文字サイズ変更

幼馴染への隠しごと

私には幼馴染がいる。

私が生まれる前から、うちの親と[漢字]凪桜[/漢字][ふりがな]なぎさ[/ふりがな]くんの親が、とても仲が良くて、私と凪桜くんが生まれてからも仲良くさせてもらっている。

誕生日は違うけど、歳は一緒。同じ年に生まれたからだ。

凪桜くんとは、素を出せる、唯一信頼している人。

隠しごともない。が、一つだけ言ってないことがある。

それは、吸血鬼だということ。

嘘だ、と思うかもしれないけれど、事実なのだ。

うちの親も吸血鬼で、血を飲んで生活している。血と言っても、人に噛み付いて血を吸っているわけではない。ちゃんと、買っている。

凪桜くんに言ってもいいが、きっと気味が悪いと言うだろう。

だから言っていない。言う自信もない。

でも、言わなきゃいけない。だって、私は凪桜くんのことが、好きだから。

好きだからこそ言わなきゃいけない、そう思っている。

きっと、隠しごとをしているのは私だけだ。

そして、私は、勇気を振り絞って、凪桜くんを呼び出した。

「凪桜くん」
「どうした?」
「あのね、伝えたいことがあって…」
「うん、何?」
「わ、私ね、きゅ、吸血鬼なんだ…」
「…」

一瞬時が止まったのかと思った。何もかもが止まって、時計の針も、私も、全てが。

「そうか」

その一言を聞いたとき、私は思わず「えっ」と声を出してしまった。

「えっ、って何?」
「い、いや、驚かないんだって思って…」
「だって、なんとなく気づいてたし」
「えっ、そうなの?」

驚きを隠せず、目を丸くした。

「だってさ、ニンニクは嫌いみたいだし、日光もダメ、十字架もダメ。そうなったら、吸血鬼しかいないでしょ」
「そ、そうだよね…」

すでに、気づかれていたとは…。全く気づかなかった。

「あと、俺も、吸血鬼だし」
「…そっか。…ん?きゅう、けつ、き…?」
「そうだけど」
「えっ?凪桜くんが?」
「うん、そう」

私は2度目の驚きで、開いた口が塞がらなかった。でも、吸血鬼だという素振りも見せなかった。

普通に体育はしていた。ニンニクはダメみたいだけど、吸血鬼だとは全く思わなかった。

「ど、どういうこと?」
「説明すると、うちの親も吸血鬼で、[漢字]海鈴[/漢字][ふりがな]かりん[/ふりがな]の親も吸血鬼で、お互いに仲良くなったんだってさ」
「へ、へぇー」

お互いに吸血鬼だったとは。思わぬ展開に頭の中で混乱していた。

でも、良かったのかもしれない。凪桜くんが幼馴染で。

「でも、良かったよ。海鈴が言ってくれて」
「なんで?」
「だって、俺、海鈴のこと好きだから」
「…えっ?」
「ダメ?」

これは、告白されているのか。現実だとは思うが、夢ではないのかと思ってしまう。

両想いだったということか。

「べ、別に、いいけど?私も好きだったし」
「やったー」

結果的に言ってよかったと思う。このまま、隠していたら、告白されることもなかっただろうから。

2023/08/30 09:26

潮風
ID:≫ 5sa13MtST8WYg
コメント

クリップボードにコピーしました

この小説につけられたタグ

#隠しごと

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は潮風さんに帰属します

TOP