ボールが 、 静かに弧を描いた 。
「 ……入りますわ 」
ぽつりと呟いた声の通り 、 サーブはライン際にすっと落ちる 。
「 ナイスサーブ、奈々美さん! 」
ぱたぱたと小さな足音が近づいてくる 。
[漢字]琳寧[/漢字][ふりがな]りんね[/ふりがな] [漢字]燈[/漢字][ふりがな]あかり[/ふりがな]は 、 少し息を弾ませながら 、 それでも嬉しそうに顔を上げた 。
「 すごいです……今の 、 全然取れなかった 」
「 ふふ 、 ありがとうございます 」
[漢字]星乃[/漢字][ふりがな]ほしの[/ふりがな] [漢字]奈々美[/漢字][ふりがな]ななみ[/ふりがな]は 、 いつも通りゆったりと微笑む 。
その余裕のある立ち姿は 、 試合中とは思えないほど穏やかだ 。
けれど——ボールを持てば 、 話は別だった 。
「 次も 、 同じところに参りますわ 」
「 え 、 またですか……? 」
「 ええ 。 今度は 、 もう少しだけ深く 」
本当にできてしまうのが 、 奈々美だった 。
再び 、 笛が鳴る 。
燈は後衛で身構えながら 、 じっと奈々美を見る 。
高く上がるトス 。
静かなフォーム。
そして、迷いのない一打 。
「 ……っ! 」
鋭く伸びたボールに 、 相手のレシーブが崩れる 。
「 ナイス! 」
そのままラリーが続く 。
強いスパイクが 、 コートへ叩きつけられる 。
——取らなきゃ 。
燈は 、 小さな体で飛び込んだ 。
床に手をつき 、 なんとかボールを上げる 。
「 上がった……! 」
「 いいですわ 、 燈さん 」
奈々美の声が 、 すぐそばで響く 。
次の瞬間 、 ふわりとしたトスが上がる 。
「 打ってくださいな 」
燈は一瞬だけ迷う 。
自分が打っていいのか 、 という戸惑い 。
けれど 、 奈々美の視線は穏やかで 、 揺らがない 。
「 ……はいっ 」
小さく跳ぶ 。
強くはない 。
けれど 、 しっかり前を向いて打つ 。
ボールはコートの隅に落ちた 。
「 ……あ 」
静かな得点 。
でも確かに 、 自分で決めた一本 。
「 ナイスですわ 」
奈々美が 、 ゆっくり拍手をする 。
その仕草が 、 どこか上品で 、 くすぐったい 。
「 とても良い判断でした 」
「 ……ぼく 、 今の…… 」
「 ええ 。 きちんと見えておりました 」
燈は 、 胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた 。
休憩中 。
体育館の端で 、 燈はペットボトルを握りしめていた 。
「 ……ぼく 、 小さいから 」
ぽつりとこぼす 。
「 ブロックもできないし 、 スパイクも弱いし…… 」
奈々美は 、 隣で静かに聞いている 。
急かすことも 、 否定することもなく 。
「 でも 」
やわらかく 、 口を開く 。
「 燈さんの守備 、 とても素敵ですわ 」
「 ……え 」
「 先ほどのレシーブも 、 あれがなければ続きませんでしたもの 」
ゆっくりとした声が 、 静かに響く 。
「コートの中で 、 一つでも“ できること ”があれば 、 それは立派な武器ですわ 」
燈は 、 言葉を探す 。
けれど見つからなくて 、 ただ奈々美を見る 。
「 それに 」
奈々美は 、 少しだけ楽しそうに目を細めた 。
「 小さいからこそ届くボールも 、 ございますでしょう? 」
「 ……あ 」
思い当たる 。
低いボール 。
速いボール 。
誰かが取りきれなかったものに 、 手が届いた瞬間 。
「 ……ぼくにも、できること 」
「 ええ 、 たくさん 」
当たり前のように言われて 、 胸が軽くなる 。
「 ですから 」
奈々美は 、 そっと微笑む 。
「 そのままの燈さんで 、 十分ですわ 」
燈は 、 少しだけ目を潤ませて 、 それでも笑った 。
「 はい 」
その返事は 、 前より少しだけ 、 しっかりしていた 。
コートに戻る 。
「 次 、 ぼくレシーブいきます! 」
小さな声だけど 、 はっきりと響く 。
奈々美は 、 満足そうに頷いた 。
「 ええ 、 頼りにしておりますわ 」
ゆったりとした空気の中で 。
確かに 、 チームは前に進んでいた 。
