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架空鉄道の神隠し

僕は柳川敬斗、鉄道が好きな16歳。とは言っても撮り鉄や乗り鉄とは違って純粋に鉄道そのものが好きなだけである。そんな僕が最近ハマっているのが『架空鉄道』だ。架空鉄道とは路線・列車時刻・車両・運行形態などをオリジナルで作るものだ。そんな僕は路線や駅から全てオリジナルで作っている。

敬斗「今日は桜ノ宮駅から幽灯坂駅までの列車を…あれ?」

敬斗はパソコンの画面が異様に明るいことに気づく
その刹那、僕は画面に吸い込まれてしまった

敬斗「うわぁぁぁぁ!!」

目が覚めると僕は行ったことこそ無いがどこか見覚えのある駅にいた。

敬斗「ここはどこだろう…そうだ、外に出て駅名を確認しよう…!」

外から駅の看板を見上げて僕は驚いた

敬斗「桜ノ宮駅…?僕が作った駅だ…ということは…」

彼の読みは当たっている、ここは彼の作った『幌宮線』である

「まさか、そんなことが…」

あまりの出来事に立ち尽くしていると

「フォーン!!」

駅に列車が入ってきた

敬斗「ヨンマルだ…!」

ヨンマルとは国鉄キハ40形気動車のことである
国鉄全盛期は全国で走っていて2025年現在も数は減っているものの北海道を中心に本州でも走っている

敬斗「しかも北海道色だ…!」

ヨンマルは基本タラコ色と呼ばれる朱色の配色が原色であり全国的に走っていたが、北海道では白色をベースに緑色と青色のラインを入れたものが走っていた、それを北海道色と呼ぶ。

僕は桜ノ宮駅の壁に貼ってある時刻表を見た。

敬斗「16時21分発幽灯坂行きか…今は…16時18分…とりあえず乗ってみようかな…」

対向列車待ち、いわゆる列車交換のようだ、放送も自分が作った路線名・駅名を言っている

10時21分、定刻で桜ノ宮駅を発車した列車はどんどん加速して黒煙と凄まじい唸りを上げて快走している。

敬斗「やっぱヨンマルの良さはこれだよなぁ〜」

数分後、見えてきた駅を通過したのを見てこの列車は快速だと分かった。
そうして揺られること40分弱、列車は霧鹿峠駅に到着した。

敬斗「ここは…霧鹿峠…」

霧鹿峠駅は峠という漢字が付く割には付近に町もあり利用者も多いのでドアが開くとたくさん乗ってきた
中には人間だけではなく人のように二本足で立つ動物もいたが、不思議と僕は怖くはなかった

敬斗「鹿🦌…熊🐻…狐🦊…北海道にいる動物ばかりだ…」

快速なので乗降が終わり次第すぐにドアは閉まり、再び発車した

窓の外を見ると景色は一見北海道のように見えるが、現実とはまったく違った場所に山があった。やはりここは架空鉄道の世界なんだと再認識した。

幽灯坂駅の1つ手前の星屑ヶ丘駅に着いた。

敬斗「わぁ…きれい…」

星屑ヶ丘駅は標高が高く、駅の前には丘があり、空から降ってきた星が花のように1面に広がっている。
すると乗客の鹿が話しかけてきた。

鹿「ぼうや、ここへ来るのは初めてかい?ここは夜に来ると星の花が輝いて昼間のように明るいよ」
敬斗「そうなんですか?すごい!」

喋れるのかよというツッコミよりも有益情報に胸が踊る僕だった。夜まで待とうかとも考えたが、降りて空を見上げた時、空には残りの充電を表しているような模様が浮き出ていた。空には19%と表示され、辺りが夕日に照らされている。

敬斗「あれは充電…?数字が減ると周りが暗く…」

ここで僕はパソコンの中に吸い込まれたことを思い出す。

敬斗「ハッ…もしかしてパソコンの充電とこの世界の明るさが連動している…!?」

なんということだ、パソコンをフル充電している間は昼、充電が減ってくると夜になるみたいだ

敬斗「このまま充電が0%になったら僕は…」

この先に待ち受けている未来を想像して息を呑む…

どうにか帰る方法を考え、試行錯誤するもすべて上手くいかなくて途方に暮れていた。残りは5%、持ち時間は30分…。

敬斗「もうダメだ…僕はこのままこの世界で存在ごと消えちゃうんだ…」

帰れる可能性が尽きて絶望している時、先ほどの鹿がまた話しかけてきた

鹿「やはりあなたはこの世界の住人ではなかったのですね、帰れないと仰っていましたが…。」

察しのいい鹿に助けを求める他、今の僕に為す術は無かった。

敬斗「お願いします!助けてください!」
鹿「分かりました。ではそこの星の花に強く帰りたいと願いを込めてください。」
敬斗「は、はい!」

僕は急いで星の花に願った、しかし花は願いを叶えてくれない。

敬斗「どうなっているんですか!話が違いますよ!」

空の充電も2%と11分になり余計に焦る…心拍数が上がって理性を失いそうだ…

鹿「何かが足りないのかもしれません…何か思い当たる節はありませんか…?」
敬斗「何かって…あ、そうか!」

最後の希望を抱いて停車中の列車に戻り、運転士に伝えた。

敬斗「すいません!この列車を幽灯坂まで運行してください!」

そう、この列車は終点に着いていない、つまりパソコンのデータ的には未完成の列車なのである。
僕は一輪の星の花を手に持ち鹿さんと一緒に終点の幽灯坂駅へ向かった。

幽灯坂に到着すると鬼火のようなものが沢山浮いている…正直に言うと奇妙だ。

鹿「敬斗さん、残り時間は5分です。さぁ、帰りたいと願うのです。」
敬斗「うん、ありがとう!」

そういって鹿さんの手を握り、星の花に願った。
すると…

敬斗「うわっ!?」

なんと浮いていた鬼火が一斉に飛んできて灯籠のように連なり道を作った。これが元の世界に通じるのだろう。

敬斗「鹿さん!また…会えるかな…?」
鹿「あなたが望むならば…それにあなたは帰る術を知りました。もう大丈夫でしょう。」

そう言い終えると鹿さんは優しい目をしていた

「じゃあ…もう行くね…」

僕は鹿さんに別れの涙を見せないように振り返り、一歩ずつ踏みしめながら帰路についた。
この時充電は1%と3秒、間に合ったのである。

画面から飛び出して着地すると同時に電源が落ちた。

敬斗「鹿さん…ありがとう…」

無事に帰れたことにほっと胸を無でおろすと充電器を挿し込み、再び電源を入れる。

すると架空鉄道の製作画面の幽灯坂駅に鹿が一匹いるのが見えた。心なしか鹿さんに似ている気がする…。
駅の設定に『優しい鹿がいる駅』と書き加えてその日は眠りに就いたが…

敬斗「あの鹿さんの声、どこかで聞いたような…」

その頃、幽灯坂駅にて
鹿「敬斗も大きくなったな…、あの子がまだ5歳の時に病死してしまったのが悔しかったが、このような形でまた会えるとは…、たくましく育つのだ…我が息子よ…!」

なんと鹿さんの正体は若くして亡くなってしまった敬斗の父であった。我が子を助けることができて満足したようで何よりである。

おわり

作者メッセージ

何かとストーリー性が変な方向に向かってますけど読んでくれたらありがたいです。

2025/10/08 15:37

初霜
ID:≫ 94QwkISsopo/s
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