部屋の電気をつける。
ぱち、という音と一緒に、白い光が凛を包む。
凛「...明るすぎ」
カーテンを少しだけ閉めて、夕焼けの赤を細い線にする。
それでも、さっき見たあの真っ赤な空が、まだ目の奥に残っていた。
凛は、灯からもらったクッキーを机の上に置く。
小さな袋に、丸いクッキーが二枚。
凛「...こんなの、久しぶり」
一枚を手に取って、しばらく眺める。
食べるのがもったいない、というより――
誰かにもらった、という事実が、少し重たかった。
凛「...あの人たち...」
海の大きな声。
灯の無邪気な笑顔。
烈のふざけた態度。
そして――クロの、あの一瞬の視線。
凛は、クッキーを一口かじる。
さくっ。
凛「...甘いなぁ」
口の中に広がる甘さが、胸の奥までじんわり染みてくる。
凛「...変なの」
あんな場所、騒がしくて、落ち着かなくて。
いつもなら、すぐに距離を置くはずなのに。
ベッドに腰を下ろして、スマホを取り出す。
画面を見つめたまま、何もせずに数秒。
凛「...」
一度、ロックを解除して、また閉じる。
凛「...また、行ってもいいのかな」
誰に聞くでもない小さな声。
部屋の静けさが、それをそのまま受け止める。
窓の外では、夕焼けが少しずつ紫に変わっていた。
凛は、もう一枚のクッキーをそっと袋から出す。
凛「...次に会うまで、取っておこう」
そう言って、小さく微笑んだ。
――あの騒がしい場所が、
なぜか“帰る場所”みたいに思えてしまったことを、
凛はまだ、認めたくなかった。
続く...
ぱち、という音と一緒に、白い光が凛を包む。
凛「...明るすぎ」
カーテンを少しだけ閉めて、夕焼けの赤を細い線にする。
それでも、さっき見たあの真っ赤な空が、まだ目の奥に残っていた。
凛は、灯からもらったクッキーを机の上に置く。
小さな袋に、丸いクッキーが二枚。
凛「...こんなの、久しぶり」
一枚を手に取って、しばらく眺める。
食べるのがもったいない、というより――
誰かにもらった、という事実が、少し重たかった。
凛「...あの人たち...」
海の大きな声。
灯の無邪気な笑顔。
烈のふざけた態度。
そして――クロの、あの一瞬の視線。
凛は、クッキーを一口かじる。
さくっ。
凛「...甘いなぁ」
口の中に広がる甘さが、胸の奥までじんわり染みてくる。
凛「...変なの」
あんな場所、騒がしくて、落ち着かなくて。
いつもなら、すぐに距離を置くはずなのに。
ベッドに腰を下ろして、スマホを取り出す。
画面を見つめたまま、何もせずに数秒。
凛「...」
一度、ロックを解除して、また閉じる。
凛「...また、行ってもいいのかな」
誰に聞くでもない小さな声。
部屋の静けさが、それをそのまま受け止める。
窓の外では、夕焼けが少しずつ紫に変わっていた。
凛は、もう一枚のクッキーをそっと袋から出す。
凛「...次に会うまで、取っておこう」
そう言って、小さく微笑んだ。
――あの騒がしい場所が、
なぜか“帰る場所”みたいに思えてしまったことを、
凛はまだ、認めたくなかった。
続く...
- 1.お仕事は明日から
- 2.私のアジト
- 3.私の専用武器
- 4.最初のお仕事
- 5.私の夜
- 6.私の学校-ホームルーム編-
- 7.私の学校-2-
- 8.アジトへのご挨拶前
- 9.お部屋の紹介
- 10.この場所、嫌いじゃないかも
- 11.夕焼け色の帰り道
- 12.夕焼けの向こうに、まだ帰れない
- 13.静かな朝に帰りたい場所
- 14.放課後までの、長い朝
- 15.凛の放課後
- 16.帰る場所がある暗殺者
- 17.影に溶ける心臓
- 18.夜の向こう側へ
- 19.影がほどける夜
- 20.普通って、こんなににぎやか
- 21.普通のフリをした夜へ
- 22.影が戻る場所
- 23.静かな灯りの中で
- 24.ただいまの、その先で
- 25.気づいてしまった違和感
- 26.近づく距離、隠せない影
- 27.影の輪郭
- 28.知らないフリのはじまり
- 29.踏み込んだ境界線
- 30.監視の先に
- 31.呼び出し
- 32.真実を渡す夜
- 33.夜のすべて
- 34.影が重なる夜
- 35.影の扉が、もう1人を迎える夜
- 36.震える手と踏み出す一歩
- 37.ずるい先輩・負けず嫌いの後輩
- 38.見えない一歩先