「 ……入りますわ 」
ぽつりと呟いた声の通り 、 サーブはライン際にすっと落ちる 。
「 ナイスサーブ、奈々美さん! 」
ぱたぱたと小さな足音が近づいてくる 。
[漢字]琳寧[/漢字][ふりがな]りんね[/ふりがな] [漢字]燈[/漢字][ふりがな]あかり[/ふりがな]は 、 少し息を弾ませながら 、 それでも嬉しそうに顔を上げた 。
「 すごいです……今の 、 全然取れなかった 」
「 ふふ 、 ありがとうございます 」
[漢字]星乃[/漢字][ふりがな]ほしの[/ふりがな] [漢字]奈々美[/漢字][ふりがな]ななみ[/ふりがな]は 、 いつも通りゆったりと微笑む 。
その余裕のある立ち姿は 、 試合中とは思えないほど穏やかだ 。
けれど——ボールを持てば 、 話は別だった 。
「 次も 、 同じところに参りますわ 」
「 え 、 またですか……? 」
「 ええ 。 今度は 、 もう少しだけ深く 」
本当にできてしまうのが 、 奈々美だった 。
再び 、 笛が鳴る 。
燈は後衛で身構えながら 、 じっと奈々美を見る 。
高く上がるトス 。
静かなフォーム。
そして、迷いのない一打 。
「 ……っ! 」
鋭く伸びたボールに 、 相手のレシーブが崩れる 。
「 ナイス! 」
そのままラリーが続く 。
強いスパイクが 、 コートへ叩きつけられる 。
——取らなきゃ 。
燈は 、 小さな体で飛び込んだ 。
床に手をつき 、 なんとかボールを上げる 。
「 上がった……! 」
「 いいですわ 、 燈さん 」
奈々美の声が 、 すぐそばで響く 。
次の瞬間 、 ふわりとしたトスが上がる 。
「 打ってくださいな 」
燈は一瞬だけ迷う 。
自分が打っていいのか 、 という戸惑い 。
けれど 、 奈々美の視線は穏やかで 、 揺らがない 。
「 ……はいっ 」
小さく跳ぶ 。
強くはない 。
けれど 、 しっかり前を向いて打つ 。
ボールはコートの隅に落ちた 。
「 ……あ 」
静かな得点 。
でも確かに 、 自分で決めた一本 。
「 ナイスですわ 」
奈々美が 、 ゆっくり拍手をする 。
その仕草が 、 どこか上品で 、 くすぐったい 。
「 とても良い判断でした 」
「 ……ぼく 、 今の…… 」
「 ええ 。 きちんと見えておりました 」
燈は 、 胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた 。
休憩中 。
体育館の端で 、 燈はペットボトルを握りしめていた 。
「 ……ぼく 、 小さいから 」
ぽつりとこぼす 。
「 ブロックもできないし 、 スパイクも弱いし…… 」
奈々美は 、 隣で静かに聞いている 。
急かすことも 、 否定することもなく 。
「 でも 」
やわらかく 、 口を開く 。
「 燈さんの守備 、 とても素敵ですわ 」
「 ……え 」
「 先ほどのレシーブも 、 あれがなければ続きませんでしたもの 」
ゆっくりとした声が 、 静かに響く 。
「コートの中で 、 一つでも“ できること ”があれば 、 それは立派な武器ですわ 」
燈は 、 言葉を探す 。
けれど見つからなくて 、 ただ奈々美を見る 。
「 それに 」
奈々美は 、 少しだけ楽しそうに目を細めた 。
「 小さいからこそ届くボールも 、 ございますでしょう? 」
「 ……あ 」
思い当たる 。
低いボール 。
速いボール 。
誰かが取りきれなかったものに 、 手が届いた瞬間 。
「 ……ぼくにも、できること 」
「 ええ 、 たくさん 」
当たり前のように言われて 、 胸が軽くなる 。
「 ですから 」
奈々美は 、 そっと微笑む 。
「 そのままの燈さんで 、 十分ですわ 」
燈は 、 少しだけ目を潤ませて 、 それでも笑った 。
「 はい 」
その返事は 、 前より少しだけ 、 しっかりしていた 。
コートに戻る 。
「 次 、 ぼくレシーブいきます! 」
小さな声だけど 、 はっきりと響く 。
奈々美は 、 満足そうに頷いた 。
「 ええ 、 頼りにしておりますわ 」
ゆったりとした空気の中で 。
確かに 、 チームは前に進んでいた 。