私はアンジュ。19歳...間違えた、20歳である。
今日は私の誕生日!
お昼で仕事を終えて、今はいそいそと家に帰っているところだ。
お母さんが家でご馳走を作って待っていてくれてるから!
遠くに家が見えてきて、駆け足で道を走る。
近所の人々が手を振ってくれた。
「おーい、アンジュちゃん!」
「今日も元気だなぁ」
「そういえば誕生日なんだってね」
「そうなの?おめでとう!」
この辺りの人たちは本当に優しくて暖かい人ばかりだ。
にこにこしながら手を振り返す。
「皆、ありがとう!」
走ってきた勢いのまま、ドアを開け放つ。
「ただいまっ、お母さん!」
「あら、おかえり」
お母さんは花柄のエプロンを身に着けて、キッチンに立っていた。
キッシュのいい香りが漂ってくる。
私はいそいそと手を洗って、席に着く。
「お母さん、お母さん、これ、開けてもいい?」
「あら、そんなに急がなくてもワインは逃げないわよ」
「分かってるけど...待ちきれないんだもん」
「ふふふ、いいわよ、開けてちょうだい」
ちょっと緊張しながらワインを開ける。
どんな味なんだろう?
私はしげしげと瓶を眺めた。
「あっ」
そうだ。忘れ物。
私は立ち上がって、二階まで階段をかけ上がる。
写真立てを手にとって、もう一度ダイニングへと向かった。
テーブルに写真立てを立てる。
「お父さん、私とうとう20歳だよ」
返事は返ってこない。
でも私は話しかけることをやめない。
「びっくりだよね。あれから10年かぁ。お酒を飲むのが楽しみ」
「それにしてもアンジュが一人暮らしなんて、ちょっと心配ね」
お母さんも席に着いて、話に入ってきた。
「はい、じゃあアンジュには一番綺麗に焼けたチキンをあげるわ」
「わあっ、ありがとう!嬉しい」
家族三人での小さなパーティーは夜遅くまで続いた。
私は中庭に出て、スコップを手に腕まくりをする。
「さあ、掘るぞぉ」
ザク、ザクという規則正しい音が、静かな夜の町に響いている。
「あ、あった」
私は半分埋まったままの古ぼけた缶を引っ張り出す。
少し振ってみると、カサカサという乾いた音と、カラカラという何かがぶつかり合う音が聞こえた。
あれ?おかしいな。
私は手紙だけを入れたはずなんだけど。
首を捻りながら缶の蓋を開ける。
なかなか開かなくて、力を込めると勢いよく紙が飛び出してきた。
紙が二枚、それとペンダントが入っていたようだ。
一枚、紙を開いてみる。
そこには、お世辞にも綺麗とは言えない字でこう書かれていた。
『20さいのわたしへ。
わたしは今、10さいです。
一番聞きたいことは、恋人はいるかどうかです。
運命の王子さまとラブラブですか?』
ズコッ。
思わず(頭のなかで)転けてしまった。
何を考えているのか。恥ずかしいなあ。
『それと、お父さんとお母さんは元気ですか?
ギターはつづけていますか?上手くなっていますか?
お仕事はじゅんちょうですか?アミとは仲良しのままですか?』
ううん、質問ばっかりだなあ。
私は一人で苦笑する。
『元気で楽しくすごしてね。』
私からの手紙はこの一言で締めくくられていた。
何だか不思議な気分だ。
あれ?じゃあもう一枚の紙は何?
私はもう一枚の紙を開く。
『アンジュへ。
びっくりしたかい?しただろうね。
実はこっそり入れておいたんだ。
大人になったアンジュは、きっとお母さんに似て美人だろうな。
それとお父さんに似てお茶目なはずだ。ははっ。
今から楽しみだな。
ああ、ペンダントはお父さんからのプレゼントだ。
きっと大人になったアンジュによく似合うんだろうな。
離れていても、お父さんが傍にいるから、
何でも恐れずにやってごらん。
愛しているよ、アンジュ。
お父さんより』
涙が止まらなかった。
本当だったら、ここでお父さんも一緒にこれを読んで笑っているはずだったんだ。
それなのに、.........。
「お父さん...っ」
私のお父さんは、もうこの世界にはいない。
今から丁度10年前に、死んでしまったから。
今日は私の誕生日!
