見回りと言っても、この町で事件が起きることは滅多にない。
よく知っているような口ぶりをしているが、私たちがこの町に来てから1ヶ月ほどしか経っていない。
でもやっぱり平和なのだ。
別に話すこともないから、無言でアルと二人で並んで歩く。
じゃり、じゃり、砂を踏む音が小さく聞こえる。
風が木を揺らす音、鳥が空を飛び回って鳴いている声。
うん、やっぱり......
「平和だね」
つい出てしまった声にアルが反応する。
アルはちらりとこっちを見て、また前に視線を戻した。
「そうだな」
それからしばらくしないうちに、町の子供たちが駆け寄ってきた。
「アンジュ、兄ちゃん!」
「見回りしてんの?」
「俺たちも見回りしてたんだ!」
子供たちを見渡して、アルは嫌な顔一つせずにしゃがむ。
「おう、偉いな!」
そう言ってアルに頭を撫でられた子供たちは嬉しそうに笑っている。
......優しい人なんだよね。
何だか胸が変な音をたてた気がする。
いや、気のせい!気のせいだけど!ね!
「............おい、アンジュ!おいってば」
「はっ!アル......。ご、ごめん」
いつの間にか子供たちは去っていったようだ。
しまった。仕事中にぼーっとするなんて。
やっぱり寝不足のせいだろうか。
「馬鹿、ぼーっとするなよ」
呆れたように頭を小突かれて、申し訳なかった気持ちがどこかに吹っ飛んでいった。
何よ、馬鹿って!
でも一応素直に謝っておく。
「......ごめん」
「......大丈夫か?調子悪いのか?」
「う、ううん。大丈夫。本当にごめん」
「ならいいけど」
さっさと終わらせるぞ、とアルが私の手を引いて歩き出す。
早く終わらせると言った割には歩くスピードがゆっくりな気がする。
...私を気遣ってくれてたりして。
いやいや、そんなわけないか。
いつもと変わらない風景は、やっぱり平和だ。
平和なのはいいこと。
世界中が平和になればいいのに......。
...........ここの人々は皆明るくて、優しくて、いい人ばかりだ。
だけど、だけど.........。
私はやっぱり、お父さんの敵を取りたい。
ぎゅっと、被っている帽子を握る。
これはお父さんの形見だ。
普通、自警団の帽子は白で統一されているけれど、この帽子は赤い。
一度、お父さんが怪我をして、その時に血がついてしまったそうだ。
どうせなら、と、お父さんは赤いスプレーで帽子を染めてしまったらしい。
長い間一緒だった帽子をまだ手放したくなかったんだそうだ。
まったく、何をやっているんだか。
これはお父さんのトレードマークだった。そして、私のトレードマークでもある。
お父さんが死んだ後、返ってきたのはこの帽子だけ。
本当は捨てられるはずだったけれど、これだけはと私とお母さんがゴネたからだ。
......このままこの町にいれば、お父さんを殺した犯人と出会う確率は限りなくゼロに近いだろう。
どうしよう。どうすればいいんだろう。私はどうしたいんだろう。
私は大きなため息を吐いた。
よく知っているような口ぶりをしているが、私たちがこの町に来てから1ヶ月ほどしか経っていない。
でもやっぱり平和なのだ。
別に話すこともないから、無言でアルと二人で並んで歩く。
じゃり、じゃり、砂を踏む音が小さく聞こえる。
風が木を揺らす音、鳥が空を飛び回って鳴いている声。
うん、やっぱり......
「平和だね」
つい出てしまった声にアルが反応する。
アルはちらりとこっちを見て、また前に視線を戻した。
「そうだな」
それからしばらくしないうちに、町の子供たちが駆け寄ってきた。
「アンジュ、兄ちゃん!」
「見回りしてんの?」
「俺たちも見回りしてたんだ!」
子供たちを見渡して、アルは嫌な顔一つせずにしゃがむ。
「おう、偉いな!」
そう言ってアルに頭を撫でられた子供たちは嬉しそうに笑っている。
......優しい人なんだよね。
何だか胸が変な音をたてた気がする。
いや、気のせい!気のせいだけど!ね!
「............おい、アンジュ!おいってば」
「はっ!アル......。ご、ごめん」
いつの間にか子供たちは去っていったようだ。
しまった。仕事中にぼーっとするなんて。
やっぱり寝不足のせいだろうか。
「馬鹿、ぼーっとするなよ」
呆れたように頭を小突かれて、申し訳なかった気持ちがどこかに吹っ飛んでいった。
何よ、馬鹿って!
でも一応素直に謝っておく。
「......ごめん」
「......大丈夫か?調子悪いのか?」
「う、ううん。大丈夫。本当にごめん」
「ならいいけど」
さっさと終わらせるぞ、とアルが私の手を引いて歩き出す。
早く終わらせると言った割には歩くスピードがゆっくりな気がする。
...私を気遣ってくれてたりして。
いやいや、そんなわけないか。
いつもと変わらない風景は、やっぱり平和だ。
平和なのはいいこと。
世界中が平和になればいいのに......。
...........ここの人々は皆明るくて、優しくて、いい人ばかりだ。
だけど、だけど.........。
私はやっぱり、お父さんの敵を取りたい。
ぎゅっと、被っている帽子を握る。
これはお父さんの形見だ。
普通、自警団の帽子は白で統一されているけれど、この帽子は赤い。
一度、お父さんが怪我をして、その時に血がついてしまったそうだ。
どうせなら、と、お父さんは赤いスプレーで帽子を染めてしまったらしい。
長い間一緒だった帽子をまだ手放したくなかったんだそうだ。
まったく、何をやっているんだか。
これはお父さんのトレードマークだった。そして、私のトレードマークでもある。
お父さんが死んだ後、返ってきたのはこの帽子だけ。
本当は捨てられるはずだったけれど、これだけはと私とお母さんがゴネたからだ。
......このままこの町にいれば、お父さんを殺した犯人と出会う確率は限りなくゼロに近いだろう。
どうしよう。どうすればいいんだろう。私はどうしたいんだろう。
私は大きなため息を吐いた。