「たまにはアポロ以外にも行ってみましょうよ!」
そう言ったのは同級生の園子だった。
多分本当は今日は園子の目当てのイケメン店員・安室さんがシフトじゃないので、アポロにいないのが理由なんだろうけど。
……っと、親友の本音を見抜いた蘭だったが、偶には新しい店を開拓してみるのもいいだろうと。その提案に頷いたのが、30分ほど前の話。
園子が提案したのは、学校近くにあるそこそこ大きな喫茶店。
柔らかい雰囲気の店内はどこかアポロに似ており、初めて来たのに何故か見覚えがある気がする。簡単に言ってしまえば、いい雰囲気の店だった。
店員に案内されるまま、蘭と園子はテーブル席に座る。
当然のように着いてきたコナンに、園子がすぐ文句をつける。それを蘭が、まあいつものことと宥めて。そして、店員さんが持ってきたメニュー表を見て、パフェが食べたいけケーキが食べたいなんて言い合いながら、吟味していた。
そんな時。
「ねぇねぇ、ヒューちゃん。むあ、今日の桃フェアだし、ピーチパフェはにしようかなって思ってるんだけど、ヒューちゃんは何にする~?」
店内に響いたのは、透明感のある明るい声。
聞いたことのある声に蘭と園子が、ドア近くに顔を向ける。
案の定、ふわふわの白銀ロングヘアを揺らした少女は、ボサついた単発の少年に身を寄せながら店に入ってきた。
その距離感は恋人かと思うほど近いが、蘭と園子は二人が恋人ではなく兄妹__しかも、双子である事を知っていた。
「あれ、氷室沢さんたちだ」
氷室沢 霧空、氷室沢 日向。
帝丹高校の有名人だ。
どちらも整った顔立ちに、恵まれたスタイル。その顔だけで落とした人間は数知らず……という点も有名だが、理由の一番はそのチグハグの性格だろうか。
「あっ!園子ちゃんと蘭ちゃんだ!」
「……」
「ちょっと、日向!可愛い同級生とお姉様がいるっていうのに無反応は酷くない?ね〜ぇ、聞いてる?」
「………」
「ねぇねぇ。おいーい、聞こえてる〜?ヒューちゃ〜ん?」
「…………うるさい」
「わっ、今日やっとしゃべったね!」
霧空がよく喋るのに対し、日向は無表情。必要最低限しか口を開かない。
髪色が似てるので血縁者とは分かるが、顔の作りはあまり似ていない。性格は見るかに反対だけど、どこに行くにも一緒。会話の温度差はあるけど、仲が悪いわけじゃない。
“似てないけどニコイチな双子”──みんな、そんなふうに呼んでいる。
「久しぶり、蘭ちゃん園子ちゃん!」
「久しぶりってほどでもないけどね。授業終わったの1時間前だし」
蘭が告げれば、霧空は笑った。日向は言わずもかな、無表情である。
「あはは、それもそっか。ところで、二人がここに居るのって珍しいね。いつもは、えーっと……なんだったけ?なんかパブロみたいな名前の喫茶店の……」
「……アポロ……、だろ。……ピカソは……関係、……ない………」
「それだっ!ヒューくんありがと!そうそう、あのイケメンさんが居るとこに居るイメージなんだけど!」
「今日はそのイケメンな安室さんがお休みなのよ。だから、この機会に新しいとこ開拓しようと思って」
「なるほど〜じゃあ、むあがおすすめのやつ教えて上げようか?」
「えっ、ホント!?」
「もっちのロンよ!なんたって、むあっていうか、ヒューくんもここの常連だもの!」
泥舟に乗ったつもりでいてね!
