背景、海底より。
#1
1
目が覚めたら海の中だった。
言葉にするとTRPGでも始まりそうな冒頭だが、私にとっては紛れもない事実で、酷く困惑した。
万年金槌で水泳の授業はバタ足からやってた私が溺れないで、空を飛ぶ鳥のように海中を泳げるし、何故か息継ぎも必要ない。
「なんで?」
こてん。
っと、不思議な現象に首をかしげた私に、何もかもを教えてくれたのはこの海一番長生きな亀さん。
彼?彼女?は、ぽやぽやで何も理解していない私に、私は誰なのかをざっくりとに教えてくれた。
曰く、私は神様なんだとか。
おもわず、「はぁ?」っと猫ミームのような声が出そうになったけど、私が神様だと言われると、なんとなく自分を理解することが出来た。
私は海流から生まれた「渦の魔神」オセル。
だけど、中身は平和な時代に生きて死んだ日本人。
……もしや、知らぬ間に異世界転生待機列に並んでた感じなんだろうか。
まぁ、転生しちゃったもんは仕方ない。
前世じゃ絶対にできなかった深海ダイビングとかしちゃお〜。今は神様だからね、水圧とか関係ないし。わーい!っとばかりにはしゃいで回っていたら溺れてる子供を発見。
記念すべき第一村人が土左衛門になられちゃ困るので、神様パワーで波を操り陸地まで運ぶ。
あんまり怖がらせないように人型を取って、子供が飲み込んだ水を吐かせて、子供が海中で落としたであろうものを拾ってあげる。
「なんで海にはいったの?」
「おっとうもおっかぁも、体がわりぃのに、村にゃめしがねぇから、おらが取ろうとしたんだ」
「そっか、きみはいい子だね。……ところでこれは?」
「おらの」
「木の枝だよね?」
「木の枝だべ」
うん、木の枝だね。
全国の小学生が登下校中に拾ってた木の枝だね。えっ、これで魚取ろうとしてたの?せ、せめて銛とか……いや、君にはちょっと危ないね。縄とか……作れない?そっかぁ……。
仕方がないので、もう一人で海に近寄ってはいけないと言い聞かせ、神様パワーで捕まえた魚を数匹ほど与えて村に帰らせた。
そしたら翌日、その子供とご両親が飛んでやって来た。
わーわー貢物も困ります、そういうのは自分たちでやってください!えっ、お酒……欲しいけど、ちゃんと自分たちで飲んで欲しいな。
と、いう攻防をすることが半刻。
「お礼はいいよ。私が好きでやっただけだからね。このご飯も君たちがちゃんと食べないと」
「しかし、この子を助けていただいたのに何もしないのは心苦しく……」
「……はぁ、しかたない。」
私が折れてため息を付けば、しゃぁ!!と、ガッツポーズする三人。
でも、貢物は受け取らないといえば、あからさまに悲しい顔をした。いや、そういうのは事務所通してもらって……。いや、事務所なんかないけど。
「私にお礼をしたいって言うなら、君たちの村をもう少し高台に移してもらおうかな。そうだなぁ、あの丘あたりがおすすめ」
私はそう言うと、ちゃぽんっと海の中のなかに戻った。
一家は貢物を抱えたままあたりを探したけど、私が見つからないと分かると渋々帰って行った。
そして数日後には私が指さした丘に移転を始めたようだ。ぽつぽつと小さな家が建つ様子を前世よりも遥かに良好な視界で見るのも悪くない。
移転が終わってまた暫くすると、嵐がやって来た。
雨が地を貫くような激しい激しい嵐。
彼らの村がもともとあった場所は川が近く、低い場所にあるため、氾濫した川に押し流されて綺麗さっぱりなくなった。
やっぱり言ってよかったわ〜と、思いながら流れてきた流木に引っかかってる海の生き物を助けているとまた村人がやってきた。
今度はあの加増だけでなく、村人全員だ。
土下座してくる村人たちをなだめて、村に帰そうとしたけど彼は粘り強かった。
「あなた様が我らに与えてくださった恩は絶対に忘れません。粘土板と書に記したのち、子孫に語り継がせます。100年語にも1000年後にも残るようにするので!!」
「そんなに残さなくていよ。さぁ、その魚持ったら村に帰りな。海に近づきすぎると危ないよ」
「慈悲深き御心に感謝を……よし、皆のもの。このお方を後世に伝えるために神殿を作るぞ」
「作らなくていから、自分たちの村を発展させな」
「それも勿論しますが、揃それと並行してあなた様を祀ります。すごく祀って我らの神にします」
「祀らなくても別にいいから……って、すごいちからだ!!」
結局、私は根負けして村の人々の神様になった。
絆されたとも言う。
とはいえ、力は有っても出来ることはそれほどない私は統治や村にとって重要な判断は自分ですることと言い聞かせた。
すぐそこにある魔神の脅威や戦を恐れていた彼らに、私という神ができたのは、一種の心の有所なんだろう。だからこそ私をただ単に信仰するだけでなく、私がいなくてもちゃんと自分たちでやっていけるようになってもらう。
それはまでは私できうる限り、君たちを守り育てよう。
私がいる限りは海で溺れ死ぬ事を無くし、不漁で嘆くことを許さない。豊かになる方法は一緒に考えよう。私ではなく、君たちが豊かになるために。
「私————「渦の魔神」オセルは、君たちが思考を放棄しない、あるべき人間である限り、私は君たちの神となろう」
