「ワタリ!!」
声変わり前の、元気な男の子の声がワタリの名前を呼んだ。
振り返れば額当てをした少年が手をブンブンと振りながら近づいてきている。キラキラ輝く金髪と白い肌の少年は、異国の絵画から出てきたかのような木ノ葉にはない美貌だ。
内心、またか……と思いながらも、ワタリは対人用の笑みを浮かべてぺこりとお辞儀した。
「お久しぶりですクロコ様」
「うん久しぶり!というかそんな他人行儀に呼ばなくていいよ、従兄弟だし」
「いえ、そういう訳にはいきません」
クロコ様は宗家なんですから。
ワタリがそういうと、クロコは苦笑いを浮かべて「そっか」とだけ答えて話題を移した。
「アカデミー卒業おめでとう。額当て、似合ってるよ」
「ありがとうございます。これもクロコ様が修行に付き合って下さったおかげです」
「いやいや、。修行なんて大層なことしてないって、ワタリが努力して卒業試験に合格したんだよ」
「ふふっそう言って頂けると嬉しいです」
絶妙に踏み込まない会話で、当たり障りのないことだけを言って終わる。それは親戚同士の会話とはいない、ただの宗家と分家の会話だ。
__クロコはそんな会話はもう、終わりにしたかった。
普通に挨拶して、様なんて付けずに名前で呼び合う友のような関係に。あわよくばその先の関係だって、ワタリとならなってもいい。
というか、そうなりたいクロコはどうにかしてワタリとの距離を詰めたかった。なので同じ班の同期に相談して、色々考えた結果、デートなるものに誘うことを決意したのだ!
①卒業おめでとう!
↓
②ありがとうございます。
↓
③そうだ、下忍になったんだから忍具新しくしたら?俺、いいお店知ってるよ
↓
④どこですか?
↓
⑤××商店街の八百屋を曲がったところにあるお店なんだけど、結構道複雑なんだよね……多分初見じゃ分かんないと思うから俺が案内するよ
↓
⑥ええ!本当ですか。お願いします。
……と、いう流れでデート(と、いう名の武器の買い出し)に誘う想定だ。②までは出来たんだから後は③に乗せたら後は勢いでいけると踏んだクロコは忍具の話に変えた。
「あ、そうだ。任務とか修行とかで忍具って結構消費するから、今のうちに買っといた方がいいよ」
「なるほど、アドバイスありがとうございます」
「安くて性能もいいお店知ってるんだけど紹介しようか?」
「いえ大丈夫です。忍具は週末、兄と一緒に買いに行く予定なんです」
「ソ、ソッカ……」
会話終了。
ワタリをデートに誘うことは出来ずにクロコの奮闘は終わった。
「では鴉たちの世話もあるので、ここで失礼しますね」
「えっ、まだ家についてない___」
言い終わる前に、ワタリは消えていた。瞬身の術だろうか、まばたきの一瞬で消えてしまった。
そんなに話すの嫌だったかな……っと、ちょっとしょんぼりしつつもクロコは自分の家に向かって歩き出した。今回のデートのお誘いは失敗したけど、次回こそっ!という気持ちを抱えて拳を握り込んだ。
[中央寄せ]⌘[/中央寄せ]
私の家は山の中にある。
ご先祖さまが、木ノ葉の里創設の際にそこそこ貢献したらしいので大きくはないが小さくもない山を与えられ、そこで暮らすことにしたらしい。
上り下りが大変だけど。動物や自然と触れ合える暮らしには満足している。季節にはきのこや山菜も取れるし、他の家よりは食費も抑えられている。そしてなにより…………
「君たちの住居に困らない」
腕に止まった[漢字]鴉[/漢字][ふりがな]カラス[/ふりがな]をヨシヨシっと撫でてやると、カーっと鳴いた。可愛いやつめ。
犬塚家が犬を忍犬として飼っているように、烏我家は代々忍鳥として鴉を飼っている。
鴉は「羽の生えた類人猿」と言われるほど知能も高いので、手名付けたら任務や私生活にも大変役立つ。そしてカラスは平均10年と、中々に長生きして繁殖力もあるので飼っているとそれなりの数になる。
なので沢山のカラス達の住居が必須。そんなとき、烏我家の山は大変役立つのだ!