っと、突っ込んだ方が良さそうな事を胸を張って言うむあ。それに園子が突っ込めば、日向が小さな声で「………あながち間違えじゃない」と返すので、やや心配だ。
まぁ、心配とは裏腹に霧空は、普通におすすめを教えてくれた。
この店の看板メニューはプリンアラモードで、季節によって皿に乗せられる果物が変わるそう。今は桃フェアなので、もちろん桃が乗るのだが、プリンと桃の組み合わせは微妙らしく、それならケーキやパフェの方が美味しいとか。
「んーっとね、このケーキは生地がちょっとパサパサしてるけど、クリーム多めだから全然いけるし、こっちのケーキはコーティングのチョコがめちゃうま」
「マジ?」
「マジだよ〜ん。程よいパキパキ食感が堪んないの!個人的には中に入ってるいちごもよくてぇ〜」
霧空はニコニコと笑いながら、メニューを指さして感想を言っていく。
美味しそうな写真と霧空の解説にどれを食べるか頭を悩ませながら、どれにしようか唸る。その様子に、コナンは内心暇だなぁ〜と思いつつ、霧空と一緒に来た日向をちらりと流し見る。
コナンのふりをする前……。まぁ、色々あって幼児化する前は普通に帝丹高校に通っていたので、コナンもといい、工藤新一は彼等のことは知っていた。
でも、探偵業で忙しかったのもあって、あまり話したことは無かったし、話しかけられることも無かった。特に日向は。
だからコナンになった機会に、一度話してみるかと、無邪気な笑顔を装い、無表情にコーヒーを飲む日向に話しかけた。
「ねぇねぇ、日向お兄ちゃん!」
「……俺、……名前教えたっけ」
一瞬、曇った水色の瞳が細められる。
コナンは「やらかしたっ!」と思いながらも、とぼけた顔で「えー、あっちのお姉ちゃんが言ってたよー?」と返す。
「……霧空は、……俺のこと、ヒューちゃんとしか……呼ばない……」
「そ、そうだっけ?」
「……そうだよ……。……でも、まぁ………いいや。………で、なんの用?」
「お姉ちゃんたち、メニュー選びに必死だもん。暇だな〜って」
「……なら、……自分……の………メニューを……選べば……」
正論だ。
ここで食い下がると、余計に不信感を抱かれかねないので大人しく、もう一つのメニュー表を手に取り、中を見る。
やっぱり蘭や園子みたいな女子高校生〜若い女性をターゲットにした甘いデザートがよりどりみどり。写真だけで胸焼けしそうだ。
アポロでは、安室さんがコーヒー出してくれないので、この機会にコーヒーを頼むことにした。
メニュー自体はもう決めたが、惰性でメニュー表に目を滑らせていると、メニュー表に影が落ちる。前を向くと、霧空がいた。
霧空は日向とは反対の、人好きの笑顔で元気にコナンに話しかけてきた。
「やっほーコナンくん。どう?メニュー決まった?」
「んー僕はコーヒーだけでいいや。給食おかわりしたから、お腹いっぱいなんだ」
「意外と食いしん坊さんだけど、コーヒーを選ぶとは……。好みが渋いね、本当に小学生?」
「アハハハハハ……」
まさか中身は高校生ですとは言えないので、笑って誤魔化しておく。
そうこうしている内に、二人はメニューが決まったのか、呼び鈴を鳴らして店員を呼んだ。それぞれ、長くて、聞くからに甘ったるい名前をスラスラ答えて、店員もそれを当たり前のように伝票に書き込む。
「えーっと、最後にドリンクの確認ですが、ピーチジュースが2点、紅茶が1点、コーヒーが1点でよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です」
頷くと、店員はメニューを伝えに厨房に入って行った。
あとは料理が出てくるまでお話しタイムだ。
女子というのは一部の例外を除いて年齢問わずに喋りが好きな生き物だ。よく話題が尽きないなと思うほど、話は続いていく。蘭も園子も霧空も例外では無いようで、注文が届くまでの時間を会話で埋めていく。
「結局最後はピーチジュースにしたんだね」
「デザートと合わせるとカロリーヤバそうだけど、欲望には逆らえなくって………。でも、霧空ちゃんが紅茶なのは意外かも」
「いやー、パフェも桃だし、そこまではいいかなって」
「確かにそうね」
