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第一の警告、投稿頻度が遅い
第二の警告、悪人が味方サイド
第三の警告、いわゆるバトル物であり異世界無双物ではない
第四の警告、完全な勧善懲悪ではない
第五の警告、初投稿なので違和感あり
第六の警告、描写や解説が雑
ワンダーは人混みを分けてリングを後を追う。
しかし、リングはすぐに消えてしまった。
人混み何とか抜けたワンダーは辺りを見回す。
そしたら道脇の馬車を捕まえて乗り込んでいるリングを見つけた。
「あ!」
ワンダーも急いで乗ろうとする。
しかし、ワンダーの存在に気づいていたのかリングは運転手にこう言った。
「変な男に追われてるの、早く出して」
運転手はリングの意を汲み取り馬車を走らせた。
「あ…」
ワンダーはその場に立ち止まった。
ワンダーはリングが自分の事を避けているのだと直感した。
「まさか、また暗殺を…」
ワンダーはこのままじゃいけないと焦るが、ここは都市部、迂闊に飛行はできないのである。
「とりあえず、デッドに連絡…」
ワンダーはデッドに電話を掛け、リングの件について話した。
「どう思う?」
『うーん…心配だ…でも打つ手がないぜ』
「…もう、信じるしかないか」
『…だな、あいつにちゃんとした良識が備わってるかは…わからねえが…』
どこにいったのかわからない以上、結局ワンダーはリングを放っておく事にした。
リングは馬車にしばらく揺られながら目的地に着いた。
そこはごく普通の住宅街であった。
リングは地図を見ながら指定された場所に向かう。
少し歩いてそこには2人の男がいた。
「リング・サイクだな?」
「ええ」
「…エオン様からの手紙だ」
その内の一人がリングに手紙を渡した。
「……………」
読んでいるうちに、リングの顔は段々と険しくなっていった。
読み終えてリングは手紙をしまうと、2人の男と一緒にどこかへといった…
数日後
「うーむ…」
その日の朝、デッドはとある手紙を読んで唸っていた。
例のグリフォン討伐を依頼人からである。
手紙の内容は、実はこれまでグリフォンが現れた全ての場所からそう遠くない所、とある森の中に一軒の小屋がある事がわかったと言う。
そこに住んでいるのは老人の男性で、ポーションなどを細々と売って暮らしているらしい。
街の騎士団曰くその男性には何ら怪しい点はないらしい。
しかしその男性の住んでいる小屋を、例えるなら円の中心としてグリフォンはその円の中に何度も現れていたようなものであった。
しかも昔の目撃者達によるとグリフォンは街を通り抜けて逃走する様な事はせず、現れた際には毎回その小屋がある森の方向に逃げていたらしい。
それにも関わらず男性はグリフォンを見た事がないと言っていた。
「臭いな」
デッドはそう呟いた。
その時、ワンダーが起きてきた。
「おはよ〜」
「おはよう、明日からナーシランにいくから今日の内に荷造りしとくぞ」
「オッケー」
二人は新たに依頼を受けていた。
後日
二人はカリュデウス・ナーシランの国境検問所に来ていた。
二人は身分証と荷物を警備兵に見せ、シールリラン行き巨大ワイバーンに乗り、検問所を発った。
シールリランはナーシラン王国の中で首都ヴァイロに次ぐ人口を有している都市である。
またこの都市はナーシラン王国の東側に位置するバリリレア公国、そして南側のロン公国という二つの公国との交易で栄えている商都であり、経済規模で言えばヴァイロと良い勝負である。
そんなシールリランから急遽二人に依頼が舞い込んできたのだ。
その為、二人はワイバーン経由でシールリランに急ぎ向かっていった。
数時間後
シールリラン 郊外
二人は依頼主の館にたどり着いた。
二人は玄関で依頼主の従者に出迎えられ、巨大な応接室に案内された。
そこにはすでに10人の魔物退治屋が集められていた。