小さい頃から山の至る所にカラスが居るのは他の人からしたら確かに不気味かもしれない。
だけど、赤ん坊の頃から慣れているのでそんなに困らないし、ゴミはあさってもいいけど綺麗にしなさいと言ったら本当に綺麗にしてくれるいい子達ばっかりだ。
ペットを飼っている人はみんな、家に帰ったらペットを撫でる。そして私も例に漏れず(忍鳥だけど)、アカデミーから帰ってきたらカラスちゃんを撫で撫でするのが日課だ。
「ほぉんと色葉は可愛いなぁ〜」
デレデレ?メロメロ?なんとでも言うがよい!何故なら私の推しガラスの色葉はスーパー可愛いのだから!!
色葉を見せられないのは申し訳ないが、本当にマジでこの子可愛いから。黒い艶々の羽に鋭い嘴、そしてきゅるんとしたまんまるお目々!かっこよさと可愛いさが同居している奇跡よ……
えへへへへっと、規制されるレベルで顔面を溶かして色葉と戯れている私の頭に程よい重さが乗った。
違う子が乗ったのかなと、思っていたら耳をつん裂くような鳴き声が響いた。
『ガァァァアアアア!!ガァァァアアア!!タダァイママァァ!!』
「うわっ、びっくりした……金ちゃんか。かおかえりー、兄さんは一緒?」
『ヂガァヴヴヴヨォオ゙!!!コックンァァア、任務デェェェ、チョット遅レルヨォォォオオ!!』
「そっか。今日は兄さんの好きな炊き込みご飯なのに残念だなぁ」
「教えてくれてありがとうねぇ〜」と言いながら撫で撫でしたら相変わらず大きな声で「ドォオイタシマシテェェェ!!」と返ってきた。うん、素直にお礼言えるのはえらいけど、耳元で叫ぶのはやめようか。
金ちゃん、もといい[漢字]金剛烈太郎[/漢字][ふりがな]こんごうれつたろう[/ふりがな]は兄である烏我 コクマルが育てている鴉だ。育てている鴉の中でも知能が高く、兄さんが付きっきりで言葉を教えた甲斐あって喋れるカラスに進化した。
兄は自分のことはご主人様と呼ぶように教えたらしいが、どんなに訂正しても『コックン、コックン』と言いながら後頭部を嘴でつっつくので諦めた。
因みに私はイモウトと呼ばれている。そうなんだけど、そうじゃない感があって兄妹で頭を抱えた。
まぁ鴉たちとの触れ合いもそこそこに、餌を与えて家に入った。
家には入らないように躾けているので入られることは少ない。まぁ、ときどき食いしん坊の鴉ちゃんたちが冷蔵庫を漁ろうとするので油断はできないんだけど。
手を洗って、荷物を下ろしたら料理に取り掛かる。両親は早くに亡くなっているので、ご飯は私と兄で当番制で回している。
兄は中忍なので忙しい。そうなると必然的に私が担当する日が多いのだけど、別に不満はない。
さっきも言ったように両親は居ないので、実質兄に養って貰ってるようなものだ。それなら少しでも家の負担は減らしたい方がいいし、両親とかは別に苦手じゃない。寧ろ好きな方だ。
「からすぁかあてば 勘三郎〜♪」
その証拠料理のときはご機嫌になって歌を歌ってしまう。流行りの曲を歌うことも有れば、クラッシックだったりその日の気分によるが、今日は童心に戻って子守唄を歌うことにした。
少ししか覚えてないけど、母さんが歌ってくれていたような気がする。
「赤い小袖十二ひろ 白い小袖十二ひろ」
トントントンと、リズムに合わせて包丁を動かす。最後の油揚げを切り終わったら窯の中に全部入れて蓋をした。さあ次はお味噌汁っと、冷蔵庫にしまっていただし汁を取り出したそのタイミングで玄関の扉が開く音がした。
兄さんが帰って来たのかと、玄関まで見に行いったらやっぱり兄さんが居た。
「おかえり兄さん、今日炊き込みご飯だよ」
「ただいま、マイシスター!!いえーい、オレの好物だぁ〜」
泊まりがけの任務帰りとは思えない程元気そうな笑顔で帰ってきた兄に苦笑しながら、お風呂の準備を頼む。帰ってきていきなりで申し訳ないが、私は料理で手が離せないので。
「あっそうだ、ワタリ」
「ん、どうしたの?」
「言い忘れてたけど、卒業おめでとう」
「ありがと」
ふにゃっと、はにかむような笑顔を浮かべる兄妹。