お昼で仕事を終えて、今はいそいそと家に帰っているところだ。
お母さんが家でご馳走を作って待っていてくれてるから!
遠くに家が見えてきて、駆け足で道を走る。
近所の人々が手を振ってくれた。
「おーい、アンジュちゃん!」
「今日も元気だなぁ」
「そういえば誕生日なんだってね」
「そうなの?おめでとう!」
この辺りの人たちは本当に優しくて暖かい人ばかりだ。
にこにこしながら手を振り返す。
「皆、ありがとう!」
走ってきた勢いのまま、ドアを開け放つ。
「ただいまっ、お母さん!」
「あら、おかえり」
お母さんは花柄のエプロンを身に着けて、キッチンに立っていた。
キッシュのいい香りが漂ってくる。
私はいそいそと手を洗って、席に着く。
「お母さん、お母さん、これ、開けてもいい?」
「あら、そんなに急がなくてもワインは逃げないわよ」
「分かってるけど...待ちきれないんだもん」
「ふふふ、いいわよ、開けてちょうだい」
ちょっと緊張しながらワインを開ける。
どんな味なんだろう?
私はしげしげと瓶を眺めた。
「あっ」
そうだ。忘れ物。
私は立ち上がって、二階まで階段をかけ上がる。
写真立てを手にとって、もう一度ダイニングへと向かった。
テーブルに写真立てを立てる。
「お父さん、私とうとう20歳だよ」
返事は返ってこない。
でも私は話しかけることをやめない。
「びっくりだよね。あれから10年かぁ。お酒を飲むのが楽しみ」
「それにしてもアンジュが一人暮らしなんて、ちょっと心配ね」
お母さんも席に着いて、話に入ってきた。
「はい、じゃあアンジュには一番綺麗に焼けたチキンをあげるわ」
「わあっ、ありがとう!嬉しい」
家族三人での小さなパーティーは夜遅くまで続いた。
私は中庭に出て、スコップを手に腕まくりをする。
「さあ、掘るぞぉ」
ザク、ザクという規則正しい音が、静かな夜の町に響いている。
「あ、あった」
私は半分埋まったままの古ぼけた缶を引っ張り出す。
少し振ってみると、カサカサという乾いた音と、カラカラという何かがぶつかり合う音が聞こえた。
あれ?おかしいな。
私は手紙だけを入れたはずなんだけど。
首を捻りながら缶の蓋を開ける。
なかなか開かなくて、力を込めると勢いよく紙が飛び出してきた。
紙が二枚、それとペンダントが入っていたようだ。
一枚、紙を開いてみる。
そこには、お世辞にも綺麗とは言えない字でこう書かれていた。
『20さいのわたしへ。
わたしは今、10さいです。
一番聞きたいことは、恋人はいるかどうかです。
運命の王子さまとラブラブですか?』
ズコッ。
思わず(頭のなかで)転けてしまった。
何を考えているのか。恥ずかしいなあ。
『それと、お父さんとお母さんは元気ですか?
ギターはつづけていますか?上手くなっていますか?
お仕事はじゅんちょうですか?アミとは仲良しのままですか?』
ううん、質問ばっかりだなあ。
私は一人で苦笑する。
『元気で楽しくすごしてね。』
私からの手紙はこの一言で締めくくられていた。
何だか不思議な気分だ。
あれ?じゃあもう一枚の紙は何?
私はもう一枚の紙を開く。
『アンジュへ。
びっくりしたかい?しただろうね。
実はこっそり入れておいたんだ。
大人になったアンジュは、きっとお母さんに似て美人だろうな。
それとお父さんに似てお茶目なはずだ。ははっ。
今から楽しみだな。
ああ、ペンダントはお父さんからのプレゼントだ。
きっと大人になったアンジュによく似合うんだろうな。
離れていても、お父さんが傍にいるから、
何でも恐れずにやってごらん。
愛しているよ、アンジュ。
お父さんより』
涙が止まらなかった。
本当だったら、ここでお父さんも一緒にこれを読んで笑っているはずだったんだ。
それなのに、.........。
「お父さん...っ」
私のお父さんは、もうこの世界にはいない。
今から丁度10年前に、死んでしまったから。