少し後退する。
「ッ!!だああああああ!!!」
ズバッ!
その隙をワンダーは見逃さず、気力を振り絞って起き上がり、ディスードを持ち走りながらすれ違い様にミミックの口内を一閃した。

「………」
ギィ…ギィ…
ミミックは今度は悲鳴も出さず、今度こそ力尽きて元の宝箱に戻っていた。
「はあ…はあ…」
しかし、ミミックの鳴き声をモロに聞いてしまったワンダーはその場に倒れ込む。
「ワンダー!」
デッドがワンダーに駆け寄った。
「…………はあ…はあ……早く……エオン達を……」
「…ああ」



二人が四体と戦っている隙に、エオン達は松明片手に洞窟の奥までラルウを追っていた。
「…ん?」
エオンは前方にたくさんの魔物達が自分達の進路を塞いでる様に集まっているのを見た。
「……リング、蹴散らせ」
「…嫌よ、魔物好きなの」
「復讐は?」
「この子達は避けて通りましょう」
「無理だ、どうせ移動してふさわしく塞いでくる、そんな愛着は捨てて、今は復讐の事だけ考えよう」
「…」
「…しょうがない、やれ」
エオンは部下の二人に命令して、二人は火炎弾を撃ち出した。
ボワッ!ボワッ!
火炎弾は魔物達を火だるまにし、道を作った。
その先を進むと、エオンはついにお目当ての人物を見つけた。

そこには、魔犬を撫でているラルウがいた。
「…エオンだね」
「…兄上、死んでください」
エオンはリングに目配せすると、リングは鎌を振り上げた。

「待てええええええええッ!!!」

ガキンッ!!

しかし、急速飛行してきたワンダーのディスードにより鎌が弾き飛ばされる。
「はあ…はあ…」
しかし、ワンダーは先のミミック戦で体力を消耗していた。
「…生きていたのか…!」
エオンは少し憎々しげに言う。
「リングッ!」
そこにデッドも駆けつける。

…バフクを背負った状態で。

「………父、父上?」
「……リング、君に伝えなければいけない事がある」
エオンの困惑を無視して、バフクはデッドから降りてリングに歩み寄り話し始めた。








昔 とある森の中
「…エオン様ッ!!」
「はあ、はあ、はあ、はあ…」
エオンの足元に、無惨に胸と腹から赤い薔薇を咲かせていた男の死体があった。
「エオン様ッ…」
エオンの部下である二人が駆け寄る。
「…こいつが悪いんだ…こいつが悪いんだ…」
エオンはそう繰り返し呟く。
「エオン様…」
「…隠そう……隠そう…」
エオンは掠れ声で繰り返した。

傍には、一人の少女が立っていた。


数日後
「いってくる、すぐ帰るつもりだから誰か来客が来たら待たせといてくれ」
「はい」
ラルウは留守をするメイドにそう言って、外出していった。
また魔物達がたくさんいる森の方へ行く様だ。
反吐が出る。
家業をすっぽかして、聖人気取り。
エオンのラルウへの筋違いな憎悪が増幅していた。


しばらくして…
エオンは心の中で喜びの舞を舞っていた。
ついにやった。やってやった。
殺人という大罪の濡れ衣を、不出来な兄に着せれるとは。
あの時の少女は幼い様に見えた、まともな証言は出来ないだろう。
二人の部下はよくやってくれた、後で報酬をやってやろう。
そして、僕は晴れて跡継ぎだ。
アハハ、アハハ…


数年後…
エオンは固まっていた。
何故だ?何故だ?何故だ?
何故兄を?
何故跡継ぎに?
不思議だ。
バレてないはずなのに。
よし、殺そう。






「…私はラルウは犯人ではないと知っていた、エオン、父の目を欺けるとでも思えたか?しかし、悪人という点では私もそうだ、家業の事を考えると、魔物好きなラルウには任せられなかったのだ、しかし、エオン、お前にどうしても跡継ぎの資格があるとは思えん」
「デタラメだ、リング、騙されるな」
エオンが早口になる。
「リング、忘れたのか、思い出せ、あの日の事を、それに傍聴席での君と君の母の顔は、忘れられないのだ」
バフクはリングにそう語りかける。
周囲の目を受けながら、リングの頭にはあの日の事がふつふつと蘇ってきた。

