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# バレー部の女の子たちが尊いんですが ?!

#4

#4 真逆コンビ( 叶芽 と 彩夢 )

体育館の空気が 、 少しだけ重かった 。

「 ……ごめんなさい 」

[漢字]森永[/漢字][ふりがな]もりなが[/ふりがな] [漢字]叶芽[/漢字][ふりがな]かなめ[/ふりがな]の声は 、 小さくて床に落ちるみたいだった 。

誰に向けたものでもないその謝罪を 、 本人だけが何度も繰り返している 。

さっきの練習試合で 、 レシーブをこぼした 。

たった一つのミスだった 。

でも叶芽には 、 それがひどく大きな失敗に思えていた 。

丸メガネの奥の目が 、 不安そうに揺れている 。

ボールを拾う手も 、 少し震えていた 。

「 ……またやるかも 」

ぽつりと漏れた呟きは 、 ほとんど独り言だった 。

誰かが「 気にするな 」と言えば 、 かえって気にする 。

誰かが「 大丈夫 」と言えば 、 そんなはずないと思ってしまう 。

叶芽はそういうところがあった 。

そのとき 。

「 はあ? 」

鋭い声が 、 空気を切った 。

[漢字]月森[/漢字][ふりがな]つきもり[/ふりがな] [漢字]彩夢[/漢字][ふりがな]あやめ[/ふりがな]が 、 ベンチの端から顔を上げる 。 

いつものように 、 口調はきつい 。

目つきも険しい 。

けれど 、 その視線はまっすぐ叶芽を見ていた 。

「 一回落としたくらいで 、 そんな顔すんなよ 。見ててイライラする 」

「 ……っ 」

叶芽はびくっと肩を揺らす 。

やっぱり怒られた 、 と縮こまった 、 その次の瞬間 。

「 ていうか 、 下向いてる暇があるなら拾え 。 次のボール来るだろ 」

彩夢は立ち上がって 、 無遠慮な足取りで叶芽の隣まで来た 。

「 お前 、 ミスしたあとが一番使えない 。 さっさと切り替えろ 」

言葉だけなら 、 完全に悪口だった 。

叶芽は唇を噛む 。

やっぱり 、 自分はだめなんだ 。

そう思いかけた 、 そのときだった 。

「 ……でも 」

彩夢が 、 少しだけ声の温度を落とす 。

「 お前が落としたの 、 あれだけだろ 」

叶芽は顔を上げる 。

彩夢は眉をひそめたまま 、 続けた 。

「 周りがちゃんとカバーしてた 。 お前のせいで全部終わったみたいな顔すんな 」

「 ……でも 、 私が…… 」

「 だからうるさいって 」

ぴしゃりと言ってから 、 彩夢は叶芽の前に立った 。

その体が 、 ほんの少しだけ叶芽を隠す 。

コートの向こうで 、 他の部員が次の練習の準備をしている 。

まだ少しだけ 、 叶芽に視線を向ける子もいる 。

でも彩夢がそこに立っただけで 、 妙な空気はすっと薄れた 。

「 叶芽 」

名前を呼ぶ声は 、 さっきよりずっと低くて 、 静かだった 。

「 お前は、ミスしたから終わりの人間じゃない 」

叶芽は息を止めた 。

彩夢は不機嫌そうな顔のまま 、 でも目だけは逸らさない 。

「 一回落としたくらいで壊れるなら 、 とっくに今までやってねえだろ 」

「 ……彩夢さん 」

「 泣きそうな顔すんな 。 気持ち悪い 」

「 き 、 気持ち悪いって……… 」

思わず小さく言い返した叶芽に 、 彩夢はようやく鼻で笑った 。

「 そうやって喋れるなら大丈夫だろ 」

その言い方は雑で 、 乱暴で 、 優しさなんて一切ないみたいだった 。

でも叶芽にはわかった 。

彩夢は 、 叶芽がこれ以上縮こまらないようにわざときつく言っている 。

逃がさないために 。

一人にしないために 。

「 ……でも 、 また失敗したら 」

叶芽が弱々しく言うと 、 彩夢は即答した 。

「 そのときはまた拾えばいい 」

「 え 」

「 一回ミスした奴が終わりなら 、 バレーなんか成立しねえだろ 。 何回でも取り返せ 」

彩夢はそう言って 、 くいっと顎を上げた 。

「 お前は失敗しがちでも 、 逃げてねえ 。 そこは評価してやる 」

叶芽は目を見開く 。

それは褒め言葉にしては 、 あまりにも乱暴で 。

でも 、 確かに褒められていた 。

「 ……逃げてないですか 」

「 逃げてるやつは 、 今みたいに立ってねえ 」

短い沈黙が落ちる 。

叶芽の胸の奥で 、 さっきまで絡まっていたものが少しずつほどけていく 。

怖いのは 、 ミスそのものじゃなかった 。

ミスした自分がもう必要ないと思われることだった 。

でも彩夢は 、 そんなふうには扱わない 。

毒舌で 、 ぶっきらぼうで 、 口は悪い 。

なのに 、 叶芽が下を向いたままになるのは許さない 。

それが 、 彩夢なりの守り方だった 。

「 ……次 、 いけるか 」

「 ……はい 」

小さく返すと 、 彩夢は満足したみたいに口の端を上げた 。

「 よし 。 じゃあ次は落とすな 。 落としたらまた文句言う 」

「 それ 、 励ましてますか……? 」

「 うるせえ 。 聞けるなら十分だろ 」

そう言って 、 彩夢は先にコートへ戻っていく 。

その背中は 、 少しも頼りなくない 。

むしろ 、 前を切り開くみたいにまっすぐだった 。

叶芽はその背中を見つめて 、 そっと拳を握る 。

「 はいっ 」

今度はさっきより少しだけ強い声だった 。

ボールが上がる 。

次のラリーが始まる 。

叶芽は少しだけ震えながらも 、 前に出た 。

その近くにはもう 、 彩夢がいる 。

「 ほら 、 見てろ 」

不機嫌そうな声が飛ぶ 。

でもその声は確かに叶芽を支えていた 。

作者メッセージ

うがああああああ

好き いいいいいいいいいい

もう 付き合おう ( ? )

2026/07/11 17:46

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