そして、奥には依頼主が座っている。
「皆さま、この度は私どもの依頼を引き受けてくださり誠にありがとうございます」
二人が空いている席に座ると、この館の主である依頼主の男性がそう口を開いた。
「これから皆さまには、この館からそう遠くない所にある教会へいってもらい、そこにのさばっている獣どもを退治してもらいたいのです」
「この12人の中の一人が全て倒したら報酬は独り占めかあ?」
12人の中で唯一二刀流である恵体の男はそう言う。
「討伐対象は………メデューサ達です」
依頼主のその一言は12人全員を動揺させた。
今から一か月ほど前、依頼主が自主経営していた教会が突如石になった。
石になったためもちろん教会内に入ることはできず、石もまったく破壊できなかった。
騎士団は中に閉じ込められているシスター達と子供達を救出することができず、ついに限定的に軍が出動する事態になった。
軍の魔導士達が爆破魔法を使ったら穴こそ開いたが、すぐに驚異の速度で再生してしまった。
そこで依頼主は独断で世界各国のエリートな魔物退治屋達に依頼を送り、このシールリランに集結させたのだ。
依頼の内容は
依頼主の子供含む子供達とシスター達の救出
教会を石に変えた魔物を退治する
である。
12人が教会にたどり着くと、そこには教会を取り囲んでいるナーシラン王国軍があった。
「これから皆さんを三人ずつにわけ、転移魔法で教会の中に侵入してもらいます」
魔導士からそう説明された12人は四つの魔法陣にそれぞれ入り、魔導士達により教会内に転移されていった。
「すぐに片づけてやる」
二刀流の男はそう嘯きながらずかずかと歩いて行った。
残りの11人も各自に教会を探索しに行った。
ワンダーとデッドは子供達の就寝部屋にいた。
その時だった。
「おい!いたぞっ!」
突然そのような叫び声が聞こえ、二人は声のした方向へいく。
他の魔物退治屋達とも合流して急ぐ。
しかし…
そこにいたのは、石化されている二刀流の男だった。
「わははははははは…」
その時、どこからともなく不気味な笑い声が聞こえ、合流した11人は警戒を強めた。
ブォンッ!ブォンッ!
次の瞬間、石化弾がどこからともなく放たれ、新たに2人の魔物退治屋を石にしてしまった。
残り9人が石化弾が放たれた方を向くと、石になっているはずの天井に穴が開いており、中に何者かの影があった。
その影を4人組の魔物退治屋達が確認すると、一斉に穴に向かって魔法を放った。
しかし穴はあっという間に再生し、元の石の天井に戻ってしまった。
「奴は石の中を自由に移動できるのか…」
デッドは天井、そして周りを鋭く見つめた。
「みんな、ここは固まって動いた方がいいと思わないか?」
デッドは他の8人にそう提案し、8人もおそらくその方がいいという雰囲気を醸し出していたが…
「うわぁッ!」
突然石化してる床に穴が開き、そこに立っていた4人組の1人が落ちてしまった。
他の3人が助けようとする間もなく、その魔物退治屋を吸い込んだ穴は再生してしまった。
残り8人、この状況はその8人を固まらせて行動させる事に追い込むには十分すぎた。
8人は教会内をしらみつぶしに探していた。
ガタンッ!
すると、なにか重たい物が落ちてくる音が正面の扉の奥から聞こえた。
8人は反応したが、敵の罠だという可能性も捨てなかった。
「…よし」
ワンダーは何か思いついたのか、懐から白煙筒を出した。
それを扉を開けて入ると同時に放り込む。
たちまち部屋の中は煙に包まれ、視界が絶望的になった。
ワンダーはその中でただ一人佇んだ。
ワンダーは煙の中で精神を研ぎ澄ました。
いつどの方向から敵の攻撃が来てもいいように。
そして煙が晴れたと同時に、ついに石化弾がいつ開いたのか知れぬ天井の穴から放たれた。
バンッ!
しかしワンダーはディスードであっさりそれを防ぎ、また懐から何かを取り出し穴に向かって投げた。
ヒュンッ!
