「藤咲さんと佐久間くん、装飾係お願いねー!」
文化祭の準備で、ひよりと悠真は偶然ペアになった。
教室の飾りつけを担当することになり、放課後にふたりで残ることが増えた。
「これ、天井に貼るやつだよね。届くかな…」
悠真が脚立に登りながら、ひよりに声をかける。
ひよりは、彼の手元を見つめながら、そっと紙を渡した。
「気をつけてね。落ちたら大変だから」
「うん、ありがとう。…藤咲さんって、優しいよね」
その言葉に、ひよりの心が少しだけ揺れた。
嬉しいのに、素直に返せない。
「人気者だから、誰にでも優しい」って思われたくなくて。
夕方になり、教室の飾りつけはほぼ完成した。
ふたりは窓際に並んで、外の景色を眺めていた。
「文化祭、楽しみだね」
悠真がぽつりとつぶやく。
ひよりは、彼の横顔を見ながら、言葉を探していた。
「…悠真くんって、さ。誰か好きな人、いる?」
その問いは、思わず口からこぼれたものだった。
悠真は少し驚いたように目を見開き、すぐに視線をそらした。
「…いるよ。でも、言えない」
その答えに、ひよりの胸が締めつけられる。
それが自分だったらいいのに。
でも、違うかもしれない。そう思うと、怖くて聞けなかった。
教室の電気が消え、ふたりは静かな闇の中に立っていた。
窓の外には、文化祭の準備で賑わう校庭の灯りがちらちらと見える。
「…そろそろ帰ろっか」
悠真の声に、ひよりはうなずいた。
でも、心の中では、まだ帰りたくなかった。
——この時間が、ずっと続けばいいのに。
文化祭の準備で、ひよりと悠真は偶然ペアになった。
教室の飾りつけを担当することになり、放課後にふたりで残ることが増えた。
「これ、天井に貼るやつだよね。届くかな…」
悠真が脚立に登りながら、ひよりに声をかける。
ひよりは、彼の手元を見つめながら、そっと紙を渡した。
「気をつけてね。落ちたら大変だから」
「うん、ありがとう。…藤咲さんって、優しいよね」
その言葉に、ひよりの心が少しだけ揺れた。
嬉しいのに、素直に返せない。
「人気者だから、誰にでも優しい」って思われたくなくて。
夕方になり、教室の飾りつけはほぼ完成した。
ふたりは窓際に並んで、外の景色を眺めていた。
「文化祭、楽しみだね」
悠真がぽつりとつぶやく。
ひよりは、彼の横顔を見ながら、言葉を探していた。
「…悠真くんって、さ。誰か好きな人、いる?」
その問いは、思わず口からこぼれたものだった。
悠真は少し驚いたように目を見開き、すぐに視線をそらした。
「…いるよ。でも、言えない」
その答えに、ひよりの胸が締めつけられる。
それが自分だったらいいのに。
でも、違うかもしれない。そう思うと、怖くて聞けなかった。
教室の電気が消え、ふたりは静かな闇の中に立っていた。
窓の外には、文化祭の準備で賑わう校庭の灯りがちらちらと見える。
「…そろそろ帰ろっか」
悠真の声に、ひよりはうなずいた。
でも、心の中では、まだ帰りたくなかった。
——この時間が、ずっと続けばいいのに。