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届かない距離

#5

すれ違いの終わり

文化祭が終わってから、ひよりと悠真の会話は少し減っていた。
あの日の雨の帰り道から、何かが変わった気がしていた。
でも、それが「近づいた」のか「離れた」のか、ひよりにはわからなかった。
昼休み、ひよりは悠真の姿を探していた。
でも、彼は部活の仲間と話していて、なかなか近づけない。
「…やっぱり、遠いのかな」
そう思った瞬間、ひよりの胸が痛んだ。
自分の気持ちを伝えたい。でも、怖い。
もし、悠真がもう自分を見ていなかったら——。
放課後、ひよりは意を決して悠真を呼び止めた。
「悠真くん、ちょっとだけ…話せる?」
悠真は驚いたように振り返り、うなずいた。
ふたりは、誰もいない図書室の隅に座った。
「…私、ずっと言えなかったことがあるの」
ひよりの声は震えていた。
でも、目はまっすぐ悠真を見ていた。
「好きです。ずっと前から、悠真くんのことが好きだった」
沈黙が流れる。
悠真は、驚いたように目を見開き、そしてゆっくりと笑った。
「…俺も。ずっと、藤咲さんのことが好きだった。
でも、人気者の君に、俺なんかが言っていいのかって、ずっと迷ってた」
その言葉に、ひよりの目に涙がにじんだ。
すれ違っていたのは、気持ちじゃなくて、勇気だった。
「…バカだね、私たち」
「うん。でも、ちゃんと伝えられてよかった」
ふたりは、静かに笑い合った。
図書室の窓から差し込む夕方の光が、ふたりの間を優しく包んでいた。

作者メッセージ

次、最終回になります!
なにかと短い話ですが…
次もよろしくお願いします!

2025/10/13 14:04

Karen
ID:≫ 61HXE6WKDbwGM
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