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🌟〈参加型〉『推しとオタクの夢物語』🌟〆切!!マネージャー決定!!!!!!

#36

音量ゼロ距離事件。


放課後の廊下は、まだ少しざわついている。


私はイヤホンを両耳に入れていた。


音量は、世界が溶ける一歩手前。


♪__ふわっとすてっぷ


……やっぱ、この間奏、灰色すぎて好き


スマホの画面を見ながら、
頭の中では
「今日の髪のハネ方まとめ」
「スニーカーモデル再確認」
「帰ったら布教用画像」

完全に、オタク脳。


__その時。


ガンッ。


……え?


足元に、誰かのカバン。


バランスが、一気に崩れた。


結音「……っ!」


視界が傾いて、
身体が前に投げ出される。


やば…


反射的に手を伸ばした先に、
“誰か”がいた。


心洩「きゃっ——」


柔らかい声。


次の瞬間。
 
どさっ。


床の冷たさ。

自分の重さ。

すぐ近くにある、温度。


え?


時間が、止まった。


私は__


誰かを、押し倒している。

ゆっくり、視線を下げる。


ダークブラウンの髪。


見慣れすぎた、こげ茶の瞳。


……あ
…………
…………………………


__[漢字] 雫森 心洩[/漢字][ふりがな]しずくもり こもれ[/ふりがな]


完全に、ゼロ距離。


顔が、近すぎる。


息の音が、聞こえる。


……死


心洩「……あ、あの……」


心洩さんの声が、震えている。


心洩「……だ、大丈夫ですか……?」


心配されてる場合じゃない…!


結音「……ご、ごごごめんなさい!!!!!」


我に返って、私は飛び起きた。


結音「ほんとにっ……!
わざとじゃなくて……!
私、その……足元見てなくて……!」


語彙力、崩壊。


顔が、熱い。
耳まで、熱い。


心洩さんは、ゆっくり起き上がって、
スカートを押さえながら、


心洩「……いえ……私こそ、
ちゃんと前、見てなくて……」


__優しすぎる。


……推し、聖人


沈黙。


廊下の音が、急に戻ってくる。


心洩「……灰羽さん」


名前を呼ばれて、心臓が跳ねた。


心洩「……イヤホン、落ちてますよ」


足元を見ると、
私のイヤホン。


さっきまで流れていた曲は、
もう止まっていた。


結音「……あ、ありがとうございます……」


拾おうとして、
手が震える。


心洩さんは、少しだけ、ためらってから言った。


心洩「……あの」
結音「……はい」
心洩「その音楽……
さっき、一瞬だけ、聞こえた気がして」


…………
終わった


心洩「……静かで、
でも、やさしい音でした」


にこっと、
ほんのり笑う。


心洩「……私、ああいうの、好きです」


………………


尊死……


私は、もうダメだった。


結音「……すみません……
気をつけます……」


逃げるように、頭を下げる。


でも、背中に__


心洩「……また、図書室で」


その一言が、落ちてきた。


振り向く勇気はなかった。


でも、わかった。


__距離、縮みすぎた。


その日。


私は家に帰って、
布団に顔を埋めて、
声にならない悲鳴を上げた。


……推しを……押し倒した……

……でも……心洩さん、
怒らなかった……


灰色の世界が、
一気に、雲に包まれた日だった。

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参加型オタクアイドル意外と伸びた奴

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