「それに、ここの紅茶美味しいしさ。紅茶が大々々好きなお姉ちゃんも飲みにくるぐらいだし」
「前言ってたお姉さん?」
「いや、あれは次女さんだよ。紅茶が好きなのは長女の香澄お姉ちゃんで____」
不自然なところで会話は止まる。
はて?と、霧空を見れば、その目線はカウンター席の女性に止まっており、日向を除いた全員が不思議そうに彼女を見つめたその瞬間。
ガタンッ。
霧空が駆け出すと同時に、カウンター席の女性が、椅子ごと横に崩れ落とた。
「えっ……なに?」
「ちょっ、やばくない!?」
ざわつく店内。立ち上がる客たち、駆け寄る店員。
蘭と園子も驚いた様子で立ち上がろうとしたが、先に動いたのはコナンだった。
「蘭姉ちゃん、僕、ちょっと!」
コナンは椅子を飛び降り、すぐに倒れた女性へ駆け寄る。
仰向けに倒れたその女性は、苦しそうに胸を押さえ、口から何かをこぼしている。……紫色の唇、浅い呼吸、手足の痙攣。反応はあるが、明らかに異常だ。
「「毒だ」」
日向とコナンの声が重なった。
コナンは冷静に女性の体調を確認しながら、呼吸の状態をチェックする。痙攣が続いているものの、まだ脈拍は弱いが感じられる。
だが、このままだと危険だ。コナンはしっかりと冷静に言った。
「誰か、早く電話を!すぐに警察呼んで!この人、毒を盛られてる!」
「……救急車もも……だろ」
その一言で、店内はさらにざわつき始める。
霧空や蘭がすぐに動き、スマホを取り出して緊急通報をかける。霧空は、慌てながらも被害者も被害者に近寄り、日向に指示を仰ぐ。
「ヒューちゃん、どうしたらいい!?」
日向は無表情で、ただ静かにその場を観察していたが、ふと小さく息を吐くと、冷静に答えた。
「まだ、死んで無い……。多分、エステル類……、特定不可……解毒薬なし……」
「じゃあ救急車待ち?」
「いや、すぐに解毒剤を使わないと、体内で反応が進んむから………救急車が、来る前に……体内から……毒を排出させる……。じゃないと、……死ぬよ。このひと………」
その言葉に気がついたように、霧空は近くに店員にすぐに水を持ってこさせる。
霧空の動きはすばやく、店内が慌ただしくなる中でその冷静さが際立っていた。しかし、日向の言葉を受けて、みんなの動きが少しだけ遅れてしまう。
特にコナンはその状況に焦りを感じながらも、冷静さを保とうと必死だ。
それぞれができる限りを尽くした5分後に、警察と救急車が到着。
夕方のティータイムは一瞬で事件現場へと変わった。
そう言ったのは同級生の園子だった。
多分本当は今日は園子の目当てのイケメン店員・安室さんがシフトじゃないので、アポロにいないのが理由なんだろうけど。
……っと、親友の本音を見抜いた蘭だったが、偶には新しい店を開拓してみるのもいいだろうと。その提案に頷いたのが、30分ほど前の話。
園子が提案したのは、学校近くにあるそこそこ大きな喫茶店。
柔らかい雰囲気の店内はどこかアポロに似ており、初めて来たのに何故か見覚えがある気がする。簡単に言ってしまえば、いい雰囲気の店だった。
店員に案内されるまま、蘭と園子はテーブル席に座る。
当然のように着いてきたコナンに、園子がすぐ文句をつける。それを蘭が、まあいつものことと宥めて。そして、店員さんが持ってきたメニュー表を見て、パフェが食べたいけケーキが食べたいなんて言い合いながら、吟味していた。
そんな時。
「ねぇねぇ、ヒューちゃん。むあ、今日の桃フェアだし、ピーチパフェはにしようかなって思ってるんだけど、ヒューちゃんは何にする~?」
店内に響いたのは、透明感のある明るい声。
聞いたことのある声に蘭と園子が、ドア近くに顔を向ける。
案の定、ふわふわの白銀ロングヘアを揺らした少女は、ボサついた単発の少年に身を寄せながら店に入ってきた。
その距離感は恋人かと思うほど近いが、蘭と園子は二人が恋人ではなく兄妹__しかも、双子である事を知っていた。
「あれ、氷室沢さんたちだ」
氷室沢 霧空、氷室沢 日向。
帝丹高校の有名人だ。
どちらも整った顔立ちに、恵まれたスタイル。その顔だけで落とした人間は数知らず……という点も有名だが、理由の一番はそのチグハグの性格だろうか。
