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# バレー部の女の子たちが尊いんですが ?!

#6

#6 《日常編》幼馴染コンビ( 叶芽 と 燈 )

朝の風は 、 少しだけひんやりしていた 。

校門の近くで 、 小さな影がひとつ 、 きょろきょろと辺りを見回している 。

琳寧 燈だった 。

「 ……叶芽ちゃん 、 まだかな 」

そうつぶやいた 、 そのすぐあと 。

「 ご 、 ごめん……! 」

少し息の上がった声といっしょに 、 森永 叶芽が走ってくる 。

丸メガネが少しずれていて 、 髪も少しだけ乱れていた 。

「 寝坊した…… 」

「 だいじょうぶ 。 ぼくも 、 今来たとこ 」

「 ほんとに? 」

「 ほんと 」

叶芽はほっとしたように肩を落とす 。

「 よかった……燈ちゃん待たせたら申し訳ないし 」

「 待つの 、 平気 」

「 ……そういうとこ 、 優しいよね 」

「 叶芽ちゃんも 」

その言葉に、  、 叶芽は少しだけ目をそらした 。

朝の光の中で 、 丸メガネの奥の目がやわらかく揺れる 。

叶芽は音に少し敏感で 、 朝の校庭のざわめきや 、 自転車のブレーキ音にもびくっとしてしまう 。

でも 、 燈の前では少しだけ落ち着いていられる 。

それが 、 燈にはなんとなくうれしかった 。

「 今日 、 体育あるんだよね 」

校舎へ向かいながら 、 叶芽が言う 。

「 うん 」

「 ……ちょっと怖い 」

「 大きい音? 」

「 うん 。 あと 、 ボールの音とか 」

「 そっか 」

燈は短く返す 。

それ以上は無理に聞かない 。 

叶芽がどんなふうに感じているか 、 少しだけ知っているから 。

叶芽は、気を張っているように見えて 、 実はかなり頑張っている 。

苦手な音があっても逃げずにちゃんと学校へ来る 。

失敗しそうでも最後までやろうとする 。

そういうところを 、 燈はずっと知っていた 。

「 ねえ叶芽ちゃん 」

「 ん? 」

「 今日 、 がんばったら 、 帰りにあったかいの買お 」

「 え 、 なにそれ 」

「 ほっとするやつ 」

叶芽は少し考えて 、 それからふっと笑う 。

「 いいね 。 そういうの 、 好き 」

「 うん 」

「 ……燈ちゃんと一緒だと 、 ちょっと安心する 」

その言葉に 、 燈はほんの少しだけ足を止めた 。

「 ……そう? 」

「 うん 」

「 じゃあ 、 ぼくも安心してる 」

「 え 、 ほんと? 」

「 ほんと 」

叶芽は一瞬きょとんとして 、 それから照れたように笑った 。

「 なんか 、 嬉しい 」

「 ぼくも 」

短いやり取りだったけれど 、 ふたりにはそれで十分だった 。

昼休み 。

叶芽は教室の隅で 、 音を立てないようにそっとお弁当を広げていた 。

隣の席の子たちはにぎやかで 、 笑い声が少し高い 。

そのたびに叶芽は 、 丸メガネを押さえながら肩をすくめる 。

そんな様子を見て 、 燈はこっそり叶芽の前の席に座った 。

「 ……来た 」

叶芽が小さく言う 。

「 うん 」

「 今日も一緒に食べるの? 」

「 うん 」

叶芽は少しだけ安心した顔になった 。

「 よかった…… 」

「 音 、 気になる? 」

「 ちょっとだけ 」

「 じゃあ 、 ここでいい 」

燈はそう言って 、 自分のお弁当を開く 。

どこか落ち着いた空気が 、 その場にふわっと広がった 。

叶芽はおかずをひとつ口に入れてから 、 ぽつりとつぶやく 。

「 たまに思うんだ 」

「 なに? 」

「 もっと 、 平気な人になれたらいいのにって 」

燈は箸を止めた 。

叶芽は視線を落としたまま続ける 。

「 音でびっくりしたり 、 失敗したあとに引きずったり 、 ちょっと面倒だなって 」

「 …… 」

「 でも 、 そういうのなおらないから 」

少しだけ笑ってみせるけれど 、 声は小さい 。

燈はしばらく黙って 、 それからまっすぐ言った 。

「 なおさなくていい 」

叶芽は顔を上げる 。

「 え? 」

「 叶芽ちゃんは 、 叶芽ちゃんのままでいい 」

「 ……でも 」

「 でもじゃない 」

燈の声は静かだったけれど 、 揺らがなかった 。

「 びっくりするのも 、 こわがるのも 、 ちゃんと見てるってことだと思う 」

「 ……見てる? 」

「 うん 。 だから 、 努力してるのもわかる 」

叶芽は言葉を失う 。

そんなふうに言われたのは 、 あまりなかった 。

「 それに 」

燈は少しだけ首をかしげる 。

「 こわがりなのにちゃんと来てる 。 えらい 」

叶芽は 、 丸メガネの奥で目を瞬かせた 。

「 ……えらい 、 かな 」

「 うん 」

「 ほんとに? 」

「 ほんと 」

その返事だけで 、 叶芽の表情が少しずつやわらかくなる 。

「 燈ちゃんって 、 そういうの 、 さらっと言うよね 」

「 そう? 」

「うん 。 すごく助かる 」

燈は少しだけ照れたように目をそらした 。

「 ……言いたいから言ってるだけ 」

「 そっか 」

叶芽はくすっと笑う 。

その笑い方は 、 さっきまでよりずっと軽かった 。

放課後 。

教室を出ると 、 廊下には帰る生徒たちの足音が響いていた 。

叶芽は少しだけ立ち止まる 。

「 ……今日の体育 、 ちょっと不安だった 」

「 ぼく 、 近くにいる 」

「 ほんとに? 」

「 うん 」

「 じゃあ 、 少し安心 」

燈はうなずく 。

体育の時間 、 もし大きな音がしても 、 隣に誰かがいるだけで違う 。

叶芽にとって 、 それはとても大きいことだった 。

校舎の外へ出ると 、 夕方の光が少しだけやわらかい 。

「 ねえ 、 叶芽ちゃん  」

「 何? 」

「 帰り 、 あったかいの買おう 」

「 うん 」

「 甘いのにする? 」

「 ……甘いやつ 、 好き 」

「 知ってる 」

「 え 、 なんで? 」

「 そういう顔するから 」

叶芽は少しだけ笑って 、 丸メガネを指で直した 。

「 燈ちゃん 、 わたしのことけっこう見てるよね 」

「 うん 」

「 即答 」

「 幼なじみだから 」

その返しに 、 叶芽はちょっとだけ赤くなる 。

「 ……そういうの 、 ずるい 」

「 ずるくないよ 」

「 ずるい 」

「 じゃあ 、 ずるいままでいく 」

「 なにそれ 」

ふたりの笑い声が 、 夕方の廊下に小さく溶けていく 。

クラスは違っても 、 毎日同じ場所にいなくても 、 こうして会えば自然に元の距離に戻れる 。

それが幼なじみで 、 それが 、 燈と叶芽のちょうどいい日常だった 。

作者メッセージ

ども ~

朝から書いてますゆろねでつ 。

エネルギーチャージと共に尊い幼馴染を見てってくださいな

2026/07/12 07:05

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