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# バレー部の女の子たちが尊いんですが ?!

#5

#5 不思議コンビ( 結衣 と 神廼 )

「 神廼さん 、 次のボールこっちに来ます 」

そう言ったのは 、 [漢字]孤空[/漢字][ふりがな]こそら[/ふりがな] [漢字]結衣[/漢字][ふりがな]ゆい[/ふりがな]だった 。

コートの後ろで 、 少しだけ身をかがめたまま丸い目で相手を見ている 。

関西弁のやわらかい響きとは裏腹に 、 その視線は妙に鋭い 。

その横で 、 [漢字]絵寺[/漢字][ふりがな]えてら[/ふりがな] [漢字]神廼[/漢字][ふりがな]しんの[/ふりがな]はぱっと笑った 。

「 おっけー! じゃあ任せて! 」

何を考えているのか分からない 。

けれど 、 神廼の声には不思議なくらい迷いがなかった 。

体育館の空気は 、 試合の終盤らしく少しだけ張りつめている 。

あと一本取れば流れが変わる 。

そんな場面で 、 相手のエースが高く跳んだ 。

鋭いスパイク 。

誰もが一瞬息を止める 。

けれど結衣は 、 すでに動いていた 。

「 そこや! 」

小さな体が床を蹴る 。

腕を差し出して 、 ぎりぎりでボールを上げる 。

「 ナイス! 」

神廼の明るい声が飛ぶ 。

上がったボールは、少しだけ乱れていた 。

でも 、 神廼はまるで気にしない 。

「 ええやん! まだ終わってない! 」

そう言って駆け込むと 、 そのまま強く打ち抜いた 。

ボールは相手コートの真ん中に落ちる 。

「 ……入った! 」

ベンチからも歓声が上がった 。

神廼は満面の笑みで振り返る 。

「 見た!? 今の、めっちゃ良かったよね! 」

「 良かった 、 っていうか、かなり雑やったけどな 」

神廼は息を整えながら 、 ぼそっと言う 。

「 でも 、 入ったでしょ? 」

「 入った 」

「 なら勝ち! 」

神廼はそう言って 、 ぴしっと親指を立てた 。

結衣はそれを見て 、 少しだけ目を細める 。

この人は本当に 、 どこを見ているのか分からない 。

なのに 、 落ち込んでいる空気を一瞬で吹き飛ばしてしまう 。

そんな神廼の横で 、 結衣は静かに立ち上がった 。

「 次 、 うちが守る 」

「 お 、 頼もしい! 」

「 せやろ 」

「 自分で言うんかい 」

「 言う 」

その返しに 、 神廼は吹き出した 。

笑いながらも 、 次のラリーに備える 。

ふたりの呼吸は 、 少しずつ合ってきていた 。

少し前までは 、 神廼と結衣は真逆のように見られていた 。

神廼はいつも明るくて 、 勢いで突っ走る 。
結衣はふわっとしていて 、 何を考えているのか読めない 。

けれど 、 バレーの中では 、 不思議と噛み合う 。

神廼が空気を上げると 、 結衣がその流れを逃さない 。

結衣が相手の隙を読むと 、 神廼が一気に畳みかける 。

まるで違う形のまま同じ方向を向いているみたいだった 。

「 神廼さん 」

「 ん? 」

「 今の 、 ちょい怖かったで 」

「 え 、 そう? 」

「 せや 。 なんか 、 テンションだけで飛び込んでた 」

「 バレた? 」

「 そらバレる 」

神廼は「 えへへ 」と笑って頭をかいた 。

「 でもさ 、 結衣が拾ってくれるって思ってたし 」

その言葉に 、 結衣は一瞬だけ黙る 。

普通なら無茶だと怒るところかもしれない 。

でも結衣は 、 悪びれもしない顔でそう言う 。

「 ……ほんま、よう分からん人やな 」

「 褒めてる? 」

「 たぶん 」

「 よっしゃ! 」

神廼は両手を上げて喜んだ 。

その様子に 、 結衣はつい口元をゆるめる 。

試合は最後まで続いた 。

ラリーが長くなるたびに 、 神廼は声を出し続ける 。

「 いける! 」

「 まだまだ! 」

「 次ある! 」

そのたびチームの空気が少しずつ前を向いた 。

そして最後の一本 。

結衣が高く上げたボールを 、 神廼がしっかりと打ち込む 。

「 よっしゃああ! 」

決まった瞬間 、 神廼はその場で飛び跳ねた 。

結衣は少し遅れて、ほっと息を吐く 。

「 ……勝ったな 」

「 勝った! 」

神廼は結衣の方を向いて 、 満面の笑顔を見せた 。

「 結衣、めっちゃすごかった! 」

「 そっちこそ 。 うるさいくらい元気やった 」

「 え 、 褒めてる? 」

「 褒めてる 」

神廼は照れたように笑う 。

結衣はその笑顔を見て 、 ふっと目を細めた 。

「 まあ 、 神廼さんとやるバレー嫌いちゃう 」

「 ほんま!? 」

「 ほんま 」

「 やったー! 」

神廼は勢いよく両手を上げる 。

それを見て 、 結衣は小さく笑った 。

コートの上で交わす会話は 、 いつだって少し変で少しあたたかい 。

けれど 、 その不思議なやり取りこそがふたりを強くしていた 。

神廼は前を向く。 。

結衣はそれを受け止める 。

ふたりなら 、 もっと遠くまで行ける 。

そんな予感だけが 、 試合の余韻の中に静かに残っていた 。

作者メッセージ

首 ちぬ 泣

2026/07/11 17:59

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