「あっ!園子ちゃんと蘭ちゃんだ!」
「……」
「ちょっと、日向!可愛い同級生とお姉様がいるっていうのに無反応は酷くない?ね〜ぇ、聞いてる?」
「………」
「ねぇねぇ。おいーい、聞こえてる〜?ヒューちゃ〜ん?」
「…………うるさい」
「わっ、今日やっとしゃべったね!」
霧空がよく喋るのに対し、日向は無表情。必要最低限しか口を開かない。
髪色が似てるので血縁者とは分かるが、顔の作りはあまり似ていない。性格は見るかに反対だけど、どこに行くにも一緒。会話の温度差はあるけど、仲が悪いわけじゃない。
“似てないけどニコイチな双子”──みんな、そんなふうに呼んでいる。
「久しぶり、蘭ちゃん園子ちゃん!」
「久しぶりってほどでもないけどね。授業終わったの1時間前だし」
蘭が告げれば、霧空は笑った。日向は言わずもかな、無表情である。
「あはは、それもそっか。ところで、二人がここに居るのって珍しいね。いつもは、えーっと……なんだったけ?なんかパブロみたいな名前の喫茶店の……」
「……アポロ……、だろ。……ピカソは……関係、……ない………」
「それだっ!ヒューくんありがと!そうそう、あのイケメンさんが居るとこに居るイメージなんだけど!」
「今日はそのイケメンな安室さんがお休みなのよ。だから、この機会に新しいとこ開拓しようと思って」
「なるほど〜じゃあ、むあがおすすめのやつ教えて上げようか?」
「えっ、ホント!?」
「もっちのロンよ!なんたって、むあっていうか、ヒューくんもここの常連だもの!」
泥舟に乗ったつもりでいてね!
っと、突っ込んだ方が良さそうな事を胸を張って言うむあ。それに園子が突っ込めば、日向が小さな声で「………あながち間違えじゃない」と返すので、やや心配だ。
まぁ、心配とは裏腹に霧空は、普通におすすめを教えてくれた。
この店の看板メニューはプリンアラモードで、季節によって皿に乗せられる果物が変わるそう。今は桃フェアなので、もちろん桃が乗るのだが、プリンと桃の組み合わせは微妙らしく、それならケーキやパフェの方が美味しいとか。
「んーっとね、このケーキは生地がちょっとパサパサしてるけど、クリーム多めだから全然いけるし、こっちのケーキはコーティングのチョコがめちゃうま」
「マジ?」
「マジだよ〜ん。程よいパキパキ食感が堪んないの!個人的には中に入ってるいちごもよくてぇ〜」
霧空はニコニコと笑いながら、メニューを指さして感想を言っていく。
美味しそうな写真と霧空の解説にどれを食べるか頭を悩ませながら、どれにしようか唸る。その様子に、コナンは内心暇だなぁ〜と思いつつ、霧空と一緒に来た日向をちらりと流し見る。
コナンのふりをする前……。まぁ、色々あって幼児化する前は普通に帝丹高校に通っていたので、コナンもといい、工藤新一は彼等のことは知っていた。
でも、探偵業で忙しかったのもあって、あまり話したことは無かったし、話しかけられることも無かった。特に日向は。
だからコナンになった機会に、一度話してみるかと、無邪気な笑顔を装い、無表情にコーヒーを飲む日向に話しかけた。
「ねぇねぇ、日向お兄ちゃん!」
「……俺、……名前教えたっけ」
一瞬、曇った水色の瞳が細められる。
コナンは「やらかしたっ!」と思いながらも、とぼけた顔で「えー、あっちのお姉ちゃんが言ってたよー?」と返す。
「……霧空は、……俺のこと、ヒューちゃんとしか……呼ばない……」
「そ、そうだっけ?」
「……そうだよ……。……でも、まぁ………いいや。………で、なんの用?」
「お姉ちゃんたち、メニュー選びに必死だもん。暇だな〜って」
「……なら、……自分……の………メニューを……選べば……」
正論だ。
ここで食い下がると、余計に不信感を抱かれかねないので大人しく、もう一つのメニュー表を手に取り、中を見る。
やっぱり蘭や園子みたいな女子高校生〜若い女性をターゲットにした甘いデザートがよりどりみどり。写真だけで胸焼けしそうだ。
アポロでは、安室さんがコーヒー出してくれないので、この機会にコーヒーを頼むことにした。