今の二人は間違いなく幸せな時間を過ごしていた。
声変わり前の、元気な男の子の声がワタリの名前を呼んだ。
振り返れば額当てをした少年が手をブンブンと振りながら近づいてきている。キラキラ輝く金髪と白い肌の少年は、異国の絵画から出てきたかのような木ノ葉にはない美貌だ。
内心、またか……と思いながらも、ワタリは対人用の笑みを浮かべてぺこりとお辞儀した。
「お久しぶりですクロコ様」
「うん久しぶり!というかそんな他人行儀に呼ばなくていいよ、従兄弟だし」
「いえ、そういう訳にはいきません」
クロコ様は宗家なんですから。
ワタリがそういうと、クロコは苦笑いを浮かべて「そっか」とだけ答えて話題を移した。
「アカデミー卒業おめでとう。額当て、似合ってるよ」
「ありがとうございます。これもクロコ様が修行に付き合って下さったおかげです」
「いやいや、。修行なんて大層なことしてないって、ワタリが努力して卒業試験に合格したんだよ」
「ふふっそう言って頂けると嬉しいです」
絶妙に踏み込まない会話で、当たり障りのないことだけを言って終わる。それは親戚同士の会話とはいない、ただの宗家と分家の会話だ。
__クロコはそんな会話はもう、終わりにしたかった。
普通に挨拶して、様なんて付けずに名前で呼び合う友のような関係に。あわよくばその先の関係だって、ワタリとならなってもいい。
というか、そうなりたいクロコはどうにかしてワタリとの距離を詰めたかった。なので同じ班の同期に相談して、色々考えた結果、デートなるものに誘うことを決意したのだ!
①卒業おめでとう!
↓
②ありがとうございます。
↓
③そうだ、下忍になったんだから忍具新しくしたら?俺、いいお店知ってるよ
↓
④どこですか?
↓
⑤××商店街の八百屋を曲がったところにあるお店なんだけど、結構道複雑なんだよね……多分初見じゃ分かんないと思うから俺が案内するよ
↓
⑥ええ!本当ですか。お願いします。
……と、いう流れでデート(と、いう名の武器の買い出し)に誘う想定だ。②までは出来たんだから後は③に乗せたら後は勢いでいけると踏んだクロコは忍具の話に変えた。
「あ、そうだ。任務とか修行とかで忍具って結構消費するから、今のうちに買っといた方がいいよ」
「なるほど、アドバイスありがとうございます」
「安くて性能もいいお店知ってるんだけど紹介しようか?」
「いえ大丈夫です。忍具は週末、兄と一緒に買いに行く予定なんです」
「ソ、ソッカ……」
会話終了。
ワタリをデートに誘うことは出来ずにクロコの奮闘は終わった。
「では鴉たちの世話もあるので、ここで失礼しますね」
「えっ、まだ家についてない___」
言い終わる前に、ワタリは消えていた。瞬身の術だろうか、まばたきの一瞬で消えてしまった。
そんなに話すの嫌だったかな……っと、ちょっとしょんぼりしつつもクロコは自分の家に向かって歩き出した。今回のデートのお誘いは失敗したけど、次回こそっ!という気持ちを抱えて拳を握り込んだ。
[中央寄せ]⌘[/中央寄せ]
私の家は山の中にある。
ご先祖さまが、木ノ葉の里創設の際にそこそこ貢献したらしいので大きくはないが小さくもない山を与えられ、そこで暮らすことにしたらしい。
上り下りが大変だけど。動物や自然と触れ合える暮らしには満足している。季節にはきのこや山菜も取れるし、他の家よりは食費も抑えられている。そしてなにより…………
「君たちの住居に困らない」
腕に止まった[漢字]鴉[/漢字][ふりがな]カラス[/ふりがな]をヨシヨシっと撫でてやると、カーっと鳴いた。可愛いやつめ。
犬塚家が犬を忍犬として飼っているように、烏我家は代々忍鳥として鴉を飼っている。
鴉は「羽の生えた類人猿」と言われるほど知能も高いので、手名付けたら任務や私生活にも大変役立つ。そしてカラスは平均10年と、中々に長生きして繁殖力もあるので飼っているとそれなりの数になる。
なので沢山のカラス達の住居が必須。そんなとき、烏我家の山は大変役立つのだ!