その何かは穴が再生するより前に穴に突入していった。
「何を投げたんだ?」
ワンダーの正に電光石火な行動力に改めて感嘆しながらデッドは聞く。
「痺れ薬を塗ったナイフだよ!耳を澄ましみて!」
デッドはそうすると、確かに天井の上から呻き声が聞こえる。
「もうチャンスは今しかないよ!」
ワンダーの一声で残りの7人は一斉に魔法を放つ。
その猛攻についに天井は耐えきれなくなり、大きなヒビを拵えてついに崩壊した。
しかし、8人は瓦礫が盛大に落ちてくると同時にこんな声を聞いた。
「これを使うしかッ!」
8人は落下してきた声の主の姿を視認しようとしたが、次の瞬間、8人の目の前が灰色に染まった。
「…………うん?」
ワンダーは目を開けると、そこには懐かしい姿があった。
「……デニギア?」
「………おいおい…お前、相変わらず剣の腕は落ちてねえみたいだな?」
それは息も絶え絶えな変異怪鳥、デニギアであった。
デニギア曰く、最後の手段として自身の魔力を全開放して石化弾を大量に放出したが、ワンダーだけには悉く受け流されたらしい。
「確かに、今のはビックリしたけど…ん?僕だけ?」
だけという表現に反応したワンダーは後ろを振り返ってみた。
そこには、石化したデッドの姿があった。
ワンダーはそれを視認すると、魔力切れで動くことすらままならないデニギアにツカツカと歩み寄った。
そして、デニギアの額に一閃お見舞いした。
「痛えええええッ!!!!」
「デッドを返せ」
友人兼相棒を失ったワンダーの言葉には圧しか存在しない。
「まままままままてえ!あいつは死んだわけじゃねええ!ていうかなんならシスターも子供達もお前ら以外の魔物退治屋も全員死んでねえよッ!」
「え?そうなの?」
ワンダーの口調はあっさり戻った。
「じゃあ、早く元に戻してよ!」
「まあ待て、今回はお前ら二人に伝えるべき事があるんだ…」
「え?」
デニギアは口から黄色いガスを石状態のデッドに発射すると、デッドを包んでいる石はみるみる溶けていき、デッドは元に戻った。
そうするとデニギアは二人にある事を話し始めた。
「…俺が森で昼寝してた時だった……なんか物音がするんで目を開けたら、そこら中に謎の液体が撒かれてたんだよ、そこからでる煙を吸った瞬間、俺は気絶した、それに、気絶する2秒前くらいに視界に人影が映ったんだ、老人だったかな…」
「老人…?」
デッドは先日の手紙の内容を思い出した。
「次目を覚ましたら、俺は薄暗いレンガづくしの部屋の中で拘束されてた、すると、俺が見た老人に加えて知らない男が二人いた、そいつらは老人に何か命令して、老人が俺の口の中に変なポーションを流しやがった、そしたら体ん中が熱くなってきてよ、まーそこら中痛かったぜ、で、なんとかして正気を取り戻したらまた煙を嗅がされて気絶させられたんだ」
「デニギア、お前はその時どこで寝てたんだ」
「え?えーと確かナーシラン王国の国境沿いの所だぜ、たまには魔物も遠出したくなるもんだ」
「……やっぱり…」
デッドはデニギアの体験談から、先日の手紙で書かれてた怪しい老人についてある事を確信した。
「で、またまた目を覚ましたら今度は狭い所に閉じ込められててよ、揺れ具合で馬車に乗せられてるなってわかった、なんせ窮屈な所だからすぐに力づくで脱出したんだ、その脱出時に石化能力を使ったら、めちゃくちゃ強化されてたんだよ、石化弾の一撃で馬車はおろか周辺の木や草まで灰色に染まったんだからなぁ」
「もしかして、それって…」
ワンダーはある事に気づく。
「その老人がデニギアを強化したって事かな?デッド」
「そうだろうな、で、デニギア、その後は?」
「馬車から出たら全然知らねえ所でな、そりゃあもう右往左往のしっぱなしよ、で、しょうがないから道なりに飛んでたら、超幸運な事に小屋付き巨大ワイバーンが飛んでたんだよ!こりゃあもう小屋の中の乗客を脅して現在地がどこか聞き出すしかないと思ってな、早速小屋を石化した、そしたらオマケにワイバーンも石化しちゃったもんだから驚いたぜ、まあとにかく一回小屋の中に入ったんだ、そしたらよ…………驚くなよ、リングが二人の男と一緒にいたんだ!」
「「え!?」」
