これは
まだ、
「ふわっとすてっぷ」じゃなかった頃。
[漢字]雫森 心洩[/漢字][ふりがな]しずくもり こもれ[/ふりがな]は、
自分の声が、あまり好きじゃなかった。
大きくない。
通らない。
歌っても、誰かの後ろに溶けてしまう。
心洩「……どうせ、私なんて」
そう思うたびに、
胸の奥が、しゅっと縮んだ。
放課後。
心洩は、家にまっすぐ帰らなかった。
人が少なくて、
音が反響しない場所。
__学校の、[漢字] 旧校舎側の音楽室[/漢字][ふりがな]私の居場所[/ふりがな]。
鍵は、なぜかいつも開いていた。
ピアノは、少し音が狂っていて、
でも、やさしい。
心洩は、カーテンを半分だけ閉めて、
窓から入る曇り空の光の中で、
小さく歌った。
誰に聞かせるでもない。
ただ、
“消えないため”に。
♪__
声は、震えていた。
でも、止めなかった。
……うるさくないかな
……下手って、思われたら……
歌い終わる前に、
足音が聞こえた。
……っ
一気に、息が止まる。
?「……あ、ごめんなさい……!」
慌てて振り向くと、
そこにいたのは、
知らない人だった。
でも、
目が、うるさくなかった。
?「……続けて」
そう、言った。
心洩「え……?」
?「今の、
止めるの、もったいないです」
心洩は、混乱した。
褒められたわけじゃない。
でも、
“必要だ”って言われた気がした。
心洩「……私、
上手じゃないです」
正直に言うと、
その人は、少し笑った。
?「知ってます」
心洩の心臓が、跳ねた。
?「でも」
その人は、続けた。
?「雲みたいな声ですね」
心洩「……くも?」
?「輪郭が、はっきりしすぎてない。
でも、確かにそこにある」
一瞬、
何を言われているのかわからなかった。
でも。
……消えて、ない
そう思えた。
?「……アイドル、
興味ありますか?」
その言葉に、
心洩は、すぐ首を振った。
心洩「……目立つの、苦手です」
?「知ってます」
まただ。
?「だから、
向いてると思う」
理由が、わからなかった。
でも__
胸の奥が、少しだけ、あったかくなった。
その夜。
家に帰って、
布団に潜りながら、心洩は考えた。
……私の声、
誰かに届いた
たった一人でも。
それで、
いいんじゃないかって。
数日後。
小さなレッスン室。
大きくないステージ。
少ない照明。
心洩は、
初めて、名前をもらった。
?「“ふわっとすてっぷ”って、どうです?」
雲の上で、
軽く、でも確かに、踏み出す。
心洩は、少しだけ考えてから、
小さく頷いた。
心洩「……待つ、でもいいなら」
「好きになって、って言わないです」
「……好きになるまで、
待ちます」
その時は、まだ知らなかった。
この選択の先に、
灰色の世界で、
必死に息をしている誰かがいることを。
______________________
そしてその誰かが、
自分の歌を
“神”って呼ぶようになることを。
まだ、
「ふわっとすてっぷ」じゃなかった頃。
[漢字]雫森 心洩[/漢字][ふりがな]しずくもり こもれ[/ふりがな]は、
自分の声が、あまり好きじゃなかった。
大きくない。
通らない。
歌っても、誰かの後ろに溶けてしまう。
心洩「……どうせ、私なんて」
そう思うたびに、
胸の奥が、しゅっと縮んだ。
放課後。
心洩は、家にまっすぐ帰らなかった。
人が少なくて、
音が反響しない場所。
__学校の、[漢字] 旧校舎側の音楽室[/漢字][ふりがな]私の居場所[/ふりがな]。
鍵は、なぜかいつも開いていた。
ピアノは、少し音が狂っていて、
でも、やさしい。
心洩は、カーテンを半分だけ閉めて、
窓から入る曇り空の光の中で、
小さく歌った。
誰に聞かせるでもない。
ただ、
“消えないため”に。
♪__
声は、震えていた。
でも、止めなかった。
……うるさくないかな
……下手って、思われたら……
歌い終わる前に、
足音が聞こえた。
……っ
一気に、息が止まる。
?「……あ、ごめんなさい……!」
慌てて振り向くと、
そこにいたのは、
知らない人だった。
でも、
目が、うるさくなかった。
?「……続けて」
そう、言った。
心洩「え……?」
?「今の、
止めるの、もったいないです」
心洩は、混乱した。
褒められたわけじゃない。
でも、
“必要だ”って言われた気がした。
心洩「……私、
上手じゃないです」
正直に言うと、
その人は、少し笑った。
?「知ってます」
心洩の心臓が、跳ねた。
?「でも」
その人は、続けた。
?「雲みたいな声ですね」
心洩「……くも?」
?「輪郭が、はっきりしすぎてない。
でも、確かにそこにある」
一瞬、
何を言われているのかわからなかった。
でも。
……消えて、ない
そう思えた。
?「……アイドル、
興味ありますか?」
その言葉に、
心洩は、すぐ首を振った。
心洩「……目立つの、苦手です」
?「知ってます」
まただ。
?「だから、
向いてると思う」
理由が、わからなかった。
でも__
胸の奥が、少しだけ、あったかくなった。
その夜。
家に帰って、
布団に潜りながら、心洩は考えた。
……私の声、
誰かに届いた
たった一人でも。
それで、
いいんじゃないかって。
数日後。
小さなレッスン室。
大きくないステージ。
少ない照明。
心洩は、
初めて、名前をもらった。
?「“ふわっとすてっぷ”って、どうです?」
雲の上で、
軽く、でも確かに、踏み出す。
心洩は、少しだけ考えてから、
小さく頷いた。
心洩「……待つ、でもいいなら」
「好きになって、って言わないです」
「……好きになるまで、
待ちます」
その時は、まだ知らなかった。
この選択の先に、
灰色の世界で、
必死に息をしている誰かがいることを。
______________________
そしてその誰かが、
自分の歌を
“神”って呼ぶようになることを。
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