全てを懸けられるもの
爽やかなコバルトブルーの空に、瑞々しい木々の緑が目に眩しい。
力強い太陽は、まるで私たちのことを祝福してくれてるみたい。
全部を懸けてきたこの夏の結果を見にいく私たちを。
「やばい、心臓めっちゃドキドキしてる」
「そりゃそうだよね、あんなに頑張ったんだもん」
心なしかみんなうわずった声。美術館内に一歩踏み入れると、ひんやりした空気に肌を包まれて思わず頬が緩む。
私たちの中学校の作品はーー。
あった。すぐに目につくところに。
こっちから見に行かなくても、作品たちの方から目に飛び込んできた。
【学校賞】
心臓の鼓動が少しずつ速くなっていく。体が熱いのに、そこから動けない。世界から一瞬、音が消えた。
「学校、賞、、、!」
私たち、獲ったんだ。部員も顧問の先生も、退職しちゃった顧問の先生もみんなが一つになって目指してきた賞を。
じわじわと喜びが噴き出してくる。
「みんな、学校賞だよ!私たちっ、、、!」
「やった!!」
「しかも、見て」
ピンク色にネイルされた友達の指が指す方を見ると。
【グランプリ 〇〇】
そこには、私たちの部長の名前が。
「部長、おめでとう!」
「すごいよ、頑張ってたもんね!!!」
「ありがとうみんな、、、やばい、めっちゃ嬉しい」
涙声の部長。
部長、、、すごいよ。グランプリなんて、県の中学生の中で一番なんだ。
そんなすごい賞を、うちの部長が。とても誇らしくて嬉しい。
、、、だけどさ。
少しだけ、本当に少しだけ悔しい。
私も、グランプリ獲って見たかったな、なんて。
もしかしたら、獲れたかもしれないんだ。
そんな何かの小説みたいな奇跡、私に起こるはずがない。全部を懸けて悔しい思いをするくらいなら、ほどほどにがんばって、ほどほどに楽しむ方がいいって。
私が逃げてる間も、他の部員たちがサボってる間も、部長はずっと自分の作品と真剣に向き合っていた。
「先生、わたしの作品もっと良くするにはどうすればいいですか?」
あのときの部長の真剣な声、今でも忘れられない。
その上彼女は、みんなを学校賞にも引っ張っていってくれた。
部長がいなかったら私たちは、途中でだれてまあいっか、って諦めてだと思う。
なんで、なんでそんなことができるの?
羨ましいよ。悔しいよ。
頬を伝う涙をあわてて拭う。これは嬉し涙なのかな、それとも。
わかってるんだよ、才能とか能力とかそういうのもあるのかもしれないけど、それだけじゃない。
彼女の努力と、失敗を怖がらない強さ。
私が何よりもほしいもの。
最初から諦めてばかりの私にはないもの。
でも、あの時の私はいない。
前までの私ならきっと、みんなで賞獲れたから充分!って思って努力とか悔しさから逃げてた。
ううん、きっとこれからも私は、失敗して傷つく怖さから逃げちゃうと思う。
思うように頑張らないこともあるかもしれない。
最初から諦めるかもしれない。
だけど、そのたびに今日のこの悔しさを思い出すよ。
そうやって生きていったら、いつか私も彼女みたいに全てを懸けて頑張ったって、胸を張って笑えるかな。もう、逃げないよ。
そんなワクワクを胸に抱きながら過ごした中学校時代。
今日も私は筆を握って、あの日の彼女みたいな真剣な顔で作品と向き合っている。
「もしもし、先生ですか?作品、そろそろ完成しそうですか?」
「はい、あとは最後の仕上げだけです」
「ありがとうございます。みんな先生の作品を心待ちにしていますからね」
今の私があるのは、あの日流した涙と部長の真剣な表情のおかげなんだ。
もう、逃げてないよ。
力強い太陽は、まるで私たちのことを祝福してくれてるみたい。
全部を懸けてきたこの夏の結果を見にいく私たちを。
「やばい、心臓めっちゃドキドキしてる」
「そりゃそうだよね、あんなに頑張ったんだもん」
心なしかみんなうわずった声。美術館内に一歩踏み入れると、ひんやりした空気に肌を包まれて思わず頬が緩む。
私たちの中学校の作品はーー。
あった。すぐに目につくところに。
こっちから見に行かなくても、作品たちの方から目に飛び込んできた。
【学校賞】
心臓の鼓動が少しずつ速くなっていく。体が熱いのに、そこから動けない。世界から一瞬、音が消えた。
「学校、賞、、、!」
私たち、獲ったんだ。部員も顧問の先生も、退職しちゃった顧問の先生もみんなが一つになって目指してきた賞を。
じわじわと喜びが噴き出してくる。
「みんな、学校賞だよ!私たちっ、、、!」
「やった!!」
「しかも、見て」
ピンク色にネイルされた友達の指が指す方を見ると。
【グランプリ 〇〇】
そこには、私たちの部長の名前が。
「部長、おめでとう!」
「すごいよ、頑張ってたもんね!!!」
「ありがとうみんな、、、やばい、めっちゃ嬉しい」
涙声の部長。
部長、、、すごいよ。グランプリなんて、県の中学生の中で一番なんだ。
そんなすごい賞を、うちの部長が。とても誇らしくて嬉しい。
、、、だけどさ。
少しだけ、本当に少しだけ悔しい。
私も、グランプリ獲って見たかったな、なんて。
もしかしたら、獲れたかもしれないんだ。
そんな何かの小説みたいな奇跡、私に起こるはずがない。全部を懸けて悔しい思いをするくらいなら、ほどほどにがんばって、ほどほどに楽しむ方がいいって。
私が逃げてる間も、他の部員たちがサボってる間も、部長はずっと自分の作品と真剣に向き合っていた。
「先生、わたしの作品もっと良くするにはどうすればいいですか?」
あのときの部長の真剣な声、今でも忘れられない。
その上彼女は、みんなを学校賞にも引っ張っていってくれた。
部長がいなかったら私たちは、途中でだれてまあいっか、って諦めてだと思う。
なんで、なんでそんなことができるの?
羨ましいよ。悔しいよ。
頬を伝う涙をあわてて拭う。これは嬉し涙なのかな、それとも。
わかってるんだよ、才能とか能力とかそういうのもあるのかもしれないけど、それだけじゃない。
彼女の努力と、失敗を怖がらない強さ。
私が何よりもほしいもの。
最初から諦めてばかりの私にはないもの。
でも、あの時の私はいない。
前までの私ならきっと、みんなで賞獲れたから充分!って思って努力とか悔しさから逃げてた。
ううん、きっとこれからも私は、失敗して傷つく怖さから逃げちゃうと思う。
思うように頑張らないこともあるかもしれない。
最初から諦めるかもしれない。
だけど、そのたびに今日のこの悔しさを思い出すよ。
そうやって生きていったら、いつか私も彼女みたいに全てを懸けて頑張ったって、胸を張って笑えるかな。もう、逃げないよ。
そんなワクワクを胸に抱きながら過ごした中学校時代。
今日も私は筆を握って、あの日の彼女みたいな真剣な顔で作品と向き合っている。
「もしもし、先生ですか?作品、そろそろ完成しそうですか?」
「はい、あとは最後の仕上げだけです」
「ありがとうございます。みんな先生の作品を心待ちにしていますからね」
今の私があるのは、あの日流した涙と部長の真剣な表情のおかげなんだ。
もう、逃げてないよ。
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