突如出てきたリングの存在に二人は驚愕した。
「あいつ、まさかこの国に…!」
「デッド、訳がわかんないよ…」
「まあ落ち着け二人とも」
デニギアが二人を宥める。
「俺もまさかリングが乗っているとは思わなかったから、ビックリしたな、でもそれ以上にビックリしたのは、一緒にいた二人の男が、例の老人に俺にポーションを飲ませるよう命令した二人だったんだよ、そいつらは俺を見るなり、『なんでこいつがここに!?』みたいな事を抜かしやがって、もー頭に来たぜ、だから予定変更して現在地を聞くついでに何故あんな事をしたのか聞き出そうとした、そしたらあいつら、驚くべき事言いやがったんだ
この俺を魔物兵器としてナーシランに売りさばくつもりだったんだ、ってな!」
「「魔物兵器…?」」
二人は兵器という単語に首を傾げた。
「簡単に言やあカリュデウス中にいる魔物達を拉致、改造してナーシラン側に兵器として売るんだ、それで富を築くって訳」
「え…」
「嘘だろ…」
二人はデニギアの話を最後まで聞き切った。
そして否応なく、理解させられた。
フォーリュド家は本当は魔物を兵器に改造して、それをカリュデウス王家と敵対関係にあるナーシラン王国に売り捌いて成り上がった違法貴族。
デニギアもフォーリュド家の手の者の罠にかかり、魔物兵器としてナーシラン王国に運ばれてる途中だったが逃げ出した。
そして…
「いやあにしてもあの男達、リングを脅迫して無理矢理この国に連れてきたって言った時は驚いたぜ!」
リングはそのフォーリュド家の次男、エオンにまた脅迫され、今度こそエオンの兄を殺さんとしてる事。
「いやあ、しくったしくった、あの時隙を突かれてポーション目にぶっ掛けられなけりゃあ男達ボコボコにしてリングから色々面白え事聞き出せたかもしれねえのになあ…まあ、その後どうしようかと迷ったんだが、ある事を思いついた、お前達は今や世界を飛び回る魔物退治屋、だからカリュデウス王家の隣国であるここで大規模な事件を起こせば来てくれるんじゃねえかって思ったんだ、そう、この教会石化事件の目的はお前達だったって訳」
「デニギア」
ワンダーが突然、口を開いた。
「ん?なんだ?」
「リング達はどこに向かってるか、予想つく?」
「え?え〜と………あいつら、脅した時フォーリュド家の者って名乗ってたから………あ!フォーリュド家って言やあ、この国との貿易上手の新興貴族で、そのお陰で近くのシールリランって所に管轄の施設があるらしい、多分だけど、そこにいるかもしれねえなあ…あ、ちなみにこの情報はこの国を旅行してた知り合いの魔物から聞いたんだぜ?どーだ、魔物の情報網を舐めるなっ………てあれ?」
デニギアが自分語りを始めようとした時には二人の姿は無かった。
続く
しかし、リングはすぐに消えてしまった。
人混み何とか抜けたワンダーは辺りを見回す。
そしたら道脇の馬車を捕まえて乗り込んでいるリングを見つけた。
「あ!」
ワンダーも急いで乗ろうとする。
しかし、ワンダーの存在に気づいていたのかリングは運転手にこう言った。
「変な男に追われてるの、早く出して」
運転手はリングの意を汲み取り馬車を走らせた。
「あ…」
ワンダーはその場に立ち止まった。
ワンダーはリングが自分の事を避けているのだと直感した。
「まさか、また暗殺を…」
ワンダーはこのままじゃいけないと焦るが、ここは都市部、迂闊に飛行はできないのである。
「とりあえず、デッドに連絡…」
ワンダーはデッドに電話を掛け、リングの件について話した。
「どう思う?」
『うーん…心配だ…でも打つ手がないぜ』
「…もう、信じるしかないか」
『…だな、あいつにちゃんとした良識が備わってるかは…わからねえが…』
どこにいったのかわからない以上、結局ワンダーはリングを放っておく事にした。
リングは馬車にしばらく揺られながら目的地に着いた。
そこはごく普通の住宅街であった。
リングは地図を見ながら指定された場所に向かう。
少し歩いてそこには2人の男がいた。
「リング・サイクだな?」
「ええ」
「…エオン様からの手紙だ」
その内の一人がリングに手紙を渡した。
「……………」
読んでいるうちに、リングの顔は段々と険しくなっていった。
