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# バレー部の女の子たちが尊いんですが ?!

#7

#7 《 日常編 》部長・副部長コンビ

朝の教室は 、 まだ少し静かだった 。

その静けさの中で 、 柳木 天音はひとり自分の席に座っていた 。

背筋はちゃんと伸びている 。

表情も 、 いつも通り堂々としている 。

けれど机の下では 、 なぜか小さく足を揺らしていた 。

「 …… 」

何かを待っている顔だった 。

隣の席に来た白夢 優羽が 、 それを見てすぐに気づく 。

「 おはよう 」

「 っ 、 あ 、 優羽か 。 我は別に待ってなどいない 」

「 待ってた顔してた 」

「 してない! 」

声だけは元気だった 。

天音はすぐに胸を張る 。

だが 、 目線は少しだけ泳いでいる 。

優羽は何も言わず 、 自分の席に座った 。

しばらくして 、 後ろの席からひそひそ声が聞こえる 。

「 ねえ 、 天音ちゃん今日ちょっと静かじゃない? 」

「 え 、 ほんとだ 。 なんかおとなしい 」

「 熱でもあるのかな 」

その言葉に天音は 、 ぴくっと肩を揺らした 。

「 聞こえているぞ! 」

「 ごめんね! 」

「 悪いことは言っていないだろう!? 」

勢いよく振り返ったものの 、 言い返したあとで少しだけ気まずくなる 。

そのまま天音は机の上に置いていたノートを 、 そっと閉じた 。

優羽が横目で見る 。

「 なにしてたんだ 」

「 ……別に 」

「 別に 、 じゃない顔してる 」

「 してない! 」

「 またそれ 」

優羽がそう言うと 、 天音は少しだけ目を逸らした 。

「 ……我は今朝 、 少しだけ準備をしていたのだ 」

「 準備? 」

「 部長として 、 朝の挨拶をな 」

「 今さら? 」

「 今さらではない 。 我の挨拶は 、 部を導く重要なものだからな 」

そう言い切る声はやたら立派だった 。

でも 、 天音の耳は少し赤い 。

優羽は一拍置いてから 、 短く言った 。

「 練習前に言えばいいだろ 」

「 ……それは 、 そうだが 」

「 何をそんなに悩んでたんだ 」

天音は 、 机の端を指でとんとん叩く 。

「 みんなの前で 、 ちゃんと格好よく言う言葉が思いつかなかったのだ 」

「 …… 」

「 部長なのだから 、 当然完璧であるべきだろう 」

優羽は少しだけ目を細めた 。

完璧 、 という言葉を口にするわりに 、 天音はいつも少し不器用だ 。

大きなことを言うのに 、 意外と中身は気にしすぎる 。

そのくせ 、 悩んでいるところを見せるのは嫌らしい 。

「 天音 」

「 なんだ 」

「 別に 、 そんな完璧じゃなくていい 」

「 は? 」

「 朝からかっこつけなくても 、 部は回る 」

天音はむっとした顔をした 。

けれどすぐに 、 少しだけ声が小さくなる 。

「 ……でも 、 我は部長だぞ 」

「 知ってる 」

「 なら 、 ちゃんと見られたい 」

その一言は 、 いつもより少しだけ素直だった 。

優羽はそれを聞いて 、 しばらく黙っていた 。

そして 、 ふっと小さく息をつく 。

「 見られてるよ 」

「 ……え 」

「 みんな 、 お前のことちゃんと見てる 」

天音は固まった 。

「 変な意味じゃなくてな 」

「 わ 、 分かっている! 」

「 顔 、 真っ赤 」

「 真っ赤ではない! 」

そう言いながら 、 天音は机に顔を突っ伏した 。

さっきまでの威勢はどこへやら 、 耳まで赤い 。

後ろの席から 、 また小さな声がする 。

「 天音ちゃん、もしかして照れてる? 」

「 かわいい…… 」

「 聞こえていると言っているだろうがぁ! 」

