過去は過去、今の自分とは関係ないんだよ(短編版)
人間万事塞翁が馬、っていうことわざがある。本当にその通りだな。
小学校で「あの子」を憎んで、傷つけて。中学校では「あの子」に救われて。ここから何か変わるんだって、思ったよ。変わらないように、あの頃の私に戻らないように、前の自分と今の自分の淵で抗ってもがいた。
もう私は変わった。中学校の卒業式の時にそう、自分を認めてあげられた。
でもそれは、違ったんだな。
「あの子」がいたから私は輝けた。高校に入ってから、私を引っ張ってくれる「あの子」がいなくなって、私はまた、暗闇に堕ちていった。
クラスの目立つグループの女子の笑い声が響く。おとなしめの女子が友だち同士で笑い合っている。
[漢字]そんな教室[/漢字][ふりがな]そんな箱[/ふりがな]の中で、私は一人で惨めに座っているだけ。
「ねえ、綺音ちゃんだよね?移動教室、一緒に行かない?」
クラスメイトの[漢字]河原彩葉[/漢字][ふりがな]かわはらいろは[/ふりがな]。彼女は、こんな私にもかまってくる。その姿はあの頃の「あの子」と重なって見える。
もう、、やめてよ。
そんなふうに声をかけられたら、そんな笑顔を向けられたら。
私が余計に惨めになる。
「あの子」と彼女は違う。
私の心に寄り添ってくれるのは「あの子」だけ。もう二度と、あんな人間は現れない。
「絢音ちゃん?大丈夫?」
彩葉が心配そうに私を覗き込んでくる。その眼差しが、気に入らない。
「あ、ああ、、大丈夫だよ。ごめんね、また誘って」
「そっか、、。わかった!また話しかけるねっ!」
ーーーーーーーー
やっと放課後になった。中学生の時は少し寂しかったこの時間が、今では開放時間のように感じる。実際、そうなんだけど。
下駄箱の窓から金色の光が差し込んでいる。[漢字]あの頃[/漢字][ふりがな]中学生[/ふりがな]にはあんなに輝いて見えた夕日も、「あの子」が隣にいない今では霞んで見える。
彩葉と私は、出席番号が前後だ。つまり、下駄箱の位置は隣同士。
気がつくと私の手は、彩葉の上靴に伸びていた。これを隠せば彼女は傷つく。そうすれば私の鬱憤も少しは晴れるだろうか。
「は、はは、、、」
思わず乾いた笑みがこぼれる。
やっぱり私は、[漢字]あの頃[/漢字][ふりがな]小学生[/ふりがな]の頃から少しも変わっていない。
自分の苛立ちを収めるために、気に入らない相手を傷つけるできない。
私は一生このままだ。もう、どうでもいい。全てどうてもいいな。
「絢音は、どうでもいい存在じゃない。絢音は、もう変わった。三年間一緒にいたわたしが保証するよ。だって、いま、わたしにしたことを後悔してるんでしょ?」
「あの子」の力強い言葉が蘇った。そりゃ、当然だよ。ずっと、後悔してる。それこそ、言葉にできないほどに。
そう、、だ。自分で自分を認めてあげられる自信はまだないけど、「あの子」が信じた私なら私も信じられる。
私は、伸ばした手を握りしめた。そしてゆっくりと手を元の位置に戻す。
あの頃の私はいない。今の私はもう違う。怖がらずに前に進むんだ。
今の私は、、、、、、。
明日、学校に行ったら、彩葉に謝ろう。今までの冷たい対応を彼女が許してくれるかはわからないけど、何もしないよりはいい。誰もわかってくれないなんて言って、殻に籠るのはもうやめるんだ。
自分も他人も、みんな信じる。
人を信じられない臆病な私を「あの子」が変えてくれた。自分を信じて、光へ突き進む。
私は、眩しい光が降り注ぐ外に、一歩を踏み出したーーーー。
小学校で「あの子」を憎んで、傷つけて。中学校では「あの子」に救われて。ここから何か変わるんだって、思ったよ。変わらないように、あの頃の私に戻らないように、前の自分と今の自分の淵で抗ってもがいた。
もう私は変わった。中学校の卒業式の時にそう、自分を認めてあげられた。
でもそれは、違ったんだな。
「あの子」がいたから私は輝けた。高校に入ってから、私を引っ張ってくれる「あの子」がいなくなって、私はまた、暗闇に堕ちていった。
クラスの目立つグループの女子の笑い声が響く。おとなしめの女子が友だち同士で笑い合っている。
[漢字]そんな教室[/漢字][ふりがな]そんな箱[/ふりがな]の中で、私は一人で惨めに座っているだけ。
「ねえ、綺音ちゃんだよね?移動教室、一緒に行かない?」
クラスメイトの[漢字]河原彩葉[/漢字][ふりがな]かわはらいろは[/ふりがな]。彼女は、こんな私にもかまってくる。その姿はあの頃の「あの子」と重なって見える。
もう、、やめてよ。
そんなふうに声をかけられたら、そんな笑顔を向けられたら。
私が余計に惨めになる。
「あの子」と彼女は違う。
私の心に寄り添ってくれるのは「あの子」だけ。もう二度と、あんな人間は現れない。
「絢音ちゃん?大丈夫?」
彩葉が心配そうに私を覗き込んでくる。その眼差しが、気に入らない。
「あ、ああ、、大丈夫だよ。ごめんね、また誘って」
「そっか、、。わかった!また話しかけるねっ!」
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やっと放課後になった。中学生の時は少し寂しかったこの時間が、今では開放時間のように感じる。実際、そうなんだけど。
下駄箱の窓から金色の光が差し込んでいる。[漢字]あの頃[/漢字][ふりがな]中学生[/ふりがな]にはあんなに輝いて見えた夕日も、「あの子」が隣にいない今では霞んで見える。
彩葉と私は、出席番号が前後だ。つまり、下駄箱の位置は隣同士。
気がつくと私の手は、彩葉の上靴に伸びていた。これを隠せば彼女は傷つく。そうすれば私の鬱憤も少しは晴れるだろうか。
「は、はは、、、」
思わず乾いた笑みがこぼれる。
やっぱり私は、[漢字]あの頃[/漢字][ふりがな]小学生[/ふりがな]の頃から少しも変わっていない。
自分の苛立ちを収めるために、気に入らない相手を傷つけるできない。
私は一生このままだ。もう、どうでもいい。全てどうてもいいな。
「絢音は、どうでもいい存在じゃない。絢音は、もう変わった。三年間一緒にいたわたしが保証するよ。だって、いま、わたしにしたことを後悔してるんでしょ?」
「あの子」の力強い言葉が蘇った。そりゃ、当然だよ。ずっと、後悔してる。それこそ、言葉にできないほどに。
そう、、だ。自分で自分を認めてあげられる自信はまだないけど、「あの子」が信じた私なら私も信じられる。
私は、伸ばした手を握りしめた。そしてゆっくりと手を元の位置に戻す。
あの頃の私はいない。今の私はもう違う。怖がらずに前に進むんだ。
今の私は、、、、、、。
明日、学校に行ったら、彩葉に謝ろう。今までの冷たい対応を彼女が許してくれるかはわからないけど、何もしないよりはいい。誰もわかってくれないなんて言って、殻に籠るのはもうやめるんだ。
自分も他人も、みんな信じる。
人を信じられない臆病な私を「あの子」が変えてくれた。自分を信じて、光へ突き進む。
私は、眩しい光が降り注ぐ外に、一歩を踏み出したーーーー。
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