読み終えてリングは手紙をしまうと、2人の男と一緒にどこかへといった…
数日後
「うーむ…」
その日の朝、デッドはとある手紙を読んで唸っていた。
例のグリフォン討伐を依頼人からである。
手紙の内容は、実はこれまでグリフォンが現れた全ての場所からそう遠くない所、とある森の中に一軒の小屋がある事がわかったと言う。
そこに住んでいるのは老人の男性で、ポーションなどを細々と売って暮らしているらしい。
街の騎士団曰くその男性には何ら怪しい点はないらしい。
しかしその男性の住んでいる小屋を、例えるなら円の中心としてグリフォンはその円の中に何度も現れていたようなものであった。
しかも昔の目撃者達によるとグリフォンは街を通り抜けて逃走する様な事はせず、現れた際には毎回その小屋がある森の方向に逃げていたらしい。
それにも関わらず男性はグリフォンを見た事がないと言っていた。
「臭いな」
デッドはそう呟いた。
その時、ワンダーが起きてきた。
「おはよ〜」
「おはよう、明日からナーシランにいくから今日の内に荷造りしとくぞ」
「オッケー」
二人は新たに依頼を受けていた。
後日
二人はカリュデウス・ナーシランの国境検問所に来ていた。
二人は身分証と荷物を警備兵に見せ、シールリラン行き巨大ワイバーンに乗り、検問所を発った。
シールリランはナーシラン王国の中で首都ヴァイロに次ぐ人口を有している都市である。
またこの都市はナーシラン王国の東側に位置するバリリレア公国、そして南側のロン公国という二つの公国との交易で栄えている商都であり、経済規模で言えばヴァイロと良い勝負である。
そんなシールリランから急遽二人に依頼が舞い込んできたのだ。
その為、二人はワイバーン経由でシールリランに急ぎ向かっていった。
数時間後
シールリラン 郊外
二人は依頼主の館にたどり着いた。
二人は玄関で依頼主の従者に出迎えられ、巨大な応接室に案内された。
そこにはすでに10人の魔物退治屋が集められていた。
そして、奥には依頼主が座っている。
「皆さま、この度は私どもの依頼を引き受けてくださり誠にありがとうございます」
二人が空いている席に座ると、この館の主である依頼主の男性がそう口を開いた。
「これから皆さまには、この館からそう遠くない所にある教会へいってもらい、そこにのさばっている獣どもを退治してもらいたいのです」
「この12人の中の一人が全て倒したら報酬は独り占めかあ?」
12人の中で唯一二刀流である恵体の男はそう言う。
「討伐対象は………メデューサ達です」
依頼主のその一言は12人全員を動揺させた。
今から一か月ほど前、依頼主が自主経営していた教会が突如石になった。
石になったためもちろん教会内に入ることはできず、石もまったく破壊できなかった。
騎士団は中に閉じ込められているシスター達と子供達を救出することができず、ついに限定的に軍が出動する事態になった。
軍の魔導士達が爆破魔法を使ったら穴こそ開いたが、すぐに驚異の速度で再生してしまった。
そこで依頼主は独断で世界各国のエリートな魔物退治屋達に依頼を送り、このシールリランに集結させたのだ。
依頼の内容は
依頼主の子供含む子供達とシスター達の救出
教会を石に変えた魔物を退治する
である。
12人が教会にたどり着くと、そこには教会を取り囲んでいるナーシラン王国軍があった。
「これから皆さんを三人ずつにわけ、転移魔法で教会の中に侵入してもらいます」
魔導士からそう説明された12人は四つの魔法陣にそれぞれ入り、魔導士達により教会内に転移されていった。
「すぐに片づけてやる」
二刀流の男はそう嘯きながらずかずかと歩いて行った。
残りの11人も各自に教会を探索しに行った。
ワンダーとデッドは子供達の就寝部屋にいた。
その時だった。
「おい!いたぞっ!」
突然そのような叫び声が聞こえ、二人は声のした方向へいく。
他の魔物退治屋達とも合流して急ぐ。
しかし…
そこにいたのは、石化されている二刀流の男だった。
「わははははははは…」
その時、どこからともなく不気味な笑い声が聞こえ、合流した11人は警戒を強めた。
ブォンッ!ブォンッ!
