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世の果てにある正解へ

#1

人は動く。
目標へと向かう為に。
人は見る。
探究心を追い求める為に。
人は喋る。
感情を伝える為に。
人は食す。
飢えて死なない為に。
人は考える。
いつでも思い出せる為に。



人は、生きる。
生きる為の何かが、あるから。



じゃあ、その何かが無かったら?
空っぽのまま生きていたら?



人は変わる。
日々進化する日常に適応する為に。
人は死ぬ。
いつか迎える。



動くのも見るのも喋るのも食すのも考えるのも変わるのも、人生というしなければならないゲームの中、生きる為、死ぬ為に、人は、生きて死んで、を繰り返すのだ。



[水平線]


キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン
授業終了を知らせる音が教室に鳴り響く。
響いたと同時に、風船が萎む様に生徒の気が緩んだ。
「起立。………礼。ありがとうございましたー。」
その言葉で、風船が割れた。
パンッと音を立てた様な気もする。
完全に緩んだ空気は、見えない輪郭を生み出し、薄い茜色に染まった空と混じっては消え、混じっては消えを繰り返す。
そんな事は見えない生徒たちは鞄を持ってきて机の上に置き、筆箱や書類を入れている。
教師の元へ行き、分からなかったところを教えてもらっている生徒の姿もある。
奇跡と奇跡が偶然重なり合い、この景色を生み出している。
瞬間、ふわっと風が吹いた。
ガーデンは大きく揺れ、「涼しー」と言う声が聞こえる。
机の上に置いてあった葉は、ひらひらと舞いながら空高くへ飛んでいく。



[水平線]


あるスーツ姿の男性の前に、深緑の葉が舞い落ちてくる。
男性は足を止め、その葉をおもわず掴んだ。
掌に収まった、吸い込まれる様な綺麗な色をしていた。
少しの間、男性は立ち止まったまま葉をくるくると回しながら鑑賞する。
………数秒後、葉はカラカラと音を立て、手から消えた。
ラムネ瓶のビー玉みたいな音。
男性は不思議に思い手を二回ほど握る。
「…まぁいいか」
だがそれだけ呟いて、また歩き出していった。
───刹那。
上から雨の様にさっきの葉が舞い落ちてくる。
男性は小さく悲鳴を上げて屋内へ逃げる。
周囲の人々も困惑し、スマホを天に向かって上げる人、屋根のある所へ避難する人、何が起こっているのかネットニュースを確認する人……、など、様々な人の不安や恐怖といった感情で街は覆われていく。
もちろん、生徒たちの目にも見えていた。
教師は何事かと廊下を走る。
生徒は面白そうに手を伸ばす。
全国各地で、葉が舞って、いや、降っていた。
降水確率0%。綺麗過ぎる快晴。
それが、一瞬にして覆され、壊される。



[水平線]


東京都渋谷区、スクランブル交差点。
アスファルトの地面に、元々は葉であったんだろう、刃物が何千本も突き刺さっている。
手を切る人、足に刺さり声に成らない悲鳴を上げる人。
渾沌と化した空気。風、全て。



それを────。



誰かが見ている。
何かを待っている。
誰もが感じ取れる執着。
ごちゃ混ぜの感情。







生きる。
人、風、葉、空。
生徒、教師、社員。
喜怒哀楽も感情も。
今この瞬間、生きている。
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作者メッセージ

1200文字ぴったでした。
地味に嬉しいし気持ちいい。

2026/04/12 23:33

よもぎ
ID:≫ 17/UklnAAecq6
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