______________________
体育の授業。
体育館に入った瞬間、灯の心臓がギュッと縮む。
……私、運動神経、ゼロ。
しかも今日は、ペアでパス練習——
先生「はい、今日はペアでパス練なー。前回の席の隣同士で組め」
うっ。
灯の視線が横に行く。
……いる。
[漢字][大文字]橋 蒼[/大文字][/漢字][ふりがな]はし あお[/ふりがな]
蒼「……ああ、星乃さんか」
小さく呟いたその声が、灯には大きく響く。
灯「……す、すいません……」
反射的に謝る。
蒼はちらっと灯を見て、すぐに視線を逸らす。
蒼「……いや、何も」
何もなしに言ったその一言が、胸に刺さる。
______________________
準備運動が終わり、ペア練習開始。
バスケットボールが灯の手に渡される。
……重い……
……怖い……
蒼は少し離れた位置で腕を組み、友達と話している。
蒼「じゃ、投げて」
灯「……は、はい……」
ぎこちなく構える。
思い切って投げると——
ボールは床に叩きつけられ、全然違う方向に転がる。
コロコロ… 🏐
蒼は無言で見ている。
拾いに行こうとするけど、うまく投げられない。
灯「……っ……」
顔が熱くなり、膝が震える。
蒼「もう一回」
声は淡々としている。
距離は冷たい。
二度目のパスも、弱すぎて途中で落ちる。
蒼「……」
また無言。
体育館のざわめきが、やけに大きく聞こえる。
蒼は小さく息を吐いた。
蒼「……俺あっち行ってくるからやってて」
灯「……え……?」
振り返ると、蒼は友達の方へ歩いていく。
振り返らない。
ただ。
灯だけが、その場に置き去りになった。
……そっか。
……私、邪魔なんだ。
胸の奥が、ずん、と沈む。
ボールを拾う手が、震える。
……頑張ろうって思ったのに……
一人で壁に向かって投げる。
また落ちる。
拾う。
投げる。
落ちる。
視界が、にじむ。
……やだ……
泣きたくない。
誰にも、見られたくない。
灯は体育館の端に移動する。
みんなの視線から、少しだけ外れた場所。
ボールを胸に抱え、しゃがみこむ。
……ぐすんっ…
声を殺す。
涙がぽたっと床に落ちる。
……私、ほんとダメ……
蒼の「俺あっち行ってくるからやってて」が、頭の中で何度も再生される。
______一緒にやってくれない、でも怒ってるわけじゃない、でも……
灯は膝に顔を埋めたまま、息を整えようとする。
体育館のざわめきに、泣き声は消される。
誰にも、バレていない。
星乃灯は今日、
誰にも見られずに、泣いた。
そしてまた一つ、
橋 蒼という存在が、
胸の奥に、重く沈んでいった。
体育の授業。
体育館に入った瞬間、灯の心臓がギュッと縮む。
……私、運動神経、ゼロ。
しかも今日は、ペアでパス練習——
先生「はい、今日はペアでパス練なー。前回の席の隣同士で組め」
うっ。
灯の視線が横に行く。
……いる。
[漢字][大文字]橋 蒼[/大文字][/漢字][ふりがな]はし あお[/ふりがな]
蒼「……ああ、星乃さんか」
小さく呟いたその声が、灯には大きく響く。
灯「……す、すいません……」
反射的に謝る。
蒼はちらっと灯を見て、すぐに視線を逸らす。
蒼「……いや、何も」
何もなしに言ったその一言が、胸に刺さる。
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準備運動が終わり、ペア練習開始。
バスケットボールが灯の手に渡される。
……重い……
……怖い……
蒼は少し離れた位置で腕を組み、友達と話している。
蒼「じゃ、投げて」
灯「……は、はい……」
ぎこちなく構える。
思い切って投げると——
ボールは床に叩きつけられ、全然違う方向に転がる。
コロコロ… 🏐
蒼は無言で見ている。
拾いに行こうとするけど、うまく投げられない。
灯「……っ……」
顔が熱くなり、膝が震える。
蒼「もう一回」
声は淡々としている。
距離は冷たい。
二度目のパスも、弱すぎて途中で落ちる。
蒼「……」
また無言。
体育館のざわめきが、やけに大きく聞こえる。
蒼は小さく息を吐いた。
蒼「……俺あっち行ってくるからやってて」
灯「……え……?」
振り返ると、蒼は友達の方へ歩いていく。
振り返らない。
ただ。
灯だけが、その場に置き去りになった。
……そっか。
……私、邪魔なんだ。
胸の奥が、ずん、と沈む。
ボールを拾う手が、震える。
……頑張ろうって思ったのに……
一人で壁に向かって投げる。
また落ちる。
拾う。
投げる。
落ちる。
視界が、にじむ。
……やだ……
泣きたくない。
誰にも、見られたくない。
灯は体育館の端に移動する。
みんなの視線から、少しだけ外れた場所。
ボールを胸に抱え、しゃがみこむ。
……ぐすんっ…
声を殺す。
涙がぽたっと床に落ちる。
……私、ほんとダメ……
蒼の「俺あっち行ってくるからやってて」が、頭の中で何度も再生される。
______一緒にやってくれない、でも怒ってるわけじゃない、でも……
灯は膝に顔を埋めたまま、息を整えようとする。
体育館のざわめきに、泣き声は消される。
誰にも、バレていない。
星乃灯は今日、
誰にも見られずに、泣いた。
そしてまた一つ、
橋 蒼という存在が、
胸の奥に、重く沈んでいった。