次の瞬間、石化弾がどこからともなく放たれ、新たに2人の魔物退治屋を石にしてしまった。
残り9人が石化弾が放たれた方を向くと、石になっているはずの天井に穴が開いており、中に何者かの影があった。
その影を4人組の魔物退治屋達が確認すると、一斉に穴に向かって魔法を放った。
しかし穴はあっという間に再生し、元の石の天井に戻ってしまった。
「奴は石の中を自由に移動できるのか…」
デッドは天井、そして周りを鋭く見つめた。
「みんな、ここは固まって動いた方がいいと思わないか?」
デッドは他の8人にそう提案し、8人もおそらくその方がいいという雰囲気を醸し出していたが…
「うわぁッ!」
突然石化してる床に穴が開き、そこに立っていた4人組の1人が落ちてしまった。
他の3人が助けようとする間もなく、その魔物退治屋を吸い込んだ穴は再生してしまった。
残り8人、この状況はその8人を固まらせて行動させる事に追い込むには十分すぎた。
8人は教会内をしらみつぶしに探していた。
ガタンッ!
すると、なにか重たい物が落ちてくる音が正面の扉の奥から聞こえた。
8人は反応したが、敵の罠だという可能性も捨てなかった。
「…よし」
ワンダーは何か思いついたのか、懐から白煙筒を出した。
それを扉を開けて入ると同時に放り込む。
たちまち部屋の中は煙に包まれ、視界が絶望的になった。
ワンダーはその中でただ一人佇んだ。
ワンダーは煙の中で精神を研ぎ澄ました。
いつどの方向から敵の攻撃が来てもいいように。
そして煙が晴れたと同時に、ついに石化弾がいつ開いたのか知れぬ天井の穴から放たれた。
バンッ!
しかしワンダーはディスードであっさりそれを防ぎ、また懐から何かを取り出し穴に向かって投げた。
ヒュンッ!
その何かは穴が再生するより前に穴に突入していった。
「何を投げたんだ?」
ワンダーの正に電光石火な行動力に改めて感嘆しながらデッドは聞く。
「痺れ薬を塗ったナイフだよ!耳を澄ましみて!」
デッドはそうすると、確かに天井の上から呻き声が聞こえる。
「もうチャンスは今しかないよ!」
ワンダーの一声で残りの7人は一斉に魔法を放つ。
その猛攻についに天井は耐えきれなくなり、大きなヒビを拵えてついに崩壊した。
しかし、8人は瓦礫が盛大に落ちてくると同時にこんな声を聞いた。
「これを使うしかッ!」
8人は落下してきた声の主の姿を視認しようとしたが、次の瞬間、8人の目の前が灰色に染まった。
「…………うん?」
ワンダーは目を開けると、そこには懐かしい姿があった。
「……デニギア?」
「………おいおい…お前、相変わらず剣の腕は落ちてねえみたいだな?」
それは息も絶え絶えな変異怪鳥、デニギアであった。
デニギア曰く、最後の手段として自身の魔力を全開放して石化弾を大量に放出したが、ワンダーだけには悉く受け流されたらしい。
「確かに、今のはビックリしたけど…ん?僕だけ?」
だけという表現に反応したワンダーは後ろを振り返ってみた。
そこには、石化したデッドの姿があった。
ワンダーはそれを視認すると、魔力切れで動くことすらままならないデニギアにツカツカと歩み寄った。
そして、デニギアの額に一閃お見舞いした。
「痛えええええッ!!!!」
「デッドを返せ」
友人兼相棒を失ったワンダーの言葉には圧しか存在しない。
「まままままままてえ!あいつは死んだわけじゃねええ!ていうかなんならシスターも子供達もお前ら以外の魔物退治屋も全員死んでねえよッ!」
「え?そうなの?」
ワンダーの口調はあっさり戻った。
「じゃあ、早く元に戻してよ!」