言葉にするとTRPGでも始まりそうな冒頭だが、私にとっては紛れもない事実で、酷く困惑した。
万年金槌で水泳の授業はバタ足からやってた私が溺れないで、空を飛ぶ鳥のように海中を泳げるし、何故か息継ぎも必要ない。
「なんで?」
こてん。
っと、不思議な現象に首をかしげた私に、何もかもを教えてくれたのはこの海一番長生きな亀さん。
彼?彼女?は、ぽやぽやで何も理解していない私に、私は誰なのかをざっくりとに教えてくれた。
曰く、私は神様なんだとか。
おもわず、「はぁ?」っと猫ミームのような声が出そうになったけど、私が神様だと言われると、なんとなく自分を理解することが出来た。
私は海流から生まれた「渦の魔神」オセル。
だけど、中身は平和な時代に生きて死んだ日本人。
……もしや、知らぬ間に異世界転生待機列に並んでた感じなんだろうか。
まぁ、転生しちゃったもんは仕方ない。
前世じゃ絶対にできなかった深海ダイビングとかしちゃお〜。今は神様だからね、水圧とか関係ないし。わーい!っとばかりにはしゃいで回っていたら溺れてる子供を発見。
記念すべき第一村人が土左衛門になられちゃ困るので、神様パワーで波を操り陸地まで運ぶ。
あんまり怖がらせないように人型を取って、子供が飲み込んだ水を吐かせて、子供が海中で落としたであろうものを拾ってあげる。
「なんで海にはいったの?」
「おっとうもおっかぁも、体がわりぃのに、村にゃめしがねぇから、おらが取ろうとしたんだ」
「そっか、きみはいい子だね。……ところでこれは?」
「おらの」
「木の枝だよね?」
「木の枝だべ」
うん、木の枝だね。
全国の小学生が登下校中に拾ってた木の枝だね。えっ、これで魚取ろうとしてたの?せ、せめて銛とか……いや、君にはちょっと危ないね。縄とか……作れない?そっかぁ……。
仕方がないので、もう一人で海に近寄ってはいけないと言い聞かせ、神様パワーで捕まえた魚を数匹ほど与えて村に帰らせた。
そしたら翌日、その子供とご両親が飛んでやって来た。
わーわー貢物も困ります、そういうのは自分たちでやってください!えっ、お酒……欲しいけど、ちゃんと自分たちで飲んで欲しいな。
と、いう攻防をすることが半刻。
「お礼はいいよ。私が好きでやっただけだからね。このご飯も君たちがちゃんと食べないと」
「しかし、この子を助けていただいたのに何もしないのは心苦しく……」
「……はぁ、しかたない。」
私が折れてため息を付けば、しゃぁ!!と、ガッツポーズする三人。
でも、貢物は受け取らないといえば、あからさまに悲しい顔をした。いや、そういうのは事務所通してもらって……。いや、事務所なんかないけど。
「私にお礼をしたいって言うなら、君たちの村をもう少し高台に移してもらおうかな。そうだなぁ、あの丘あたりがおすすめ」
私はそう言うと、ちゃぽんっと海の中のなかに戻った。
一家は貢物を抱えたままあたりを探したけど、私が見つからないと分かると渋々帰って行った。
そして数日後には私が指さした丘に移転を始めたようだ。ぽつぽつと小さな家が建つ様子を前世よりも遥かに良好な視界で見るのも悪くない。
移転が終わってまた暫くすると、嵐がやって来た。
雨が地を貫くような激しい激しい嵐。
彼らの村がもともとあった場所は川が近く、低い場所にあるため、氾濫した川に押し流されて綺麗さっぱりなくなった。
やっぱり言ってよかったわ〜と、思いながら流れてきた流木に引っかかってる海の生き物を助けているとまた村人がやってきた。
今度はあの加増だけでなく、村人全員だ。
土下座してくる村人たちをなだめて、村に帰そうとしたけど彼は粘り強かった。
「あなた様が我らに与えてくださった恩は絶対に忘れません。粘土板と書に記したのち、子孫に語り継がせます。100年語にも1000年後にも残るようにするので!!」
「そんなに残さなくていよ。さぁ、その魚持ったら村に帰りな。海に近づきすぎると危ないよ」
「慈悲深き御心に感謝を……よし、皆のもの。このお方を後世に伝えるために神殿を作るぞ」
「作らなくていから、自分たちの村を発展させな」
「それも勿論しますが、揃それと並行してあなた様を祀ります。すごく祀って我らの神にします」
「祀らなくても別にいいから……って、すごいちからだ!!」
結局、私は根負けして村の人々の神様になった。
絆されたとも言う。
とはいえ、力は有っても出来ることはそれほどない私は統治や村にとって重要な判断は自分ですることと言い聞かせた。
すぐそこにある魔神の脅威や戦を恐れていた彼らに、私という神ができたのは、一種の心の有所なんだろう。だからこそ私をただ単に信仰するだけでなく、私がいなくてもちゃんと自分たちでやっていけるようになってもらう。
それはまでは私できうる限り、君たちを守り育てよう。
私がいる限りは海で溺れ死ぬ事を無くし、不漁で嘆くことを許さない。豊かになる方法は一緒に考えよう。私ではなく、君たちが豊かになるために。
「私————「渦の魔神」オセルは、君たちが思考を放棄しない、あるべき人間である限り、私は君たちの神となろう」