メニュー自体はもう決めたが、惰性でメニュー表に目を滑らせていると、メニュー表に影が落ちる。前を向くと、霧空がいた。
霧空は日向とは反対の、人好きの笑顔で元気にコナンに話しかけてきた。
「やっほーコナンくん。どう?メニュー決まった?」
「んー僕はコーヒーだけでいいや。給食おかわりしたから、お腹いっぱいなんだ」
「意外と食いしん坊さんだけど、コーヒーを選ぶとは……。好みが渋いね、本当に小学生?」
「アハハハハハ……」
まさか中身は高校生ですとは言えないので、笑って誤魔化しておく。
そうこうしている内に、二人はメニューが決まったのか、呼び鈴を鳴らして店員を呼んだ。それぞれ、長くて、聞くからに甘ったるい名前をスラスラ答えて、店員もそれを当たり前のように伝票に書き込む。
「えーっと、最後にドリンクの確認ですが、ピーチジュースが2点、紅茶が1点、コーヒーが1点でよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です」
頷くと、店員はメニューを伝えに厨房に入って行った。
あとは料理が出てくるまでお話しタイムだ。
女子というのは一部の例外を除いて年齢問わずに喋りが好きな生き物だ。よく話題が尽きないなと思うほど、話は続いていく。蘭も園子も霧空も例外では無いようで、注文が届くまでの時間を会話で埋めていく。
「結局最後はピーチジュースにしたんだね」
「デザートと合わせるとカロリーヤバそうだけど、欲望には逆らえなくって………。でも、霧空ちゃんが紅茶なのは意外かも」
「いやー、パフェも桃だし、そこまではいいかなって」
「確かにそうね」
「それに、ここの紅茶美味しいしさ。紅茶が大々々好きなお姉ちゃんも飲みにくるぐらいだし」
「前言ってたお姉さん?」
「いや、あれは次女さんだよ。紅茶が好きなのは長女の香澄お姉ちゃんで____」
不自然なところで会話は止まる。
はて?と、霧空を見れば、その目線はカウンター席の女性に止まっており、日向を除いた全員が不思議そうに彼女を見つめたその瞬間。
ガタンッ。
霧空が駆け出すと同時に、カウンター席の女性が、椅子ごと横に崩れ落とた。
「えっ……なに?」
「ちょっ、やばくない!?」
ざわつく店内。立ち上がる客たち、駆け寄る店員。
蘭と園子も驚いた様子で立ち上がろうとしたが、先に動いたのはコナンだった。
「蘭姉ちゃん、僕、ちょっと!」
コナンは椅子を飛び降り、すぐに倒れた女性へ駆け寄る。
仰向けに倒れたその女性は、苦しそうに胸を押さえ、口から何かをこぼしている。……紫色の唇、浅い呼吸、手足の痙攣。反応はあるが、明らかに異常だ。
「「毒だ」」
日向とコナンの声が重なった。
コナンは冷静に女性の体調を確認しながら、呼吸の状態をチェックする。痙攣が続いているものの、まだ脈拍は弱いが感じられる。
だが、このままだと危険だ。コナンはしっかりと冷静に言った。
「誰か、早く電話を!すぐに警察呼んで!この人、毒を盛られてる!」
「……救急車もも……だろ」
その一言で、店内はさらにざわつき始める。
霧空や蘭がすぐに動き、スマホを取り出して緊急通報をかける。霧空は、慌てながらも被害者も被害者に近寄り、日向に指示を仰ぐ。
「ヒューちゃん、どうしたらいい!?」
日向は無表情で、ただ静かにその場を観察していたが、ふと小さく息を吐くと、冷静に答えた。
「まだ、死んで無い……。多分、エステル類……、特定不可……解毒薬なし……」
「じゃあ救急車待ち?」
「いや、すぐに解毒剤を使わないと、体内で反応が進んむから………救急車が、来る前に……体内から……毒を排出させる……。じゃないと、……死ぬよ。このひと………」
その言葉に気がついたように、霧空は近くに店員にすぐに水を持ってこさせる。
霧空の動きはすばやく、店内が慌ただしくなる中でその冷静さが際立っていた。しかし、日向の言葉を受けて、みんなの動きが少しだけ遅れてしまう。
特にコナンはその状況に焦りを感じながらも、冷静さを保とうと必死だ。
それぞれができる限りを尽くした5分後に、警察と救急車が到着。
夕方のティータイムは一瞬で事件現場へと変わった。