「まあ待て、今回はお前ら二人に伝えるべき事があるんだ…」
「え?」
デニギアは口から黄色いガスを石状態のデッドに発射すると、デッドを包んでいる石はみるみる溶けていき、デッドは元に戻った。
そうするとデニギアは二人にある事を話し始めた。
「…俺が森で昼寝してた時だった……なんか物音がするんで目を開けたら、そこら中に謎の液体が撒かれてたんだよ、そこからでる煙を吸った瞬間、俺は気絶した、それに、気絶する2秒前くらいに視界に人影が映ったんだ、老人だったかな…」
「老人…?」
デッドは先日の手紙の内容を思い出した。
「次目を覚ましたら、俺は薄暗いレンガづくしの部屋の中で拘束されてた、すると、俺が見た老人に加えて知らない男が二人いた、そいつらは老人に何か命令して、老人が俺の口の中に変なポーションを流しやがった、そしたら体ん中が熱くなってきてよ、まーそこら中痛かったぜ、で、なんとかして正気を取り戻したらまた煙を嗅がされて気絶させられたんだ」
「デニギア、お前はその時どこで寝てたんだ」
「え?えーと確かナーシラン王国の国境沿いの所だぜ、たまには魔物も遠出したくなるもんだ」
「……やっぱり…」
デッドはデニギアの体験談から、先日の手紙で書かれてた怪しい老人についてある事を確信した。
「で、またまた目を覚ましたら今度は狭い所に閉じ込められててよ、揺れ具合で馬車に乗せられてるなってわかった、なんせ窮屈な所だからすぐに力づくで脱出したんだ、その脱出時に石化能力を使ったら、めちゃくちゃ強化されてたんだよ、石化弾の一撃で馬車はおろか周辺の木や草まで灰色に染まったんだからなぁ」
「もしかして、それって…」
ワンダーはある事に気づく。
「その老人がデニギアを強化したって事かな?デッド」
「そうだろうな、で、デニギア、その後は?」
「馬車から出たら全然知らねえ所でな、そりゃあもう右往左往のしっぱなしよ、で、しょうがないから道なりに飛んでたら、超幸運な事に小屋付き巨大ワイバーンが飛んでたんだよ!こりゃあもう小屋の中の乗客を脅して現在地がどこか聞き出すしかないと思ってな、早速小屋を石化した、そしたらオマケにワイバーンも石化しちゃったもんだから驚いたぜ、まあとにかく一回小屋の中に入ったんだ、そしたらよ…………驚くなよ、リングが二人の男と一緒にいたんだ!」
「「え!?」」
突如出てきたリングの存在に二人は驚愕した。
「あいつ、まさかこの国に…!」
「デッド、訳がわかんないよ…」
「まあ落ち着け二人とも」
デニギアが二人を宥める。
「俺もまさかリングが乗っているとは思わなかったから、ビックリしたな、でもそれ以上にビックリしたのは、一緒にいた二人の男が、例の老人に俺にポーションを飲ませるよう命令した二人だったんだよ、そいつらは俺を見るなり、『なんでこいつがここに!?』みたいな事を抜かしやがって、もー頭に来たぜ、だから予定変更して現在地を聞くついでに何故あんな事をしたのか聞き出そうとした、そしたらあいつら、驚くべき事言いやがったんだ
この俺を魔物兵器としてナーシランに売りさばくつもりだったんだ、ってな!」
「「魔物兵器…?」」
二人は兵器という単語に首を傾げた。
「簡単に言やあカリュデウス中にいる魔物達を拉致、改造してナーシラン側に兵器として売るんだ、それで富を築くって訳」
「え…」
「嘘だろ…」
二人はデニギアの話を最後まで聞き切った。
そして否応なく、理解させられた。
フォーリュド家は本当は魔物を兵器に改造して、それをカリュデウス王家と敵対関係にあるナーシラン王国に売り捌いて成り上がった違法貴族。
