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 1人悩む夜 、 君の姿を想像して 。

午前一時を過ぎても 、 眠れなかった 。

部屋の明かりは消しているのに 、 スマホの画面だけがやけに明るい 。

何度も開いて 、 何度も閉じて 、 それでも結局また君とのトーク画面を開いてしまう 。

『 今日 、 数学のプリント見せてくれてありがと 』

送ったのは 、 たったそれだけ 。

君から返ってきたのは 、 

『 別にいいよ 』

それだけだった 。

「 ……それだけ 、 かぁ 」

わかってる 。

君にとっては 、 ただのクラスメイト 。

困っていた私にプリントを貸してくれただけ 。

そこに特別な意味なんてない 。

なのに私は 、 君の「 いいよ 」の文字を何度も読み返していた 。

いつもの塩対応 。

いつもより少しだけ早かった返信 。

そして今日 、 プリントを渡してくれたときの笑顔 。

全部に意味があるような気がしてしまう 。

窓の外では 、 夏の虫が鳴いていた 。

布団に横になって目を閉じると 。 すぐに君の姿が浮かぶ 。

教室の窓際で 、 友達と笑っている君 。

体育のあと 、 少し赤くなった頬を手の甲でぬぐう君 。

廊下ですれ違ったとき 、 私に気づいて手を振ってくれた君 。

そのたびに 。 胸の奥がきゅっと狭くなる 。

「 もし 、 君も私のこと…… 」

そこまで呟いて 。 自分で笑ってしまった 。

そんなわけない 。

君は誰にでも優しい 。

誰にでも笑う 。

誰にでも 、 同じように声をかける 。

わかっているのに 、 期待だけは勝手に膨らんでいく 。

もし明日 、 君が私の席まで来てくれたら 。

もし「 一緒に帰らない? 」なんて言ってくれたら 。

もし 、 私の名前を呼んでくれたら 。

そんなありえない未来を 、 ひとつずつ想像してしまう 。

君の隣を歩く私 。

夕焼けに染まる帰り道 。

何気ない会話をしながら 、 時々目が合って 、 二人で照れくさそうに笑う 。

そして 。 交差点の前で君が立ち止まって 、

「 ……俺 、 前から好きだった 」

なんて言う 。

想像しただけなのに 、 顔が熱くなった 。

枕に顔を埋める 。

馬鹿みたい 。

そんなの 、 夢の中でしか起きない 。

でも 、 夢なら何度でも見ていいと思った 。

誰にも言えない気持ちを 、 誰にも知られないように抱えたまま 、 私は君を想像する 。

君が私の隣にいるところ 。

君が私だけを見てくれるところ 。

君が 。 私の名前を呼ぶところ 。

スマホの時計を見ると 、 午前一時二十三分 。

明日は寝不足で 、 きっと君の前で変な顔をしてしまう 。

それでも 、 少しだけ楽しみだった 。

教室に入ったとき 、 君に会えるから 。

「 おはよう 」と言えるかもしれないから 。

たったそれだけのことで 、 明日という日が待ち遠しくなる 。

私はもう一度 。 君とのトーク画面を開いた 。

新しいメッセージを打つ 。

『 明日 、 学校で話したいことがあるの 』

けれど 、 送信ボタンを押す勇気はなくて 、 結局ぜんぶ消した 。

代わりに 、 短い言葉を入力する 。

『 おやすみ 』

それも送らず 、 画面を閉じる 。

暗闇の中で 、 私はそっと目を閉じた 。

するとまた 、 君の姿が浮かんだ 。

今度は 、 私の隣で笑っている 。

夢みたいな未来を 、 もう少しだけ妄想していたかった 。

ひとり悩む夜は 、 長い 。

だけど君を想っている時間は 、 不思議なくらい優しかった 。

作者メッセージ

ちなみに 、 妹生は遅刻ギリギリなので 挨拶したことは ないですね 泣

2026/08/18 21:23

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