月と太陽
昔々あるところに、月と太陽が生まれました。
[漢字]同じ場所[/漢字][ふりがな]空[/ふりがな]で生まれ育った2人は双子のように仲が良く、いつも一緒にいました。
双子のようと言っても、性格は正反対。太陽は明るく燦然と輝き、月は静かに冴え冴えと光っていました。
月はある時、こんな噂を聞きました。
「太陽は力強く光り輝いている。それに対して月は、太陽に照らしてもらって尚、冷たく輝いている。」
私は自分の力で輝いているんじゃなかったの…?こんな自分は嫌い。こんな自分はいらない。
それならいっそ…太陽になれたらいいのに。
それから月は、太陽の姿を見るたび妬みが溢れ出しそうになりました。
そして、親友に嫉妬する、そんな自分に気づくたびに、ますます自分のことが大嫌いになりました。
一度意識しだすともう止まらない。自分への悪口が異様に耳につくようになってしまいました。
「天体観測がしたいのに、月明かりが邪魔で星が見えない」
「月の光は冷たいから夜は嫌い」
もう…もう、やめてよ。月、月、月。なんで私たちはこんなに違うの?同じ星なはずなのに。
月は毎晩こっそり泣いていました。だから夜はいつも雨が降っています。
太陽はそんな月をずっと心配しています。だけど、原因が自分にあることも知っていました。
「でも、とにかく行動しなくちゃ![漢字]月[/漢字][ふりがな]親友[/ふりがな]が壊れちゃう前に」
だけど2人には大きな壁があります。太陽は昼間に活動して、月は夜に活動する。
それが決められた掟です。
月は言いました。
「…無理だよ。掟には逆らえない」
太陽は言いました。
「掟なんか、なんだっていい。絶対にどうにかする!」
「じゃあ、夜がいいよ。私なんかいたって、誰も困らない」
その日は、月のない夜になりました。
2人だけになった途端、月を止めていた何かが弾けました。
「私…辛いよ。いつも邪魔者扱いされて、私なんかいない方がいい。太陽が羨ましいよ。でも、太陽に嫉妬してる自分が、一番嫌い」
月はポロポロ涙を零しています。
「もう私は…太陽になりたい」
「そうしたら、月はどうなるの?」
「…いらないよ。月のままの私なんか、いらない」
すると、太陽が今までに見たこともないような大声で叫びました。
言葉という鋭利な刃物で傷つけられた親友に届くように。
「そんなこと言わないで!そのままでいてよ。みんなにとっては月なのかもしれないけど、わたしにはそんなの関係ないっ!わたしにとって君は、月でも太陽でもなくて、ただのかけがえのない親友だよっ!」
月でも太陽でもなくて、ただの親友…。
太陽みたいにみんなを照らすような人にならないといけないと思っていた。だけど、
「君は君だよ。思いやり深くて繊細で、傷ついた人を優しく照らす素敵な存在。太陽とか月とか関係なくてさ…。素敵な人だったらそれでいいじゃん!間違っても、理不尽に人を傷つけるような人に、レッテルなんか貼られたくないよ!」
「ふふっ、太陽らしいね。でも、本当にそうだ。…私は私でいいんだ」
次の日の夜。
月は、耳を澄ませていました。月自身が気づけていない、月のいいところを探すために。
「月の光ってさ、優しいよね」
「夜の闇を照らしてくれる素敵な存在」
嗚呼…本当に、太陽の言うとおりだ。耳を澄ませば、私の良いところを見つけてくれている人が沢山いる。
私が気づいていなかっただけで。
自分を好きになれそうだよ。
それからもずっと、朝は太陽が昇り、夜になると月が闇夜を優しく照らしています。
相変わらず2人は双子のように仲が良く、いつも一緒にいます。
[漢字]同じ場所[/漢字][ふりがな]空[/ふりがな]で生まれ育った2人は双子のように仲が良く、いつも一緒にいました。
双子のようと言っても、性格は正反対。太陽は明るく燦然と輝き、月は静かに冴え冴えと光っていました。
月はある時、こんな噂を聞きました。
「太陽は力強く光り輝いている。それに対して月は、太陽に照らしてもらって尚、冷たく輝いている。」
私は自分の力で輝いているんじゃなかったの…?こんな自分は嫌い。こんな自分はいらない。
それならいっそ…太陽になれたらいいのに。
それから月は、太陽の姿を見るたび妬みが溢れ出しそうになりました。
そして、親友に嫉妬する、そんな自分に気づくたびに、ますます自分のことが大嫌いになりました。
一度意識しだすともう止まらない。自分への悪口が異様に耳につくようになってしまいました。
「天体観測がしたいのに、月明かりが邪魔で星が見えない」
「月の光は冷たいから夜は嫌い」
もう…もう、やめてよ。月、月、月。なんで私たちはこんなに違うの?同じ星なはずなのに。
月は毎晩こっそり泣いていました。だから夜はいつも雨が降っています。
太陽はそんな月をずっと心配しています。だけど、原因が自分にあることも知っていました。
「でも、とにかく行動しなくちゃ![漢字]月[/漢字][ふりがな]親友[/ふりがな]が壊れちゃう前に」
だけど2人には大きな壁があります。太陽は昼間に活動して、月は夜に活動する。
それが決められた掟です。
月は言いました。
「…無理だよ。掟には逆らえない」
太陽は言いました。
「掟なんか、なんだっていい。絶対にどうにかする!」
「じゃあ、夜がいいよ。私なんかいたって、誰も困らない」
その日は、月のない夜になりました。
2人だけになった途端、月を止めていた何かが弾けました。
「私…辛いよ。いつも邪魔者扱いされて、私なんかいない方がいい。太陽が羨ましいよ。でも、太陽に嫉妬してる自分が、一番嫌い」
月はポロポロ涙を零しています。
「もう私は…太陽になりたい」
「そうしたら、月はどうなるの?」
「…いらないよ。月のままの私なんか、いらない」
すると、太陽が今までに見たこともないような大声で叫びました。
言葉という鋭利な刃物で傷つけられた親友に届くように。
「そんなこと言わないで!そのままでいてよ。みんなにとっては月なのかもしれないけど、わたしにはそんなの関係ないっ!わたしにとって君は、月でも太陽でもなくて、ただのかけがえのない親友だよっ!」
月でも太陽でもなくて、ただの親友…。
太陽みたいにみんなを照らすような人にならないといけないと思っていた。だけど、
「君は君だよ。思いやり深くて繊細で、傷ついた人を優しく照らす素敵な存在。太陽とか月とか関係なくてさ…。素敵な人だったらそれでいいじゃん!間違っても、理不尽に人を傷つけるような人に、レッテルなんか貼られたくないよ!」
「ふふっ、太陽らしいね。でも、本当にそうだ。…私は私でいいんだ」
次の日の夜。
月は、耳を澄ませていました。月自身が気づけていない、月のいいところを探すために。
「月の光ってさ、優しいよね」
「夜の闇を照らしてくれる素敵な存在」
嗚呼…本当に、太陽の言うとおりだ。耳を澄ませば、私の良いところを見つけてくれている人が沢山いる。
私が気づいていなかっただけで。
自分を好きになれそうだよ。
それからもずっと、朝は太陽が昇り、夜になると月が闇夜を優しく照らしています。
相変わらず2人は双子のように仲が良く、いつも一緒にいます。
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