デニギアもフォーリュド家の手の者の罠にかかり、魔物兵器としてナーシラン王国に運ばれてる途中だったが逃げ出した。
そして…
「いやあにしてもあの男達、リングを脅迫して無理矢理この国に連れてきたって言った時は驚いたぜ!」
リングはそのフォーリュド家の次男、エオンにまた脅迫され、今度こそエオンの兄を殺さんとしてる事。
「いやあ、しくったしくった、あの時隙を突かれてポーション目にぶっ掛けられなけりゃあ男達ボコボコにしてリングから色々面白え事聞き出せたかもしれねえのになあ…まあ、その後どうしようかと迷ったんだが、ある事を思いついた、お前達は今や世界を飛び回る魔物退治屋、だからカリュデウス王家の隣国であるここで大規模な事件を起こせば来てくれるんじゃねえかって思ったんだ、そう、この教会石化事件の目的はお前達だったって訳」
「デニギア」
ワンダーが突然、口を開いた。
「ん?なんだ?」
「リング達はどこに向かってるか、予想つく?」
「え?え〜と………あいつら、脅した時フォーリュド家の者って名乗ってたから………あ!フォーリュド家って言やあ、この国との貿易上手の新興貴族で、そのお陰で近くのシールリランって所に管轄の施設があるらしい、多分だけど、そこにいるかもしれねえなあ…あ、ちなみにこの情報はこの国を旅行してた知り合いの魔物から聞いたんだぜ?どーだ、魔物の情報網を舐めるなっ………てあれ?」
デニギアが自分語りを始めようとした時には二人の姿は無かった。
続く
- 1.第一話 異世界への召喚
- 2.第二話 説得作戦
- 3.第三話 畏怖を乗せた流れ星
- 4.第四話 対決美人剣士
- 5.第五話 対面超少年
- 6.第六話 剣集めはつらいよ
- 7.第七話 剣と光弾とナイフと 前編
- 8.第八話 剣と光弾とナイフと 後編
- 9.第九話 爆弾が怒る時
- 10.第十話 黒い追跡
- 11.第十一話 迷宮攻略はワンダーにお任せ
- 12.第十二話 殺人神と呼ばれた男 前編
- 13.第十三話 殺人神と呼ばれた男 後編
- 14.第十四話 睡眠ガスに気をつけろ!
- 15.第十五話 ミラー・ワンダー
- 16.第十六話 炎斧
- 17.第十七話 私が愛したあの子
- 18.第十八話 燃えよS&W M500
- 19.第十九話 この一発で福岡に帰ろう
- 20.第二十話 斬ってよかった
- 21.第二十一話 ロシアから殺意をこめて
- 22.第二十二話 大森林危機一髪!前編
- 23.第二十三話 大森林危機一髪!後編
- 24.第二十四話 世界不思議に関する2600文字
- 25.第二十五話 ファースト・バトルオブヨーロッパ
- 26.第二十六話 乗っ取りは逆襲の音
- 27.第二十七話 我ら、ノイバ親帝派!
- 28.第二十八話 スペインに殺しの花が咲く
- 29.第二十九話 ワンダーVS奴隷軍団
- 30.第三十話 マフィアン・LOVE
- 31.第三十一話 朝シン
- 32.第三十二話 ネオ・第三帝国
- 33.第三十三話 傭兵よ永遠に
- 34.第三十四話 縁戻し
- 35.第三十五話 奴らが来た!!!
- 36.第三十六話 決戦 前編
- 37.第三十七話 決戦 後編
- 38.第三十八話 シン・青桐組とシン・ワンデドコンビ
- 39.第三十九話 香港は燃えるか…?
- 40.第四十話 魔力・キラー
- 41.第四十一話 ボム・フロム・ザ・スカイ
- 42.第四十二話 青桐一家勢揃い
- 43.第四十三話 愛ある女は己を隠す その1
- 44.第四十四話 愛ある女は己を隠す その2