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とある少女の日記

#1

古本屋にて

あなたは今、古本屋にいる。
特段理由はない。
ただ、インスタで見つけた良さげなカフェに行った帰り、好奇心で普段は行かない道に入ったところ迷子になっただけだ。

困り果てて少し歩き、この古本屋を見つけた。
店主に道を聞いてみよう、と思い、あなたはこの店に足を踏み入れた。


[水平線]

古本屋特有の、古い紙とインクの匂いがする。
店主は店の奥に座って新聞を読んでいた。

年齢は60代後半から70代前半といったところで、白い髭をたくわえている。と言っても、サンタのようなものではなく、少し無精髭たらしいところがある。
ハンチング帽をかぶっていて、丸眼鏡をかけている。

「すみません、〇〇駅ってどう行けばいいですか?」
あなたはおずおずと尋ねた。
「ああ、それならここを出て右に真っ直ぐ行った後、たばこ屋の前の信号を渡って左に行けば着く」

あなたはお礼を言うと店内を適当に歩き回り、そこらへんの本棚から一冊手に取ってみた。
それは個人の日記らしく、和綴じの古めかしい見た目をしていた。

「すみません、ここって、お客さんが持ってきた本なら何でも回収するんですか?」
あなたは店主に問う。
「まあ、そうだな。たまに日記帳だとか、メモ書きとかが挟まったやつが来るよ」

あなたはしばし日記の表紙を見つめていた。
普段ならこんなものに興味は示さない。
しかし、急にこの日記の中身が気になってたまらなくなった。
1ページめくると、日付と文章が書いてあった。

「二月十九日
お父様とお母様がまた喧嘩をしている。うるさい。
妹が起きてしまって泣き出したら、私がお父様に叩かれた。痛い。」

どうやら、本当に古いものらしい。
それも、100年近く前のもののように見える。
新聞を読み続けている店主の元へ歩き、「これいくらですか?」と尋ねた。
店主は目を見開き、「お代はいらない。頼む、持って帰ってくれ」としか言わない。

「その日記は…いや、何でもない。お願いだ、ここに戻さないでくれ」
あまりの懇願っぷりに押され、あなたは日記を持ち帰った。

電車に揺られながら考える。
あの慌てよう、何か曰くでもあるのだろうか?
だとしたら、とんでもないものを持ち帰ってしまったのかもしれないな……。

自宅に着き、あなたはソファに体を沈めた。
そして、ふと思い出したように日記を開いた。

2026/05/24 13:40

月町 桔梗
ID:≫ 7r5tHLeuz1RfY
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