リングはエオンやラルウと初対面ではなかったのだ。
父が死んだ、殺されたというつらい事実から逃げるために、過去を忘れ去ろうとしていたのだ。



リングは、エオンと初対面では無かった。


もう随分昔の事。
森で父が誰かと言い争っているのを見ていた。
でも、父は冷静だった。
その時、相手が剣を突き刺した。
父は膝から崩れ落ち、二度と動かなかった。
エオンという名が聞こえた。
少女であった私は、父を刺した相手の顔を見た。
何かを呟いていた。



「思い出してよ、思い出してよッ…!」
気づいたら私は見知らぬ部屋にいた。
そして、母が私の肩を激しく揺さぶっている。
騎士団の人らしい男性が、母を止めている。


あの日 裁判所
私は被告人が判決を下される所を見た。
何か違かった。
被告人の顔を、どうしてもあの日の相手の顔には当てはまらなかった。
まだ幼くあったから、それがどう良いことか良く分かりはしなかった。



時が経った。
私は脅迫された。
私は失敗した。
私は呼び出された。

私は、偽の真実を知った。
あの住宅街で。
暗殺しようとしたラルウが、父を殺したという。







リングは、エオンの顔を見た。
当てはまった。

あの日の、あの顔に。

「…………エオン・デロ・フォーリュドッ………!!!」

リングは、真実を知った。



「何だあれはッ!?」
エオンは突然そう叫んだ。
リング以外の皆が振り返った。
その隙に、エオンはダッシュしてバフクの首に剣を当てる。
「皆動くなッ…」
エオンは震えながら言う。
しかし、リングには関係無かった。
エオンへの怒り、騙された自分への怒り、過去から逃げていた自分への怒り。
それが引き金となり、リングの足を動かした。

ドゴッ!
リングは大きくジャンプして、エオンの顔面に流星の様なキックをお見舞いする。
「カハッ………!!」
エオンは盛大に地面を転がり、バフクが解放された。

「エオン、あなたに過去と決別するための決闘を申し込むわ」




リングとエオンは洞窟の入り口で対峙していた。
リングの目は、しっかりとエオンだけを見据えている。
エオンは剣を持つ手が震えていた。
リングはジリジリと距離を詰める。
その時だった。
エオンは突然、ある魔物の名前を叫んだ。
「フェニックスウウウ!!!フェニックスウウウ!!!!」
その時、近くで倒れていた改造フェニックスの死体が、突如動き出した!
「ガガ、ガ…!!ガアア…!!!」
エオンの叫びを聞き死体のまま動き出したフェニックスは、リングに突進する!

ザシュッッッ

リングは振り返りもせず、鎌で背後のフェニックスに一閃を入れた。
フェニックスはまたも地に伏せた。
バッ!
次の瞬間、リングは地面を蹴って空中舞った。

ドゴッ!
リングは鎌を如意棒の様に伸ばし、エオンの腹に一撃を入れた。
ドカッ、ドカッ
エオンは勢いよく吹き飛び、そのまま地面に倒れ伏した。



翌日
「じゃあ、僕たちはこれで」
「気をつけて」
ワンダー達はラルウと別れを交わし、シールリランからカリュデウスに向けて帰路に着いた。
あの後、エオンはバフクに勘当を言い渡され追放された。
そして、ラルウが跡継ぎとなり、ワンダー達に自分の代で魔物兵器の事業は辞めると誓った。
騒動は終わった。
しかし、リングにとっては新しい人生の始まりだった。
「ワンダー、デッド」
道中、リングが二人を呼び止めた。
「……リング、言ってみろ」
デッドが促す。

「………私を、三人目の仲間にして」

「「…もちろん!」」

ゲストキャラ解説
エオン・デロ・フォーリュド
フォーリュド家の第二子。昔リングの父親を殺害したため兄のラルウに罪を着せた。
ラルウ・デロ・フォーリュド
フォーリュド家の跡継ぎ。魔物好きで家業には消極的だった。
バフク・デロ・フォーリュド
カリュデウス王国カルガ地方の新興貴族フォーリュド家の当主。魔物兵器の製造と密売で家を栄えさせていた。
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2026/03/02 13:29

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…等

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