小さい頃から山の至る所にカラスが居るのは他の人からしたら確かに不気味かもしれない。
だけど、赤ん坊の頃から慣れているのでそんなに困らないし、ゴミはあさってもいいけど綺麗にしなさいと言ったら本当に綺麗にしてくれるいい子達ばっかりだ。
ペットを飼っている人はみんな、家に帰ったらペットを撫でる。そして私も例に漏れず(忍鳥だけど)、アカデミーから帰ってきたらカラスちゃんを撫で撫でするのが日課だ。
「ほぉんと色葉は可愛いなぁ〜」
デレデレ?メロメロ?なんとでも言うがよい!何故なら私の推しガラスの色葉はスーパー可愛いのだから!!
色葉を見せられないのは申し訳ないが、本当にマジでこの子可愛いから。黒い艶々の羽に鋭い嘴、そしてきゅるんとしたまんまるお目々!かっこよさと可愛いさが同居している奇跡よ……
えへへへへっと、規制されるレベルで顔面を溶かして色葉と戯れている私の頭に程よい重さが乗った。
違う子が乗ったのかなと、思っていたら耳をつん裂くような鳴き声が響いた。
『ガァァァアアアア!!ガァァァアアア!!タダァイママァァ!!』
「うわっ、びっくりした……金ちゃんか。かおかえりー、兄さんは一緒?」
『ヂガァヴヴヴヨォオ゙!!!コックンァァア、任務デェェェ、チョット遅レルヨォォォオオ!!』
「そっか。今日は兄さんの好きな炊き込みご飯なのに残念だなぁ」
「教えてくれてありがとうねぇ〜」と言いながら撫で撫でしたら相変わらず大きな声で「ドォオイタシマシテェェェ!!」と返ってきた。うん、素直にお礼言えるのはえらいけど、耳元で叫ぶのはやめようか。
金ちゃん、もといい[漢字]金剛烈太郎[/漢字][ふりがな]こんごうれつたろう[/ふりがな]は兄である烏我 コクマルが育てている鴉だ。育てている鴉の中でも知能が高く、兄さんが付きっきりで言葉を教えた甲斐あって喋れるカラスに進化した。
兄は自分のことはご主人様と呼ぶように教えたらしいが、どんなに訂正しても『コックン、コックン』と言いながら後頭部を嘴でつっつくので諦めた。
因みに私はイモウトと呼ばれている。そうなんだけど、そうじゃない感があって兄妹で頭を抱えた。
まぁ鴉たちとの触れ合いもそこそこに、餌を与えて家に入った。
家には入らないように躾けているので入られることは少ない。まぁ、ときどき食いしん坊の鴉ちゃんたちが冷蔵庫を漁ろうとするので油断はできないんだけど。
手を洗って、荷物を下ろしたら料理に取り掛かる。両親は早くに亡くなっているので、ご飯は私と兄で当番制で回している。
兄は中忍なので忙しい。そうなると必然的に私が担当する日が多いのだけど、別に不満はない。
さっきも言ったように両親は居ないので、実質兄に養って貰ってるようなものだ。それなら少しでも家の負担は減らしたい方がいいし、両親とかは別に苦手じゃない。寧ろ好きな方だ。
「からすぁかあてば 勘三郎〜♪」
その証拠料理のときはご機嫌になって歌を歌ってしまう。流行りの曲を歌うことも有れば、クラッシックだったりその日の気分によるが、今日は童心に戻って子守唄を歌うことにした。
少ししか覚えてないけど、母さんが歌ってくれていたような気がする。
「赤い小袖十二ひろ 白い小袖十二ひろ」
トントントンと、リズムに合わせて包丁を動かす。最後の油揚げを切り終わったら窯の中に全部入れて蓋をした。さあ次はお味噌汁っと、冷蔵庫にしまっていただし汁を取り出したそのタイミングで玄関の扉が開く音がした。
兄さんが帰って来たのかと、玄関まで見に行いったらやっぱり兄さんが居た。
「おかえり兄さん、今日炊き込みご飯だよ」
「ただいま、マイシスター!!いえーい、オレの好物だぁ〜」
泊まりがけの任務帰りとは思えない程元気そうな笑顔で帰ってきた兄に苦笑しながら、お風呂の準備を頼む。帰ってきていきなりで申し訳ないが、私は料理で手が離せないので。
「あっそうだ、ワタリ」
「ん、どうしたの?」
「言い忘れてたけど、卒業おめでとう」
「ありがと」
ふにゃっと、はにかむような笑顔を浮かべる兄妹。
今の二人は間違いなく幸せな時間を過ごしていた。