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自分を映す鏡へ

#2

本当は

カチ、カチ、カチ…と、規則正しいリズムで針は動く。
無論、時間が過ぎない理由もなく。
もし勇気があったら、今頃遊んでいるだろう。
―――。不思議な事に、風も、車の通りも、私落ち着いていた。
…ううん、本当は怖くて仕方がない。
もしも、君が好きな人がいたとして。
その子に取られたらどうしようって思ってる自分がいる。
……なんてね、言わなきゃ伝わらないのにね。
言ったもん勝ちだ。
なのに、現に私はその両方に怯えている。
食わず嫌いと同じ。
こんなこと言ったら、あんなこと言えたら。
そんな願望抱いても、手を伸ばせばすぐそこにあるのに、やってみなきゃ、言ってみなきゃ分からないのに、挑戦することに怯えている。
君が取られてしまう恐怖、後悔。
このまま想いを伝えずにずーっと引きずる恐怖、後悔。
怖くなって、気持ちが渦になって出てきそうになる。
途端、クラクションが鳴った。
さっきまで落ち着いていた風や車の通りがだんだんと勢いを増していった。
私の心境みたいで、でもちょっと違う。
ブレーキは効くのに、アクセルは壊れてしまって動かないみたいな。
直す力はあるのにそれを使おうとしない。
スマホに通知が届く。
期待なんてなかった。
どうせ、期待したとしても――。
「ねー、今日相談乗ってくんない?」
ほら。
メッセージの相手は「奈月」だった。
私の小学校からの親友で、お互いの事を何でも曝け出せるくらいの関係。
私はすぐに指で文字を打つ。
「分かった。いつものとこでいい?」
既読が付く。返信もすぐ来た。
「ありがと!いつものところで!」
確認してスマホの電源を切る。
ふと、外を見ると、風は落ち着き、車は全く通っていなかった。





いいや。
本当は、渋滞していた、だけ。

2026/03/20 23:42

やまわさび
ID:≫ 17/UklnAAecq6
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