夜風が、凛の頬をかすめる。
ビルの屋上から屋上へ、影を縫うように移動する。
心臓がうるさい。
耳鳴りみたいに、胸の奥で鳴り続ける。
凛「...位置、確認」
クロ『...北棟三階、窓際。操縦端末の光、見えるはずだ』
凛は息を殺し、窓の縁に指をかける。
薄く開いたカーテンの隙間。
机に向かって座る、あの男。
灯『...ドローン、まだ飛んでる』
烈『凛、焦るな。タイミングは任せる』
海『笑って帰ってこいよ〜?』
凛「...うん」
ゆっくり、窓を押す。
音がしないよう、ほんの数センチだけ。
キーボードの音。
画面には、街の上空を飛ぶ無数の光点。
凛「...今、止める」
一歩、踏み出した瞬間——
男が振り向いた。
男「誰だ——」
凛は反射で距離を詰め、
ナイフを喉元ではなく、端末の電源ケーブルに突き立てた。
バチッ、と火花が散る。
同時に、イヤーピースから声。
クロ『...侵入確認。今、ドローン停止』
灯『...全部、落ちた!』
烈『よくやった!』
男は呆然と凛を見ている。
怒りも、恐怖も、言葉も出ない顔。
凛「...あなたは、止めた」
男の手から、端末が床に落ちる。
凛は一瞬だけ、目を伏せた。
凛「...でも、生きて」
煙の中、窓から身を翻す。
夜の風が、さっきより少しだけ冷たくない。
クロ『...帰ってこい、凛』
凛「...うん」
遠くで、サイレンが鳴り始める。
でもその音は、もう怖くなかった。
凛は影に溶けながら、
“帰る場所”へと向かう。
続く...
ビルの屋上から屋上へ、影を縫うように移動する。
心臓がうるさい。
耳鳴りみたいに、胸の奥で鳴り続ける。
凛「...位置、確認」
クロ『...北棟三階、窓際。操縦端末の光、見えるはずだ』
凛は息を殺し、窓の縁に指をかける。
薄く開いたカーテンの隙間。
机に向かって座る、あの男。
灯『...ドローン、まだ飛んでる』
烈『凛、焦るな。タイミングは任せる』
海『笑って帰ってこいよ〜?』
凛「...うん」
ゆっくり、窓を押す。
音がしないよう、ほんの数センチだけ。
キーボードの音。
画面には、街の上空を飛ぶ無数の光点。
凛「...今、止める」
一歩、踏み出した瞬間——
男が振り向いた。
男「誰だ——」
凛は反射で距離を詰め、
ナイフを喉元ではなく、端末の電源ケーブルに突き立てた。
バチッ、と火花が散る。
同時に、イヤーピースから声。
クロ『...侵入確認。今、ドローン停止』
灯『...全部、落ちた!』
烈『よくやった!』
男は呆然と凛を見ている。
怒りも、恐怖も、言葉も出ない顔。
凛「...あなたは、止めた」
男の手から、端末が床に落ちる。
凛は一瞬だけ、目を伏せた。
凛「...でも、生きて」
煙の中、窓から身を翻す。
夜の風が、さっきより少しだけ冷たくない。
クロ『...帰ってこい、凛』
凛「...うん」
遠くで、サイレンが鳴り始める。
でもその音は、もう怖くなかった。
凛は影に溶けながら、
“帰る場所”へと向かう。
続く...
- 1.お仕事は明日から
- 2.私のアジト
- 3.私の専用武器
- 4.最初のお仕事
- 5.私の夜
- 6.私の学校-ホームルーム編-
- 7.私の学校-2-
- 8.アジトへのご挨拶前
- 9.お部屋の紹介
- 10.この場所、嫌いじゃないかも
- 11.夕焼け色の帰り道
- 12.夕焼けの向こうに、まだ帰れない
- 13.静かな朝に帰りたい場所
- 14.放課後までの、長い朝
- 15.凛の放課後
- 16.帰る場所がある暗殺者
- 17.影に溶ける心臓
- 18.夜の向こう側へ
- 19.影がほどける夜
- 20.普通って、こんなににぎやか
- 21.普通のフリをした夜へ
- 22.影が戻る場所
- 23.静かな灯りの中で
- 24.ただいまの、その先で
- 25.気づいてしまった違和感
- 26.近づく距離、隠せない影
- 27.影の輪郭
- 28.知らないフリのはじまり
- 29.踏み込んだ境界線
- 30.監視の先に
- 31.呼び出し
- 32.真実を渡す夜
- 33.夜のすべて
- 34.影が重なる夜
- 35.影の扉が、もう1人を迎える夜
- 36.震える手と踏み出す一歩
- 37.ずるい先輩・負けず嫌いの後輩
- 38.見えない一歩先