天音は勢いよく顔を上げる 。

でもその直後 、 しゅんと肩を落とした 。

「 ……もうだめだ 。 我は今日は静かに生きる 」

「 急に陰キャみたいになったな 」

「 うるさい 」

「 今の顔 、 完全に拗ねてる 」

「 拗ねてなどいない! 」

「 じゃあ何してるんだ 」

「 ……省エネだ 」

優羽は吹き出しそうになるのをこらえた 。

天音はこういうとき 、 妙に引っ込みがちになる 。

普段はあれだけ堂々としているのに 、 褒められると急に挙動不審になるのだ 。

少しして 、 昼休み 。

天音はひとり 、 教室の隅で何かを書いていた 。

ノートには 、 挨拶の文言らしきものが何度も書き直されている 。

「 我が導く! 」

「 我と共に進め! 」

「 今日も勝利をつかむぞ! 」

どれも大げさすぎて 、 少し暑苦しい 。

その横で 、 優羽が覗き込む 。

「 なにこれ 」

「 見るな! 」

「 遅い 」

「 うるさい! 」

天音はノートを抱え込んだ 。

「 ……どうせ我のセンスは凡人には理解できぬ 」

「 凡人に見せるものだろ 」

「 ……それも 、 そうだが 」

優羽は少し考えてから 、 さらっと言った 。

「 もっと普通でいいんじゃない? 」

「 普通? 」

「 『 今日も頑張ろう 』とか 」

「 ……普通すぎる 」

「 お前が言うとちょうどいい 」

天音はしばらく黙った 。

そして 、 机の上にノートを置き直す 。

「 ……それでは 、 少しだけ普通にするか 」

「 うん 」

「 『 今日も 、 我と一緒に頑張ろう 』 」

「やっぱり我は入れるんだな」

「 当然だ 」

「 そこは譲らないのか 」

「 部長だからな 」

優羽はもう笑っていた 。

そんなやり取りをしているうちに 、 昼休みのざわざわした音が、少しずつ心地よくなっていく 。

天音はまだ少しだけ気まずそうだったが 、 それでもいつもの調子を取り戻しつつあった 。

放課後 。

体育館に向かう廊下で 、 天音はひとつ深呼吸をした 。

「 ……よし 」

「 なにが 」

「 本日の我は 、 完全復活だ 」

「 さっきまで沈んでたのに 」

「 気のせいだ 」

「 分かりやすいな 」

天音はふんと鼻を鳴らした 。

「 我は 、 強く見えるようにしているだけだ 」

「 本音出たな 」

「 出ていない! 」

そう言い返しながらも 、 天音の足取りは少し軽い 。

たぶん 、 さっき優羽に少しだけ受け止めてもらえたからだ 。

体育館の扉の前で 、 天音は立ち止まる 。

「 優羽 」

「 ん? 」

「 我はやはり 、 部長らしく振る舞えているか 」

優羽は少しだけ考えてから 、 答えた 。

「 うるさいけど 、 ちゃんとしてる 」

「 褒めてるのかそれは 」

「 褒めてる 」

天音は一瞬だけきょとんとして 、 それからぱっと笑った 。

その笑顔は 、 さっきまでの不安を全部忘れたみたいに 、 いつも通りまぶしかった 。

「 ふふ 、 当然だな! 」

「 やっと戻ったか 」

「 我は最初からこうだ! 」

「 いや 、 だいぶ陰キャっぽかったけど 」

「 言うな! 」

廊下に 、 2人の笑い声が響く 。

天音は 、 たしかに部長で 、 たしかにカリスマがある 。

でもその中身は意外と不器用で 、 ちょっと考えすぎて 、 そして少しだけ陰キャっぽい 

だからこそ 、 みんなは目を離せないのだった 。

作者メッセージ

この 2人 勝てる もの は ない 、

あ 、 てか 天音 が 部長 だったんだ 。 って 思ったでしょ 。 そうなんだよ !!!!

2026/07/14 16:52

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