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恋異常

#5

SCP-096 シャイガイ

「おはようD-5302!実験の時間だよ!私についてきたまえ!」


……朝っぱらから騒がしい博士さんだ。
「こっちゃあんたらのせいで寝不足なんだ、ちょっとくらい寝かせろ」
寝起きの頭で反論すると、博士はわざとらしさを醸し出しつつなにか言いたげな表情をした。
「いやぁ実を言うとね?SCP-096の実験に付き合って欲しいんだよ。もちろん、実験台は君さ!」
さらっとやべえこと言いやがったぞこいつ。

096は読者のお前らもお馴染みだろ?
ツラ見たら消される。
どこまでも追いかけて必ず殺しにくるから写真だったり実物を見ちゃいけねえ。
そんなやつの実験に付き合わされるのかよ…。




「さあ、ここが096の収容室だ。入ってごらん」
博士に促されるまま収容室に足を踏み入れた。
中には、シャイガイ。
俺に背を向けて壁の方を見て座ってる。
その光沢のない白銀の背中を見続けると、流石に変化が欲しくなってくる。
顔を無駄にでかい手で隠して、まるで啜り泣いてるみてぇだ。

「あー、096、初めましてだな。悪いが、その顔を見せてくれ」
自分でもとんでもねえこと言った気がする。
言葉が通じたのか俺の存在に気づいたのか、096は俺の方にゆっくりと顔を向けた。
話に聞いていた通り、おぞましいツラだ。
部屋に取り付けられたスピーカーから博士たちの驚く声が聞こえてきた。
「あの096の顔を見ても殺されないだと…?」
「ありえない!あのDクラス、死なせないために研究員に昇進させるべきか…?」
そんなに俺ってすげえのか。


「あ、ああ…」
掠れた声を出す096。
ゆっくりと俺に手を伸ばしてくる。
あいつの長い指が頬に触れた。
いつ首を吹っ飛ばされるかビビりながら俺は指を撫でた。
目を開けると、心なしか穏やかな顔の096。
よかった、俺生きてた…。
096に好かれたことよりも生きてることの方が嬉しいもんだな。

軽く096の頭を撫でてから収容室を出た。
すると、博士さんが興奮気味に話しかけてきた。
「素晴らしい、素晴らしいよ5302!あの096の顔を見ても死なないだなんて、前例がない事態だ!このことはO-5に報告しなければ…」
「あー分かった分かった、報告していいから落ち着け気持ち悪りぃな」
「ああ、すまないね。つい興奮してしまって…。では、次回は君にベタ惚れなSCPたちを集めて懇談会でもさせようと思っていてね。素晴らしいだろう」

こいつ正気か?
言葉通じねえやつが混じってんだよ。
そんな疑問が顔に出ていたのか、博士さんは「ああ、心配はご無用だよ。言葉は特殊な方法で通じるようにするから」
「財団の技術すげえな」


不安でしかねえな…。
あいつらを全員同室に入れたら詰むだろ……。
まあ俺は知らね。

2025/01/15 21:49

月町 桔梗
ID:≫ 7r5tHLeuz1RfY
コメント

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